リッスン・トゥ・ハー

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種の起源

2009-11-29 | リッスン・トゥ・ハー
立ち上がる。かすかな動揺が会場に起こる。関心をしめすもの、阿呆がまたひとり出てきたと無視するもの、様々であった。そして、ダーウィンはマイクを要求する。この広い会場で地声で話してどれぐらいの聴衆に届くであろう、せいぜいその周囲の100名程度だ。この会場中のものに考えを、その革新的な考えを知らしめるために、当然のようにマイクを要求した。しかし、である、ダーウィンは発表者ではなかった。普段から無口で、付き合いも悪いため、みなから疎まれていた。得体の試練やつだ気をつけろ、と。そこにきて、突然立ち上がりマイクを要求したから、何か悪い予感さえしたのだ。それを察してか係のものは、マイクはありません、と言った。ないわけがないだろう、あいつだって使っているのだから、といってダーウィンは壇上の学者を指差した。あれは発表者用のマイクです、こちらに持ってくることはできません。そんなわけがあるかい、マイクが一本しかないなんて、研究発表の場として不十分すぎるだろう。ないのだから仕方がありません、さあ、このぶどうパンをあげますから帰ってください。帰って録画してあるタモリ倶楽部でも見てなさい。そうだな、タモリ倶楽部でも見よう、てバカ、私は意見があるのだ、とにかくマイクを持ってきなさい、世界が変わる考えを私が教えてやるのだから。だからマイクはないのですよ、あきらめてください、ほらこのビスコもつけてあげますから、タモリ倶楽部を見に帰りなさい。そうだな、タモリ倶楽部でも見よう、てバカ、いいから繰り返したって面白くないよそれ、2回戦にも進めないよそれ。2回戦に進むにはどうすればいいですか、そうさな、まずネタを練り上げないといけない。練り上げる?そう、練り上げて俺らのものにする。ほうほう、それからそれから?