電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

木曜時代劇「風の果て」第5回を観る

2007年11月16日 05時48分42秒 | -藤沢周平
藤沢周平原作によるNHK木曜時代劇「風の果て」、第5回「政変」を観ました。最初の10分くらいを見逃してしまいましたが、あとはなんとか観ることができました。
番組の公式WEBサイトでは、第5回のあらすじを次のように紹介しています。

 隼太(佐藤浩市)は市之丞(遠藤憲一)を用心棒に、江戸の測量家(金井勇太)と太蔵が原に調査に入る。半年後、太蔵が原の開墾の夢を叶える、水路づくりの図面が届く。その夜、殿の意志による政変が起こり、小黒派は失脚、杉山忠兵衛(仲村トオル)が首席家老となる。隼太と市之丞は忠兵衛の警固に駆り出される。下城する忠兵衛を勝三郎(三上市朗)らが襲う。二人して強敵を倒した。その論功行賞で、隼太は郡奉行に昇進する…。

原作では、杉山忠兵衛は野瀬市之丞には陰扶持を与え、桑山又助には時に友人としてふるまいながら、都合の良い場面で利用しようとします。このあたり、ドラマの忠兵衛は、ずいぶんわかりやすい威張り役・憎まれ役に単純化されているようです。
また、原作では桑山孫助が病床の中でも江戸から来た町見家とずいぶんつっこんだ話をする場面がありますが、ドラマでは割愛されています。かわりに、娘の満江を気にするなとか、孫助の郡代への未練や忠兵衛を信じるなという忠告など、義父としての役割がずいぶんクローズアップされています。このあたり、番組の冒頭で失った実父の代わりに、義父の孫助を父として尊敬する想定になっているようです。

それにしても、忠兵衛に太蔵が原の開墾を迫る桑山又助の粘りは、羽太屋万年に開墾を請け負わせることで決着。羽太屋万年さん、えらい切れ者の政商みたい。でも、土地は逃げ出しません、土地を欲しがったとしても、羽太屋から税を取れますというあたり、桑山又助さんもなかなかです。

さて、来週は第6回。忠兵衛が失策をするにはまだ早すぎるような気もしますが、そこはやはりTVドラマですから(^o^)/

■『風の果て』関連記事リンク
(*1):藤沢周平『風の果て』上巻を読む
(*2):藤沢周平『風の果て』下巻を読む
(*3):「ながい坂」と「風の果て」
(*4):NHK木曜時代劇「風の果て」公式WEBサイト
(*5):木曜時代劇「風の果て」第1回を観る
(*6):木曜時代劇「風の果て」第2回を観る
(*7):先週の木曜時代劇「風の果て」第3回
(*8):木曜時代劇「風の果て」第4回を観る
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ネコのスマイル

2007年11月15日 06時33分11秒 | アホ猫やんちゃ猫
暖かくご機嫌のよいときの、わが家の母ネコの表情です。ほんとに気持ちよさそうなスマイル。こんな表情のときは、さすがにアホ猫とかクルミの脳味噌とか可愛い子ぶりっこ猫かぶりとかゲテものハンターとか、揶揄する気分にはとてもなれません。
いえ、上の揶揄は全部が事実無根とは言えず、いずれも根拠のあるものではあるのですが、スマイルに免じて目をつぶろうという気分に、ついなってしまうのです。したがって、私のネコ・アレルギーはいっこうによくなりません。秋は特につらい季節です(^o^)/

さて、今日は木曜日。木曜時代劇の日です。藤沢周平原作「風の果て」第5回、楽しみです。
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郊外ドライブ省エネ運転法

2007年11月14日 06時50分00秒 | Weblog
ガソリンがまた上がりました。色々な原因はあるのでしょうが、ここしばらく高値安定が続いています。通勤に車が必須の田舎では、お財布に痛い出来事です。CDが買えなくなります(^o^)/chigau!
30年を越えるマイカー通勤歴を誇るわたくしといたしましては、郊外ドライブ省エネ運転法を御紹介し、あわせて自分でもいっそうの省エネ安全運転に徹することを再確認したいと思います。

私の郊外ドライブ省エネ運転法の基本は、次のとおり。
(1) 見通しの良さを生かし、先の先にある信号を読み、停止しなくても良いように速度を加減する。急な加速・減速を繰り返すのは、省エネ運転に反する。
(2) 追い越されても怒らない。追い越した車が信号で止まっているところにすべるように近付き、信号が変わって追い越し車がよっこらしょと走り出すとき、こちらは停止せずにすい~と速度を維持するのが理想(^o^)/
(3) 徒歩30分程度の近いところなら、健康のために散歩を兼ねて歩く。車に乗るのは、距離と荷物と同乗者があるとき。

