電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

旅の空と日常性

2009年11月15日 07時00分59秒 | Weblog
出張などで旅の空にあるとき、ホテル暮らしにはさほど不自由があるわけではありません。衣食住の面では、ほぼ快適に保たれており、ゴミ出しや食事の後片付けの苦労などもありません。それなのに、旅から戻り、単身赴任のアパートや自宅に到着したときに感じる、思わずほっとする安心感は、どこからくるものなのでしょう。たぶんそれは、日常性の持つ安心感です。同じ時刻に同じ音楽で目覚め、ご飯は炊き上がっており、同じスイッチを押してパソコンの同じ画面を見る。備忘録メモを開き、ペンで書き込んだ素材をもとに、よく使い込まれ学習された日本語変換プログラムをもとにキーボードから入力していく。週末ともなれば畑に出て、草刈りをしたり剪定をしたりする。そういう日常性の価値は、他の人はいざ知らず、自分自身にとってはたいせつなものです。おそらく、病気入院した時などに、もっともかけがえのないものと感じるのが、そうした日常性の回復なのではないかと思います。

ようやく出張から戻った日曜日、ほっと一息、コーヒータイムとしております。昨日の山形弦楽四重奏団第33回定期演奏会が聴けなかったのは残念ですが、次回を楽しみに待ちたいと思います。
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諸田玲子『巣立ち~お鳥見女房(5)』を読む

2009年11月14日 06時39分28秒 | 読書
たしか昨年の今頃に、文庫本で第3巻と第4巻を読んでいたと思いましたが、図書館で単行本を見つけて借りてきて、ようやく読み終えました。諸田玲子著『お鳥見女房』シリーズ第5巻『巣立ち』です。最初に本シリーズをおすすめいただいた きし さんも、たぶんまだ読み終えていないと思われますので、ネタバレして楽しみを逃さないように、ごくごくさらりと。

第1話「ぎぎゅう」
第2話「巣立ち」
第3話「佳き日」
第4話「お犬騒ぎ」
第5話「蛹のままで」
第6話「安産祈願」
第7話「剛の者」

鷹姫さまこと和知家の娘・恵以が、長男・久太郎のもとに嫁入りします。久右衛門と、孫嫁となる恵以との最初の出会いこそ多難でしたが、喧嘩するほど仲がよくなるのたとえどおりでした。もちろん、新米お嫁さんは、家事その他いろいろ苦労するわけですが、周囲が理解ある人たちでよかったね~。珠世さんは婿取り娘ですので、嫁の苦労はよくわからない面がありますからね~、それはしょうがないことでしょう。長崎へ向かうという源太夫の友人との間で、珠世さんはひそかにドキドキ。源太夫と多津さんとの間に赤子が生まれることになり、亡くなった先妻の子である雪ちゃんはお腹の赤ちゃんにヤキモチを焼きます。よくあることですが、それも成長の糧とするべきでしょう。そして将軍家お鷹狩の前に鶴が皆死ぬという事件が勃発。久右衛門の遺徳が生きてきます。孫のために、必死で歩いたのでしょうね、たぶん。ちょいとしんみりしました。

おそらく、単行本で新刊が出れば、こちらも文庫化されるのでしょう。その前に一足早く、江戸のほんわかストーリーを大いに楽しみました。
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昔の冬の暖のとり方

2009年11月13日 06時06分33秒 | 季節と行事
子供の頃、まだ石油ストーブは普及しておりませんでした。冬季間の暖房は、薪、炭、豆炭、亜炭が中心です。いろりで薪を燃やし、座敷では火鉢に炭を置きます。茶の間にはコタツがあり、風呂は薪と亜炭を燃やして沸かしておりました。当然、部屋全体を暖めるという考え方は薄く、綿の入った衣類を重ね着して寒さを防ぎ、手足を暖めるために火鉢やコタツを使う、という「局所暖房」の考え方です。
少ない暖房目当てに、家族は茶の間に集まり、それなりに会話や娯楽もありました。テレビが普及してしばらくは、サザエさんの家のような、「茶の間のコタツでテレビを見る」生活が続いたように思います。
昭和40年代になると、石油ストーブが普及し、各室を暖めるという発想が登場したのでしょう。受験勉強をしていた頃は、電熱を使った足温器などというものもあり、すっぽり腰まで入るタイプを、重宝したものでした。
睡眠時には、湯たんぽや豆炭あんかを使いました。一時流行した電気毛布や電気敷布に比べれば、ずっと寝心地が良いように思います。古典的な湯たんぽは、単身赴任の今も愛用しており、昔の人の知恵に、ほんとうに感心してしまいます。

