今日も口福 明日も口福 (きょうもこうふく あしたもこうふく)

外食率ほぼ100%、エンゲル係数は優に60%(半分はアルコール代)。そんな私の美味しい話。(おもに大阪の美味しい店)

蔵元の美味

2008-09-28 | Weblog
土曜の昼のこと。
仕事を早くに切り上げて、交野にある「大門酒造」さんに初めて訪れた。
コラムニストの勝谷誠彦氏のトークショーを聞きに行くためだ。

かなりの応募者があった中から参加できたという120名弱の聴客が、広くはないイベントホールにひしめき合う。
いつもの「勝谷節」がマシンガンのように繰り広げられ、テレビではとても流せないようなネタが続出。
途中からは演者も客も配られた日本酒をあおりながら、質疑応答も含めての2時間があっという間に楽しく過ぎた。

その後がまたお楽しみだ。
蔵に併設する食事処「無垢根亭」特製の食事が用意されており、客に振舞われた。
勝谷氏と写真を撮ったりサインを貰ったり雑談をしたりしながら、料理に舌鼓を打つ。

料理の品書きは、
「黒豚スペアリブの生姜煮込み」
「秋の果実サラダ 卵の燻製添え」
「もんごイカのイカ墨団子と小芋のみじん粉揚げ」
「鴨ロースの醤油煮」
「ブロッコリーとエリンギのピーナッツ和え」
「黒豆ご飯と白菜漬物巻きのおにぎり二種」
というラインナップだ。

これがもうどれもべらぼうに美味い。
スペアリブは外が香ばしく、中がどこまでも柔らかい。
苦もなく骨から外れるほど煮込まれたそれは、肉の味がぎゅうっとして噛むごとに味わい深い。

もんごイカのイカ墨団子も、プリップリの食感が残る程度に叩いたイカの肉に、魅惑的なコクのイカ墨が絡む。
卵の燻製のスモーク加減も完璧だ。

蔵元なんだから当然といえば当然なのだが、何といってもご飯が美味い。
無造作に見えるおにぎりの、涙が出そうなほどの米の甘さ。
巻かれた白菜の漬物や、混ぜられた黒豆が、これまた素朴ながら絶妙のアクセントだ。

全てがさりげないながら抜群のセンスが光る料理たち。
驚くことに、これらを作っている料理長ははもともとこの蔵の「まかない名人」だったおばちゃんだという。

そしてこの料理にあわせて供されたのは、もちのろんでこの蔵元の誇る日本酒たちだ。
生酒から特別純米、純米大吟醸まで、10種類弱もの酒がほぼ飲み放題という、信じられないほどの大判振舞い。
もうどれもこれも美味くてたまらない。

飲み比べと称して浴びるほど飲んでも一向に悪酔いしないのは、良質な酒である証拠だ。
チェイサーの水がまたいい。
酒造りに使われている水だから、本当に感涙ものの美味さなのだ。

ここの酒はニューヨークにも進出しているそうで、海外用のものは飲み口がマイルドなように度数をやや低めにするという。
その海外用の酒に貼ってある、この日限定のラベルを見て驚いた。
チベットの国旗。上には「Free Tibet」の文字が。
ううん、さすがは勝谷氏と古くから親交を深めている蔵元さんだ。
売り上げの一部がチベットの団体に寄付されると聞き、自宅用に購入した。

ともあれ、料理も酒も絶品。
今度はきっとコースを食べに訪れよう。
冬になると、酒粕で作る鍋もあるという。
蔵元での酒粕鍋。
考えただけでヨダレが出そうだ。

二面性のミステリアス

2008-09-21 | Weblog
15の時からの付き合いの友人が誕生日を迎えるので、お祝いのディナーをすることになった。
香草の効いたアジア料理以外なら何でもということだったので、お気に入りの「アルバロンガ」にご招待する。

