自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

書店の子供コーナー

2014年01月20日 | その他 others
去年の10月に出た「動物を守りたい君へ」についていくつか反応がありました。前に出した「野生動物と共存できるか」のときもそうなのですが、ありがたいコメントとともに、意外というか、やや心外と思えるコメントもあります。それは
「子供向けの本なのに、なかなかどうして考えさせられる」
という類いのものです。私にはこれは理解できません。こういうコメントをする人は子供向けのものは単純で、あまり考えさせないようなものでよいと思っているということでしょう。私はどちらの本にも全力投球しました。たとえば人が地球上で奢り過ぎだということを、客観的証拠を示しながら、「そうなのです」ではなく、「これをみれば考え直す必要があるでしょう」と考えてみようという書き方をしました。
 中高生をイメージしていますから、語彙も経験も大人並みにはいきませんから、言葉選びや例示、構文も、大人向けに書くよりもひと工夫もふた工夫も必要になります。

 私は「子供だまし」ということばが嫌いです。子供こそ、だませないものだし、だましてはいけません。子供にこそ真心で接さないといけないし、真剣勝負をしないといけないと思っています。
 そういう意味で上のようなコメントは心外だと思うのです。

 私はあと1年ほどで大学を退官しますが、雑用から解放された人生の残りの時間でしたいことのひとつが自分のおこなってきた研究や観察してきた動植物の魅力を子供たちに伝えたいということです。

 そんなことを思いながら、今日ある書店に行って感じました。見てください、この本の色を。



 これを見れば、本作りをする人が「子供だまし」をすればよいと考えていることが明白です。私はことばが十分でないこともだから、たとえば色や形に大人より敏感であると思います。そうであれば、本当に美しい色の本を作るべきです。にもかかわらず、この毒々しい色の本は、スーパーの安売り広告のようです。あるのは派手で目立てばよいという思いです。それは買い手を馬鹿にしています。
「買い手が目立つものしか買わないから」
という声が聞こえてきそうですが、それは違います。いや、目立てばよいというのは正しいですが、それは派手で目立つのではなく、本当に美しい色、好みの良さで目立つべきです。買い手はそういう本を求めているはずです。書店の子供コーナーがこういう色合いである限り、日本の出版社は子供向けの本作りに真剣ではないと思います。
コメント
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