お天気の良い日、郊外のロングドライブは楽しいものです。私の車(日産ティーダ・ラティオ)の最近の燃費はリッターあたり16kmと、1500cc、1.2トンのオートマ車(CVT)にしては、たいへん良好です。ちょいと遠乗りをしたのが影響している模様。通勤の音楽、今週はジャクリーヌ・デュプレの演奏で、シューマンのチェロ協奏曲を聴いております。


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白菜の収穫

2007年11月13日 05時31分45秒 | 週末農業・定年農業
先の週末には、白菜の収穫をしました。老母が丹精した畑の白菜の出来栄えは、今年も立派にできました。結球した白菜を、畑で根元から切り取り、外側の不要な葉を落として、収穫できるようにします。あとは、一輪車で運ぶだけ。およそ150個ほどの白菜を収穫しました。



そのうち10個ほどを、近所の非農家の親戚の家におすそわけをして喜ばれ、老母も嬉しそうにニコニコ。この見事な白菜!老母の収穫を手伝う私たち夫婦も、思わず感動です。年を取って、金銭も名誉もあの世へ持っていけないが、人々の笑顔が人生の喜びだそうです。



手伝う私たち夫婦も健康な汗をかいて、日頃の運動不足を解消しました。畑はいいですねー。散歩はともかく、読書も音楽もブログも、実は運動不足になりがちなのですが、その点から見ても、週末農業は魅力的です。
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オーディオ・アンプが故障?

2007年11月12日 06時18分15秒 | クラシック音楽
外出から戻り、いつものようにオーディオ・アンプ(Pioneer A-UK3)のスイッチを入れて、入力切替えを回したら、なんだかいつもと違う感触です。あれ?おかしいな、と思い、よくよく確かめたら、入力切替えのセレクタがかくかくします。CDやFMやLineなどを切替えることができません。当然、音も出ません。これは困った!

でも、大丈夫。予備のアンプがありました。同じくPioneerのA-O1です。今は不在の子どもの部屋で、子どもと一緒に自作したフォステクスのスピーカを鳴らしていたもの。とりあえず、これで対応して、A-UK3 の修理を急がねばと、ふたを外してみました。要するに、ネジ止めの部品のネジがゆるんでいただけの話(^o^)/
電気的な故障ではなく、機械的な脱落でしたので、簡単に復旧できました。



で、再びアンプを設置するのに時間切れ。次の機会まで、しばらくA-01で聴くことにしましょう。R.シュトラウスの「ドン・キホーテ」、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による、目のさめるような素晴らしい演奏です。
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セルとクリーヴランド管でシューマンの交響曲第3番「ライン」を聴く

2007年11月11日 07時08分11秒 | -オーケストラ
このところ、通勤の音楽で毎日聴いているシューマンの交響曲第3番「ライン」、実は11月の山形交響楽団の定期演奏会の演目です。ブラームスのセレナード、クララ・シューマンのピアノ協奏曲、そして「ライン」交響曲というプログラム。当「電網郊外散歩道」では、これまでも一度取り上げております(*1)が、この冬にほぼ30年ぶりに再会し入手した、セルとクリーヴランド管弦楽団の演奏では、まだでした。

セルとクリーヴランド管の演奏、実に自然で、快い速さです。特に第1楽章のテンポは爽快で、音楽の表情が実に生き生きとしています。第2楽章のスケルツォも、精緻なリズムの上に、金管群がバランスの取れた響きを聴かせ、ちょっと民族音楽風の要素もある、さわやかな音楽になっています。第3楽章も、テンポはわりに速目なのですが、どこか平和で牧歌的な音楽。重くなく、軽やかさがある点は、このコンビの特質でしょう。第4楽章、冒頭の音の力強さにはただ驚くばかり。充分に落ち着いたテンポで、壮麗さを見事に表現しえていると思います。終楽章、やはり快速テンポで、はぎれよく精妙なリズムと、よくコントロールされた音色とバランスを堪能することができます。

この演奏の特質は、テンポと響きのバランスにあるように思います。この速目のテンポを全く自然で快適に感じるのは、デビュー以来ずっとシューマンの交響曲作品の擁護者であったセルの解釈の、作品に即した合理性を意味するものでしょうし、管楽器群の中でも、それぞれの楽器のバランスがよくコントロールされており、透明な響きを確保できていることを表しているものと思います。言葉にすれば当然のことのように思いますが、その音楽的な完成度は驚くべきものです!

