栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

12/13,14の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報

2014-12-14 18:12:11 | POG

■『ディープインパクト好配合リスト(2014)』で望田潤と栗山求がダブル推奨したショウナンアデラ(牝2歳)が日曜阪神11R阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)を勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101324/

◎ショウナンアデラ(牝、母オールウェイズウィリング)
母母Always Loralは仏1000ギニー馬でAnabaaやKey of Luckの妹。母父がGone West系だけに大物感はないが、母はNorthern Dancer4×4、自身はSir Ivor~Sir Gaylord≒SecretariatのクロスにBurghclere≒Aureoleのニアリークロスもあって、斬れ味のある外回り向きマイラーとして注目できる配合。(望田)

○ショウナンアデラ(牝、母オールウェイズウィリング)
2代母 Always Loyal は仏1000ギニーの勝ち馬、3代母 Balbonella はロベールパパン賞の勝ち馬と、代々フランスの大レースを制してきた名牝系。Always Loyal の半兄 Anabaa は全欧チャンピオンスプリンターで、Goldikova の父としても知られている。Anabaa の半兄 Key of Luck は本邦輸入種牡馬アラムシャーの父。活力のあるファミリーだ。本馬の母オールェイズウィリングは父と相性のいい Mr.Prospector と Nureyev の組み合わせに加え、Vaguely Noble を持っている。Alzao≒Touch of Greatness 3×3もおもしろい。素軽さを武器に高確率で走ってくる。(栗山)

■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2013)』で望田潤と栗山求がダブル推奨したリアファル(牡2歳)が土曜阪神6Rの新馬戦(ダ1800m)を勝ちました。

★キャロットクラブ
父ゼンノロブロイ
母クリソプレーズ(エルコンドルパサー)
牡 募集価格:5000万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104598/
母クリソプレーズはアロンダイトの全妹で、自身は芝中距離を活躍の場としましたが、母としてはクリソライトやフォルトファーレンにダートのパワーとスタミナを伝えています。それは配合からもうなずけるものがあり、エルコンドルパサーは母父に入ると牡には主に持続力を、牝には主に機動力を伝えるし、クリソプレーズ自身はSeattle SlewとRivermanを通じるナスキロラトロのクロスとRibot7×3のクロスですから、少し硬めなパワー体質を伝えやすいでしょう。ゼンノロブロイとの配合も欧血米血のバランスが取れていて良好、ゼンノロブロイ×エルコンドルパサーにはラブフールやオメガスカイツリーがいますが、この馬は牡なので兄たちやオメガ同様ダート中距離でしぶといタイプでしょう。さすがにクリソライトとは言わないまでも、フォルトファーレン超えは十二分に計算できる馬だと思います。(望田)

(9/11追記)
母クリソプレーズはディープインパクトを交配してもダート馬を出すほどのパワータイプ。本馬はクリソライト(ジャパンダートダービー)の4分の3弟で、アロンダイト(ジャパンCダート)の甥でもあり、誰もが考えるとおりにダート馬となるでしょう。母の父エルコンドルパサーは父ゼンノロブロイと相性のいい Sadler's Wells を含み、「ロブロイ×エルコン」はオメガスカイツリー(ユニコーンS-5着)を出しています。そして、父とニックスの関係にある Riverman が入るのも大きなポイント。確実性に欠けるゼンノロブロイでもこの配合ならなんとかなるのではないでしょうか。(栗山)

■『ディープインパクト好配合リスト(2014)』で望田潤が推奨したクイーンズターフ(牝2歳)が日曜阪神4R新馬戦(ダ1400m)を勝ちました。

○クイーンズターフ(牝、母フラッテローザ)
母フラッテローザはフリオーソの全妹で、486キロでダ1800mで勝ち上がった。Bramalea≒Gold Digger3×3、Hail to Reason3×5、Nashua≒Nantallah4×4・6とダート向きのパワーが代々増幅されている。このパワーとディープのしなやかさがうまく噛み合えば面白い。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104793/

