東京11RNHKマイルC
◎18.コートアリシアン
○8.アドマイヤズーム
▲6.イミグラントソング
△1.モンドデラモーレ
△16.サトノカルナバル
×2.ショウナンザナドゥ
×5.ランスオブカオス
×11.パンジャタワー
今年のNHKマイルCは前哨戦で逃げた馬が1頭も出てこない。どれがハナを切るのかも判然としないほどで、そういうときに限って意外に激しい先行争いになったりもするのだが、ふつうに考えれば後傾ラップで、アドマイヤズームが朝日杯のように好位から上がり1位を叩き出せるようなレースになるだろう。
そんなレースを想定した上で、穴で入るならばコートアリシアン。サートゥルナーリア産駒はファンダムにしてもショウヘイにしても、上がりのケイバでビュンと脚を使う。オリオールの薄いクロスをもつので揉まれない大外は歓迎だし、後傾ラップをタメて大外から差す形なら、NZTよりもクイーンCよりもいい脚を使えるイメージがある。
イミグラントソングはリヴァーマンやミルリーフの斬れを活かした配合で、マクフィ産駒にしては脚長で斬れで差すタイプ。ルメールとは手が合うだろう。
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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を
パンジャタワー
ロジユニヴァースの甥で、牝祖ソニンクは直仔にノーザンリバーやランフォルセ、孫にディアドラやジューヌエコール、曾孫にソングラインやスキルヴィングなどが出る名繁殖。父タワーオブロンドンはスプリンターズSに勝ったRaven's Pass産駒で、初年度産駒にアーリントンロウやレイピアなどがいる。母はMachiavellian3×3でなかなか味のある配合だが、体つきなどをみても1600より1400のほうが斬れそうなイメージではある。(距離○スピード○底力◎コース◎)
マジックサンズ
コナコーストやコナブラックの下で、母コナブリュワーズはJRA4勝(芝1200~1400)。母母アンブロワーズは函館2歳S勝ち馬でロシュフォールやテオドールの母。父キズナはジャスティンミラノなどを出す昨年のリーディングサイアーで、キズナ×キングカメハメハはハピやタガノエルピーダと同じ。重馬場の札幌2歳Sを力強く捲り差したパワーが売りで、皐月賞も上がり1位の脚で追い込んではいるが、東京マイルの高速戦を差せる脚かとなると微妙だ。(距離○スピード○底力◎コース○)
チェルビアット
ショウナンパンドラの半妹。母母ゴールデンサッシュはサッカーボーイの全妹で、ステイゴールドやレクレドールの母でドリームパスポートやダイアナヘイローの母母。ロードカナロア×フレンチデピュティはレッドルゼル、アンヴァル、リリーバレロなどと同じ。フィリーズレビューはHペース前崩れで4角14番手の後方待機策がハマッた。フレンチデピュティやノーザンテーストのパワーも強く上がりのかかるレースで浮上。高速決着になると苦しいか。(距離◎スピード○底力○コース○)
今年のNHKマイルは、実戦で逃げたことのある馬がヴーレヴーだけ、それも芝1200の新馬戦で、そもそも何がハナに行くのかの予想がまず難しかった
「こういうときに限って意外にHペースになったりするから…」ってな話もしてたんですが、そのヴーレヴーが1200の重賞のようなペースで逃げてそれをトータルクラリティやアドマイヤズームがうなりながら追いかけて、まさかまさかの前後半44.6-47.1
2秒5前傾というのは、ウインクリューガーが勝った03年第8回(45.8-48.4=2秒6前傾)に次いで、テレグノシスが勝った02年第7回(45.3-47.8=2秒5前傾)と2位タイ、4位はタイキフォーチュンが勝った96年第1回(45.1-47.5=2秒4前傾)、まあ最近ではなかなかお目にかかれないような前傾度
このメンバーで歴代2位のHペースになってしまうとは、いやホンマにフタを開けてみないとわからんもんですが、前の組はみんな止まってしまい、中団を進んだパンジャタワーは直線外に持ち出すと坂を駆け上がるときの加速が1頭だけ抜けていて、残り200mではもう先頭に立っていました
つまり1400mを1.19.9で走破し(京王杯SC4着のレッドモンレーヴと同タイム)、そこからゴールまでを11秒8でまとめてマジックサンズやチェルビアットの追い込みを凌ぎきったというわけで、マイル戦で前傾ラップになると1400質の馬が勝ちやすいというのは、なるほどこういうことなんやなあ~という勝ち方でしたね
レース上がり3Fは35.3と当然かかったので、稍重の京王杯2歳Sを勝ったパンジャタワーと、重の札幌2歳Sを勝ったマジックサンズと、やはり超前傾ラップで上がり35.8のフィリーズレビューで2着に追い込んだチェルビアット、上がりのかかるレースで好走実績のあった馬たちが、望田が高速マイル戦では差し込みにくいと評した馬たちがみんな差してきた(^ ^;)
イミグラントソングがマクフィ産駒らしからぬストライドで斬れるのはたぶんRiverman≒Mill Reef≒Torsion4・6×6由来で、マクフィで2000ギニーを勝ったフレンチの鉄人とは手が合いそうに思えたのですが、ルメールさんは川田さんの後ろを取ればOKという乗り方で、けっきょく1,2番人気はHペースに巻き込まれてしまった
