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自然日誌 たかつき
自然についての問わず語りです。
12月のアファンの森1 遠景
2014年01月21日
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アファンの森
12月7日にアファンの森に行きました。その頃、東京はまだ寒くなかったのですが、アファンはけっこう寒く、道中の遠くの山が白くなっていて、ちょっとヒマラヤかどこかのように見えました。
まったくの余談ながら、昨日はセンター試験の監督で1日立ち詰めでした。まったくおかしな制度で、受験生はもちろん、大学関係者にも迷惑なことです。
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書店の子供コーナー
2014年01月20日
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その他 others
去年の10月に出た「動物を守りたい君へ」についていくつか反応がありました。前に出した「野生動物と共存できるか」のときもそうなのですが、ありがたいコメントとともに、意外というか、やや心外と思えるコメントもあります。それは
「子供向けの本なのに、なかなかどうして考えさせられる」
という類いのものです。私にはこれは理解できません。こういうコメントをする人は子供向けのものは単純で、あまり考えさせないようなものでよいと思っているということでしょう。私はどちらの本にも全力投球しました。たとえば人が地球上で奢り過ぎだということを、客観的証拠を示しながら、「そうなのです」ではなく、「これをみれば考え直す必要があるでしょう」と考えてみようという書き方をしました。
中高生をイメージしていますから、語彙も経験も大人並みにはいきませんから、言葉選びや例示、構文も、大人向けに書くよりもひと工夫もふた工夫も必要になります。
私は「子供だまし」ということばが嫌いです。子供こそ、だませないものだし、だましてはいけません。子供にこそ真心で接さないといけないし、真剣勝負をしないといけないと思っています。
そういう意味で上のようなコメントは心外だと思うのです。
私はあと1年ほどで大学を退官しますが、雑用から解放された人生の残りの時間でしたいことのひとつが自分のおこなってきた研究や観察してきた動植物の魅力を子供たちに伝えたいということです。
そんなことを思いながら、今日ある書店に行って感じました。見てください、この本の色を。
これを見れば、本作りをする人が「子供だまし」をすればよいと考えていることが明白です。私はことばが十分でないこともだから、たとえば色や形に大人より敏感であると思います。そうであれば、本当に美しい色の本を作るべきです。にもかかわらず、この毒々しい色の本は、スーパーの安売り広告のようです。あるのは派手で目立てばよいという思いです。それは買い手を馬鹿にしています。
「買い手が目立つものしか買わないから」
という声が聞こえてきそうですが、それは違います。いや、目立てばよいというのは正しいですが、それは派手で目立つのではなく、本当に美しい色、好みの良さで目立つべきです。買い手はそういう本を求めているはずです。書店の子供コーナーがこういう色合いである限り、日本の出版社は子供向けの本作りに真剣ではないと思います。
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大学での実習
2014年01月19日
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研究など research
大学ではいろいろな講義や実習がありますが、私が担当するもののひとつに野生動物学調査演習という実習があり、そこでは実物をみたり、分析したりする体験をしてもらっています。これはタヌキの糞分析をしているところで、学生諸君は顕微鏡で除いています。いろいろなものが出て来ますから、初めのうちは
「先生」
という声があちこちから出て
「これなんですか」
で説明に大忙しですが、慣れてくるとそれも少なくなり、ときどき珍しいものが出て来てもりあがったりします。
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ヤブミョウガ
2014年01月18日
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植物 plants
元旦に孫をつれて狭山丘陵に行きました。林を散歩していたらみかけない青い実がありました。「たぶん」と思って家に帰ってしらべたら、やはりヤブミョウガでした。なんとなく黒い実ができるのだと思っていたので、青だとは意外でした。ミョウガとはいいますが、ツユクサ科だということです。
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カナメモチ
2014年01月17日
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植物 plants
1月11日に我が家の近くの霊園を散歩したら、カナメモチが赤い実をいっぱいつけていました。木全体が赤くてきれいでした。
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多摩森林科学園 赤い実追加
2014年01月16日
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多摩森林科学園
1月の12日にも多摩森林科学園に行って来ました。天気のよい気持ちのよい日でした。自動カメラのデータ回収に行ったのですが、別の赤い実がありました。
ひとつはミヤマシキミでよくある赤い実の中では少し大きめです。
もうひとつはマンリョウでこちらは少し小さめです。赤の色合いもミヤマシキミは少し黄味がかった上品な朱色、満了のほうは黄味がなく紅色です。
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多摩森林科学園5 ひっつきむし2
2014年01月15日
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多摩森林科学園
やぶを歩くといろいろなひっつき虫があります。メナモミもよくくっつきます。
私はアメリカセンダングサだと思っていたのですが、どうやらコセンダングサのようです。外来種は覚えるのが苦手です。その先端を見て、なんだかトゲがあるのですが、老眼にはよく見えません。カメラで拡大して写してモニターで見てびっくり。逆棘がついています。どこかでみたような気がしたと思ったら、縄文時代の骨で作った釣り針とか、モリにこういうのがありました。植物はすごい!
