自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

多摩森林科学園11/26 旅人の夢

2014年01月26日 | 多摩森林科学園
若いころに読んだ文章にボタンヅルの仲間のことをTraveller's dream、旅人の夢というのだと書いてありました。なんとなく記憶に残っています。
 この仲間はClematisという属名で、そのものクレマチスという園芸植物がありますし、テッセンというのも同じ仲間です。花びらに見えるのはガクで、テッセンはそれが巨大に改良されてます。野生のClematisは花びらは小さなものですが、魅力的です。花も見事ですが、花が終わって果実になったとき、果実を飛ばすための羽根毛があり、ほんとうに鳥の羽毛のようです。花のつけねに数個の種子があり、それぞれに外向きにうねった軸が出て、そこに羽毛状の毛がついています。
 軽くなって飛ぶためには、ごくごく細い繊維をつくり、風を受けるのがベストです。現実にススキの穂でも、タンポポの綿毛でも、ごく細い繊維になり、そういうものは遠目には銀色になります。そうなると、光があたると輝くことになります。
 ボタンヅルが実をつけるのは秋も終わりのころ、日が短くなり、気づくと太陽が傾いていて、あちこちに暗い影ができるようになります。そういう陰をバックにした銀色の毛は夕日の光を受け止めます。受け止めてそこから光を発しているように見えます。
 ヨーロッパの旅人が晩秋の旅をして、一休みしたところにボタンヅルの実がなっているのを見たとき、「ああ、俺の夢が輝いている」と思うのはありえることです。


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