録音は1960年10月21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールで行われています。ちょうどシューマンの生誕150年のメモリアル・イヤーに際し、CBSにより集中的に取り組まれた一連の録音の一つのようです。SONY SRCR-2546、「春」と「マンフレッド序曲」が併録されており、どちらも素晴らしい演奏です。

もう一つ、クーベリック指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏は、ゆったりした呼吸の、気宇の大きいもので、特に第5楽章の壮麗な気分は格別です。スウィトナー盤とともに、遅目のテンポの演奏を聴きたい気分の時によく手が伸びます。1979年5月、CBSにより、ミュンヘンのヘラクレス・ザールで集中的に行われた録音セッション、こちらも、素晴らしい演奏です。

■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
I=9'13" II=6'16" III=5'09" IV=5'46" V=5'50" total=32'14"
■クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
I+II=16'25" III+IV=12'45" V=5'50" total=35'00"
※LP全集(69AC839-841)による。全集分売CDには、残念ながらこうした演奏・録音データの記載はありませんが、LPの解説はたいへん充実しています。

(*1):シューマンの交響曲第3番「ライン」を聞く~「電網郊外散歩道」
参考までに、この記事では以下のCDの演奏を取り上げております。
■スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ
I=10'40" II=6'46" III=6'39" IV=5'22" V=6'30" total=35'57"
■ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団
I=11'02" II=6'10" III=5'50" IV=5'48" V=6'18" total=35'08"

写真は、左側カートン箱LPとその下のCDがクーベリック盤、右側のCDは、上からセル指揮クリーヴランド管、スウィトナー盤、ローベルト・ヘーゲル(ハーガー)盤です。
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藤沢周平「風の果て」の舞台のことなど

2007年11月10日 07時49分05秒 | -藤沢周平
藤沢周平『風の果て』は、太蔵が原に水を引き、5000町歩の稲田を拓く話が背景になっています。太蔵が原は、水さえ引ければ豊かな実りが約束されているのですが、うかつに水路を引くと、鉄砲水を引き起こし、災害の元になってしまいます。そのために、オランダ流の技術(*1)を身に付けた若い町見家の田口半平が登場し、この工事の成功によって、隼太は出世街道を上りはじめるわけですが、実はこの堰工事にはモデルがあったようです。
私も、はじめのうちは米沢の上杉鷹山の時代に作られた、黒井堰や穴堰あたりがモデルかと思っていたのですが、実は庄内にあるのだそうです。それがこの天保堰(*2)です。

(*1):当時のオランダは、低地河川改修の技術は優れたものがあったようですが、山間部のトンネル技術などはどうだったのか、疑問もあります。これは、あくまでも蘭学を通じて入って来ていた西洋の測量技術と理解するべきでしょう。『京都インクライン物語』と『日本の川を甦らせた技師デ・レイケ』~「電網郊外散歩道」より
(*2):『風の果て』作品の舞台~asahi.com

地元鶴岡市の「藤沢周平文学愛好会」の松田静子さんが、「水の恵み」と題して、この天保堰のことを紹介(*3)しています。
(*3):藤沢周平・書籍作品あれこれ「水の恵み(2)」~松田静子さん

「風の果て」については、以前コメントをいただいたこともある「たーさん」の充実した「藤沢周平データベース」に、興味深い文章(*4~*6)が掲載されております。
(*4):『風の果て』の年代~たーさんの藤沢周平データベースより
(*5):『風の果て』の五日間~たーさんの藤沢周平データベースより
(*6):『風の果て』市之丞の真意~たーさんの藤沢周平データベースより

いずれも、たいへん興味深いものばかり。最後の「市之丞の真意」については、一蔵を殺害したことをひきずっている市之丞が死病に罹ったことを自覚し、「どうせ死ぬならあいつの手にかかって」という気持ちがあったように思います。偏屈な市之丞には、友を殺した自分と同じ悔いを、隼太も味わうようにさせたい、という意地悪な気分もあったかもしれません。
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木曜時代劇「風の果て」第4回を観る

