小指ほどの鉛筆

日記が主になってきた小説ブログサイト。ケロロ二次創作が多数あります。今は創作とars寄り。

08:「男が服をプレゼントするのは、脱がすためだぜ?」(ジラカゲ+シャ)

2009年10月21日 15時18分26秒 | ☆小説倉庫(↓達)
寒くなるから。
そう言われてジララから手渡されたのは、包装紙に包まれた柔らかい何か。
開いてみて・・・少し、戸惑った。
相談をもちかけたのは、あの男のことをよく分かっていそうな奴。
大佐では駄目なのだ。
シャインでなければ。
「プレゼント?」
包みの中身はボーダーニットだった。
冬でもいつもと変わらないような服装をしている自分に気を使って、いつものPコートの下に着込めということらしい。
けれども、男も男に服をプレゼントしたりすのだな、と。
そんな疑問やこれからのことを、少し相談しておきたかった。
「好意だろ?」
むしろ男は、女に服等をプレゼントするようなことは少ないのだと、そう言われて、少し驚いた。
今は手軽なアクセサリーや、デザートを奢ったりする方が主流らしい。
「男が服をプレゼントするのは、脱がすためだぜ?」
付け加えられた一言に、やはり戸惑った。
確かにこの男に服などプレゼントされれば、そういった意図もありそうなものだ。
大佐はどう思っているのだろうか。こういったプレゼントをされたことがあるのだろうか。
否、それはこの際どうでもいい。
ジララの意図は、どうなのだ?
「相手が男でも?」
それでも、脱がす意味がある?
「当然。」
だってお前だから。と。
シャインはそう言って笑っていたが、どうにもそうとは思い難い。
ジララに限って。
そんな気持ちを読み取ったかのように、シャインは呟く。
ジララだからこそだ、と。
確かに奥手なところはあるが、むしろそれは大胆すぎやしないか?
「ボーダーのニット?」
確かめるように問われる。
頷けば、納得された。
「似合うな。それに、脱がせやすそうだ。」
ムッとすれば、笑われる。
「冗談だっての。ジララに殺される。」
本当に、ジララは自分を想ってくれているのだろうか。
そうでなければこんな贈り物はしないよな、なんて思いながらも、不安になる。
シャインはニヤニヤと笑いながらこちらを見ていて。
相談した相手を間違えたかとも考えた。
「すっげー似合うと思うぜ。それ。お前のこと、いつも見てるから分かるんだよな、ジララは。」
アイツはそういう奴だと、知ったかぶった言い方をされると、少しムキになってしまいそうになる。
自分だって、ジララのことなら知っている。
「誰よりもお前のこと見てんだろうな。やり方が優しいっつーの?ジララらしいぜ。」
ジッと考えて、頷いた。
「大体さ、お前、何を相談しに来たんだ?ここテラスだぜ?寒くね?」
惚気でもしに来たのか?と問われて、赤くなった。
別にそんなんじゃない。
少し自分でも思ったのだ。
服を贈るのは脱がすため・・・何処かで聞いたことがあったから。
風は冷たいというのに、頬が熱い。
別に、何か望んでいるわけではないけれど。
こういうとき、自分はどうしたらいいのだろうかと。
アイツが望むことなら、彼が知っているような気がして。
負けを認めて頼み込んだ。
シャインも面倒見のいい人だから、すぐに笑顔で了承してくれて。
寒くないか、なんて、そんな優しい言葉は使ってくれなくてもいいのに。
ジララに似ているな、と思い、やっぱり少し恥ずかしくなった。
「その服、着てくれば良かったのに。」
そうすれば、ココで話していても寒くないだろう?なんて言う。
彼の言葉には、色々な意味が含まれていそうだった。
「お前がそれを着てるとこ、見たかったし。」
なんだかからかわれているような気がする。
悪気は無いんだろうけれど。
プイと顔を背ければ、含み笑いが聞こえた。
二人で話をしているとき、シャインはあまり声を上げるような笑い方をしない。
普段よりもずっと大人しく、物腰柔らかだ。
不思議な感覚。嘘つきではなくて、優しいのだろう。
「まぁ、さ。とりあえずその服着て、ジララに会いに行けばいいんじゃね?」
求める答えが、与えられる答えが、なんであれ。
「とびっきり寒い日にさ。もぅ一枚、上になんか着て、ジララの部屋に行って・・・」
多分暖房をつけているだろうから、そしたら上着を脱ぐのだ。
自分が贈りつけたその服を見て、彼はどんな反応をするだろう。
「お前がその服着てくれたら、アイツにとっては最高のお返しになると思う。」
どこまでも御人好しな奴なのだ、なんて、そんな。
ジララに対する批評が適切すぎて、悔しくなった。
「アイツに見せたらさ、俺にも見せろよな?気になるだろ。」
その服を着た自分を見てみたいと、彼は言う。
そう言って、微笑む。
「可愛いんだろうなぁ・・・なぁ、カゲゲ。」
頭をそっと撫でられた。
「知るか。」
ジララのセンスは最高にいいから。
当たり外れの外れが無いのだ。
やはりそれを知っている。
シャインは確かに、奴の親友で。
「俺も大佐に服でも贈ろうかなぁ。」
私の、親友だと思ったりして。
「脱がすため、か?」
にっこり笑う不適なその姿に、
「もちろん!」
やっぱり気が抜けない、と思うのだった。


