栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第73回阪神JF回顧~また出た「1/4マイラー」の大物

2021-12-12 23:52:15 | 血統予想

阪神11R 阪神JF
◎17.ナミュール
○8.ステルナティーア
▲10.サークルオブライフ
△15.ダークペイジ
×1.ナムラクレア
×13.ウォーターナビレラ
×18.パーソナルハイ
昨年の勝ち馬ソダシは翌年桜花賞に勝ち、19年勝ち馬レシステンシアは桜とNHKで2着。17年勝ち馬ラッキーライラックは桜2着オークス3着で、16年勝ち馬ソウルスターリングはオークスに勝った。文字どおり来春のクラシックに直結する2歳女王決定戦。ここ5年の勝ち馬は18年ダノンファンタジーも含め、全て3連勝でJFを制しており、完成度はもちろんだが器の大きさや奥深さも見せている才媛が勝つレースだ。
赤松賞は◎パーソナルハイから買っていたので、4角まではよしよしと思いながら観ていたが、直線で追い出されたときのナミュールのアクションが圧巻すぎて、まだ4~5馬身差があったのにもうこれは差されたと諦めたほどだった。マルシュロレーヌの姪で、牝祖キョウエイマーチは桜花賞馬。父ハービンジャーの緩さを母父ダイワメジャーで適度に締めて体質が理想的で、牝系特有の運動能力があのアクションに表現されていると思う。
人気3頭の性能と将来性がちょっと抜けていて、この◎○▲は来年のクラシックロードでも大活躍すると思うが、ステルナティーアとサークルオブライフはむしろオークスかもしれないという重厚さがあるので、マイルの爆発力という点でもここはナミュールを筆頭としたい。
ウォーターナビレラは距離が延びるのはいいが、外マイルでバーンと爆発するタイプには見えないので3着に塗るイメージ。ナムラクレアは1400ベストだろうが、ディープ×ストームキャットらしい伸びやかさがあるので外回りのほうがいいだろう。ダークペイジも意外に奥がある欧マイラー血統で、こんなに人気がないならヒモに。

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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着馬を

サークルオブライフ
ハーグリーブスやベルクリアの姪で、トレンドハンターやスティールパスなども近親。さかのぼるとビリーヴやレディースシークレットと同じグレートレディエムに辿り着く牝系。母シーブリーズライフはHalo3×4とCaerleon3×4をもち芝短距離で3勝。そこにエピファネイアでサンデーサイレンス4×3にSir Gaylordの継続クロスだから、脚長でストライドで走る大箱1800タイプに出た。後駆に緩さは感じないので阪神でも斬れそうだ。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ラブリイユアアイズ
サトノラディウスの姪で、母母アーヴェイはフラワーボウル招待S(米G1・芝10F)勝ち。父ロゴタイプは皐月賞と安田記念と朝日杯に勝ち現2歳が初年度産駒。父がHalo4×3で、母父ヴィクトワールピサがHalo3×4で、自身はサンデーサイレンス3×4。配合どおりHalo的なフワッとしたスピードを受け継いで、クローバー賞をフワッと早め先頭で押し切った。大箱マイルのG1となると、父の安田記念のようにハマるのはちょっと難しいか。(距離○スピード○底力○コース○)



ウォーターナビレラ
ソイカウボーイの半妹で、ビナスイートの姪で、メイショウムネノリなども近親。父シルバーステートは初年度から本馬やロンやベルウッドブラボーを輩出。母父キングヘイローはピクシーナイト、ディープボンド、アサマノイタズラ、イクイノックスなど最近よく走っている。1400のファンタジーを勝って3連勝。外見や走りはわりと父似で、距離はもっと延びてもよさそうだが、マイルで弾けるというよりは1800で手堅いタイプか。ここもいいケイバに。(距離○スピード○底力○コース◎)



JFの予想とは桜花賞やオークスやNHKマイルを予想することでもあるわけで、となると今年の場合は、人気3頭が来春のクラシックでも大活躍するでしょう…という結論にしかならなかったですね私は

回顧を書いてる今もそう思ってはいるんですが、1人気のナミュールは出遅れて馬場の悪いインに突っ込み、2人気のステルナティーアはスタート後に接触して下がったときに外傷を負い、唯一力を出し切った3人気サークルオブライフが大外から決めたという結果でした

ステルナティーアが寄られて下がったときにライブリイユアアイズも不利があり、しかし武者修行から帰ってきた団野くんはますます乗れるジョッキーになっていて、そこで中だるみペースを我慢させて直線で一脚使わせたのはさすが

公式ラップは12.2-10.4-11.5-12.3-12.6-12.1-10.9-11.8、エピファネイア×アドマイヤジャパンが60秒で追走して33.9で差せるような、ロゴタイプ×ヴィクトワールピサが好位から一脚使えるような、1800質の中だるみペースだったといえるかと

優秀なフィリーサイアーで優秀な母父のMachiavellianを母父にもち、自身もフィリーサイアーとしてならしたヴィクトワールピサは、スペシャルウィークのように母父に回って優秀ではないかと予測していて、他にも2戦2勝のオニャンコポンなどが出ている2歳世代を見てその意を強くしているところです

