(多嘉良カナの養女・和枝さんの「名残い花風」は味わい深かったですね!)
古典音楽の声楽研究をずっと専門的にやってこられた方の近代沖縄女性歌者の分析は、音声分析の機材を使った比較検証で戦前の沖縄のジュリ(芸妓や娼妓)の歌者としての位置づけを確かなものにしていますね。芸能者としてのジュリの女性たちの実証が具体的な古典音楽や民謡の科学的な分析から明らかになりました。仲村先生ごくろうさま。
琉球・沖縄の芸能史の一角を占めてきた女性たちの姿がまたくっきり浮かび上がってきました。来年3月19日、県立博物館・美術館一階の会議室(100人収容可能?)で科研研究の締めのシンポジウムを開催します。その時仲村先生がもっと具体的にお話してくださるかと思います。
仲村先生と何人かの方々をインタビューしたのですが、古典や民謡の分野に疎かった者としてとても勉強になりました。音源さえあれば分析をマメにされてきた姿がありました。医学の専門家、音分析の工学部の専門家のみなさんにも直接アドバイスを受けながら目標に向かっていく姿勢、パッションは凄いですね。戦前の女性歌者の芸の領域が新たに評価されることになります。
料亭アビー、ジュリアビー、チージアビーと侮蔑された女性たちの歌や声の分析は、またその時代独特の特性を持っていたといえるでしょうが、彼女たちの独特な歌や声の特性をキンキン声の通説の評価に集約されることのない結論はいいですね。マイクが登場して戦後声がソフトになったというならば、それは男性の歌者にも変化があったはずです。多嘉良カナの甲高い声はわたしの耳にはキーキーではなくおおらかなのびやかさで響いてきます。
彼女たちが民謡だけでなく古典音楽も歌っていたことがしかと確認できたと結論で述べているのはいいですね。実際琉球王府時代に古典音楽もうたっていますね。組踊の古典音楽も座敷芸としてたしなんでいたのも間違いないですね。社交の場でおおいに歌・三線、箏、胡弓、太鼓が響いていたのですね。近代になるとバイオリンまで登場です。文化の焦点だった遊里です。