電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

備忘録ノートのページ数が残り少なくなって

2015年06月15日 06時03分34秒 | 手帳文具書斎
今年(2015年)の備忘録ノートの未使用ページ数が、残り少なくなってきました。あと10枚というところです。今のペースですと、今月の下旬には使い切ることになりそうです。A5判100枚200頁という厚さのおかげで、もしかすると、年3冊はおろか、年2冊のペースになるかもしれません。
試しに、月別の記録件数とページ数を調べてみました。件数は、ノートの始まりに作っている目次から日付をもとに数え、ページ数は本文をめくって数えてみたものです。その結果は:

 月 項目数 枚数 頁数 頁/件
1月  25件 17枚 34頁 1.36
2月  13件 12枚 24頁 1.85
3月  22件 13枚 25頁 1.14
4月  18件 14枚 28頁 1.56
5月  19件 22枚 44頁 2.32

となっています。ちなみに、今月は現時点で8件、7枚、14頁となっています。
こうしてみると、年度末・年度始の多忙期には、スクラップや長い記事が少なくなる傾向にあり、逆に、演奏会の備忘メモや「歴史技術科学」カテゴリー関連で調査した摘要を書き込む時期には、記載量が多くなることがわかります。
もしかしたら、パイロットの青インクのカートリッジを使うようになり、インク切れの頻度が下がったために、ページの消費が増えているのかもしれません(^o^;)>poripori
年によって調べてみれば、また面白いかもしれず、機会をみてやってみましょう。
まずはともあれ、新しい備忘録用のA5判ツバメ・ノートを、今のうちに用意しておきましょう。

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モーツァルト「ピアノ協奏曲第19番ヘ長調」を聴く

2015年06月14日 06時03分33秒 | -協奏曲
すでにパブリックドメインになったジョージ・セルとクリーヴランド管の録音の中に、ルドルフ・ゼルキン(Pf)とのモーツァルトのピアノ協奏曲があります。カサドシュと共演した一連の録音には含まれていない曲もあり、興味深いものです。例えば、第19番ヘ長調K.459など。

1784年の12月に作曲され、ウィーンで書かれた六曲のピアノ協奏曲のうちの最後の作品にあたるようです。映画「アマデウス」には、大勢の人がピアノとヴォルフガング君を担ぎ上げ、演奏会場へ運ぶシーンがありましたし、カツラを付けて得意満面で協奏曲を弾くシーンもありました。あんなイメージの時期だったのでしょう。

第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。ヘ長調。オーケストラが、弾むようなリズムの明るい主題を提示して始まります。ピアノが登場すると、映画でヴォルフガング君が「アハーン」とか言いながら演奏するシーンのように、オーケストラと独奏ピアノが見事な対話を展開します。カデンツァもお見事の一言。「コロムビア交響楽団」とクレジットされている、おそらくクリーヴランド管のしなやかな演奏も、実に素晴らしい。
第2楽章:アレグレット。ハ長調。オーボエやフルートが、一瞬のうちに曲調を変えてしまいます。このあたりの、実に細やかな動きが、なんとも魅力的な緩徐楽章です。
第3楽章:アレグロ・アッサイ。ヘ長調。独奏ピアノから始まります。おそらくは自分のピアノの技量を見せるために書いたのであろうピアノ独奏部分はもちろんですが、動き出すオーケストラの見事さ! 特にフガートのところは、後の「ジュピター」交響曲の終楽章を連想してしまいます。最後のところで出てくる、まるで「魔笛」のパパゲーノのアリアみたいなところでは、思わずニヤリとしてしまいます(^o^)/
全体に、最初の主題のリズムが一貫しているところなど、曲の統一性が見事な、キリッと引き締まり、躍動的な音楽です。おそらくはセルの作曲家としてのお眼鏡にかなった音楽なのでしょう。

ゼルキンのものでしょうか、それとも指揮者セルのものでしょうか、ヘッドホンでよく聴くと、なにやら歌声のようなものも聞こえます。1961年の録音としては、かなり良好の部類ではないかと思われます。

ゼルキンとカサドシュと、両方のピアニストと共演した録音を集めると、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管によるモーツァルトのピアノ協奏曲がかなり集まってしまいます。パブリック・ドメインの録音で聴くものとしては、おそらく最も生気に富み、活力に満ちた演奏・録音でしょう。