そうそう、昔も今も変わらないのは、冬になるともぐりこんでくる、足元の「猫たんぽ」の自然なぬくもりでしょうか(^o^)/

写真は、先日のヒマラヤユキノシタ。これから冬に向かうというのに、何を思ったか、陽気につられて一部咲きはじめました。たしかに、ヒマラヤよりは暖かいでしょうが、季節外れの花写真です。
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コーンウェル『真犯人』を読む

2009年11月12日 06時25分55秒 | -外国文学
もともと、天下泰平・人畜無害サイトである当ブログで、ケイ・スカーペッタという女性検屍官を主人公とするシリーズを四冊も記事にすることになるとは思いませんでした。パトリシア・コーンウェル著『真犯人』(講談者文庫)です。主人公や、彼女を助けるピート・マリーノ警部の人間臭さはもちろんですが、コンピュータ・フリークである姪のルーシーがその頭脳の冴えを見せる場面なども、本シリーズの魅力の一つであることは間違いないところでしょう。この巻では、そうした特徴がよくあらわれています。

ロニー・ジョー・ワデルという死刑囚は、確かに処刑されているはずなのに、新たな凶悪犯罪で残される指紋が彼のものであるという謎。州検屍局長というケイの立場も揺らぎますが、謎の解明の手がかりとなったのは、ケイがコンピュータのファイル一覧コマンド ls (MS-DOS でいえば dir に相当)を実行した時に、ホームディレクトリに残された tty07 という1個の見知らぬファイルを発見したことでした。

1993年に執筆された本書は、ミニコン上の Unix システムに、486 のチップを持つ端末からログインしているという想定です。なるほど、誰かが

$ cat > tty07
捜し物は見つからず
(CTRL+D)

という操作を行った、というわけですね。
ここで、cat というのは MS-DOS で言えば type コマンドに相当し、CTRL+D というのはファイルの終わりを表す制御記号ですから、「捜し物は見つからず」というメッセージの内容が tty07 というファイルに書き込まれることになります。で、本当は

$ cat > /dev/tty07
捜し物は見つからず
(CTRL+D)

とすることで、誰かが、ケイの端末から tty07 という端末の前に座っている人に対してメッセージを伝えようとしたのだが、うっかり dev を指定するのを忘れたために tty07 というファイルを作成してしまった、ということなのでしょう。つまり、検屍局内部に少なくとも2人の怪しい人がいる、ということです。(p.97)

あまりコンピュータに詳しくないケイが応援を頼んだルーシーは、すでに高校生になっています。留守中にケイのコンピュータからオフィスのコンピュータにダイヤルインでログインしていますが、プロンプトが # になっている(p.148)ということは、管理者(root)権限でログインしているということ。1993年当時、AT&T Unix には root 権限はあるがパスワードが設定されていない "demo" というユーザーが存在したまま販売されており、それが削除されないまま運用されているマシンが少なくなかった、ということなのでしょう。それを知っていたルーシーは、すでにかなりのコンピュータ・フリークであることは間違いありません。(p.150)
もしかすると、クリフォード・ストールの『カッコウはコンピュータに卵を産む』(*)の愛読者だったのかも(^o^)/

検屍局主任のスーザン・ストーリーは、Unix, SQL, WP のガイドブックを所有しており、tty07 の端末は検屍局事務責任者のベン・スティーブンスのものであることがわかります(p.172)が、これはケイの端末(tty14)から誰かが root 権限でログインし、tty07 という端末に「捜し物は見つからず」と送った、ということです。すると、スーザンが遺体の指紋をとらずに火葬に回してしまったこと(p.187)の意味や、クリスマスに刑務所長と知事の首席補佐官が同席する奇妙さ(p.220)も感じられます。

死刑囚が執行後に出所し犯行を重ねることは不可能です。したがって、犯人は別人で、指紋はすりかえられていると考えるのが自然でしょう。理由は、検屍局のコンピュータへの侵入事件です。そして、スーザンとベンは犯人またはその仲間との接点、関連性があるはず、というのが、物語の前半(p.261)における論理的帰結です。