■土曜中山8R1000万下 エルマンボ(一口・望田)
■日曜阪神12R御影特別 ローブデソワ(一口・望田)

オールウェイズウィリング、クリソプレーズ、フラッテローザ、やっぱり母は大事です(・∀・)

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第66回阪神JF回顧~社台に勝つには繁殖から

2014-12-14 17:47:14 | 血統予想

阪神11R 阪神JF
◎13.コートシャルマン
○4.ココロノアイ
▲1.ロカ
△16.ショウナンアデラ
×11.レッツゴードンキ
×17.ダノングラシアス
コートシャルマンはストロングリターンやレッドオーヴァルの妹で、「2戦2勝のベタな良血馬」の肩書きのわりにはあまり騒がれていない印象もあるが、それは2戦2勝の内容が、たとえばココロノアイの荒っぽい重賞勝ちやロカの鮮やかな新馬勝ちなどと比べると、ちょっと地味に映るからだろう。でも地味に相手ナリに勝つところがこの血統の美点でもあり、名繁殖コートアウトがこれまで送り出してきた優駿たちと比較してみても、この牝馬にはハイペリオン的な美点が最も表現されているようにみえるから、ここも地味に勝つのではないか。ココロノアイはフェノーメノと同じステイゴールド×デインヒルで、東京マイルで引っかかりながら勝ったというだけでレッドリヴェールにつづく大物牝馬の期待が高まる。ロカの斬れ味も一級品だが、まだ少し緩いところのある中距離馬で、マイル戦で急かされて同じようにビュンと弾けるかどうか。ショウナンアデラとダノングラシアスは好配合で能力もたしかだが、母父がゴーンウエスト系だけに大物とまではいえず、そこを芝マイルのG1では少し割り引いた。

--------

ショウナンアデラは「ディープインパクト好配合リスト(2014)」で◎評価(ベスト10)にしたように(栗山さんも推奨)、母がElusive Quality×ZilzalでNorthern Dancer4×4を持つマイラーというディープ産駒の成功パターン、自身はHalo≒Sir IvorやSir Gaylord≒SecretariatやBurghclere≒Aureoleのニアリークロスもあり、これだけだとちょっと柔らかい体質になりすぎそうなところを、母のSearching≒Better Self6×6とか、Tudor MinstrelやForliなどを通じる「HyperionとLady Juror」の組み合わせクロスからパワーも補強していて、柔らかすぎず適度にパワー体質で、ロカのように緩いところがないのがいいのです(今日も最後の坂でシッカリ伸びていた)

ただし「Blushing Groomになれなかった男(2)」で書いたように、母父系のGone Westがミスプロ系でもちょっと軽すぎるスピードを伝える血で、新馬戦で楽々と先頭に立ったもののナヴィオンにナデ斬られたり、1400mのからまつを持ったままで抜け出して勝ってしまったりするところが、Gone Westの軽さも表現されているように私には見えました

Gone Westが表現されている馬が、2歳牝馬にとっては過酷な阪神外マイルのG1を、フワッと4角先頭で勝ちきれるだろうか? そう考えると一枚割り引きかなあ~という印に落ち着いたんですが、蛯名もそのあたりは気になっていたようで「もうちょっと後ろから差す競馬も試してみたい」とは言ってたんですよね~

この大一番で差す競馬をさせた蛯名も、それに応えた馬も見事で、これでまだ脚元が弱くて攻められないのが悩みというのですから、素質は一頭抜けていたと言うべきなのかもしれません

母オールウェイズウィリングは北米で3戦1勝、しかしその母Always Loralは仏1000ギニー馬でAnabaaやKey of Luckの妹で、オールウェイズウィリング自身はNorthern Dancer4×4、Secretariat≒Sir Gaylord4・5×5、Flower Bowl≒Aureole6×6、Searching≒Better Self6×6、Tudor Minstrel6×7という実に隙のない好配合