ナミュールは出遅れはともかく、その後ぶつけられてインでなだめるしかなかったのが不運で、私もクリスチャンがインに突っ込んでいったように見えたんですが、ミルコの後ろの馬場のギリギリいいラインに付けただけで、そこで弾かれて内に行ってしまい、しかも馬がスイッチ入ってしまった

キャリアの浅い2歳牝馬のフルゲートですからいろいろあるのは仕方ないですが、パトロール見たらクリスチャンを責めるのはちょっとかわいそうかな~という気もしました

種牡馬エピファネイアが成功すると考えられた主なファクターをあげると
・圧巻のJC勝ちが証明する競走能力の打点の高さ
・母が名繁殖シーザリオという大きなバックボーン
・サンデーサイレンス系牝馬との配合でサンデーサイレンス4×3のクロスになる
・キングカメハメハ系牝馬との配合でSadler's Wells≒Nureyevという最有力な3/4同血クロスになる
・父シンボリクリスエスが非Northern Dancerという使い勝手のよさ

<現在は「3/4Northern Dancer,1/4サンデーサイレンス」全盛の時代で、この配合形のディープインパクト牝馬やハーツクライ牝馬がこれから続々と繁殖入りする。つまりジェンティルドンナやヌーヴォレコルトとの配合が上手くいく種牡馬が、10年後にはリーディングの上位を賑わせているはずだ。そして当然のことながら、サンデーサイレンスのクロス馬が大レースを勝つ時代にもなっているだろう>

15年サラブレ10月号誌上の「10年後のリーディングサイアーを予想する」という企画において、こういう思考でエピファネイアを推したのですが、これでハーツクライ肌との間にエフフォーリアを出し、キングカメハメハ肌との間にデアリングタクトを出し、アドマイヤジャパン肌との間にサークルオブライフを出し、ディープインパクト肌との間にオーソクレースとアリストテレスを出したことになります

デアリングタクトとサークルオブライフとオーソクレースの母は「3/4Northern Dancerクロス,1/4サンデーサイレンス」で、デアリングバードやシーブリーズライフやマリアライトみたいな血統の有力な繁殖牝馬が、今の日本にはいっぱいいるわけです



ディープ肌でもハーツ肌でもキンカメ肌でも、Northern Dancerクロスがうるさい牝馬でも、配合が決まりやすいのが種牡馬エピファネイアの最大の強みで、だから種牡馬成績と種付料がウナギノボリに上がっているのです

サークルオブライフの場合、母父アドマイヤジャパンは菊花賞2着、母シーブリーズライフはHalo3×4とCaerleon3×4をもつタイキシャトル産駒で芝1200~1400で3勝、牝系をさかのぼるとビリーヴと同じGreat Lady M.に辿り着きます

スピードは水準以上でコンスタンスに活躍馬が出るが、クラシックタイプの大物は出ていないようなマイラー牝系から、デアリングタクトやサークルオブライフといった大駒を出してしまう長打力、これが種牡馬エピファネイアの最大の魅力ですよね

むしろ2歳~3歳春に完成するには「1/4マイラー」でなければならないともいえ、母父も母母も中距離のオーソクレースやアリストテレスやクラヴェルなんかは、重厚すぎて完成が遅めで菊2着とかエリ女3着になってしまうというね



CaerleonとマルゼンスキーはNijinsky、Princequillo、Pharamond、Big Hurry≒Businesslikeなどが共通するニアリーな関係で、ビワハイジとスペシャルウィークを通じてCaerleon3×4にマルゼンスキーを合わせるというのは、血統をやる人ならばブエナビスタを思い起こすことでしょう

タイキシャトルにStorm Catやマルゼンスキーを合わせるのもメイショウボーラーやレッドスパーダなどで一世を風靡した黄金配合で、土曜のリゲルSではタイキシャトル×スペシャルウィークの古豪ベステンダンクがえっちらおっちら逃げ粘ってました

エピファネイア×ブエナビスタとかエピファネイア×アドマイヤジャパンだと菊花賞2着になってしまいそうですが、そこにメイショウボーラーが1/4マイラーで入っております…2歳マイルでも爆発できますので何卒よろしくお願いいたします…というのがサークルオブライフちゃんなのです

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日曜のボツ予想~香港はこちらで

2021-12-12 10:38:55 | 血統予想

香港はこちらでザッと
ヴァーズは沙田2400なら◎グローリーヴェイズ○モーグル、昨年3着で2400のレース内容が良い☆コロンバスカウンティはDarshaan≒Killimanjaro4×2も面白い





スプリントは馬券的には▲ホットキングプローン、昨年の1人気馬が叩いてムーアを配してきて、この配合なら7歳で一発あっても

マイルは◎ゴールデンシックスティの豪快な捲りを日本馬がしのげるか、メンバー的にスローになりそうで、○インディチャンプが好位インからピッチで叩き出せばチャンスはあるかと



カップはやはりスミヨンの◎レイパパレ注目で、こういうややこしい牝馬とのコンタクトでは期待値世界一の乗り役、ルメールが失敗した後だけにモチベも上がっているかと(^ ^;)

NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では阪神JFとカペラSとつわぶき賞を、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」では阪神JFを予想していますので、日曜もよろしくお願いします


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
 http://www.keibado.ne.jp/keibaguest/premiumservice/index_lp2.html

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