紙箱全集を購入した、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルとアンネローゼ・シュミット(Pf)との録音は、この曲に関しては少し方向性が違っており、テンポはやや速めですが、やわらかい響きと優しい表情を志向したものと感じます。セルとゼルキン盤がスポーツ選手のような爽やか系モーツァルトだとしたら、アンネローゼ・シュミット盤のモーツァルトはさしずめ草食系?! それはそれで、一つの魅力ですね~(^o^)/

■ゼルキン(Pf)、セル指揮クリーヴランド管(1961/04/28)
I=13'19" II=8'08" III=7'32" total=28'59"
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル(1973)
I=12'20" II=7'50" III=8'00" total=28'10"

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サクランボの収穫が本格的に始まる時期に

2015年06月13日 06時05分20秒 | 週末農業・定年農業
果樹園農業の適期を迎え、サクランボの収穫準備を進めております。毎年、我が家に来てくれる雇人の人たちも、快くOKと言ってくれましたので、作業小屋を片付けてスペースを開け、準備を整えました。

また、手詰め用とバラ詰め用、1kg用と2kg用などで、パッケージもダンボール箱もそれぞれ違いますので、今年の出来具合と収量を予想して数を注文します。農協に出荷する共同選果用のものは、箱にフタが付属しておらず、農協でフタをして共同出荷することになります。一方、贈答用のものは、フタ付きで一体化したダンボールを折って箱に組み立てる作業があります。こうしたものを、日中に妻が黙々と準備してくれているから、週末農業が維持できていることになりますので、本当に感謝しなければなりません。

今年は、幸いに霜の被害も少なく、訪花昆虫の活動も一定のレベルを維持したようで、着果率もまずまずといったところです。雨で露地ものが裂果しなければ、例年並みには期待できると踏みましたが、さて、結果はどうでしょうか(^o^)/
いよいよ本日から始まるサクランボ「佐藤錦」の収穫作業。例年よりも一週間以上早まり、どうやら来週いっぱいが山場になりそうです。



写真は、先日、収穫が終わった早生種の「紅さやか」。このくらい色が黒ずんでくると、ようやく熟してきたかな、という感じです。生で食べてみても、「佐藤錦」のようにとはいきませんが、まずまず食べられるレベルでした。

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30代の健診で26年の予後を予測できるのか?

2015年06月12日 06時01分20秒 | 健康
健康診断については様々な見方や意見があり、専門家の見解には一定の敬意を払いつつ参考にしているという良識的なものから、自分の健康維持さえロクにできない医者の意見など聴く耳持たん!というような暴論まで、実に様々なようです。私も、怪しげな健康法や健康食品などには近づかないようにしておりますが、お医者さんが専門的な立場から興味深い論文をときどき紹介してくれるサイト「六号通り診療所長のブログ」(*1)は、興味深く拝見しております。今回は、表題のとおり、30代の健康診断で26年後の状況をある程度予測できるのか、というものです。

これによれば、2015年5月の "BMJ Open"誌にウェブ掲載された、30代で一回だけ行われた健診や生活習慣のデータで、ある程度将来の病気や予後を予測可能になるとのこと。具体的な内容は:

スウェーデンの33~42歳の病気のない男性757名を登録、652名に健診を実施して、26年間にわたって経過を観察。糖尿病、心筋梗塞、癌などの発症リスクと健診結果との関連性を検証したのだそうです。また、生活習慣に関しては、喫煙歴、運動習慣、飲酒歴を、測定値と検査値のほうは:BMI、血圧、総コレステロール値、中性脂肪値、血糖値を対象に。

  1. 登録時点で喫煙歴ありの人と喫煙歴なしの人とでは、心血管疾患の発症リスクは平均で2.54倍(1.45~4.45倍)、コレステロール値は232.0mg/dL以上に対して177.9mg/dL未満となっており、心血管疾患リスクは2.15倍(1.11~4.16倍)
  2. 生活習慣の指標のみで見ると、低リスク群と高リスク群とで、平均して0.44倍(0.22~0.89倍)と、56%有意に低下している。しかし、癌の発症リスクでは、有意の差は見られない
  3. 総合的に全ての指標を入れて計算すると、低リスク群と高リスク群とでは、癌の発症リスクで0.34倍(0.17~0.70倍)の差異が見られた