まずはグラスシャンパンで乾杯をした後、メニューと格闘。
いつもながらどれも美味しそうなので、全部食べたくなるから悩ましい。

前菜は友人のリクエストで、「アワビとカリフラワーのクレマ」を入れて三種盛りで。
その他の2種は生のサンマをウイキョウやオレンジと和えたもの、ヤリイカの炙りだ。
脂がのっているのに全くしつこくないサンマもとろけそうなら、表面だけ炙って中がレアのイカの歯ごたえと甘みも感動ものだ。

だが、柔らかくボイルしたアワビの上に、冷たいクリームスープ状にしたカリフラワーがかかった一品はやはり格別。
たっぷり入ったアワビの肝のコクや苦味と一緒に食べると、この世のものとも思えないほどの美味だ。

パスタはふた品で、ひとつがイカスミの練りこんだタリアテッレに鱧とからすみがトッピングされたもの。
普段はイカスミをパスタに練りこんでしまうよりもソースにしてかけた方が好きなのだが、このパスタはよくできている。
練りこんでいるにも関わらず旨みがたっぷり感じられ、鱧の上品な味わいと素晴らしい相性だ。
鱧自体もまたプリンプリンでむちゃくちゃ美味い。

もうひとつはホロホロ鶏をラビオリのようにしたショートパスタだ。
ミンチにしたホロホロ鶏と、混ぜられたハーブが絶妙に美味い。
噛むごとに肉汁が溢れて、さながら「イタリアン小龍包」だ。

メインはアコウのアクアパッツァ…のはずなんだけど、あれ ??
運ばれてきた皿には、アコウが見えない。
なんと付け合わせにそれはもう大きな大ハマグリが殻ごと入っていて、アコウを覆い隠していたのだった。

白身のアコウの弾力と旨みに、ハマグリのダシ。
美味くないわけがない。
皿に残ったスープを、舐めまわさんばかりに飲み干す。
ふはあああああああ、うんめえっ !!

これらの料理に合わせてスタッフさんがお薦めしてくれたワインは、トスカーナのロゼの「ロザート 2004」。
このワインがまた素晴らしかった。
最初キインと冷やして供された時には、きりりとした白の味わい。
室温でぬるんでくると、中に潜むタンニンの味が徐々に輪郭をあらわにする。
まるでライトボディの赤のようだ。

その変化は、まるで二面性のある美女のように、ミステリアスで美しい。
それに加えて色も華やかで、旧友の誕生日を祝うのにこの上なく似つかわしい。
これをセレクトしてくれたスタッフさんのセンスの良さに頭が下がった。

ハズレの全くない、お気に入りのイタリアン。
このお店にして本当によかった。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約7000~13000円

銀座の有名店よりも

2008-09-16 | Weblog
今日はダンナの誕生日だ。
平日なので、前倒しで休日である昨日にお祝いをすることにした。
プレゼントは何が欲しい ? 旅行でも物でもご馳走でも、と聞いたらば、
京極寿司さんに行きたい」
と即答してきた。

そこで、約半年ぶりに長浜を再訪する事に。
昼前に家を出て、彦根で途中下車。城下町をのんびりうろうろしながら、ダンナお得意の歴史ウンチクをしばし楽しむ。
井伊家と柳沢吉保についてちょこっとお利口になったところで、お腹もすいてきたしと長浜に向かい、お店に着いたのは5時前だった。

まずは大大好きな〆サバを、とお願いしたら、まだ土佐酢ゼリーが固まりきっていないとのこと。
ここの〆サバにはこの土佐酢ゼリーがのせられているのが特徴で、こいつがまた絶品なのだ。
仕方がないのでゼリーが固まるまで〆サバはお預けに。

じゃあそれまで何かお勧めを、と言って出してもらったのが、旬のはしりの戻りカツオのたたきだ。
ニンニクの入ったポン酢がかかっている。
そのニンニクの味はきちんと効いているのだがうるさくなくてちょうどいい。

これで勢いづいてきたのだろう。
お祝いだから好きなように頼んでいいよ、と言うと、ダンナは本当に怒涛のように食べだした。

刺身はノドグロ、サンマ、中トロ、貝に海老。
どれをとっても旨いが、中でも際立っていたのがサンマだ。
脂がのっているのにくどくない、綺麗な青身魚の味。
ああ、秋だなあ。