生産者の下河辺牧場さんは先のマイルCSをダノンシャークで勝ったばかりですが、オールウェイズウィリングもカーラパワーも特筆するような競走成績はありませんが筋の通った牝系に筋の通った種牡馬が代々配されていて、しかも自身の配合が良く、こういう繁殖を見つけてくるところはさすが老舗名門、社台に勝つにはまず繁殖から、競走成績は地味でも繁殖としてのポテンシャルでは劣らない、そんな繁殖をつくるか見つけてくるかでしょう

各馬の血統については「血統クリニック」再掲をご覧いただきたいですが、レッツゴードンキはメイショウマンボばりのKingmambo≒ジェイドロバリーのニアリークロス2×3、サンデー×ミスプロ的な柔らかさとSpecial的な機動力を兼備していて、外回りで差しても内回りで捲っても味があるオールラウンダーで、距離は1800~2000mがいいと思いますが、ただこれだけ2着3着が続くのは、何でもできる≒ハイレベルなところで器用貧乏、という言い方もできるのかと

ココロノアイは馬を前に置いたら折り合いはついたし、ノリとしてはレースプランどおりに運べたと思うんですが、今日のところはレッドリヴェール級ではなかったということで、でもステイゴールド×デインヒルでJFで3着というのは凄いことで、これも先が楽しみなことに変わりはありません

ムーンエクスプレスは母がメジロライアン×Rainbow Quest×Be My Guestでジリ脚ですがHyperion的な粘り腰はある馬で、この馬がファンタジー組最先着というのは、2歳牝馬にとって阪神外マイルというのはやはりタフな舞台なのだなあ…と実感

コートシャルマンはちょっと前半気分よく行きすぎた感はありましたが、直線バッタリでこれは現状力負け、でもこれもハーツクライ×コートアウトですから晩成と言っていい血統で、来年再来年が楽しみな馬には違いありません

ロカはパドックの歩様ひとつをとってもハービンジャー産駒とは思えないぐらい柔らかさしなやかさ緩さで、今日は大きく出遅れて直線は大外から伸びかかりましたが、最後の坂でちょっと失速気味

頑強なハービンジャー産駒というよりは柔らかなディープ産駒というイメージの馬で、これはもう少しパワーがついてくれば、緩さに一本芯が入ってくればオークスで…という期待でしょう

コメント (5)
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「血統クリニック」再掲~阪神JF

2014-12-14 15:36:31 | 血統クリニック

コートシャルマン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104217/
レッドオーヴァルの3/4妹で、ストロングリターン、ダイワマックワンの半妹。母コートアウトはSmartaire3×4の牝馬クロスを持ち、ハイインロー血脈が強くMr.Prospectorを1/4異系とする好配合で、マイルのスピードとハイインロー的成長力を確実に伝える名繁殖牝馬。
レッドオーヴァルに似たマイラー体型だがこちらのほうが胴は長い。新馬戦はアタマ差、りんどう賞はクビ差。瞬発力や斬れ味が抜群というわけではないのでいつも辛勝だが、実直に我慢強くシッカリ伸びつづけるし、競っての強さもある。実にHyperion的な脚質の牝馬で、川田と手が合いそうなタイプだし、いわゆる相手ナリというか、相手強化でレースレベルが上がれば更に奥深さをみせるはず。もちろん本当に強くなるのは古馬になってからなのだろうが、直線の急坂はプラスだし、ここも勝ち負けには加わってくるはずで、軸としての信頼度はなかなか高い。

ココロノアイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012105256/
母母マックスジョリーは桜花賞とオークスで3着、3代母マックスビューティは桜花賞とオークスに勝った女傑。母父デインヒルはフェノーメノと同じで、ナカヤマフェスタの母母父もデインヒルだから、ステイゴールドとはニックスと言っていい血だ。デインヒルはNorthern DancerにFlower Bowl(≒Determine)とHeliopolisだからDixieland Band(レッドリヴェールの母父)と血脈構成が似て、ノーザンテーストの「Northern Dancer+Hyperion+Swynford+Tracery」の頑強さをONにする効果が絶大といえる。
アルテミスでは出遅れた後少し出していったらガツンと引っかかって3番手、しかしゴール前で追い比べになるともうひと踏ん張りして抜かせず、まだまだ粗削りだが奥深さを感じさせる勝ち方だった。有馬と宝塚にめっぽう強いようにステゴ大物産駒はどちらかというと急坂小回りコースに向いた脚質になりがちで、だから苦手とするのが東京、京都外、阪神外などの2ターンの芝マイル戦。この条件の重賞で馬券に絡んだのはレッドリヴェール(阪神JF1着,桜花賞2着)とオルフェーヴル(シンザン記念2着)とウインプリメーラ(チューリップ賞2着)、そして本馬のアルテミスS1着とアッシュゴールドのデイリー杯2着、この6例だけだ。ステイゴールド×デインヒルで東京芝マイルの重賞を引っかかりながら勝ちきったというだけで、リヴェールにつづく大物牝馬の期待が高まる。またノリがガツンと持っていかれるということは、それだけ凄い脚力の持ち主だということでもあるだろう。マイラーではなく中距離馬だが、リヴェールのように性能と勝負根性で勝ちきってしまうかも。1,2戦目を見ると前にカベをつくれば折り合いはつきそうだ。

ロカ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104903/
母ランズエッジはディープインパクトやブラックタイドの3/4妹。ゴルトブリッツやリルダヴァルなどが出るおなじみウインドインハーヘアの牝系。母はNorthern Dancer4×4で、ハービンジャー産駒は母がNorthern Dancerクロスを持たないほうが成功しやすいだろうと書いてきたが、ここまで勝ち上がったハービンジャー産駒15頭の中で母がNorthern Dancerクロスを持つのは本馬だけ。本馬の場合はLyphard5×4、Nijinsky6×4、Shareef DancerとAlzaoを通じるNorthern DancerとSir Ivorの組み合わせのクロス、His Majesty=Graustark5×6、Aureole≒Burghclereのニアリークロスなど全体に父母相似配合になっている。
デインヒルをLyphardとNijinskyのクロスで胴長にしたような体型だが、Shareef DancerとAlzao経由の組み合わせのクロスの影響で細身で体質は柔らかく、直線でしなやかにビュンと斬れた脚はディープ産駒のようだった。まだキャリア一戦の牝馬で、現状は緩さや非力さも感じられるが、柔らかく大きくかつ速く動ける好素材なのはたしかだ。とはいえ、Sir Gaylordをクロスした緩さの残るディープ産駒が、マイルで急かして走らせると期待ほど弾けない…というシーンもこれまで何度も見てきた。素質は認めるが、素質だけで◎は打てない。

ショウナンアデラ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101324/
母母Always Loyalは仏1000ギニー勝ち馬で、その兄にAnabaaやKey of Luckがいる。母父Elusive Qualityは北米リーディングサイアーでハーロンベイの父、メイショウパワーズの母父。ディープ産駒でSir Ivor5×5、Sir Gaylord≒Secretariat6×5・6・6の継続クロスだから体質は柔らかいが、母がNorthern Dancer4×4にSearching≒Better Self6×6で母母は「HyperionとFair Trial」的な血が強く、ここからパワーも受け継いで、「柔らかすぎず緩すぎない」のがこの馬のいいところ。
Gone Westの影響も強いマイラー体型で、ちょっと脚元に不安が残るのでまた調教で攻めきれないところはあるのだが、それでここまで3戦2勝、デビュー戦でナヴィオンに惜敗しただけだから素質は確か。ただ1400mでもフワッと先頭に立ってしまうような軽さは、意地悪い見方をすればGone Westの軽薄さもONになっているからで、Gone Westを引く馬に芝マイルや中距離の大物が出ないのはちょっとスピードの質が軽すぎるからで、母父Grand Slamのダノングラシアスにも同じようなことがいえる。ここも好走は間違いないが、先行押し切りの正攻法で阪神外マイルのG1を勝ちきれるかとなると、最後の最後にGone Westの軽さが脚を引っ張りそうな予感。

