栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2022-2023」

第83回菊花賞回顧~マヤノトップガンのように

2022-10-24 11:12:00 | 血統予想

阪神11R菊花賞
◎5.ヤマニンゼスト
○3.プラダリア
▲14.アスクビクターモア
△1.ガイアフォース
×8.マイネルトルファン
×12.ヴェローナシチー
昨年につづいて今年も阪神内3000で行われる菊花賞。その昨年は母父モティヴェイターのタイトルホルダーが圧巻の逃げ切り。2着オーソクレースと3着ディヴァインラヴはともにエピファネイア産駒だから、サドラーズウェルズの血を引く馬が1~3着を占めたことになる。また2~4着馬はいずれも母父ディープインパクトで、ロベルトの血を引く点も共通。サドラーズウェルズ、ディープインパクト、ロベルト。ここらが阪神菊花賞のキー血脈といえるか。
出走馬でサドラーズウェルズの血を引くのはヴェローナシチー、ポッドボレット、ヤマニンゼストの3頭。母父ディープはヤマニンゼストだけ。そしてヤマニンゼストは父シンボリクリスエスだからロベルトの血も引いている。
シンボリクリスエス×サンデーサイレンス系×サドラーズウェルズだからエピファネイアと似た輪郭の配合だが、ハビタットの柔軽いスピードが入らないぶんこちらのほうがロベルト的な中長距離型の趣で、いずれにしても阪神菊花賞で狙いたくなる血統背景にはちがいない。
鷲頭くんには悪いが藻岩山6着や未勝利1着の騎乗は見た目にロスがあり、しかしながらああいう不利やロスを経験しクリアしてきた強みが神戸新聞のイン差しに活きたと思う。長距離でも後ろからになるだろうが、ユタカは一発狙ってインに固執してくるだろうし、そこを捌ける経験値が人馬ともに豊富なのが心強い。勝つとは言わないが、エピファ×ディープが毎馬券に絡む菊花賞において、エピファネイアに似た配合で、母父ディープのヤマニンゼストに◎を打つ血統予想は筋違いではないだろう。
ガイアフォースは母父クロフネだからダメとは言わないが、クロフネのフィジカルが強くてエンジンのフケがよすぎる走りだから、3000ならばアスクビクターが雪辱するとみたい。対照的にプラダリアはクロフネがあまり表現されていないし、456キロの無駄肉のない体質と燃費のいい走りはここで買いたくなる。叩いて馬もハッキリ良化を辿った。
ヴェローナシチーは川田で穴人気しているが、見るからにスタミナがありますというレースを春からずっとつづけている馬だ。マイネルトルファンはユーバーレーベンの3/4弟で、スタミナ×スタミナ×スタミナの晩成の中長距離血統。鞍上も36歳にして突然ブレイクした遅咲き。覚醒はまだ先かもしれないが、キャリア3戦でも印は回したい。

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例によってNETKEIBAの全頭解説より1~3着を

アスクビクターモア
コロネーションS(英G1・芝8F)勝ちケマーの半弟で、フィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ちプリティゴージャスのイトコ。母カルティカはフィユドレール賞(仏G3・芝2100m)3着。母父レインボウクエストは凱旋門賞馬。ディープ産駒らしい鋭さはないが、そのぶん母方の持続力と粘着力で走る中長距離馬で、上がりがかかればかかるほどパフォーマンスが上がる。菊までの戦績はタイトルホルダーと重なるものがあるし、阪神内3000は本領100%発揮の舞台だろう。(距離◎スピード○底力◎コース◎



ボルドグフーシュ
母ボルドグザグはレゼルヴワール賞(仏G3・芝1600m)勝ち馬で、さかのぼるとイクイノックスなどと同牝系。母父LaymanはソヴリンS(英G3・芝8F)などに勝ったサンデーサイレンス産駒。そこにモーリスやゴールドアクターを出したスクリーンヒーローが配されたが、母譲りのナスペリオン的ストライドで重厚に差してくる。大箱向きの中距離馬だろう。神戸新聞も大外を回って長く脚を使っているが、内回りより外回りがベターなイメージではある。(距離○スピード○底力◎コース○)



ジャスティンパレス
母パレスルーマーは優秀な繁殖で、本馬の他にもベルモントS(米G1・ダ12F)勝ちPalace Maliceやアイアンバローズなどを産んでいる。近親にハリウッドゴールドCのRail Trip。母父Royal AnthemはTheatrical産駒で芝10~12FのG1を3勝。この影響が強いNureyev的な野太いストライドで走る。坂コースが合うし、母系にはRelaunchも入るので、ある程度前々で持続力を活かす形がいいだろう。阪神なら外回りがベターだろうが…。(距離○スピード○底力◎コース○)