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多摩森林科学園4 ひっつきむし調査
2014年01月14日
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多摩森林科学園
アファンの森でも試みたのですが、ひっつき虫の調査をしました。林の縁から外側と中に向かってベルトをとり、1mきざみでタオルをまいた板を動かして、ひっつきむしをサンプリングしました。ほとんどがチジミザサでした。
林の中から見たようす
調査のようす
コメント
多摩森林科学園3 赤い実
2014年01月13日
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多摩森林科学園
冬になると花も虫も少なくなるので寂しくなりますが、その分、赤い実に気づきやすくなります。いくつか赤い実をみつけました。
一番多かったのはフユイチゴで、場所によっては林の下を一面に被っていました。
近づいてみるととてもきれいな真っ赤で光る実がついていました。キイチゴの仲間で属名をRubusといいますが、赤をRubroというからです。ルビーも同じですね。この仲間の多くは初夏に花をさかせて、実をつけます。高さが1、2mになる低木です。これに対してフユイチゴは冬になって開花、結実し、地表を這うように生えて、高くのびません。葉の形もずいぶん違います。かなり違う系統のものだと思います。
ナンテンもありました。野外でナンテンをみるのは不思議な感じです。
カラタチバナもありました。
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文藝春秋
2014年01月12日
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その他 others
どういう風の吹き回しか、あの「文藝春秋」から原稿依頼がありました。20年後の日本への50の質問という特集で、場違い感がありましたが、申し出に応じてパンダやゾウのことを書きました。
私は一九八〇年代の後半に中国の四川省でパンダを調査する機会を得て、WWF(世界自然保護基金)が派遣する調査チームに参加した。当時の中国は経済発展の前で、とくに内陸部は非常に貧しかった。私の役割はパンダの食物であるササの調査をすることだった。野生動物の数を知るのはむずかしいが、だいたい一〇〇〇頭ほどのパンダが高い山にひっそりと生き延びていた。保護区になっている場所はあまりに深く、開発の手が及んでいないかに思われたが、実際にはそういう奥地でも人力で木が伐り出され、川に流下流で集められていた。工業があまり発達していない四川省でも、工場からの垂れ流しはひどく、排水がそのまま河川に放出されていた。大躍進時代の森林伐採のツケがいたるところで土砂崩れにつながっており、土砂の流出はひどく、そのときでさえ揚子江はすでに「黄河」であった。そうしたことが重なってヨウスコウカワイルカという淡水のイルカが絶滅した。当時の中国の言い分は「私たちも先進国並みになるためには避けられないことだ」であった。中国の経済力は当時よりはるかに強力になっているが、リーダーの考えに違いがあるようには思えない。
中国はその後の十年、さらに二一世紀になってからの十年で大きく飛躍し、今やアメリカと拮抗する勢いである。開発途上国が歩む過程にはナショナリズムの高揚があり、「世界のことも大事だが、まずはうちが豊かになってから」と考え、それに沿った政策が選択される。その流れの中で中国の環境の汚染はますますひどくなっているが、今のところパンダの生息地にはあまりおよんでいない。保護区面積は拡大し、個体数はやや回復したとみられている。
しかし中国政府の姿勢には大きな問題がある。それは中国がパンダを「中国の動物」と考えていることにある。そうであればこそ、これまでパンダを外交の道具として利用してきた。だが、パンダは地球の財産であり、人間の所有物ではなく、ましてや中国のものではまったくない。地球の財産として世界全体が守らなければならず、そういう動物がすむ国はその意味での責任をもたなければならない。近代の例外的な一時期を除けば、中国は文字通り世界の大国であり続けたし、これからもそうであろう。だが、環境問題から見れば、大国が自国だけのために利益を追求する時代は完全に過去のものとなった。真の大国たるには地球全体に配慮する視野をもたなければなるまい。
その後、私は機会があってスリランカでアジアゾウの調査にも参画することになった。中国に比べればはるかに小さな国であるが、発展途上国には共通の思いがある。スリランカは仏教が活きている国で、人々は動植物に対するいたわりの気持ちが強い。その中でもゾウは特別で、敬愛とでもいう感情をもってよい関係を保ってきた。ところがこの十年ほどは、農業被害がひどくなり、人がゾウに殺される事故が多くなって自衛のためにゾウを殺すという、スリランカの歴史にはなかった状況が生まれてしまった。二〇一二年には六六人がゾウに殺され、二五二頭のゾウが殺された。その背景には原野を開拓して農地にし、豊かになるという政策がある。そのため、野生動物は国立公園や保護区に「閉じ込め」て、それ以外の場所は農地にすることが進められた。ゾウは四〇〇〇頭ほどが保護区で生き延びている。だが、ゾウのように行動圏の広い動物は食物が乏しくなる時期に保護区から出て農作物を食べるということが起きてしまう。そのことがさまざまな悲劇につながっているのである。
そのほかの東南アジア諸国でもトラやサイなど大型獣が絶滅の危機に瀕しているが、いずれも経済発展によるものである。トラはこの一世紀で実に九五%がいなくなり、現在四〇〇〇頭ほど、サイは二〇〇〇頭しか残されていない。
突き詰めて考えれば、地球という星にヒトという動物が住める上限があることを頭で理解しながらも、「あなたたちもしたことを、今私たちがして何が悪い」という思いと、現実には資源が枯渇するということが実感として感じられない人間の楽観性と想像力の欠如があるように思われる。
二〇年後の予測はできそうもないが、人のもつエゴイズムと誤った楽観性を叡智が抑制しない限りパンダもゾウも生き延びることはできそうもない。
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自己紹介
東北大学、東京大学、麻布大学を歴任し2015年3月に定年退職。麻布大学いのちの博物館名誉学芸員。ニホンジカをはじめとする野生動物の生態を研究。生き物のすばらしさを広く伝えたい。
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