とのことです。

その他、糖尿病の発症との関係などについては、元の記事(*2)をごらんいただきたいところですが、あらためて喫煙習慣を持たなかったことを、良かったなあと感じます。


(*1):六号通り診療所長のブログ
(*2):30代の健診で26年の予後を予測できるのか?~六号通り診療所長のブログ


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日常業務と添付ファイル、ウィルス感染時の危機管理

2015年06月11日 06時02分28秒 | コンピュータ
日本年金機構の情報漏洩事件のニュースを聞き、よくある添付メール攻撃なのにウィルス感染してしまったことについて、あらためて感じることがありました。

仕事の中で受け取るメールの大半は、こんな形式のものです。

--
From: ○○○○(XXXXXXXX) [mailto:abcdefg@xxxxxxx~]
Sent: Tuesday,June,XX,2015 x:xx PM
To: △△△△
Subject: [件名]~

△△△△ 様
XXXXXXXX の○○○○です。
件名につきまして、~です。
つきましては、~ようにお願いします。

[メッセージ] aaaaaaaaaaaについて.DOC (xx KB)
--

これでは、発信者が偽装され、もっともらしい件名で、もっともらしい文面で、もっともらしい添付ファイル名であれば、通常の業務として開いて見てしまうのは当然のように思います。たまたま担当者にピンポイントで攻撃されれば、防ぎようがありません。ましてや、既知のウィルスならばともかく新種のウィルスであれば、過去のウイルス情報をもとに対応されるウィルス対策ソフトも役立ちません。

組織内部の情報管理の問題としてとらえたときに、この、添付ファイルに依存した文書通知の在り方に、弱点を感じます。メールによる文書通知の大半は、メールの本文に通知の中身が書いてあればすむのではないかと思います。

--
From: ○○○○(XXXXXXXX) [mailto:abcdefg@xxxxxxx~]
Sent: Tuesday,June,02,2015 3:14PM
To: △△△△
Subject: [件名]~

△△△△ 様
XXXXXXXX の○○○○です。
件名につきまして、~です。
つきましては、以下のようにお願いします。

--
               (文書記号番号)
             平成○○年○月○○日
各○○○○長殿
            発信者(偉い人)の職・氏名

    ○○○○○○について(依頼)

~(文書の内容)~

                     以上

--

要するに、文書の権威付け(オーソライズ)を、添付ファイルという機能に頼っているわけです。このあたりは、文書習慣というか、文書規定というか、そのレベルで考えないといけない問題なのでしょう。

CADデータや、マクロを含む表計算のシート、あるいは写真画像などは添付ファイルによることになるとは思いますが、全体の比率から言えば、大半は普通のワープロ文書(DOCなど)かそのPDFファイルでしょうから、内容を本文に書くことで、危険性はかなり軽減されるはずです。

この議論は、パソコン通信の昔から言われていたことですが、「起こる可能性のあることは、起こる」「起こってほしくないことは、最悪の形で起こる」というマーフィーの法則を、あらためて実感することとなりました。



もう一つ、LAN 内で異常を発見した時に、外部と接続している基幹ケーブルを大至急で抜くことが重要なわけですが、大きな組織であるほど、外部接続を遮断することの影響は大きく、判断は難しく、抵抗も大きいでしょう。通常の稟議システムにのせていたら、間に合わないことが予想されます。危機管理の中に、情報システムのトラブル対応が位置づけられ、かつ適切に運用されるかどうかが問われます。

だいぶ以前の話ですが、Nimda ウィルスが米国に登場したニュースを読んで、何の気なしに職場のサーバを調べてみました。そうしたら、FreeBSD のウェブ・サーバは大丈夫だったものの、発見後わずか数日しか経過していない日本で、WindowsNT ファイル・サーバに Nimdaウィルスの痕跡を発見してしまいました。即刻、上司に報告してファイルサーバを遮断し、全端末について、LANケーブルの抜線の指示を出しました。それからサーバは業者に復旧を依頼し、端末は根気よく1台ずつ点検・駆除して回り、作業が終わったものから接続することで、ようやく緊急対応終了。この間、数日間は夜なべ仕事だったはず。結局、感染していた端末は3~4台だけだったと記憶しています。発見が早かったのが幸いしたようです。当時、私もまだヒラの40代、若かった。一応システム管理者とはいうものの、職掌上の位置づけはきわめて弱いものでしたが、管理職には全面的に信頼してもらい、業務に支障を来す強引な対応にも、職場の皆が文句も言わずに従ってくれたことに感謝したものでした。

