志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

那覇市文化協会主宰「青年王尚温の夢」ドレスリハ、良かったです!幸喜良秀を継承する田原演出?

2015-01-18 00:03:58 | 沖縄演劇

正直な所、日本語で書かれた世並岳生(岡田輝夫)さんの脚本はとてもいいとは言い難い。ドラマも葛藤が久米が独占していた官生制度の改革と国学をめぐる騒動が中心である。尚温自ら書いた「海邦養秀」の扁額ができあがるまでのドラマ。琉球の国学の成立といっていいのだろうか?わたしの好きな冊封使の李鼎元(『使琉球記』の著者)が出てくるわけでもない。広大なスケールというより、一つに絞られた。しかし、ドレスリハを見て驚いた。難しい長台詞、しかもウチナーグチが生き生きとしているのだ。史劇である。それが引き込んだ!ウチナーグチ翻訳は吉田妙子さん、ご苦労様!そしてデーター化をした田原演出チーム。

舞台セットはシンプルだが、証明とカラーで場面を転換した。主人公尚温・玉城 匠がその輝かしい王衣と共に凛々しい。少年王である。15歳がたくましく見える。問題の騒動を解決していく王の心意気がメッセージ性をもって訴えた。教育を邦の柱にする、その精神である。まさに海邦に囲まれた島国が生き延びるための教育の必要性を長い、長いウチナーグチで語るのだが、それが耳に快適に響いてくる。重要な役柄の摂政(嘉数道彦)、蔡世昌(宇座仁一)、三司官(天願雄一)そして川満香多、嘉陽田朝裕、の台詞が朗々と流れる。ウチナーグチセリフ使いがとてもいい。そしてウチナーグチで国学を設立したのである。

鄭孝徳(当山彰一)も黒ヒゲ(新垣正弘)、幹部(高宮城実人)もいいね。田口博章が親方である。久米村長老が平良進さん。声ですぐわかるほどの髭で覆われた扮装。

史劇には女性の出番が少ない。そこを舞踊劇の雰囲気で補った。バックグランドの音楽はクラシックと演出の斬新さで退屈させない。ナレーションがあったゆういちで聞かせる。

地謡は古典音楽を聞かせる。悲壮感が高まる古典音楽も!

**************************

                      (那覇市文化協会会長仲田美加子さん、演出田原雅之さん)

現代演劇の演出をメインにやっている田原のセンスと組踊の伝承者、沖縄芝居の役者、琉球舞踊家、現代演劇の役者が総がかりで作り上げた舞台。メインは組踊や琉球舞踊で輝かしい舞台を持続的に演じている面々、彼らが沖縄の総合演劇、組踊、琉球史劇、琉球歌劇の華となっている。ウチナーグチのこなれを見事に見せた組踊伝承者たちのすべらかさ、なめらかさは、一つの方向性が見える。

沖縄の伝統芸に原理主義はいらない。琉球舞踊家であり、玉城盛重がそうであったように、空手の達人でかつ筝曲をたしなみ、三線も弾いた。そうした芸人として音楽をマスターし、踊りをマスターし、伝統の型をマスターする者たちが新しい現代の組踊、史劇、歌劇をやってのけるのである。

さらに新しい沖縄芝居(琉球史劇、歌劇)が創作されていくべきだね。作家の養成もまた今後の課題だ。伝統芸能の脚本の沖縄文学賞もできた。次々と新しい感性による脚本の登場を楽しみにしたい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。