リッスン・トゥ・ハー

春子の日記はこちら

ばいきんまん、石像の角折られる

2009-11-19 | リッスン・トゥ・ハー
角に不思議な力が宿っていると言う噂を聞いたのは半年前、ふと立ち寄った駄菓子屋でその店主である老婆がのそのそ奥から這い出るように顔を出し、しばらく私を見ていて、あくび。あくびは細長く、私はそれの見ずにいられない。老婆がその生命をしぼりだすようだから。あくびが終わり老婆は「悩みがあるようじゃな」とつぶやいた。悩みなど特になかったけれど、わたしはその断言ぶりに「はい」と答えてしまう。そして教えてくれた、ばいきんまんの角を持っていると願いはかなう、と。何の脈絡でばいきんまんが出てきたのか不明であるし、老婆の口からまさかばいきんまんが出てくるとは思わなかったから、私は老婆が何を言っているのかよくわからず「は?」と聞き返す。
「ばいきんまんは知っておろう?」
「あんぱんまんに出てくるキャラですよね?」
「あんぱんまんとはなんぞ?」
「ええと知らないんですか?ではおばあさんの言うばいきんまんとはどんなものですか?」
「ばいきんまんには角がある」
「ええ、たしかに私の知っているばいきんまんにも角があります」
「さらにキャプを斜めにかぶる」
「私の知っているばいきんまんはヒップホップを愛していません」
「また、春先に山のふもとに生えてくる」
「梅雨時にあるいは生えてくるのかもしれません、出生に関してはシークレットの部分が強くてなんともいえませんが」
「その角を目指せよ乙女」
「はい」
と、私はとてもいい返事をした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