それにしても、恩師のグルーマンの描き方は、見事に逆転させて見せました。なるほど、です。

(*):『カッコウはコンピュータに卵を産む』を読む~「電網郊外散歩道」より
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ボールペンのクリップの強さについて

2009年11月11日 06時15分41秒 | 手帳文具書斎
愛用しているボールペン、三菱の Jetstream には、様々な種類の軸があります。最初に手にしたのは、ふつうのプラスチック製クリップの 0.7m/m と 1.0m/m でした。この書き味にハマり(*1)、さらに三色ボールペンを発見(*2)して、プラスチック透明軸の製品を愛用しました。ただし、デザインのチープさもあり、じきに4色+1(シャープペンシル)のタイプ(*3)に移行しました。こちらは、自分で購入して使うほか、妻や娘や婿殿にプレゼントするなど、比較的好評でした。

で、先日の文具店探訪(*4)で見つけたラバー軸タイプのものの使用感です。

この製品は、芯はふつうの Jetstream 0.7m/m ですが、軸がラバータイプで上質感があるほか、クリップが金属製のものに変更されています。実は、プラスチック製のクリップでは、バネとしての力が弱く、作業着のポケットから抜け落ちたり、いつの間にか失しやすい傾向がありました。この金属製クリップは、はさむ力が強く、クリアファイルにはさんでも作業着のポケットに差しても、落ちにくいようです。その分、スーツの内ポケットには布地がいたむような気がしますが、デスクまわりを離れての用途には適していると感じます。

いや~、しかし見事に Jetstream ボールペンが増殖しておりますなぁ。雨後のタケノコならぬジェットストリーム・ボールペン。

(*1):「電網郊外散歩道」選定「今年の文具大賞」
(*2):Jetstreamの三色ボールペンを発見
(*3):JetStreamに4色+1の新製品が出ていた
(*4):電器店・文具店経由図書館行き
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映画を観て『隠し砦の三悪人』を読む

2009年11月10日 06時05分16秒 | 読書
先週、珍しくテレビで映画を観ました。それも、民放!ふだんほとんどテレビは見ませんので、合間のコマーシャルがやけに新鮮でした(^o^)/
観たのは「金曜ロードショー」で、黒澤明監督映画のリメイクだという「隠し砦の三悪人」です。残念ながら本家作品は未見ですが、映画はわりにおもしろかった。そういえば、同名の文庫本をまだ読んでいなかったな、と手に取った次第。

時は戦国、秋月と山名という二つの藩が争って山名が勝ち、秋月の姫君を中心に再起を図る家臣たちが、山名の追討攻撃を前に絶体絶命、というところで、金山掘りの武蔵と樵の新八の二人を案内に、忠義と剛勇で知られた六郎太が姫君と金塊とを守りながら、隣国の早川まで落ちのびる、というストーリーです。
俳優さんの名前はほとんどわかりませんし、二重人格的な要素を持つらしい姫君の精神的落差にいささか辟易しながらも、いかにも黒澤作品らしい雰囲気を濃厚に残したリメイクを楽しみ、また松岡清貴さんの原作というかノヴェライズ本も、二重に楽しみました。こういう娯楽作品の楽しみ方もいいものです。

そもそも、なんでこんな文庫本を購入していたのか、記憶がありません。たぶん、帯の「黒澤明監督による娯楽映画の原点を、堂々小説化した冒険エンターテインメント!」なる文言に惹かれてのことと思いますが、金曜ロードショーとタイアップして文庫本を読めるなんて、偶然にしても出来杉君でした(^o^)/

写真は、黒沢作品リメイクの連想で、「荒野の七人」とこの文庫本。「七人の侍」は面白かったなあ。
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最近購入した本とCD

2009年11月09日 06時18分40秒 | Weblog
先日、映画「あなたは私の婿になる」を観てきた際に、隣接する書店で本と音楽CDを購入してきました。ここしばらく気ぜわしい生活が続きましたので、CDの購入などはずいぶん久しぶり(*1)のような気がします。

(1) メンデルスゾーン、シューマン:ピアノ三重奏曲集、チョン・キョンファ(Vn)、アンドレ・プレヴィン(Pf)、ポール・トルトゥリエ(Vc)、EMI TOCE-13234
(2) ベートーヴェン「荘厳ミサ曲」、クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、ニュー・フィルハーモニア合唱団、他、EMI TOCE-14021
(3) 藤沢周平『又蔵の火』(文春文庫)
(4) コーンウェル『死体農場』(講談社文庫)