今年の菊は恐怖の田辺スローか、岩田父の逃げか、いずれにしても前半そんなにペースは上がらないだろうと考えた人は多かったでしょうが、初ブリンカーが効いたセイウンハーデスがビュンビュン行ったので、58.7-62.7-61.0でレース上がりが37.0、勝ち時計3.02.4は今日の馬場なら当然のコースレコード

アスクビクターモアにとってはスムーズに折り合えたし、持ち前のスタミナと底力を100%発揮できるレースになりましたが、2着3着には「阪神外回り向きのナスペリ的な野太い斬れで差す」と私が評したボルドグフーシュとジャスティンパレスが捲り差してきました

Nureyevストライドが両方きたんか、Princely Gift前輪駆動ではなくNureyev後輪駆動で差すのが阪神菊花賞やったんかと…1~3着はいずれもRobertoの血を引いているので、Roberto+Nureyevで捲り差したと表現すべきかもですが

「ガイアフォースはやっぱり、ソダシの弟という趣なんですよね」とパドックを見てコメントしておきましたが、菊花賞を勝つにはアクションが力強すぎる、クロフネのフィジカルで走りすぎる感はありますよね

母父クロフネやからアカンとか、母父サクラバクシンオーでも大丈夫とか、そんな簡単な問題じゃなくてね、実馬にクロフネやバクシンオーの何がどれだけ表現されているのかということですからね

ヤマニンゼストについては「4角だけうまく捌けずもったいなかった。捌けてたら4着はあった」とユタカに言われては、仰るとおりですありがとうございますというしかないです(^ ^;)

パドック映像を一周見て「いい馬はどれかと聞かれたらアスクビクターモア。社台ディープの最高峰というべき馬」と書いておきました

シャフリヤールみたいなザ・ディープをつくらせたらノーザンの右に出るものはいないけれど、アスクビクターみたいなディープは社台だからつくれたんやろうなあ~と思わされる馬です

弥生賞を勝ったときに「これはタイトルホルダーみたいな蹄跡になりそう」とブログでやりとりしていたぐらいで、そこからほんとに描いたとおりの重厚な中長距離馬に完成しつつありますね

<追い切りの映像を見ながら「Blushing Groomが絶妙に表現されている馬が目につく菊やなあ~」と
その瞬間にマヤノトップガンが直線先頭に躍り出た、トップホースに躍り出たあの菊花賞が鮮明に浮かび上がったのです
Blushing Groomはなんでもできるオールラウンダー、トップガンと田原成貴のコンビもまさに変幻自在でしたが、Blushing Groomを長距離でどう操るのか、そんなことを考えながら布団に潜り込みます>(菊花賞一言コメントより)

NETKEIBAの血統解説では「ディープ、Roberto、Sadler's Wells≒Nureyevが阪神菊花賞のキー血脈だろう」と書きましたが、追い切りや参考レースを見ているうちに、今年の菊はBlushing Groomが表現された馬が多いから、Blushing Groomが勝つとしたらマヤノトップガンみたいに勝つんやろうなあ~というイメージが突然湧いてきました

タイトルホルダーの生産者でもある岡田牧雄さんが「Rainbow Quest丸出し」と評するアスクビクターモアは、たしかにBlushing Groomの強い影響を感じさせる馬で、それは外見だけでなく実戦でカッと燃えるあの気性もね、燃え上がりそうになるトップガンを田原成貴がなだめてすかして、中長距離の大レースを変幻自在に勝ちまくったのはもう30年近く前の話

ファンファーレが鳴ってゲート入りがはじまって、夕日に照らされたアスクビクターモアを斜め後ろからカメラがとらえたときに「あああ…まるでマヤノトップガンや、やっぱりトップガンの菊やったんや!」その瞬間にゲートが開きました

終わってみればディープインパクト産駒が1着3着の菊花賞、海の向こうではAuguste Rodinという2歳の超新星も登場しましたが、現2歳がいよいよディープインパクトのラストクロップとなります

サンデーサイレンス~ディープインパクトがリーディングに君臨しつづけた「斬れ絶対主義時代」の終焉がいよいよ近づいてきているのか、マヤノトップガンやサクラローレルが変幻自在に大レースを勝っていた「サンデー以前の群雄割拠時代」がまたやってくるのか、タイトルホルダーやアスクビクターモア(ともに非ノーザン生産馬)の4角先頭を目の当たりにして、オールドファンや若いファンは何を思ったのか

川上悦夫さんの最高傑作マヤノトップガンと、2頭のG1ホースを産んだ名繁殖カルティカの血統表を組み合わせて、菊花賞回顧の終わりにしたいと思います

コメント (8)
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