9.泣き出す寸前 (ジラカゲ)

2009年10月21日 13時32分18秒 | ☆小説倉庫(↓達)
あぁ、やってしまった。
そう思うのは、いつだって事の後で。
原因が口論にせよなんにせよ、後悔するのはいつも自分。
「おい・・・」
周りと何も変わらない、飾り気も自己主張も無い扉を叩いた。
返答は無い。
「カゲゲ。」
しまった、と思った。
ジララは髪をかき上げる。
本当に、どうでもいいことでの口論なのだ。
それなのに、これほどまでにムキになるアイツもアイツ。
けれども堅苦しい言葉を並べすぎた自分にも非はある。
だからこうして謝りに来ているというのに。
「おい。開けろ。居るだろう?」
何もそんなに拗ねなくたっていいではないか。
少し口論をしただけだ。
だいたい、先に喧嘩腰になったのはそっちではないか。
立場が逆転している。
いや、少しからかい過ぎたか。
「ジララ?」
はっきりとした、明瞭な声がジララを呼んだ。
ゆっくりと振り返る。
周りにも部屋はあるわけだから、こうして何度もドアを叩いて彼の名を呼ぶのはいささか迷惑だ。
もしかしたら苦情かもしれないな、などと思いながらの対応だった・・・のに。
「なんだ・・・シャインか。」
見知った顔が笑みを浮かべているものだから、脱力してしまった。
「どしたの?」
「いや、ちょっとな。それより、お前はどうしてココにいる。」
寮に用事でもあるのかと、友人の多い彼にはくだらない質問かもしれない。
ただ、話を逸らしたかっただけなのだが。
「あっちの通路歩いてたら、ジララが見えたからさ。珍しいなーって。」
奴の視力は鷹並みか。
謎多く、恐れ多い。
ジララはこの盟友に敬意を表すると共に、疑心さえ抱いていた。
怖い男だ。
「ここってカゲゲの部屋っしょ?」
「・・・何故知っている。」
最近カゲゲが入ったばかりの寮の扉を見つめて、シャインは問う。
ちなみに隣がジララの部屋だ。
「この間来た。別に中に入ったとかいうわけじゃねぇよ?」
「じゃあなんだ。」
「追求するねぇ・・・アイツが部屋に戻るトコだって言うから、通路でばったり会ったついでに話しながら来たの。」
訳も何も無いだろう?と。
シャインの困り顔は、信用は置けないが、信頼は出来た。
「そうか。」
「で?何かあったのか?」
振り出しに戻った会話に、ジララは一度溜息をつく。そして、歩き出した。
「おい?」
「なんでもない。大佐の所へ行くんだろう?俺も行く。」
行動を先読みされたシャインは苦笑して、それからジララの背を追って歩いた。
一度、黙ったままの扉を眺めてから。