Aureole7×7のコートアリシアンは432キロのしなやか1800質で、大外枠ならば後傾ラップを大外一気がありうるのでは…というイメージで狙ったんですが、ゲートが開いて外に馬がいないと喜んでそっちに行ってしまい、こんなAureole魂発動のパターンもあるんかい(^ ^;)
そんなわけでパンジャタワーは今でも1400馬やと思ってるし、ラウダシオンやリアルインパクトが1400の強豪に完成したような蹄跡になりそうだと思ってるんですが、印を入れたのは単に配合が良いからというだけでね
タワーオブロンドンは種牡馬としてわりと評価してて、配合診断でもちょくちょく登用してるんですが、Darshaanの斬れで差してた馬なのでダートはあんまり走らないだろうという見立てもでき(種牡馬ファインニードルもダートはイマイチですよね)、今の日高ではダート走れないとなかなかセールに直結しないし大人気にはなりにくい…まあパンジャの活躍で来年はもっと注目されるでしょう
母クラークスデールはロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)の3/4同血の妹で、名繁殖ホワイトウォーターアフェアとスーパー名繁殖ソニンクを通じるMachiavellian3×3ですから繁殖としては最高の配合
これ未出走で繁殖セールに出てたときに(血統だけで)推奨リストには入れてたんですが、写真見せてもらったらたしかにパッとしない見た目で(^ ^;)、だから安価で取引されたわけで、そこはソニンクおそるべし、母系に入るMachiavellianおそるべしでした
タワーオブロンドンの血統の美点は、何といってもシンコウエルメス~Doff the Derby~Margarethenとさかのぼる名門牝系にあり、Margarethenは父が底力の塊のようなTulyar~Tehranのラインで、母Russ-MarieはNantallahとニアリーな血脈構成
タワーオブロンドンはこのTehranの血をクロスし(Gone West~Mixed Marriage経由)、他にもBrigadier GerardやCrepelloもあってPretty Polly的な底力を秘める血統構成といえます
またそこにSadler's Wellsが配されたシンコウエルメスはNantallah≒Russ-Marie5×3をもつので、ようするにタワーオブロンドンは名門Margarethenの直系というだけでなく、Margarethenの名血を活かした配合を代々してきたといえるのです
「キタサンブラックの凄い底力の源泉は、BustedとTulyarとWordenによる、BlandfordとWild RiskとSolarioとPretty Pollyの組み合わせの増幅にある」という話はもう16回ぐらいしたと思いますが、そこは下記エントリを参照ということで
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/369ba708674e5d2a9924a042f049b705
同じ視点でパンジャタワーの血統表を掘っていくと、シンコウエルメスとホワイトウォーターアフェアとソニンク、この名牝系が秘める底力の血が、Tulyar≒Worden≒Busted6×6・7・8によってみごとに融合した配合という見方もでき、ダービー馬ロジユニヴァースの底力もBustedとWordenによってもたらされたのだと
パンジャタワーはSadler's Wells≒Nureyevの3/4同血クロス4×5ももつので、Nantallah≒Russ-Marieのラインも活かされているというね、見れば見るほどシンコウエルメスとホワイトウォーターアフェアとソニンクの名血が輝いて眩しくなる
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│└△┌Busted
│ └△
キタサンブラック(Busted≒Worden≒Tulyar4×6・6)
│ ┌○┌Tulyar
└△┌○└△
└△ ┌Worden
└△┌○
└△
┌○
│└△
│ └△
│ └△┌Tulyar
│ └△
パンジャタワー(Tulyar≒Worden≒Busted6×6・7・8)
│ ┌○
│ │└△
│ │ └△
│ │ └△┌Worden
│ │ └△
│┌○
││└△┌Busted
││ └△
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└△┌Busted
└△
キタサンブラックのBusted≒Worden≒TulyarのトライアングルをWorden≒Le Fabuleuxのニアリークロスで継続したのがイクイノックスですが、パンジャタワーの次に活躍しているタワーオブロンドン産駒、レイピアの母アンナトルテはLe Fabuleux≒Worden4×7・7をもっています(レイピア自身はSadler's Wells≒Nureyev4×4)