リッスン・トゥ・ハー

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なぜ不機嫌になるのか

2011-04-02 | リッスン・トゥ・ハー
「なにをそんなに怒っているの?」

「世の中に対してさ」

「世の中?」

「そう、なにもかもうまくいかない世の中に対してぼくは怒っているのさ」

「怒ることに意味はあるの?」

「ないのかもしれない、しかし怒らずにはいられないのだ」

「それならば怒っても構わないよ」

「じゃあ怒らせてもらう」

「思う存分怒ってくれよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「初めて見る怒り方だよ」

「ぼくの怒りはまだまだ足りないぞ!」

「どんどん怒ってくれたらいいよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「いったいどういう意味なんだろう、がおー!ってのは」

「がおーってのは、ライオンのイメージさ」

「ライオンのイメージ?」

「百獣の王ライオンさ」

「どうして怒るときに百獣の王のイメージをするの?」

「いかにも強そうだろ」

「ライオンが強そうなのはあの風体で迫力ある声だからで、木下くんががおー!といっても余強そうじゃないけれども」

「そんなことはない、ほら野生動物が近づいてこないだろ?」

「こんな居酒屋にいてもしも近づいてくる野生動物がいたら、それはディズニーキャラぐらいさ」

「まだまだ怒り足りない、まだまだ怒り足りないぞ」

「どうぞ思う存分怒ってくれたらいい」

「がおー!がおー!がおー!」

「強情だなあ」

「ぼくは百獣の王だ!ぼくは百獣の王だ!」

「自分で言っちゃったよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「気が済んだかい?」

「ああ、おかげですっきりしたよ」

「じゃあ僕も怒らせてもらっていいかな?」

「もちろん」

「カッカドゥドゥドゥー!」

「欧米のにわとり!」