リッスン・トゥ・ハー

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無人駅にて、優しさの意味を問う

2006-06-02 | リッスン・トゥ・ハー
久しぶりに実家に帰るために各駅停車に乗って最寄の駅で降りるわけですが、その最寄の駅と言うのができたときからずっと無人駅でありまして、切符なんかは各駅停車を降りるとき運転手に見せて確認するというわけです。なので運転手に見せて、降立ちました駅はやはり閑散としていましたが、声が、ひときわ響く女の声が聞こえたのでございます。声のする方向に目をやりますと、駅にたつたひとつだけあるおんぼろベンチに腰掛け、ケータイを握り締めた女、ひとりっきりで喚き散らしています。派手な色の服を身につけて、健康的な太ももを露にして、どうやら痴話喧嘩らしい。ふいに老婆が駅に入ってきて、次の電車までまだ50分以上あると言うのにそれまで待つつもりでしょうか。女はケータイを耳に引っ付けたまま立ち上がって、どうぞと老婆に席を譲りました。老婆はさも嬉しそうに座ります。無人の駅に、相変わらず女の声、でもなぜか少しやわらかくなった気がしたのです。