コーンウェルについては、先を見越して、出張時の携帯用に補充しておこう、という腹づもりです。

今週は、後半にかけて県外出張となりました。残念ながら、11月14日の山形弦楽四重奏団の定期演奏会は行けないようです(T-T) ヴォーン・ウィリアムズの幻想的五重奏曲(*2)など、実演に接する貴重な機会だけに、まことに残念無念ですが、仕事ですので仕方がありません。演奏会のご成功をお祈り申し上げます。

(*1):近ごろ購入した本と音楽CD~「電網郊外散歩道」
(*2):ヴォーン・ウィリアムズ「幻想的五重奏曲」を聴く~「電網郊外散歩道」
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週末農業の冬支度

2009年11月08日 06時22分11秒 | 週末農業・定年農業
昨年の老父の死去により、待ったなしに農業後継者となった一年でした。単身赴任と週末農業の両立はなかなか難しく、お天気次第の面もありますので、開花期の防除などには、ずいぶんやきもきしました。それでも、サクランボは雨よけテントをかけてちゃんと出荷もできましたし、梅やすもも、プルーンも、思いのほか収穫できました。桃、梨、りんごはダメでしたが、柿は予想以上にとれました。

老母の野菜と花畑も、リクエストに応じて耕耘機で耕しましたし、スピードスプレーヤや動力噴霧器、高所作業台車の使いかたを覚えました。また、チェーンソーと動力刈払機、自走式草刈り機の出番はずいぶん多く、汲み上げポンプの動作も確認できました。総じて、農業機械の存在が、兼業・週末農業を可能にしていることがよくわかりました。

さて、来年に向けて、週末農業も冬支度が必要です。機械を水洗いして汚れを落とし、要所にオイルを差し、作業小屋に収納します。まずは、高所作業台車を点検しましょう。


■エンジンフード内。古くなった燃料を流す栓が見える。


■同・拡大。引っ張ると、燃料チューブ内で古くなった燃料を流すことができる。


■燃料コックの位置。


■同・拡大。燃料コックは、使わない冬場は閉じておく。エンジンが始動しないトラブルは、このコックの存在を忘れていることが多い(^o^)/


■手動でエンジンを始動する際のレバー。バッテリーがあがってしまったときは、始動スイッチを ON にして、アクセルレバーの回転数をあげておき、これをぐいっと引く。

来年になって、忘れたらこの記事を見れば良い、というしかけです。自分のための備忘録です。来年は、ほんとに美味しいすもも「秋姫」をぜひ収穫したい。また、できればりんごと桃も収穫できるようにしたいものです。
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ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ第4番」を聴く

2009年11月07日 06時16分36秒 | -独奏曲
先に NHK-FM で放送された、ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ」全曲演奏会の録音(*)をMDで少しずつ聴いています。全部で4時間の放送を1回で聴き通すのは容易ではありませんで、三曲くらいずつまとめて聴いているところです。

全9曲のうち、第5番と第9番の2曲は、ある程度聴いたことがあり、旋律も耳馴染がありました。しかし、他の曲については聴いたことがありませんで、まことに新鮮な体験です。

第6番の、フルートとファゴットのための作品もたいへん印象深く、ぜひ生で聴いてみたい曲目の一つです。第9番のオリジナルは、弦楽合奏のためのものではなくて、実は無伴奏合唱のためのものであることを、初めて知りました。そんな意味でも、エアチェック(^o^)してよかった演奏会です。

さて、前半の小規模な編成の作品の中で、たいへん印象的だったのが、白石光隆さんのピアノ独奏による第4番~ピアノのための。

1. 前奏曲(助奏)
2. コラール(薮の歌)
3. アリア(賛歌)
4. 踊り(ミゥディーニョ)

前奏曲のもの悲しい始まり。ラフマニノフばりの深い響きがありますが、リズムはちょいと違う。活力があるというのか、イキがいいというのか、思い切りロマンティックな旋律であっても、しっかりと現代的な響きとリズムがある。16分07秒のあいだ、聴きほれてしまいました。

Wikipedia によれば、全9曲は1930年~41年にかけて構想されたのだそうで、プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」(*2)やヒルトン「心の旅路」(*3)などに描かれた大戦間期の雰囲気は、こんな感じなのでしょうか。