このときの経験から、Windows の持つ脆弱性を感じ、それ以前にも興味は持っておりましたが、Linux に決定的に惹かれるようになったものです。今にして思えば、素早い判断が、被害を最小限にし、早い復旧ができた理由だったと思います。

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盆栽のサツキが花盛りに

2015年06月10日 06時02分15秒 | 季節と行事
過日、初めて葬儀の差配をしましたが、故人が丹精していたサツキの盆栽をいくつかいただきました。ただいま、見事に咲いております。一本のサツキで白とピンクの花が混じって咲くものもあり、「山の光」というのだそうです。これまで、盆栽の趣味などはありませんでしたが、毎日、朝晩の二回ずつ水やりをしていると、これはこれでなかなか楽しみです。職場にも一鉢持って行きましたが、こちらもすでに満開。ほんとに見事です。



日が長いので、帰宅してからもだいぶ明るいです。早生種サクランボ「紅さやか」の収穫と出荷が終わり、「佐藤錦」の作業が始まるまでにはまだ少々間があります。30分ほど裏の畑に出て、桃の摘果をしております。着果は良好、少しずつ大きくなっておりますので、今のうちに混み合っているところを間引いておきましょう。

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新型デミオのマツダ・コネクトの更新で変わったこと

2015年06月09日 06時03分18秒 | 散歩外出ドライブ
マツダから、新型デミオのマツダ・コネクトの無償更新(*1)の案内が入っておりましたので、過日、某マツダ店に出向き、更新をしてきました。時間にして一時間余り、某会での挨拶の原稿を考え、推敲しているうちに出来上がり、洗車もしてもらって、ピカピカになりました。

で、更新で変わった点は?
まだ十分には把握しきれておりませんが、表面的には次のような点でしょうか。

  1. 画面の色づかいが明るくなりました。
  2. カーナビ画面が左右に二分割できるようになり、右画面に再生中の音楽の曲名や演奏者などの情報も表示できるようになりました。
  3. 添付のマニュアルが新しくなりました。けっこう立派な冊子です。

心配した「再生できる音楽ファイルの種類」に変更はなく、ogg 形式のファイルもきちんと再生でき、今のところ快調に動作しております。商品力向上を目的に実施されたマツダ・コネクトの無償更新は、まずはありがたい改善でした。



(*1):【更新】マツダコネクト及びナビゲーション用SDカードに関する重要なお知らせ~マツダ公式サイトより
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インクカートリッジで使うパイロットの青インク

2015年06月08日 06時05分14秒 | 手帳文具書斎
パイロットの万年筆「カスタム・グランディ」用に、青色のインク・カートリッジを購入しました。現用の青系インクの中では、パイロットの青インクは、「紺碧」とプラチナの古典ブルーブラック(ボトル)寄りの傾向に見えます。インクフローは良好ですが、万年筆対応でない紙では盛大に裏抜けするあたりは、パイロットのインクに共通の性質かもしれません。

ツバメノートと使い慣れた「カスタム・グランディ」の組み合わせはたいへん良好で、書きやすいです。インク切れにも、予備のカートリッジを職場にも配置したり、ペンケースにしのばせておいたりすれば大丈夫。こうしてみると、なんら特別ではない普通の青インクで充分に良かったのではないかとさえ思えます。



プラチナの古典ブルーブラック・ボトルインクとパイロットの普通の青インク。スタンダードな製品となるのは、確かに根拠があってのことだったのだろうと思います。今更ながら感じる、定番製品の価値でした。

【追記】
このインクは、裏抜けが盛大すぎて、使える紙がごく限られてしまいます。現用の手持ちのノートではツバメノートくらいで、他のハイカラ系ノート、例えばマルマンの「note de note」とか、キャンパスノートのドット罫線タイプなどではバッチリ裏抜けしてしまいます。残念ながら、古典ブルーブラック並みの汎用性は、とても期待できないようです。

