小指ほどの鉛筆

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2008年01月23日 19時29分53秒 | ☆小説倉庫(↓達)
30 こんな温度の高い場所に長時間放置されたらなぁ……俺はデリケートだから溶けちまうんだよ!(クルドロ)

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「雪だよ!!」
突然ラボに駆け込んできたドロロは、ここ一週間見せたこともないような笑顔をクルルに向けた。
当然の如く、クルルはいきなりのことに口をぽかんと開けて固まってしまった。
「クルル君!雪だよ雪!!雪が降っているの!!」
「ゆ、雪??あぁ・・・どうりで寒ぃわけだな。」
ラボの気温は10℃。厚着をして白衣を羽織っても、少々肌寒い。
そんな中クルルが暖房器具を一切使っていないのは、ちょうど一週間ほど前にドロロと喧嘩をしたからだ。

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「暑い・・・熱いよクルル君!!!」
「あ??」
その日ラボに来たドロロが真っ先に直面したのは、室内の異常なまでの暑さだった。
今の季節が冬だということを忘れてしまいそうなくらい熱せられたその部屋では、機械もおかしくなってしまうだろうに・・・
「クルル君!!止めるからね!!」
そう言い強制的に暖房器具を止めたドロロは、椅子の背にかけてあった上着をクルルに渡した。
クルルは最初こそ何も言わずにされるがままになっていたものの、流石にうんざりしてきたのか、椅子を回転させてドロロに向き直った。
「ドロロ、俺はここで快適なライフを送ってたんだが・・・?」
「快適?いくら外が寒くたって、こんなに暖房器具働かせてるんじゃおかしくなっちゃうでしょ!?それに電力だって莫大なはずだよ??」
「んなのは俺の勝手だ。」
キッパリと言い切ったクルルに、ドロロがあからさまに不機嫌な顔をする。
「僕は君を心配してるの。」
腰に手をあてクルルを叱るその様子は、クルルから見て母親のように見えた。
「あっそ。そりゃどーも。」
ドロロが心配してくれたのに対して、その軽い口調がいけなかったのだ。
気づけば、クルルの後ろからドロロの気配は消えていた。
「ドロロ??;」
後ろを振り向いたクルルの目の前には、確かにドロロがいた。
それなのに気配が無いということは、ドロロが意図的に気配を消しているか・・・怒っているときだった。
「ド、ドロロ・・・??」
クルルだってこれには流石にびびる。
ドロロを怒らせればどうなるのか、毎回想像もつかないのだ。
「あーー、悪かった。マジで。」
とりあえず謝ってはみるものの、そんなことで許してもらえるのならクルルはこんなに恐れる必要は無い。
「・・・毎回毎回同じように謝っては同じことを繰り返す・・・本当に反省してるわけ??」
「あ、あぁ。」
「じゃあ、証拠でも見せてもらえると嬉しいな。」
ドロロが言った意味が分からない。
「証拠??」
「うん。とりあえず・・・暖房は一切使わずに、過ごしてもらうね。クルル君の誠意しだいで、僕も許してあげる。」
クルルの表情が硬くなるのが見ていて分かった。
ドロロには許してもらいたい。
けれども、寒いのはイヤだ。
心の中で数秒間格闘した後・・・勝ったのは謝罪だった。
「分かった・・・。」
「それじゃ、楽しみにしてるね。」
いつもより冷めた笑顔で消えていったドロロを、クルルはこのときほど鬼のように思ったことは無かった。

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「・・・で、俺は許してもらえたわけ??」
ドロロによって強制的に外に連れ出されたクルルは、さらに寒空のした、小隊の面々と雪だるまやらかまくらやらを作る破目になっていた。
「クルル君!その雪玉はタママ君の雪玉の上に重ねて。」
「え?あ、あぁ。」
「クルル先ぱーい!!こっちですぅ~~w」
タママがケロロの横で呼んでいる。
クルルは雪玉を抱えると、渋々小走りでタママの元へと向かった。
「んしょ。ったく・・・これでいいのか?」
「完璧ですぅ!あとは目とかをつければいいんですよね?軍曹さん?」
「そのとーりであります!!んじゃ、夏美殿からなんかもらってこよー。」
「僕も行くですぅv」
走っていった二人を見つめ、クルルは溜息をついた。
息も白く、寒い。
「つーかなんで俺がこんなさみぃ日に外で雪玉転がしてなきゃなんねぇんだ・・・。」
文句を言いながら、ドロロの元へと戻る。
「次は小雪殿のかまくらのお手伝いをお願いね。」
間髪いれずにそう言われたクルルは、脱力せずにはいられなかった。
右を見れば、楽しそうに雪を積む小雪の姿が見えた。
「なぁ・・・ドロロ・・・」
「ドロローー!!ちょっと手伝って~~!」
クルルの声は、台所から聞こえてきた夏美の声にかき消された。
「今いくでござる~~。」
ドロロも返事を返すと、室内に戻ってゆく。
残されたクルルは再び右を見て・・・溜息をついた。