できれば一人で聴きたい、悲しみの涙が心をうるおすような、そんな音楽です。
今日は、ここまで。ちなみに、写真は「第9番」を弦楽合奏で演奏したMGMのLPレコード(モノラル盤)と、今回の全曲演奏を録音した MD です。

(*):NHK-FMで「ブラジル風バッハ」全曲演奏会の予定~「電網郊外散歩道」より
(*2):プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」を聴く~「電網郊外散歩道」より
(*3):ヒルトン『心の旅路』を読む~「電網郊外散歩道」より
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佐伯泰英『冬桜ノ雀~居眠り磐音江戸双紙(29)』を読む

2009年11月06日 05時28分42秒 | -佐伯泰英
本所深川の浪人暮らしから始まった磐音の江戸生活も、とうとう江戸城西の丸の徳川世嗣家基の剣術指南の役目を受け持つまでになった、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第29巻『冬桜ノ雀』を読みました。冬季には雪に埋もれる出羽山形では、冬桜などという風流はとんと御縁がありませんが、気分だけでも味わうことにいたしましょう。

第1章「鼠志野の茶碗」。おこん、霧子、早苗の3人を伴い、千鳥ヶ淵に冬桜を見物に出かけた磐音一行、高家・世良定満の行列に切りかかろうとした御家人の家来に対し、仲裁に入ります。どうも、世良定満という強欲者が、高家の家格をいいことに、無役の御家人・神沼家の家宝の茶碗をだまし取ったらしい。お家に科が波及しないよう、自裁した家来が哀れですが、そこはきっちりと始末を付けます。どうも、心なしか、近頃霧子さんの出番が多いような気がするなあ。大歓迎なのですが(^o^)/
※余談ですが、茶碗に限らず、趣味の欲と価格とは、対数関数的な関係にあるような。測定機器の精度と価格の間にも似たような関係があり、一桁精密に測定しようとすると、機器の値段の方も一桁はねあがります。オーディオ機器なども同様で、微細な違いを問題にしだすと、一桁も二桁も価格が跳ね上がるようです。いや、当方はそのような微細な違いはわかりませんので、無縁の世界ではあるのですが。

第2章「盲目の老剣客」。始まりはひさびさの出番、南町奉行所の知恵者、大頭の与力・笹塚孫一の訪問から。能楽の丹五郎という悪党一味を捕えるために、磐音と豊後関前藩に力を貸せ、との依頼です。この話はそこまでで終わるのですが、新たな剣客が登場。盲目の老剣客・丸目高継と、その手を引く歌女という娘の二人です。歌女と磐音の対決はなかなかの見せ場ですが、磐音の方が一段上でした。なぜこの二人が登場したのか、田沼老中の陰謀との示唆がチラリ。

第3章「武左衛門の外泊」。豊後関前藩の新造船をエサに、能楽の丹五郎一味をおびき寄せ、一網打尽にする話です。いや~、武左衛門、相変わらずです。能天気でセコく、どこか抜けている。世話のやける人物ですが、憎めない。藤沢周平『用心棒日月抄』シリーズでいえば、細谷源太夫の役柄ですが、しっかり者の細君と健気な娘たちと、それに品川柳次郎が支えです。この章は、幕間のお笑いのエピソードといった位置づけでしょう。

第4章「師走の話」。マスコミの宣伝効果は、当時から大きかったのだ、と言わんばかり。能楽の丹五郎一味の捕物に功の合った豊後関前藩が一躍名を上げた格好になりました。当然、門番のくせに無断外泊し、なんとか言い繕ってもらった武左衛門の立場は悪くなりますが、これは自業自得というものでしょう(^o^)/
むしろ、さらりと示唆される将軍世嗣家基の悪夢の話は、なんともミステリアス。丸目高継と歌女の二人は、他人の夢をコントロールできるのだそうな(^o^)/bakushou
いやはや、作者もネタに困って、大変な奥の手を使ってきたのでしょうか。これはもう、わが少年時代の紙芝居にまで遡る懐かしき超能力です(^o^)/
霧子さんが探索で活躍するので、利次郎も、と思ったらしく、土佐での利次郎の活躍もチラリ。