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ブルックナー「交響曲第1番ハ短調」(ウィーン稿)を聴く

2015年06月07日 06時01分46秒 | -オーケストラ
車を更新して以来、USBメモリに保存した音楽ファイルを中心に聴くようになって、昔の音源を聴くことが多くなりました。パソコン上でリッピングしたりダウンロードしたりして、USB-メモリにコピーするだけという簡単さもありますが、それではならじと、新しい録音のCDを持ち込み、積極的に聴くようにしています。本日は、飯森範親指揮の山形交響楽団によるブルックナーの「交響曲第1番」ハ短調です。

この曲は、1868年の、いわゆるリンツ稿で演奏されることが多いのだそうですが、この録音は、その二十数年後、交響曲第8番の完成後に大改訂を行った1890/91年の「ウィーン稿」で、どうやら日本初の録音らしい。具体的にどう違うかなどということは、当方のような素人音楽愛好家の手に余ることですが、非常に充実した音楽になっていることは、よくわかります。特に第3楽章スケルツォは、第7番や第8番にも通じるような、迫力あるものです。第1番という番号から想像するような、素朴な習作のイメージはありません。

二管編成のオーケストラで聞く初期ブルックナーの作品という先入観を見事に打ち破ってくれる、充実した響きを楽しむことができる演奏であり、録音です。2013年の8月に収録されたライブ録音ではありますが、山形テルサホールの響きを生かした好録音でもあり、通勤の車中で、自宅のPCオーディオで、あるいは休日にメインのステレオ装置で、ブルックナーの音楽を楽しんでおります。

■飯森範親指揮山形交響楽団 (YSO-Live:OVCX-00078)
I=12'25" II=11'54" III=8'14" IV=15"30" total=48'03"

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明治天皇の東北巡幸と山形師範学校における化学の天覧実験の記録

2015年06月06日 06時04分15秒 | 歴史技術科学
明治初期の翻訳教科書『小学化学書』は出版されましたが、明治初期の日本で、大学以外の学校ではどのような教育が行われていたのか。これを推測するうえで、明治14年の山形師範学校の天覧実験の記録が、興味深いものです。

明治14年、明治天皇は、二度目の東北巡幸を行います。これは、戊辰戦争の後に自由民権運動が盛んになっていた地域を巡撫することも目的の一つであったろうと思われますが、山形県でも三島通庸・初代県令の各種土木工事の成果を歩くほかに、山形師範学校を視察することとなります。

天皇陛下をお迎えすることになった山形師範学校では、化学実験を演示し、日ごろの教育の成果を示そうとなったのでしょう。付属小学校の生徒二名が、講堂において「火の燃ゆる理~物の燃焼について」と「空気膨張の力」というテーマで演示実験を行ったとのことです。前者は、ロスコウ著『小学化学書』上巻に掲載された実験の一つで、ガラス鍾内で黄リンを燃やし、空気中の酸素が消費されるために、大気圧に押されてガラス鍾内の水位が上昇することを示すものです。


(ロスコウ『小学化学書』上巻より)

この実験を担当した付属小学校1級生(現在の中2)の佐々木忠蔵君が、この時のエピソードを作文に記し、記録にとどめています(*1)。

すなわち、黄リンをいささか多くし過ぎたために、点火したら熱のためにガラス鍾が割れてしまい、黄リンが燃えた際の白いケムリが明治天皇のほうに流れていきます。お付きの人があわてて窓を開けに走り、佐々木君はこのとき「放校を覚悟」したそうです。けれども、次の実験では失敗しないぞと、かえって度胸がすわり、めでたく天覧実験を終えて、お褒めの言葉をたまわったそうです。


(高橋由一:「山形市街図」)



明治14年~15年に高橋由一が描いた「山形市街図」では、中央遠景に見える初代・木造の山形県庁の右に小さく見える時計塔を持つ建物が、このエピソードの舞台となった旧・山形師範学校で、現在のJA山形ビルにあたる場所のようです。当時、化学実験はデモンストレーション効果の高い「見せ物」でもあったようで、理科実験室ではなかったところに、明治初年の啓蒙期の科学教育の特徴がよくあらわれています。

(*1):小形利吉『山形県の理科教育史(上)明治・大正編』p.51-52、山形県理科研究同好会、1978
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パイロット・カスタム・グランディを水洗いし、使用インクを考える

