いつものラボではなくて
日向家のリビングでもなくて
君は今
空の腕の中にいる
―×―×―×―×―×―×―×―×―×―×―
『春眠暁を覚えず』
とは、地球の言葉だ。
春の夜は短い上に寝心地よく、暁になってもなかなか目がさめないという意味らしい。
しかし春が眠いのは、夜だけではない。
春は昼間に町を散歩しているときだって、突如として襲い掛かる眠気を送り込んでくる。
春のうららかな陽気は、催眠術をかけた。
僕にではない。
彼に・・・―
「クルルくーん」
春の暖かい風と共に、運ばれてくるのはピンクの花びら。
屋根の上に上っているからこそ分かる色としては、菜の花の黄色というのもある。
白いモンシロチョウも、春の風物詩。
たくさんの色と、蠢く生き物達。
『春』
それは生き物達の目覚めの季節。
と同時に、人々の眠りの季節でもある。
「起きない・・・か。」
先ほどから自分の膝を枕にして眠っている恋人の髪を梳き、ドロロは微笑んだ。
徹夜続きの身体には、丁度良い催眠薬だったようだ。
声をかけても起きる気配すら見せない。
春の陽気という、心地よい温もり。
花の香り、南風、
クルルの金髪がサラサラと風に踊らされれば、それと同時に花びらも踊りだす。
愉快な演舞を眺めつつ、ドロロはあくびを一つした。
「ふぁ~ぁ」
安らかな顔をして眠る彼のように、自分も一眠りしてしまおうか。
それとももう少し、この春を楽しもうか。
空を仰ぎ見れば、白い雲がふわふわと流れていく。
塀の上には猫。
散歩をする犬は足取りも軽い。
そんな、ありきたりな風景。
それでもそれが特別に感じてしまうのも、春の魔法。
だから、
いつもなら何てこと無い膝枕も、ちょっとだけ恥ずかしいと思った。
―ねぇ、君も・・・特別な何かを感じているの?
眠る恋人に尋ねても
「・・・」
返って来るのはかすかな寝息と鼓動だけ。
動機さえも思いつかなくて。
それでもただただ、彼の表情が幸せそうだったから
「おやすみ。」
春の魔法も捨てたものではないなんて思ったりして。
そんな身勝手な感謝と、小さな幸福を手にした、2人の昼下がり。
青い空に
白い雲は流れ
透明な風が
ピンクの花びらを散らせた。
黄色い菜の花に集まった
白いモンシロチョウは
桜色の季節を告げる。
自分まで眠ってしまわぬようにと、
ドロロはクルルが起きた後の言葉を考える。
―そうだ。
いつもバカにするようなことばかり言うから、
たまにはこちらからも、ちょっと意地悪なことを言ってみよう。
と、そんなアイディアに頬を緩ませて。
「良い天気だなぁ~」
空を見上げて君が起きるのを待つ。
起きたら、微笑もう。
春風を浴びた暖かな空のように君を包んで。
―おはよう、 おねぼうさん。
と。
―×―×―×―×―×―×―×―×―×―×―
お待たせいたしました!!;
冬様へ、クルドロ でございますw
1000ヒット、おめでとうございます!!!
春をイメージした話しにしたのですが、いかがでしょうか。
よろしければお持ち帰りください^^
日向家のリビングでもなくて
君は今
空の腕の中にいる
―×―×―×―×―×―×―×―×―×―×―
『春眠暁を覚えず』
とは、地球の言葉だ。
春の夜は短い上に寝心地よく、暁になってもなかなか目がさめないという意味らしい。
しかし春が眠いのは、夜だけではない。
春は昼間に町を散歩しているときだって、突如として襲い掛かる眠気を送り込んでくる。
春のうららかな陽気は、催眠術をかけた。
僕にではない。
彼に・・・―
「クルルくーん」
春の暖かい風と共に、運ばれてくるのはピンクの花びら。
屋根の上に上っているからこそ分かる色としては、菜の花の黄色というのもある。
白いモンシロチョウも、春の風物詩。
たくさんの色と、蠢く生き物達。
『春』
それは生き物達の目覚めの季節。
と同時に、人々の眠りの季節でもある。
「起きない・・・か。」
先ほどから自分の膝を枕にして眠っている恋人の髪を梳き、ドロロは微笑んだ。
徹夜続きの身体には、丁度良い催眠薬だったようだ。
声をかけても起きる気配すら見せない。
春の陽気という、心地よい温もり。
花の香り、南風、
クルルの金髪がサラサラと風に踊らされれば、それと同時に花びらも踊りだす。
愉快な演舞を眺めつつ、ドロロはあくびを一つした。
「ふぁ~ぁ」
安らかな顔をして眠る彼のように、自分も一眠りしてしまおうか。
それとももう少し、この春を楽しもうか。
空を仰ぎ見れば、白い雲がふわふわと流れていく。
塀の上には猫。
散歩をする犬は足取りも軽い。
そんな、ありきたりな風景。
それでもそれが特別に感じてしまうのも、春の魔法。
だから、
いつもなら何てこと無い膝枕も、ちょっとだけ恥ずかしいと思った。
―ねぇ、君も・・・特別な何かを感じているの?
眠る恋人に尋ねても
「・・・」
返って来るのはかすかな寝息と鼓動だけ。
動機さえも思いつかなくて。
それでもただただ、彼の表情が幸せそうだったから
「おやすみ。」
春の魔法も捨てたものではないなんて思ったりして。
そんな身勝手な感謝と、小さな幸福を手にした、2人の昼下がり。
青い空に
白い雲は流れ
透明な風が
ピンクの花びらを散らせた。
黄色い菜の花に集まった
白いモンシロチョウは
桜色の季節を告げる。
自分まで眠ってしまわぬようにと、
ドロロはクルルが起きた後の言葉を考える。
―そうだ。
いつもバカにするようなことばかり言うから、
たまにはこちらからも、ちょっと意地悪なことを言ってみよう。
と、そんなアイディアに頬を緩ませて。
「良い天気だなぁ~」
空を見上げて君が起きるのを待つ。
起きたら、微笑もう。
春風を浴びた暖かな空のように君を包んで。
―おはよう、 おねぼうさん。
と。
―×―×―×―×―×―×―×―×―×―×―
お待たせいたしました!!;
冬様へ、クルドロ でございますw
1000ヒット、おめでとうございます!!!
春をイメージした話しにしたのですが、いかがでしょうか。
よろしければお持ち帰りください^^