第5章「加持祈祷」。西の丸の桂川甫周から磐音のもとへ至急の使いがあり、家基の容態急変とのこと。で、原因は例によって丸目高継と歌女のコンビです。この二人が将軍世嗣の夢に入り込むというだけでも唖然なのに、磐音クンまで夢の中で敵を撃退するなんて、思わず唖然ボーゼン(^o^)/
第4巻の歌の扇コレクションのアホらしさに次ぐ、とんでもストーリー。これまでの磐音の活躍の中でも、残念ながら下から数えて一二を争う荒唐無稽さです。
やれやれorz

これは、次巻に期待するしかなさそうです。さて、面白さが復活するかどうか。
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ゼロハリ・サブノートの昇天

2009年11月05日 06時23分20秒 | コンピュータ
なんとも処理がもたつき、無線LANの速度も異常に遅く、ほとんど実用に供さなかったゼロハリ・デザインのNEC謹製サブノート Lavie LZ500 ですが、試しに自宅の光回線でダウンロード速度を測定してみました。

(1) Lavie LZ500 WindowsXP SP3 ------- 705.795kbps (0.705Mbps) -- 無線LAN
(2) Dell Mini10v UbuntuLinux 8.04 -- 25071.641kbps (25.071Mbps) - 無線LAN
(3) hp s3450jp UbuntuLinux 8.04 ---- 69620.357kbps (69.62Mbps) -- 有線LAN

これでは、無線LAN経由での WindowsUpdate に半日もかかるのは無理もないことです。192MB の主記憶しかもたない Crusoe ノートの回線速度は、実はハードディスクにスワップしまくりの、本体の処理速度のもたつきによるものではないか。

もしそうなら、工場出荷状態に戻せば、本来の処理速度を回復できるのかもしれない。そんなことを考え、再セットアップをやってみました。CD-ROM ドライブを接続し、リカバリ・ディスクをセット、起動します。Symantec の Ghost を用いて、ずいぶん時間がかかり、インストールが終わりました。再起動してこんどは Windows のセットアップを、と思ったら、なんとハードディスクがやられたようで、うんともすんともいいません(^o^)/

2002年9月に購入してまる7年、それほど酷使したつもりはありませんが、最近の劇重ぶりを見る限り、ハードディスクには負担過重だったのでしょう。やむをえません。

いや、しかし Dell の Linux ネットブック Inspiron Mini10v を買っておいてほんとによかった。日本語入力の不備を解消(*)して以来、たいへん便利に使っております(^o^)/

(*):ネットブック用の外付けDVDドライブを発注後、問題は解決!
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早くも初雪~2002年なみ

2009年11月04日 05時43分18秒 | 季節と行事
文化の日の火曜日、平年ならば晴天のことが多いように思っていたが、今年はなんと雪降りのお天気でした。ずいぶん早い初雪です。



ご覧のとおり、単身赴任先では、車に雪が積もりました。クローズアップでは、こんな感じです。



幸い、山岳道路は別として、平地の道路は濡れている程度で凍結もしていませんし、車の通行に支障はありません。まだまだ快適な郊外路の通勤が続きます。

参考までに、当ブログの過去記事を「初雪」で検索してみました。2002年より二日も早い、近年では記録的に早い初雪であることがわかります。うーむ、どうもこれは、11月中旬にはタイヤ交換をしておいたほうが良さそうです。

2008年:11月下旬に、初雪なのにあたり一面真っ白になるほど降りました
2007年:11月中旬に初雪で、常夜鍋の話題を書いています。
2006年:12月上旬に、うっすらと降っています。
2005年:11月中旬に、みぞれ混じりの雨が降っています。
2004年:12月下旬に、今年はまだ雪が降らないと書いています。
2002年:11月5日に、初雪が降りました。2000年以降では、記録的に早い初雪でした。
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電器店・文具店経由図書館行き

2009年11月03日 06時07分25秒 | 散歩外出ドライブ
冬のような寒い荒天の日曜日、妻は行事の手伝いで公民館へ、老母は神社仏閣社交界に顔出しで、役たたずの亭主とアホ猫は家で留守番をしておりました。
すると、あろうことか、血も涙もないアホ猫までも外出してしまったではあ~りませんか。一人パソコンの前に座っているのも情けない話ですので、給油がてら外出することといたしました。

まず、電器量販店に行き、万歩計の電池交換と、愛用のデジタルカメラのケースを物色します。白、黒、赤といろいろありましたが、ネットブックと色をそろえて赤を購入しました。誰ですか、還暦の赤いちゃんちゃんこに合うように選んだんだろう、と呟いた人は(^o^)/
ちなみに、小さなニコニコマークは、私のいたずらです(^o^)/