火の通したものも食べたくて、天然カンパチのアラ煮付けもお願いする。
これがまたべらぼうに旨い。
煮汁の甘さがちょうど良くて、カンパチの身がホコホコ。
皮のコラーゲンのネットり感も魅惑的で、かなりのボリュームなのにぺろりと食べてしまった。

ここでお待ちかねの〆サバが登場。
今日のはまた一段と身が分厚くて、〆め方が私達好みに浅そうだ。
件の柔らかい土佐酢ゼリーと一緒にパクリ。

はあああああああ、やっぱたまらん。

「おつまみに」と出してもらったアナゴの骨せんべいで酒の勢いも進んだころ、ようやくお寿司を頼み始める。
連休で人出が多くてなくなったネタもあると聞き、嫌な予感がしていたのだが、なんと楽しみにしていたコハダがないと聞き、二人して大ショック。

こちらの酢で〆めたネタはどれをとっても旨く、中でも大阪では美味いコハダを食べられることが少ないので、楽しみにしていたのに。
ああ、昨日来ていりゃよかったのか。
いや、でもガックリしている場合じゃない。
ここは何食べても美味いんだし、他にもネタはいろいろある。

気を取り直してまずは白身から。
ノドグロにスズキ。
上品な魚の旨みが、味蕾を開かせる。
ああ、寿司ってしみじみ美味いなあ。

つぶしてくれたばかりのカワハギは、もちろん肝を乗せて。
このコリコリの身と、まったりした肝のコントラスト。
ふぅっと気が遠くなりそうなくらい美味すぎる。

やっぱり酢〆のものが食べたくて小鯛もいただく。
むっちりした皮の感覚と、ほこっとした身。
噛んでいるのが快感になってくる。
そしてやっぱりここの酢加減、塩加減は絶妙だ。

味のギュッとした本マグロの赤身、酢にサッとくぐらせて余分な水分だけを出したというアジ。
ふっくらと仕上がった激ウマのアナゴ。
あまりに美味すぎて、脳内エンドルフィンが全開だ。

いつも店で食べるだけでは気がすまなくて、お持ち帰りにサバの棒寿司をお願いするのだが、この日はそれに加えて海鮮巻寿司までお願いする。
いったい二人でどんだけ食うねん。

それでもダンナは物足りなそうだ。
「オレ、銀座の高級店とかと比べても、この店が日本一好き」
そうかそうか。ウンウン、分かるよ。
でもお互い胃はひとつだからね ?

だけど、ってことは誕生日プレゼントはお気に召したようで。
「毎年これがいい」
子供じゃないんだから。
ま、ともあれ、誕生日おめでとう。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約5000~8000円 ( 本来こんなもんだが、今回は食べすぎてこの倍 )

噂はホンモノ。でも・・・

2008-09-14 | Weblog
私は土曜日を心待ちにしていた。
なぜならば、ずっとずっと狙っていたフレンチレストラン「リュミエール」に友人と予約を入れていたからだ。
この店は私の大のお気に入りのイタリアン「アルバロンガ」と同じビルに入っていることで知ったのだが、ネットで調べたところ絶賛するコメントばかりだったので、一度行ってみたいと思っていたのだ。

だが高級フレンチに行くにはいろんな障害がある。
まず連れがいなくてはならない。
一人ご飯は基本的にへっちゃらな私だが、高級フレンチと大バコ系居酒屋にだけはさすがに一人では入れない。
だが高級フレンチに誘って迷いなくうなづいてくれるような財布の余裕と食への執着とを持ち合わせた相手は、そう簡単に見つかるものではない。
なおかつその相手と自分が万全の体調で、「フレンチが食べたーーーーいっ」という気分になっていなければならないのだ。
この日は全ての条件が揃った、稀有な夜だった。