レッツゴードンキ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102095/
クイーンスプマンテなどが出る牝系で、母マルトクはダ1000~1400mで5勝。そこへキングカメハメハが配されて、メイショウマンボと同じKingmambo≒ジェイドロバリー(Mr.ProspectorとNorthern DancerとSpecial)のニアリークロス2×3。キングカメハメハ産駒で母もNorthern Dancerクロス(4×5・5)というのはあまり感心しないが、本馬の場合は上記ニアリークロスも含め全体に父母相似配合になっている。完成度は高いほうだろう。
Kingmambo≒ジェイドロバリーのニアリークロスからSpecial的機動力を受け継いで札幌1800mをきれいに捲るが、ミスプロとナスキロのクロスから柔らかな体質を受け継いで東京でタメるとソコソコ斬れるし、Tom Fool的な脚捌きの無駄のなさもあって、内回りで捲れて外回りで差せて何でもできる馬だ。ただアルテミスは引っかかったココロノアイを差せなかったし、札幌2歳もミスなくロスなく運んでの3着。「何でもできる」は「器用貧乏」とも置き換えられるもので、この先ハイレベルな戦いになればなるほど、そこを突き抜けられるだけの強力な武器や個性が求められる。ここは連下有力としたい。

ダノングラシアス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103158/
母サーキットレディは1200mで3勝をあげた大型スプリンターで、その半姉に芝1200mで4勝をあげたモアザンベストがいる。母母ラグナセカはレイルバードS(米G2・ダ7F)3着。Seattle Slew、El Gran Senor、Private Accountと母系に入っていい血が重ねられて、それらを通じるBuckpasser~Busanda(War AdmiralとLa Troienne)の継続クロスだからサーキットレディは繁殖としてかなり期待できる配合をしている。
そこにマンハッタンカフェが配されて、本馬は「サンデー×ミスプロ×Seattle Slew」というサダムパテックやリーチザクラウンのような配合形となり、細身で胴長でストライドで走るタイプだから、外回りで末脚の威力は更に増すだろう…というのがファンタジーで◎にした根拠だった。そしてスローの前残りの中、直線では一番いい脚を使っていて負けて強しの内容でもあった。ただGone Westの軽さも表現されていてベストは1400mだろうというのが筆者の見立てで、阪神外マイルの今回はこの順番に。

レオパルディナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104768/
母母ラプーマはビウィッチS(米G3・芝12F)2着で、ペルー1000ギニーのRihannaなどが出る牝系はアウトサイダー血脈が強い。母ビオンドパンテーラがMr.Prospector×Marshua's Dancer2×3、そこにNijinsky≒Storm Bird4×3、Northern Dancer4・5×4・5、Lunchtime5×3のスニッツェルが配された。母にNorthern Dancerの血が入らないのは好感で、父も母もクロスがうるさいので完成は早めのタイプだろう。
ファンタジーは高速馬場のスローの前残りで上がり11.3-11.5、8枠から外を回って追い込むのは厳しかった。ゴール前はいい伸びを見せていたし、差す競馬ができたことと+12キロで馬体が良くなっていたのは収穫だったといえる。父はデインヒル系本流のスプリントを強く伝える種牡馬だが、本馬は体質に柔らかみがあり膝下も長く、このあたりは母方のミスプロの影響も強いから、パワーごり押しのスプリンターというイメージでもない。少なくとも差しに回れば1400mはOKだろう。しかし1600mのG1となると、ユタカが前半ごまかして追い込んでも、さすがに1400mほどは弾けないのでは。