「大佐~、仕事帰りに寄ってみたぜ~。」
扉を豪快に開ければ、デスクに頬杖をついた大佐が不機嫌顔で迎えてくれた。
いや、扉は自動であるため、豪快という表現は間違っているかもしれない。
しかし名乗りもせずに大佐の執務室へ飛び込んで行く姿は、豪快という言葉が似合っていた。
「君はいつもここに来ているでしょ。」
「まーな。今日も、そろそろ来るって思ったか?」
大佐はチラリと時計を見やる。
「5分くらい、誤差があったかな。」
「お。正解だぜ、それ。ジララと話してた。」
そう言われて初めて、大佐はジララを見上げた。
ムスッとした表情は相変わらず何を考えているか分からなくて。
けれども眉間に皺がよっているから、もしかしたら不機嫌なのかもしれない。
「ジララ?どうしたの?」
「何がだ。」
不意に目を逸らしたジララを見て、大佐は確信する。
ニヤリと笑って、言葉を続けた。
「カゲゲ君と何かあったんだ。」
ピクリと、肩が反応したように見えた。
大佐は人が悪い。
シャインが言わないでいたことを、あっさりと尋ねてしまった。
それでも黙っているジララに、シャインはデスクに腰掛け呟く。
「それ、肯定してるようなもんだぜ?」
「うるさい。」
何があったのかまでは聞かない。
大佐は単純に、ジララをからかって遊んでいるように思えた。
趣味も悪い。とシャインは思う。
けれどもそんな彼が好きなのだから、自分も大分性質が悪いのだ。
「まぁ、いずれなんとかなるでしょ。いつも通り。」
「・・・だといいがな。」
気まずくなるのは怖くて。
このまま距離が離れていってしまうことが怖くて。
それは相手も同じだろうかと、そっと考えた。
―シュンっ
扉が開く音がして、皆の視線が集中した。
大佐はにっこりと笑い、人物を歓迎する。
「いらっしゃい。カゲゲ君。」
小さな体躯は彼を幾十歳も若く見せ、長いマフラーで隠した口元は、今日はいつもより強く結ばれているようだった。
悔しいわけではない。
きっと、寂しかったのだろう。
「・・・やっと出てきたか。」
「・・・」
ジララの言葉に俯き、両手を握り締める。
マフラーは目の下までを隠してしまっていて、それでも不機嫌な眉が感情を教えてくれていた。
分かりやすい感情表現は、誰からも愛されている。
「・・・ジララの、馬鹿ぁ・・・!!」
くぐもった声。
ジララが緊張した様子が、シャインには見えた。
背筋が張っている。
口が微かに開いているのは、何かを言うべきか言わざるべきか、決めかねているようだった。
「わざわざ呼びに来たくせに・・・わざとらしく扉の前でシャインと大佐のトコに行くなんて・・・」
そうでもしないと出てこなかっただろう、とか。
そんな事をいう暇も無かった。
「酷い・・・っ・・・そんな子供みたいな罠に引っかからせようと思うなんて・・・引っかかったけどっ・・・」
そんな風にして、誘き出して欲しくはなかった。
何が悲しいのか。それすらも分からない。
けれども静かになってしまった通路に、不安を覚えたのだ。
独りで部屋にいるのがどんなに寂しいことか。
それでも男としての維持を張り通したい微かな野望さえも、簡単に打ち壊してしまうのか。
「カゲ・・・」
声をかけようとしたジララを、シャインが手で制した。
こちらの方が、この手の状況には慣れている。
制せられるがままに口を閉じて、目の前の恋人を見つめた。
「っ・・・うぅっ・・・」
「!?」
いや、まさか・・・そんなに傷つけたとは思わなかったのだ。
策略が仇になった。
そのときその場にいたシャインも、少々気の毒そうな顔をしている。
今言葉を発してしまえば、カゲゲの心に動揺を与えてしまう。
そうしたら・・・
「泣いちゃだめだよ?カゲゲ君。」
誰一人言葉を発しない中で、一人だけ、空気に束縛されない人間がいた。
カゲゲは更に深く、マフラーに顔を埋める。
「泣いたら駄目だ。これ、命令ね。」
何を言っているのかと、一瞬そう問おうとして、シャインは噴出す。
「ハハっ、アッハッハ!!」
「!?!?」
ジララは事の展開についていけない。
その間、カゲゲは震え、シャインは笑っていた。
「アハハ!!そりゃあ逆らえねぇや!!大佐の命令じゃぁな。」
「・・・っ・・・」
何を堪えようとしているのか。
カゲゲの様子を伺い見てから、シャインは参ったように大佐を見る。
恋人は、とんでもない暴君だったりもした。
「俺はさぁ、こういうとき、泣いてもいいと思うんだけどな。」
「別に良いよ?僕の前じゃなければ。こういうのって、二人で居るときに、面と向かって泣くべきだと思うんだよね。」
何も男だから泣くなとか、そういうことを言いたいわけではないのだ。
時と場所を考えて見て欲しいと、大佐はそう促す。
いっそジララを、この男を、目一杯困らせてやればいいのだ。
「カゲゲ君。扉を閉じたのは君でしょう?ジララは精一杯君を引き出そうとしてくれたんだから。」
「・・・あぁ・・・っ・・・」
「だから、泣くのは後ね。」
にっこりと笑って、大佐はシャインに目配せをする。
ジララは思う。
両親にに窘められる新婚夫婦か。と。
