
マンションリノベでは似合わない言葉かもしれませんが元々の本職ということもあって、
和室を作ります。
今、和室を描ける建築士は少ないんじゃないかと思います。
だって、用事ないもん。
今回のマンションリノベのテーマは「実家を持ってくる」
ゴリゴリの和室でもよかったんですけど現代風に寄せます。
ぱっと見は現代和風、しかし、細かい納まりは和室。
普段も「和」の寸法を大切にしています。
神は細部に宿るとはよく言ったもので、ぱっと見の空間ではなくディティールに和を落とし込んで日本人がなんとなく馴染みやすい空間に仕上げる。
これが私のこだわり。
このニョキニョキ垂れ下がった柱もその一つ

天井は現代風に仕上げますが、市松柄は日本の伝統的なデザイン。

ミリ単位で部材を指定するのが日本建築。
全然伝わらない話ですが、建築の納まりには「留め」と「勝ち負け」があります。
留めは部材を斜めで継ぎ合わせること。

一方勝ち負けとは、縦の部材と横の部材どちらかを出っ張らせて継ぎ合わせること。
出っ張らせるといっても1-3mmなんですけど、部材が連続するとすべての部材を1-3mmずらして図面を描いて、大工さんが加工しなければいけないので、部分と全体を同時に想像できないと作れなくなります。

どちらも難しいんですけど、勝ち負けの方がより設計的には繊細になります。
部分をどう見せたいかで使い分けるんですけど、留めはどちらかと言えば現代風な納まりで、勝ち負けが古典的な納まりです。
マンションは日本建築のモジュールと違う造りなので、バランス取りが難しいですが、日本建築がバランスが命。
柱と鴨居を使って縦の横のラインを整えます。

フローリングはご実家と同じ桐でご指定いただきました。

こちらも幅を日本建築に合わせて落ち着きを出します。
空間は全体の印象で決まりますが、その全体を構成するのは部分の集まりです。
それが建築の面白さかなと思っています。
ぜひ、ミニストック-16の見学会でも写真には写らない細かい部分を確かめに来ていただければと思います。
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