アローシルバー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101328/
プティプランセスの半妹で、母母MasakeはハニームーンH(米G3・芝9F)勝ち馬。スペシャルウィーク×Seattle Slewはリーチザクラウンを思い起こさせる組み合わせだが、Northern Dancer5×4、Buckpasser5×5、Aureole≒ハイハット5×5・6と父母相似配合になっている。
血統通りの胴長体型だが、体質はそれほどナスキロ柔くなくHyperion的な粘着力を感じさせる。母母父Master Willie(ハイハット≒Aureole2×3、10~12Fの英G1を3勝)の影響も強いのだろう。いずれにしても内マイルで新馬勝ちしたが明らかに外回り向きの中距離馬で、カレンミロティックのようなイメージでいいのでは。ここはさすがに印は回らないが、中距離馬として先々楽しみな馬ではある。

トーセンラーク
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012105999/
母母タケイチイチホースはフェアリーS3着、その兄に小倉3歳Sのタケイチケントウがいる。アルテミスでは◎にしたが、予想コメントを再掲すると「社台の良血が揃ったここではやや地味な存在というべきだが、Mr.Prospector系×Storm Cat系×サンデー系の今どきマイラー血統で、3代母はLady Angela≒Sabzy3・4×4、母はStorm Bird≒ノーザンテースト3×3、父の母がBusanda≒Striking=Mr.Busher4×5・5、配合的にもやるべきことはやっている。わりとナスキロ柔い体質だから東京マイルは合っていそうだし、左回りも小回りも洋芝も道悪も経験し、函館2歳Sでは後方から馬群を割って追い込み、クローバー賞では番手を取りにいって勝ちきる競馬でシッカリ勝ちきり、この何でもできるキャリアと経験値が抜けた馬不在の混戦で頼もしい」というのが根拠だった。期待どおりにキャリアと経験値を活かしたソツのない競馬で頑張ってくれたが、あれ以上をここで望むのは酷か。

オーミアリス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100809/
リンドシェーバーの姪で、ホワイトマズル×ロイヤルアカデミーという血統もスプリンター然としないが体型は伸びがなく短距離馬のそれ。ホワイトマズル×トニービンでメリッサやヤマニンエマイユが出るのだから、ホワイトマズル牝駒には短距離向きの資質がONになることもある、という解釈でいいのだろう。
小倉2歳は33.0-35.4の前傾ラップを大外一気。芝短距離馬としてはそれほど俊敏なほうではなく、父譲りの粘着力とTom Fool≒First Roseのニアリークロス譲りの脚捌きの無駄のなさで実直に追い込んだら届いてしまった…という勝ち方だった。少し時計や上がりがかかるとしぶとい1400mベスト型、というのが筆者の見立てで、外マイルでこの相手だと、行っても差してもハマる絵は描きづらい。

ムーンエクスプレス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101248/
コスモサンビームの姪で、近親にプリンセスマーガレットS(英G3・芝6F)などに勝ったMarina Parkがいる。母母ロビーズレインボウがRainbow Quest×Be My Guest×トンピオンでTudor Minstrel5×4とSpring Run≒Tom Fool5×4のクロス、そこにメジロライアンで母アモーレペガサスはNorthern Dancer4×4、そこにアウトブリードのアドマイヤムーンが配されて、母方の粘着力と機動力で走る1400m型となったが、小柄だが先行粘り強い脚質はHyperion的でもある。京都よりは阪神のほうが二枚腰が使えそうなタイプではあるが、アドマイヤムーン牝駒の獲得賞金ベスト5はウイングザムーン、ルナフォンターナ、ファインチョイス、ゴールデンムーン、サマールナ。明らかに1400mと1600mの間に一つ壁がある。