2015年06月05日 06時01分17秒 | 手帳文具書斎
現用の万年筆の中で、もっとも使っている年数が長い、パイロットの「カスタム・グランディ」に、2009年から(*1)コンバータCON-50を付けて使うようになりました。2013年から(*2)は、同社の色彩雫「紺碧」インクに変えて使っていましたが、実際には備忘録ノートの記事タイトル行の強調表示くらいしか用途がなく、もったいないと感じておりました。このたび、「紺碧」は白カクノに移行(*3)し、カスタム・グランディは水洗いして乾燥し、使用インクを検討しております。

  1. 太めの中字でインク・ドバドバ状態なので、コンバータCON-50ではインク切れが早すぎる。
  2. カートリッジ使用に戻し、インク切れに素早く対応できるようにするには、パイロットの黒・青・ブルーブラックが候補になる。
  3. プラチナ社の#3776ブルゴーニュ(F)で同社の古典ブルーブラックを使っているので、できればブルーブラック以外を選びたい。すると、青になるか。

パイロットの青系インクでは、色彩雫シリーズの「紺碧」と「朝顔」は使っていますが、青インクは、まだ使ったことがありませんでした。今さらですが、傾向の似た新しいインクを使ってみようかと思い始めました。ネットで調べた限りでは、耐水性もあり、色彩雫シリーズのような濡れ弱さはないらしい。長年の時の試練を経て、改善を加えられているからなのでしょう。IRF-12S、12本入り、400円+税。



(*1):愛用の万年筆にコンバータを付ける~「電網郊外散歩道」2009年10月
(*2):インク補充の楽しさ~日常を淡々と楽しむ~「電網郊外散歩道」2013年2月
(*3):色彩雫インク「紺碧」を白カクノの中字に移行する~「電網郊外散歩道」2015年5月

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新型デミオXDディーゼルの5月の燃費と燃費モニターの謎の解明

2015年06月04日 06時01分25秒 | 散歩外出ドライブ
新型デミオXDディーゼルの5月の燃費(燃料消費率)が判明しました。4月には2回給油して平均をとりましたが、今月は1回だけでしたので、スタンドでどの程度を満タンとするかで、やや誤差があるかと思いますが、こんな結果になりました。

3月 23.0 km/L
4月 20.8 km/L
5月 22.7 km/L

少なくとも、県都山形への通勤で、コンスタントに 20km/L 以上の値を示し、エアコンを使用しない春季には平均で 22km/L くらいになるのは間違いないようです。

前車ティーダ・ラティオでは、通年の平均で 16km/L くらいの値で、トリップメーターがおよそ 600km 走ったあたりで給油というパターンでしたが、こんどのマツダ・デミオXDの場合は、800km で給油しても間に合うようです。給油の間隔がずいぶん広がり、楽になったと感じます。



ところで、前に書いたことがある燃費モニターの謎、35km/h で走っている時よりも 60km/h でずっと走っている時のほうが燃費モニターの数値が悪く表示されることがある、という件、おそらく同社のクリーン・ディーゼル・エンジンの排ガス浄化システム DPF のフィルター再生のためではないかと思い当たりました。

DPF: Diesel Particulate Filter
排気ガスに含まれるPM(粒子状物質)を補集し除去するもので、補集したPMの堆積量が多くなると排気ガスの温度を上昇させてPMを燃やし、自動クリーニングを行うもの。

つまり、エンジンがまだ暖まっていない状態で低回転で負荷のかかる走行をすると、昔であれば黒煙が出やすい状況になり、PMが堆積するのでしょう。これを燃やすための燃料消費が加わり、燃費モニターの数値に反映されるのでは、という判断です。

そのように考えると、エンジンをかけてすぐに走り出すような状況が続くと、i-stop 表示が消えて DPF 再生が行われるのは理解できます。むしろ、月に二回ほど作動することで PM による大気汚染を減らすという積極的な意味を評価するべきだろうと思います。

同社の解説によれば、次のような場合には PM は自動的には除去されないとのことで、フィルターを再生するために強制的に燃焼を行うようです。

  • 時速15km以下で走りつづけているとき
  • 10分以下の短時間の走行を繰り返しているとき

なるほど。やはりディーゼルエンジン車は渋滞の多い都市部のチョイ乗りには向かず、郊外型の走行に適していると言えそうです。一部に渋滞区間を含むとはいえ、早朝出勤で渋滞区間をやり過ごしている当方の通勤パターンには、適合していると言えそうです。