感謝はしている。
「これは大佐のご命令っと。俺の胸で泣いてくれてもいいけどーって、嘘、嘘だって、大佐ぁ!!」
ジッとシャインを見た後に目を細め、大佐は黒く笑う。
本当に仲がいいのだ。
手本に出来たらどんなにか良い関係を保てるだろう。
ジララは小さな溜息をつく。
それを聞きとめたかのようなタイミングで、シャインが再びカゲゲに向き直った。
「まぁ、さ。俺はいいけど、カゲゲはジララに直接訴えたいっしょ?大佐もこう言ってるし、な?」
そうだろ?と問えば、カゲゲはコクリと頷いて。
それから、
それから・・・
「すまなかった!!」
深々とお辞儀をして、笑って見せた。
「私が意地を張りすぎた!ゴメン!ジララ!!」
あっけにとられているジララに、謝罪は続く。
「ただの口論だったのに・・・なんか、ちょっと響いちゃって・・・本当に悪かった。」
「いや・・・別に、何もそこまで・・・」
むしろたじろぎ始めたジララには、シャインと大佐の好奇の視線が注がれる。
居心地が悪い。
移動するか?いや、だがしかし・・・
考えている間も、カゲゲはジッと待っていた。
そうだ、いつも彼は待っている。
昔はアタックしてくるタイプだったのだ。それが今は、どうだ?
彼を変えてしまったのが自分なら、それを元に戻せるのもまた自分。
こうした形ではあったけれども。
結果がいいのならば、全てが良かったことになるそうだから。
「俺こそ、悪かったな。無神経だった。」
大佐はニコニコと、二人の様子を見守る。
「なぁなぁ、仲直りのキスとかしねぇの?」
大佐のパートナーになるには、これくらいの図太さが必要なのだろうか。
屈託の無い笑顔で問われた言葉に、ジララとカゲゲは固まった。
「こら、シャイン。」
あまり茶化すんじゃない、と言った大佐に対しても、ヘラリと笑う。
「泣き顔は独占したいもんだけど、ラブラブなとこは、見せ付けたいもんっしょ?」
だから、早く見せてよ。
煽るのは、シャインの得意技だ。
挑発するのも上手い。
同時に鎮めるのも上手いのだが、それを生かしたところを、最近は見なくなった。
「な、え?・・・いや、ちょ・・・え?」
「動揺すんなって。」
そういうわけで、仲をとりもったのだろうか?
違うと信じたい。友として。
「カゲゲも時々は大胆にさぁ、ドーンといってみ?」
「え、え、え?」
「オッサンじゃないんだから・・・」
呟いた大佐の声は届かない。
「別に、それも独占したいならそれでも良いけどー。」
あまり二人の愛し合いを見たことがなかったから。
不器用で遠回しな恋愛も面白いが、たまには大胆な二人を見せて欲しい。
見守っている俺たちを安心させてくれよ。
わざとらしい笑顔の中に、友を想う気持ちを込める。
シャインの言葉は、そっと宙に浮いた。
「シャイン。君の恋愛とジララの恋愛は違うんだからね?分かってる?」
「分かってるって。・・・じゃあいいよ。」
こだわっているワケではないから、と言い残して、黙る。
ジララはカゲゲは少し困ったように俯いて、頬を染めた。
そんな様子はとても可愛い。
カゲゲを構いたくなるのは、大佐もシャインも同じだ。
「カゲゲ。」
しかし、その心の所有者は誰だ?
「何d・・・!!」
身長の低いカゲゲは、足を伸ばしてもジララには届かない。
ただし、ジララは腰を屈めるだけで良い。
少し妥協すれば届く距離。
嬉しいことではないか。
「ふぇ!?え!?」
大分高い位置からキスを落としたジララは、すぐに背筋をピンと伸ばして顔を背ける。
もぅ、カゲゲには届かない位置。
けれどもいつだって、進んで屈んでくれる人。
「やれば出来んじゃんか。」
クスクス笑ったシャインの笑顔に、大佐も呆れて笑った。
「良かったじゃない。カゲゲ君。仲直り~、ね?」
「え、えぇぇ!?」
口元を押さえたジララが、さっさと後ろを向いて歩き出した。
カゲゲは戸惑う。
同時に嬉しい。
「やれば出来る人なんだから、彼。」
「・・・あぁ。」
分かっている。
分かっているとも。
ただちょっと、拗ねてみただけだ。
困らせてみただけだ。
大佐に少しだけ、嫉妬していただけだ。
「ほら、泣くのは後。」
マフラーで顔を隠してしまったカゲゲを笑う。
「それとも、照れてるの?」
「誰が!」
少しだけ、嬉しくなってしまっただけだ。
言い訳にもならない素直な気持ちで、カゲゲは部屋を後にした。

泣きそうなの。

口付けて。

昨日の敵は今日の友。

2009年10月21日 11時46分48秒 | ☆Weblog
誰を受け入れる心構えもあるから、
いますぐ、会いに来て。

寂しい。
痛い。
苦しい。
楽しい事も、辛い。
幾度も自分を取り戻そうとして、失敗している。
もぅ既に、器用な私は死んでしまった。
残った私が人生を歩む。
辛い、寂しい、と言いながら、
これまでを崩すことが出来ない。
何を変えれば、いっそあの子達のようになれるのだろう。
何を捨てれば、全てを一からやり直せるのだろう。
ねぇ、もう一度だけ。
永遠に近付けて。

さよならも言わずに、全てを切り捨てた世界を。
まだ使えるのなら、私に頂戴。