クールホタルビ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103383/
近親に目立った活躍馬はいないが、3代母ルスルーはヴェイグランシーH(米G3・ダ7F)勝ち馬で、マンノウォーSのRoyal Mountain Innなどが出るファミリー。母はNorthern Dancer5×3にGlamour5×6(Striking=Busher≒Busanda5・6×7・7)、Prince John≒Blue Quill5×5、自身はNever Bend5×5にBold BidderとSeattle Slewを通じるボルキロクロス、緊張→緩和のリズムが良くて、「3/4米,1/4欧」の構成で、クロスする血も良く、たしかにこうしてみるとマツリダゴッホ産駒としてはかなり高得点がつけられる配合だ。
マツリダゴッホ産駒は全芝[23.26.32.268]で連対率14%だが、芝1400mは[8.7.11.42]連対率22%、単回値442、複回値156。芝1400mだけ買っていれば蔵が建つ種牡馬だが、これはBold Ruler系の軽いスピードでフワッと流れ込むような脚質の馬が多いからで、ウインマーレライが小回り1800mをフワッと流れ込んだり、アルマワイオリが内1400mのもみじを勝って外1600mのデイリーで4着に終わったり、ちなみに芝1800mは[4.3.5.55]だが小回り内回りに限れば[4.2.2.25]で東京中京外回りでは[0.1.3.30]、斬れ味が必要なコースでは消しで機動力で押しきれるコースでは買い、マツリダゴッホ産駒は大雑把に言ってしまえばBold Ruler的な脚質なのだ。本馬はWoodmanとノーザンテーストの影響が強い短距離向き体型で1400mがベストだろうし、ファンタジーは外回りでもスローで機動力で押しきれるレースだった。阪神外マイルでもう少し流れると、同じ競馬で押しきるのは難しい。

スマートプラネット
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012106216/
3代母ダジルミージョリエはレアパフュームS(米G2・ダ8F)勝ち馬で、産駒に種牡馬アッミラーレがいる。母母メイクアスメリーがSweet Tooth≒Spring Sunshine3×3(NasrullahとReal Delight)で、母アンダルシアはRaise a Native4×4、そこへファルブラヴで本馬はFairy King≒Nureyev2×5。代々パワーの血を重ねてきたファルブラヴ牝駒で、いかにも短距離をパワーで走り抜くタイプ。3歳時はフィリーズレビューで全力買い、古馬になったら夏の洋芝短距離で全力買い、という馬だろう。

アルマオンディーナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100382/
スカイディグニティやゴールデンダリアの妹で、父がキンシャサノキセキだからゴールデンダリア(父フジキセキ)とは3/4同血の間柄。ノーザンテーストが強い体型だがボルキロのクロスで体質は柔らかい。手堅い1400m型。

ダイワプロパー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103476/
ダイワストリームの全妹で、フサイチヒロシの姪、母母プリンセススキーは3歳牝馬S勝ち馬。ダイワメジャー×タイキシャトル×ロイヤルスキーでHalo3×4、ノーザンテーストとタイキシャトルを足して割ったようなマイラー体型で脚捌きはHalo無駄なく、戦績どおり内回りで機動力を発揮する1400m寄りマイラー。

カボスチャン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104414/
現フィリーズレビューなど重賞2勝ディスコホールの孫で、兄姉は堅実に走っている。426キロの細身の牝馬で、ブライアンズタイムやノーザンテーストのパワーは感じさせず、1000m64秒の超スローでも折り合いがついて燃費よくトボトボ走り、母系に入るHerbagerのスタミナもONになったかのような中距離馬。マイルG1では手が出ない。

エフェクト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012109205/
近親に目立った活躍馬はいないが、父スクワートルスクワートがNever Bend4×5で自身はHardy Climber≒Riverman5×5だから、スペシャルウィーク肌の優秀さは活かした配合という言い方はできる。スクワートルスクワートはBCスプリントに勝った北米チャンピオンスプリンターで、産駒はジェイケイセラヴィやシャウトラインなど夏スプリンターが多いのはNever Bendクロスの影響だろう。本馬は母父の影響で父よりは少し体型に伸びがあって1400mも守備範囲か。ただ冬場は硬くなりそうな体質に見えるし、距離延長も割り引きだから、ファンタジー以上を望むのは難しい。

