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<ケータイ販売>実態と異なる「還元」「おトク」のワナ

2015-08-30 16:27:59 | 珍事件・事故・その他・コラム

<ケータイ販売>実態と異なる「還元」「おトク」のワナ

毎日新聞 8月30日(日)9時30分配信


 携帯電話の販売現場で、実態とは大きく異なる「還元」「おトク」という言葉が躍っている。野村総研上席コンサルタントで、情報通信政策に詳しい北俊一さんは「携帯電話業界には良識や品格という言葉が欠如しているとしか思えない。言葉巧みに消費者を“優良誤認”させた者が勝ち、という考え方がいまだにまかり通っている」と憤っている。

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 ◇使えなくなった「キャッシュバック」に代わって登場

 「家族5人なら最大約58万円還元」「家族4人だと今だけ57万円以上もおトク!」といった言葉がチラシに躍る。ごく最近のものだ。このチラシを見て、「こんなに多額の現金がもらえるのか!」と思ってケータイショップに駆け込んではいけない。ここには巧みなわなが仕掛けられている。「キャッシュバック」とは全く異なるのだ。

 「キャッシュバック」という言葉は2014年4月1日以降、ケータイショップの店頭やチラシから一斉に姿を消した。1回線契約当たり10万円を優に超える多額のMNP(同番号乗り換え)キャッシュバック合戦に対して、総務省からご指導が入ったからだ。

 とはいえ、その後も週末などにゲリラ的にキャッシュバック・キャンペーンを行うケータイショップや量販店は一部存在しているが、当時の金額に比べれば可愛いものだ。

 この「キャッシュバック」という言葉に代わって登場してきたのが、「還元」「おトク」という言葉だ。仕組みを解説しよう。

 ◇料金割引の条件は複雑すぎて理解不能

 例えば、某auショップのチラシ「家族5人なら最大約58万円還元」の場合は、以下のような計算になる。

 他社からのMNP▽「誰でも割」契約(2年間拘束契約)▽「スマートパス」などお店指定のオプション加入▽お店指定のスマホ購入--などの条件付きで、端末代金を上限とする最大6.5万円が値引き(「誰でも割」+「毎月割」)され、ここに2台以上家族同時契約で最大2万円値引き▽下取りプログラムで最大2万2680円値引き▽お店のキャンペーンで最大1万円値引き--を足すと、合計で1人最大約11.7万円の値引きとなり、5人で計約58万円が値引きされる、という内訳だ。

 「最大」という言葉がついているのでうそは書かれていないが、現実に58万円が還元されるケースはほとんどないだろう。加えて、これらの値引きは、毎月の通信料金と端末の割賦代金から割り引かれるため、2年間使って初めて実質的に5人で58万円分がお得になるというものだ。キャッシュバックはゼロだ。

 こんなパターンもある。某ソフトバンクショップのチラシ「家族4人だと今だけ57万円以上もおトク!」について内訳を見てみる。

 他社からiPhone6へのMNPを条件に、「のりかえ割」1000円×10カ月=1万円▽「スマート値引き」2700円×24カ月=6万4800円▽下取りキャンペーン最大940円×24カ月=2万2560円▽「家族まるごと割」1000円×3カ月=3000円--となり、すべてを足すと10万360円。家族4人分の合計40万1440円に、1人あたりキャッシュバック3万円×4人の12万円を足して、52万1440円という数字が出てくる。

 チラシに書かれている57万円との差額の5万円は、チラシに書かれていない何か別のキャンペーンがあるのだろう。私には解読できなかった。

 ちなみに、「スマート値引き」は、固定ブロードバンドサービス「ソフトバンク光」への加入に伴う割引であり、「ソフトバンク光」の料金が毎月別に必要になる。

 ◇見せかけ数字で消費者を釣る「空っぽ商法」いつまで

 これらの表記方法は、キャリアによっても、販売代理店やショップによっても異なっており、相当ケータイに詳しい人でなければ理解することは難しいだろう。

 消費者にとって、たくさんの割引があることはうれしいことだ。しかし、見せかけだけの高額な数字で消費者を引きつけておき、ショップで説明をじっくり聞いたら、実は空っぽでした、という商法を一体いつまで続けるのだろうか。このような不誠実な広告表示は、業界団体である電気通信事業者協会が定める広告表示ガイドラインで規制されているはずだ。

 ただ、ガイドラインに法的な拘束力はないため、結局守るか守らないかは、事業者や代理店の良心にゆだねられている。携帯電話業界の信頼回復への道のりは、はるかに遠い。

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