通された店内はゆったりしていて、リュミエール ( 光 ) というその名を表すように、ガラスのオブジェが美しい光を放つ。
メニューは7200円、10000円、16000円のコース三種でアラカルトはないが、メインに幾つかの選択肢がある。
どれも美味そうなのだが、せっかくだしと思い切って一番高いコースにしてみた。

アミューズ・ブッシュ(つきだし)は三種。
毛ガニの脚の身と、ほぐした身にミソを和えたもの、京都産の茄子ととうもろこしのグリル、そしてつぶ貝にさっと火を通し、野菜のスプーマ(泡)をかけたものだ。
どれも火の通し加減が秀逸で、素材の味を存分に引き出している。
もうのっけからウットリだ。

温かい前菜は「アナゴとフォアグラのソテー 赤ワインのソース」。
甘い赤ワインのソースがアナゴの「ツメ」を思わせる。
外に焼き目をつけてソテーされたフォアグラがふわっと焼き上げたアナゴで包まれて、ギリギリしつこくならないリッチな味に仕上がっている。

もう一品の前菜が「オコゼのグリル」だ。
皮をパリッと焼き上げたオコゼの下に鮮やかな緑色のものがひいてある。
正体はきゅうりやミョウガをみじん切りにしたソースだ。
酸味がさわやかで、今までの料理の脂をさっと流してくれるグラニテのようだ。
その傍らには塩水ウニを軽く炙ったものが添えてある。
これがまた濃厚で最高のウニで、美しいコクをオコゼに添えてくれる。

次は「エビの一皿」。
小さな伊勢海老くらいはあろうかという大きなオマール海老のローストに、国産アワビの蒸したものがのっていて、アワビの肝ソースとエビの殻からとったアメリケーヌソースがかかっている。

これが、もう ! もう !!
いや、間違いなく人生最高のオマールだ。
まず加熱加減が素晴らしいのひと言だ。
生でもなく、かといって火を通したという感じでもなく、海老の旨みが100%活性化されている。

その上のアワビがまた肉厚で柔らかい!
海老もアワビも噛みしめるたびにジュースがあふれ出てそれだけで美味いというのに、その上に肝ソースとアメリケーヌソースだよ、おい。
もうジタバタしたいくらい美味い。

メインには、お二人様以上からの注文となる豚を選んだ。
一度は絶滅しかかったという希少なバスク豚のスペアリブをローストして食べやすいように骨から外し、そのジュ(肉汁)のソースがかかっている。
脂身のない部分も味が濃くしっかりしているが、脂身の部分がまた美味い。
しつこくなくて、一流のマイスターの作るベーコンを思わせた。

全ての料理が素晴らしく、友人が食べたデザートや私がデザート代わりにいただいたチーズまで、料理に少しのすきもなかった。
これでこそ高級フレンチ。
ギャルソニエの女性たちも、評判どおりすこぶる感じが良い。
しかしこの店、一つだけ瑕疵があった。

私はこのブログを始めるにあたり、一つのタブーを自分に課してきた。
それは「店を悪く書くこと」だ。
悪い点も含めて書くことで、そのブログの信憑性を増すことは分かるが、私は食いしん坊ではあっても「銀のサジをくわえて生まれて三代目」のグルメなどではないし、匿名で書いている以上、お店の側が反論できないからアンフェアだと思ってしまう。
だから好きになれない点のあるお店は、あえてお店自体を書かないようにしてきたのだ。
だが今回、あえてその禁を犯そうと思う。

私がこの店で唯一不愉快だったのは、ソムリエ氏だ。
「赤でも白でもいいから、コースを通じて楽しめる一本を」という私たちのリクエストに応じて彼が選んだのは、オレゴン産のリースリングとモンテプルチアーノ・ダブルッツォだ。
メインに焦点を合わせるなら後者だが、全体に合うのなら前者だという彼の言を信じて私たちは前者の白を選んだ。