アカリアイドル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103393/
フレンチデピュティの近親でサクラバクシンオー×ラムタラ×Mr.Prospector、柔らかみもあるので芝1400mぐらいなら走れそうだが、この相手で外マイルとなるとごまかしはきかないだろう。

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素質や将来性はココロノアイ、コートシャルマン、ロカ、この3頭で、勝つのもおそらくこのどれかだろうとは思う。
ただしまだ気性的に危うい上に長距離輸送をクリアしなければならないココロノアイや、キャリア一戦で見た目に緩い中距離馬のロカよりは、母方のマイラーっぽさも表現されていて、配合どおりのHyperion的実直さで接戦をモノにしてきたコートシャルマンのほうが、阪神外マイルのフルゲートという2歳牝馬にとってタフな舞台においては信用に足る。

◎コートシャルマン
○ココロノアイ
▲ロカ
☆ショウナンアデラ
△レッツゴードンキ
△ダノングラシアス

「2戦2勝のベタな良血馬」という肩書きのわりにはあまり騒がれていない印象もあるコートシャルマンだが、それは2戦2勝の内容が、たとえばココロノアイの荒っぽい重賞勝ちやロカの鮮やかな新馬勝ちなどと比べると、ちょっと地味に映るからだろう。
でも地味に相手ナリに勝つところがこの血統の美点でもあり、名繁殖コートアウトがこれまで送り出してきた優駿たちと比較してみても、この牝馬にはHyperion的な美点が最も表現されているようにみえる。
ここも地味に勝つだろう。

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日曜のボツ予想~良のカペラはパワー重視で

2014-12-14 10:02:12 | 血統予想

カペラは良まで乾いたのでパワー重視、ダッシャーゴーゴーの半弟でフレンチ×Miswakiでナスキロ柔さもある△ダッシャーワンは、ここ2走を見てのとおり軽い馬場がベターでしょう
◎サウンドガガは父がMr.Prospector2×4ですが、母はShenanigans4×3にMr.Busher≒Busanda4×4、自身はNorthern Dancer≒Icecapade5・6×4・5とパワーを増幅していて、500キロを超える牝馬で中山ダ1200mは2戦2勝、天王山2着や仲冬1着など外枠だと好位で我慢がきくし、ここなら競馬もしやすい

美浦は▲マイネルミラノは休み明けよりも冬場に良績がないのが気になるので、Buckpasserのクロスをもつパワー型で中山芝1800m[1.1.1.0]の◎シベリアンスパーブが美味しく見える…のは見えるだけか

オリオンは◎フェデラルホール、ノーザンテーストのクロスにAlycidonやAlibhai+Mahmoudを絡める「ステイゴールド黄金配合」、この黄金配合は「ステゴの代ではあまりONになっていなかったノーザンテーストらしさをONにしよう」という狙いですから、頑強さを増すと同時に成長力にも富み、オルフェーヴルもドリームジャーニーも5歳時がピークだったし、ゴールドシップもフェノーメノも5歳の今年G1を勝ってます
「ブリンカーで集中して走っていた」という前走を信じるならば、これをキッカケにオープンまでいけるぐらいの奥があるステイヤーだろう、とは思ってるので

遠州灘は◎ポセイドンバローズ、トゥナンテの甥で母はユタカオー×ノーザンテーストですから、ハーツクライ産駒でも晩成でジャスタウェイ的成長曲線になりそうな配合
ジリ脚なので京都の高速上がりでは見せ場がなかったですが、Hyperion的にしぶとい脚質で中京コースも菱田くんの積極策も合う馬、4歳のハーツ牡駒と22歳の菱田くんとの伸び盛りコンビに期待しました(・∀・)

「No.1予想」では阪神JFを、「馬券総合倶楽部」では阪神JFとこうやまき賞を予想していますので、そちらもよろしくお願いします

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