「ありがとね、ドロロのお友達v」
どうしてこの忍者娘はこうも体力気力共に充実しているのだろう。
そしてどうしてドロロ以外のケロン人は皆、「ドロロのお友達」なのだろう。
そんなことを考えながら、クルルは小雪の笑顔から逃げるようにギロロの元へと向かった。
「ん?なんだクルル。あの女の手伝いは終わったのか?」
倒れこむようにギロロに衝突したクルルに、雪かきをしていたギロロはスコップを持つ手を止めた。
クルルは自分の後ろを指で指したが、そこには見事な一軒家・・・いや、かまくらが出来上がっていた。
「・・・ずいぶんと使われたようだな。」
「・・・ぅん。」
脱力しきったクルルを哀れむように、ギロロは日向家へと目を向けた。
「全く・・・ドロロは容赦ないな。」
「・・・」
何か考え込むように、クルルはギロロへともたれかかった。

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「みんな~、お茶にしましょー。」
しばらくすると、夏美とドロロがお茶を運んで家の中から出てきた。
後ろからモアも大福を持ってやってくる。
「おおおお!!気がきくでありますな~夏美殿。」
「何様よ。」
一人ひとりにお茶と大福を配って回るドロロを、クルルはそっと目で追いかけていた。
「はい。クルル君。」
「どーも。」
クルルのお茶を配るのが最後だったらしく、ドロロはそのままクルルの横でお茶を飲みはじめた。
クルルはドロロを意識しながらも、湯のみで冷たくなった手を温める。
すぐ隣にはタママたちが作った巨大な雪だるまがあり、お茶の湯気で少しだけ溶けてしまっているように見えた。
その雪だるまを見ていると、一人寂しく孤独を味わっていたクルルには声が聞こえてくるような気がしてしょうがなかった。
『こんな温度の高い場所に長時間放置されたらなぁ……俺はデリケートだから溶けちまうんだよ!』
脳内の雪だるまにまで怒られてしまった。
「気にくわねぇ・・・」
独り言を呟くと、不意にドロロがクルルの方をむいた。
「ふは~~。やっぱりお茶はいいね、クルル君。」
笑顔を向けてきたドロロに、一瞬面食らった。
「お前さぁ・・・」
人を散々振り回しておいて、と言いたかったのだが、その言葉は出てこなかった。
「何?」
「・・・別に。」
何も言わなかったクルルに、ドロロが再び微笑んだ。
「クルル君っ」
ドロロがクルルに寄り添うと、クルルはびっくりしたように身体を震わせた。
「ゴメンね。」
「へ?」
まさか謝られるとは思っていなかった。
「冷たくされて、少し寂しかったのかもしれない。勝手でごめんね。」
「・・・」
クルルは何も言わずに、ドロロをぐっと引き寄せた。
「寒かった?」
「・・・あぁ。」
お前がいなかったからだなんて、クルルには言えそうになかった。
代わりに寒さを紛らわすようにドロロを抱きしめた。
「許してくれんのか?」
「もちろん。ちゃんと一週間がんばったもんね。」
「見てたのかよ・・・」
「見て無くても分かるよ。クルル君は有言実行派だもん。」
にっこりと微笑むと、雪合戦を始めたケロロたちを眺める。
「本当はもっと長い時間、話なんてしないようにしようと思ってたんだけどね。」
「え。」
クルルがぎくりとした。
「でも・・・雪って不思議だね。寂しくなっちゃって、ワクワクしちゃって、どうしてもクルル君と一緒にはしゃぎたかった。君が寒いのが嫌いだって知ってるのにね。」
「・・・雪か。」
太陽の光を受けてまぶしく光る雪を、クルルは目を細めて見ていた。
ドロロもそれに合わせるように前を見る。
手を振るケロロに笑顔を向け、熱くなっているギロロに苦笑した。
「楽しい、ね。」
「あぁ。」
素直にそんなこと言いたくなかったのだが。
どうしたものだろうか。
「さみぃ。」
「僕たちも参加してくる?」
無邪気にそう告げたドロロは、クルルの手を引っ張って走り出した。
「ちょ、ドロロ!?」
慌てるクルルにも笑顔を向けただけ。
けれどもその笑顔が、雪の所為か輝いて見えた。
「・・・しょうがねぇな・・・。」

どうしてこうもお前には弱くなっちまうんだか。
雪の所為?
雪の精?

不思議な、雪の力(スノーマジック)。



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オイ!!
最後の台詞なんだよ!!ダサいだろ!?
自分で言ってて失敗したとは思ってるけど・・・なんかいい終わり方が思いつかなかった。すんません。



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2 コメント

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うわぁ!! (み~る)
2008-01-25 19:21:16
なんて素敵なvv

鬼なドロちゃん見てみたい(笑)。

振り回されてるクルちゃんも可愛いっす。

萌えますわ~

ごちそうさまでした!!!
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嬉しいです! (naru(主))
2008-01-26 11:21:03
そういっていただけて嬉しいですww
文章にまとまりがなくなってきてしまって・・・
お題の台詞もこじつけの様になってしまったのですが、頑張った分、そういって頂けると嬉しくて嬉しくて・・・。
嬉しいお言葉、ありがとうございますww
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