だが出てきた料理を見れば、フォアグラや海老のソースなどのパンチに、この白は完全に力負けしていた。
合っていたのはアミューズとオコゼの二品だけだ。
ソムリエ氏によれば「パワーのある白」ということだったが、とてもそうは思えない。
ワイン自体は良いワインだと思うし、好みの問題ではない。
もちろん予算を無制限にして選んでもらったわけではないが、一応ワインリストの最多価格帯でお願いしたのだから、無体なリクエストだとは思わない。

でもそれだけならここに書くには至らなかったろう。
私が最も不快だったのは、彼の態度だ。
ギャルソニエの女性たちの対応のよさに比して、彼の愛想のなさは際立っていた。
正直に言うならば傲慢にさえ思えた。
高級店は、味はもちろんのこと、客をリラックスさせ快適な食事を供してこそだと私は信じる。
接客スタッフが皆彼のような応対であったならば、どれほど料理が美味かろうと私はその店には二度と足を運ばないだろう。

ただ繰り返すがその他に関しては文句なく素晴らしい店で、私は再訪を心に誓っている。
それだけにこの一点の瑕疵がなんとも惜しく感じられて、今回禁を犯してしまった。
私も接客業の一種で開業しているだけに、自戒をこめて。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約15000~30000円(夜)

和風テイストのロワイヤル

2008-09-11 | Weblog
土曜日のこと。
久しぶりに「ルナ・ロッサ」にお邪魔した。
私は観ていないがテレビ番組で紹介されたそうで、まだ6時前だというのに次々に客が入ってくる。
とはいえ、普通客を通すのは2階か3階のテーブル席で、私と友人は定番の1階カウンター席だから、全くもって変わりない。
ただこの日痛恨だったのは、ピッツァ職人の哲平さんがお休みだったことだ。

しまった。
事前に連絡すれば良かった。
いつもはシェフの緑さんと月・火曜日のどちらか交替でお休みだと聞いていたのだが、最近はお盆休みを取れなかった関係上、休みが不規則になっているという。
でもまあ緑さんはいてくれることだしと、気を取り直して前菜をおまかせすることにした。

スパニッシュオムレツや表面以外はほとんど生の帆立のグリルなどの前菜盛り合わせも素晴らしかった。
でもこの日の大大ヒットはその前に供された一品だった。

小さなココットで出してくれたそれは「アン肝のロワイヤル」。
「ロワイヤル」とは生クリームを使った洋風茶碗蒸しのことで、よく見るのはフォアグラをソテーして乗っけた「フォアグラのロワイヤル」だ。

このひと品はそれと似てはいるのだが、違うのはフォアグラの代わりとなるアン肝を中に練りこんでいることだ。
そのため色は美しい薄オレンジ色になり、生地にはとろけるようなコクが加わる。
珍しくも冷製で、そしてどことはなしに和風テイストだ。
ひと口含んだだけで、恍惚となる。

具はアンコウの魚肉と、旬の走りの松茸だ。
プルンとしたアンコウの弾力と、松茸の食感に香り。
ああ、もう、もう、どうしたらいいのか分からない。

「お好みで」と添えられたスダチを搾ると、一味違ってさっぱり感が加わる。
もともとアン肝はフォアグラと似ているようで、実は脂肪分がずっと少ない。
そのせいなのだろう。
フォアグラのロワイヤルは美味いがたくさん食べる気にはならない。
でもこれは、もういくらでも入ってしまいそうだ。

そう言うと、なんとおかわりを勧められた。
勧める方も勧める方なんだが、迷いなくうなづく私も我ながらいかがなものかとは思う。
思うんだけど止まらないんだな、これが。

自分でもあきれるほどペロリと完食。
本当はもう一つでも入りそうなんだけど、さすがに恥ずかしいからやめておこう。

ちなみに別のスタッフさんの焼いたピッツァは、なんだかいつものキレがない。
生地はきっと哲平さんが仕込んだんだろうに、伸ばし加減・焼き加減がこんなに影響するとは。
今度からこの店に来る時には、事前の電話が必須だな。

でもまあ、今回はこんなに旨いロワイヤルに出会えたから十分とせねば。
食事を終えても後を引く味。
やっぱりもうひとつ食っとけば良かった。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約4500~6000円(夜)

ユッケまで塩 !?