続いてガソリンスタンドで給油。満タン法で計測した10月の燃料消費率は、おおむね 20km/l であります。そのまま行きつけの文具店に直行し、文具を物色します。今回は、
(1) Jetstream ボールペンのラバー軸、0.7mmの黒
(2) Jetstream ボールペンの替え芯、1.0mmの黒を5本
(3) コクヨのカラーメモ、赤と黄色
を購入しました。文具店の探索は、なんとなく楽しいですね~。



さらに図書館に向かい、単身赴任の読書の秋向けに、
(4) 諸田玲子『巣立ち~お鳥見女房5』(新潮社)
(5) 北原亞以子『再会~慶次郎縁側日記』(新潮社)
の二冊を借りてきました。『巣立ち』はまだ文庫にはなっていないと思いますし、『再会』はたしか NHK-TV でドラマ化されていたはず。シリーズもののようですが、どれが最初の巻かわからずに手を出したところ、最初が『傷』で『再会』は二作目とのこと。うむ、私の探書の嗅覚もまんざらではありません(^o^)/

ぐるりと回って家に戻ると、老母が戻っておりました。ほどなく妻も戻り、多量の団子を賞味する夜となりました。満腹、満足。


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週末農業で柿の収穫

2009年11月02日 05時56分46秒 | 週末農業・定年農業
好天に恵まれた土曜日、今週は暦どおりの休日となりましたので、単身赴任先から自宅にもどり、作業着に着替えて柿の収穫を行いました。品種は「ひらたねなし」という、種のない渋柿です。もちろん、そのままでは食べられませんので、あの手この手で渋を抜く工夫が必要になりますが、実に美味しい柿です。



今年は、サクランボの剪定でせいいっぱいで、柿の剪定までは手が回らず、枝も伸び放題です。でも、昨年あまり実をつけなかったのに、今年はたくさん葉をつけたせいか、鈴なりの大豊作です。先の台風でボッキリ折れた枝を切り、樹形を整えながら収穫したところ、1本の柿の木から深コンテナに4個も収穫出来ました。ろくに消毒もしていませんので、出荷も出来ませんから、一部は焼酎で渋抜き処理にまわし、残りは皮をむいて干し柿にすることにしました。



ぽかぽか陽気の太陽の光を背に受けながら、柿の収穫や皮むきをするのも楽しいものです。ラジオを聞きながら、老母もせっせと皮をむき、日当たりの良い軒先に縄でぶら下げて乾かします。その後、屋内に取り込み、カビがはえないようにときどき回しながらさらに乾かし、よく乾いたら縄から外してよく手でもんで、菓子箱などに入れて保管しておきます。真っ白に粉が吹く頃には、冬の便りが届いていることでしょう。


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今夜、NHK-FMで山形交響楽団第197回定期演奏会が放送!

2009年11月01日 09時21分56秒 | -オーケストラ
何気なしにNHK-FMの番組表をチェックしていたら、「山形交響楽団」の文字が!
19時20分から、「FMシンフォニーコンサート -山形交響楽団 第197回定期演奏会から-」と題して、当日の演奏がまるまる放送されるようです。先にテレビ放送(*1)されておりましたが、このときは全曲ではなくて、スペイン交響曲は第2楽章が、カリンニコフは第2・第3楽章がカットされておりましたので、全曲の放送は嬉しい限り。

 - 山形交響楽団 第197回定期演奏会から -

「なき王女のためのパヴァーヌ」         ラヴェル作曲
                       (7分41秒)
「スペイン交響曲 ニ短調 作品21」        ラロ作曲
                      (38分05秒)
                 (バイオリン)滝  千春
「交響曲 第2番 イ長調」         カリンニコフ作曲
                      (41分53秒)
                   (管弦楽)山形交響楽団
                     (指揮)飯森 範親
  ~山形テルサホールで収録~
                   <2009/5/17>

当日は、当方も山形テルサホールでこの演奏会を聴いておりました(*2)。これは、ぜひとも録音しなければ!大雪で倒れたFMアンテナを修理(*3)しておいてよかった!

(*1):NHK教育「オーケストラの森」で山形交響楽団を聴く
(*2):山形交響楽団第197回定期演奏会を聴く
(*3):再びFM専用アンテナを立てる
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