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吉村昭『白い遠景』を読む

2015年06月03日 06時04分05秒 | -吉村昭
講談社文庫で、吉村昭著『白い遠景』を読みました。1979(昭和54)年の2月に刊行された単行本の文庫化で、著者としては二冊目の随筆集になるのだそうです。構成は、次のようになっています。

1. 戦争と〈私〉
2. 取材ノートから
3. 社会と〈私〉
4.小説と〈私〉

いずれも印象的な随筆が並びますが、この中で特に印象的なものを思い起こせば、知られざる戦功を語る老人の悲哀とそれを持て余す家族を描いた「元海軍大佐P氏のこと」や、通夜に駆けつけるべきか否かを考える「駆けつけてはならぬ人」、温厚な恩師の人柄がしのばれる「駄作だが」などでしょうか。

調査魔だった氏の自信が言わせるのでしょうが、読者が何かで読んだ知識をもとに、作品の一部に疑問を投げかけたことについて、苦言を呈している文章もありました。このあたりは、当方も「知ったかぶり」をやりかねない面があり、ズキッと来るところがあるような(^o^;)>poripori
自戒して、用心、用心(^o^)/

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【期間限定6/2~6/12】ブログを介した産直の試み(2年目)

2015年06月02日 06時04分27秒 | 週末農業・定年農業
6月に入り、いよいよ山形はサクランボの季節となりました。昨年に引き続き、今年も常連の皆様を対象にして、ブログを介した産直を試みてみたいと思います。

(1) よくコメントをいただく方で、当方が週末農業で栽培しているサクランボ「佐藤錦」をご希望の方は、臨時のメールアドレス「うろろぼっくす@gmail.com」に、メールアドレスを連絡してください。
(2) そのアドレスに、なりすましを防ぐための(^o^;)質問を差し上げますので、返信でお答えください。
(3) 正解ならば、当方の常用メールアドレスをおしらせします。よろしければ、正式にお申し込みください。
※臨時のメールアドレスは、この期間限定でチェックすることにします。ふだんは某新聞社のニュースと称するメール爆撃がたまるばかりですので、全然見てません(^o^;)>poripori
(4) サクランボの美味しい時期(6月下旬)になったら宅配便で発送します。国内でも遠隔地の場合は、クール便となります。
(5) サクランボの到着を確認したら、メールでお知らせください。請求書と口座番号をメールでお送りしますので、送金してください。
(6) 入金を確認したら、メールでご連絡し、領収書に代えます。

ちなみに、uroroboxです。

なお、個人的な贈答ならばお受けしますが、料金後払いという実験的な試みですので、業務用の大量注文はお受けできません。あらかじめご承知置きください。お値段は、2kgバラ詰めで5,000円、1kgバラ詰めで3,000円、送料別です。



昨年すでにお試しいただいた方は、お知らせしている当方の常用メールアドレスにあてて、直接にお申し込みください。価格や条件は、昨年と同様です。

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週末農業三昧の日

2015年06月01日 06時03分36秒 | 週末農業・定年農業
早いもので、もう六月です。サクランボのシーズンです。



昨日の日曜日は、数日前は雨の予報だったにもかかわらず、なんとかお天気が持ち直してくれましたので、朝から妻と二人で早生種サクランボ「紅さやか」の収穫にいそしみました。お昼近くなると風が強くなり、雲行きも怪しいので、平コンテナに二個分を収穫したところで帰宅。午後には初の出荷となりました。今までは六月になってから出荷していましたので、五月中に出荷したのは今年が初めてです。明らかに今年は早いです。この分だと、主力品種「佐藤錦」も早めの収穫になりそうです。

そういえば、天皇皇后両陛下が、今月18日(木)に私的に山形県東根市を訪れ、サクランボ生産農家を見学されるご予定とか。東根市は「佐藤錦」のふるさとですので、美味しいサクランボを召し上がっていただきたいものです(^o^)/



出荷の後は、自走式草刈り機で草刈りを実施。園地をぐるぐる回り、きれいになりましたが、合計で何キロ歩いたのかわかりません。脚立に登るのも脚力が必要ですし、早くも足が筋肉痛です。たぶん、ゴルフよりもハードなのではないかと思いまする(^o^)/

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