2008-09-09 | Weblog
最近疲れていたせいだろうか。
休み前の日に、焼肉が食べたくなった。
そこでダンナに付き合ってもらったのが、「きっしゃん 西中島4丁目店」だ。

ここは等級の高い牛肉を扱っているため、サシのいっぱい入った肉が好きな人も満足できるだろうが、その反面モモ肉だけで6種類あってサシの少ない部位も食べさせてくれるので、私達のような「肉の脂ギライ」にも嬉しい。

さっそく生レバーから頂く。
新鮮そのものの甘い味。臭みなんかどこにもない。
定番の塩入りごま油だけでなく、生姜醤油もつけてくれるところがすばらしい。
ごま油があまり好きでない私は、レバーといえばごま油がついてくるのが常々不満なのだ。

肉はまず塩から。
お約束のタンに、モモ肉の中から特に脂肪の少ないという「まるしん」と「内モモ」をチョイス。
このモモ肉たちが、またたまらなく旨い。
これだけ上等な肉なのだから、脂なぞなくても十分しっとりしていてきめ細やかな肉質をしている。
厚切りにしてくれている肉を、表面に焦げ目がついて中が温かくなる程度のレアに焼き上げ、ヒマラヤの塩につけてパクリ。

はあああああああああぁぁ、幸せ。

馬だの鹿だのという肉に走りがちな私なのだが、この店に来ると牛肉のおいしさを再確認できる。

「へええええええっ。塩ユッケなんてのもあるよ ! 」
ユッケ好きのダンナが見つけたメニューを試しに頼んでみる。

果たして登場した一品は、ユッケというよりまるでタルタルステーキのようなビジュアルだ。
タレとからめずたたいた肉の周りには、シソの細切りに水菜、そしてなんとバジルソースが添えられている。
これを全部混ぜて食べろってことね。
ホント、タルタルステーキみたいだ。

うっっっっわ、むっちゃ旨い !!!!

ごま油も卵も入っていないおかげで、かなりさっぱりしている。
そこへシソだのバジルだのの香りと風味がミックスされ、絶妙の爽やかさだ。
いや、こりゃあ普通のユッケよりもずっといいや。

仕上げにはタレ焼きを。
上ハラミとカルビを焼いて白ご飯と一緒にかき込む。
くっはああ、うんめえっ !!

かくして「焼肉フルコース」は完了。
うーーーーん、満足。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約5000~8000円

激安激ウマの魚料理

2008-09-03 | Weblog
久しぶりに、ダンナが平日の7時ごろ仕事を終えるという。
いつも帰宅が夜の11時前後になる彼なので、これは非常に珍しい。
せっかくなので、外で待ち合わせて食事することにした。

お店を選んでおいてくれるよう頼んだら、京橋でいい店を見つけたという。
京橋の北の商店街をずいぶんと歩いて辿り着いたその店が「とっつあん 京橋店」( 大阪市都島区都島南通2-5-17 TEL不明 )だった。

一見魚屋と見まごうような店構え。
アルミの天板の小さなテーブルとパイプ椅子が所狭しと並ぶ。
階段を上がって2階もご同様だ。
「もともと天七に店があって、そこは週末なんか行列ができるんだって。」
ほほう。こういうざっかけない店でそうだとすると、味は相当期待できそうだ。

一品の量が分からないしテーブルも狭いので、まずは数品だけ注文する。
乾杯もそこそこに、やってきたばかりの「本マグロのさしみ」をパクリ。

うっわ、うんまーーーーーーい !!

分厚い本マグロが5切れ。
それで380円だっていうだけで驚きだというのに、その上ナニ、この質のよさ。
しっとりしていて味が濃厚なマグロ。
こんなのお高い店にでも行かなきゃ食べられるものじゃないはずなのに。

続いて「マグロほお肉のタタキ」と「サバの刺身」もいただく。
これもすんげい美味い。
特にサバの脂の性の良さときたら。
むっちりと分厚い身は臭み一つなく、新鮮さの証明たる弾力をたたえている。
ほんっとに美味いわ、この店 !!!

「アジのなめろう」は通常よりも粗く切った上に味噌も控えめだ。
さもありなん。
こんな素晴らしい鮮度の美味いアジを細かく叩いたり味噌で味を消したりしたら、それは犯罪というものだ。

続く「エビフライ」はかなりデカい。
みっちりと味噌の詰まった頭からかぶりつくと、殻のパリパリという香ばしさにウットリだ。
もちろん身はプリップリで甘い。
こんな美味いエビフライ、久しぶりに食ったぞ。

「イカのワタ焼き」はワタの濃厚なコクでこれまた激ウマ。
ああ、もう箸が止まらない。

ここは天ぷらも美味いという。
しかもひとつ100円から150円。
なんじゃ、このワケ分からん安さ。

きす・アナゴ・貝柱・菊菜・紅ショウガ・玉ねぎとどっさり盛られた天ぷらは、衣がサクサク。
刺身がこれだけ美味い店なんだから当たり前だけれど、きすやアナゴなどの魚貝は殺人的な旨さだ。
でも菊菜なんかの野菜までもが旨いだなんて、この店には死角というものがないのか。

〆には、これも評判だという味噌汁を。
私は貝汁、ダンナはカニ汁を注文。
これももう文句なしだ。

酒もクピクピと進み、けっこう食べて飲んでもお会計は二人で6000円強。
すごいわ、この店。
そりゃ行列もできるわな。
「高かろう旨かろう」なら誰でもできる。
この激安激ウマには、心底脱帽だ。

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本日のお店の予算(一人分・あくまでだいたいの目安)
約2500~3500円

とぅるんとぅるん !

2008-09-02 | Weblog
少し前にネバネバに開眼してからというもの、毎日食べているものがある。
モロヘイヤだ。
先日ダンナの実家に帰省した時、義母がモロヘイヤを茹でてハンドミキサーでつぶし、麺つゆと和えたものを出してくれたのだがこれが大ヒット。
以来我が家では、ご飯のおかずに酒のアテにと活躍中だ。

ある日のこと、私がネバネバに開眼するきっかけとなった「夏野菜のぶっかけうどん」を自宅で再現してダンナと食することとなった。
オリジナルでは、茄子やミョウガといった夏野菜にオクラとナメコを加えて全てを細かく刻み、麺つゆにたっぷり入れたものを冷やしうどんにぶっかけてあった。

オクラとナメコの相乗効果でネバったつゆが具と混然となって、細めのうどんに絡みつくというのがポイントだが、そこでふと思い立った。
これに件のモロヘイヤを入れたらどうだろう。
そこでさっそく実行してみた。

これには細めのうどんが良い。
乾麺の稲庭うどんを買い入れ、後で水でしめるためにややゆるめに茹でる。
オクラはたっぷりのお湯で茹で、茄子とナメコは少量の水でサッと蒸しゆでする。
これにミョウガを加えたら、全てを粗みじんに切って麺つゆとモロヘイヤで和え、よく冷やしてうどんの上にザバッと。
さあ、いただきます。

いやーーーーーーん、おいしーーーーーーーーーーーーっっっ !!

ナニこれ。うぬぼれてるわけじゃなくてマジで前に店で食べたときより更に美味いよう。
ナメコとオクラとモロヘイヤがトリプルでネバネバ。
面白いくらいに喉をとぅるんとぅるん ( by よしながふみさん ) 通っていく。
もう、ほとんど快感と言えるほどの食感だ。

具は野菜ばかりなのに、ボリューム感がまたすごい。
一杯のうどんで二人ともお腹いっぱいになってしまった。

「いやぁ、話に聞いてた時から美味そうだと思ってたけど、ホント美味かったぁ」
そうでしょ、ダンナ。
ゴキゲンのブランチを終えたお昼前。
たっぷりの野菜で体中の毒気が抜けていくようだった。