2007年11月09日 06時26分07秒 | -藤沢周平
先週は残念ながら前半を見逃してしまった木曜時代劇「風の果て」ですが、昨日は万難を排して夜7時前に帰宅、DVDに録画をしながら観ました。
今回のあらすじを、番組ホームページでは、

妻の満江(石田えり)が出産間近の夜、桑山隼太(佐藤浩市)は杉山忠兵衛(仲村トオル)から殿の用人牧原(黒沼弘巳)の護衛を頼まれる。国境まで牧原を送る。牧原は父孫助(蟹江敬三)を高く評価して『隼太に優秀な測量家を派遣する、太蔵が原を開墾せよ』と言う。と、小黒勝三郎(三上市朗)と刺客に囲まれる。守りきれるか! と突然、市之丞(遠藤憲一)が現れ、刺客三人を斬って勝三郎らを蹴散らして消える。長男が産まれる…。

と紹介しております。

この脚本では、野瀬市之丞がかなり丁寧に描かれているように感じます。原作でも、市之丞と隼太とは、一方の転落と他方の出世として対照的に描かれていますが、その対比が鮮明なだけに、不遇な野瀬市之丞の切ない心情に同情する人も多いことでしょう。

それにしても、類という女性は、理解の外です。仮にもしばらく一緒に暮らした一蔵の最後について問い質すために、市之丞のもとを訪れ、そこで同棲してしまう。これはもう、宇宙人としか言いようがない。魔女に魅入られたような一之丞は、全くお気の毒です。そのすさんだ生活の中で、隼太の病死した長男にお悔やみを言う気づかいを見せるのですが、このあたりは原作には全くない、今回のテレビドラマ化に際して脚本家が創作した功績の一つでしょう。

もう一つ、はじめて登場した政商羽太屋万年が、今後どんなふうに描かれるのかも楽しみです。今の御時世を思えば、悪役に描かれるのでしょうし、太蔵が原を開墾するために政商と組む隼太の描き方も興味深いものがあります。

原作にある妻満江さんの超わがままぶりがドラマではすっかり影を潜め、夫の出世など願わず家庭の平和を願っている女性、と毒気を抜かれておりますが、これは原作を知る者に取っては笑止なほどです。やはり、原作を知らずにテレビではじめて接するお茶の間の御婦人方のパワーを恐れた結果なのでしょう。

余談ですが、妻の出産の時には、私は二度とも遠く離れたところにおり、立ち会うことはかないませんでした。末の子の時だけ、私が病院まで連れて行きました。妻が満江さんなら、私などとっくに離縁されてますね(^o^)>poripori

写真は、散歩道に流れる農業用水です。水があれば田畑は潤いますが、残念ながら今は働く若い人がいません。

■『風の果て』関連記事リンク
(*1):藤沢周平『風の果て』上巻を読む
(*2):藤沢周平『風の果て』下巻を読む
(*3):「ながい坂」と「風の果て」
(*4):NHK木曜時代劇「風の果て」公式WEBサイト
(*5):木曜時代劇「風の果て」第1回を観る
(*6):木曜時代劇「風の果て」第2回を観る
(*7):先週の木曜時代劇「風の果て」第3回
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先週の木曜時代劇「風の果て」第3回

2007年11月08日 05時54分28秒 | -藤沢周平
先週、結局ほとんど見逃してしまった木曜時代劇「風の果て」第3回「春雷」ですが、DVDに録画できた最後の部分だけ、ちらりと見ることができました。
NHKの本番組ホームページ(*)によれば、

第3回「春雷」(11月1日放送予定)
 太蔵が原の開墾が始まり、桑山隼太(福士誠治)は開墾の手伝いを命じられる。出発の前夜、宮坂一蔵(三浦アキフミ)が妻・類(涼風真世)の不倫相手を斬って脱藩する。脱藩は死罪、市之丞(高岡蒼甫)が討手に選ばれて一蔵を追う。五年前、一蔵の祝言なぜ止めなかったのかと、隼太は深く悔やむ。開墾は困難を極め、ついに大雨で山崩れを起こして開墾中止となる。翌年春、孫助(蟹江敬三)は隠居し、隼太は郷方回りを二年間勤める…。

という内容だったそうで、なんとも残念!な回でした。
私が見ることができたのは、一蔵の死に隼太が深く悔やむ場面から。そして二人目を身ごもった満江さんが、上村の家で、ふきとの関係に気づくシーンなど。
本日の第4回が楽しみです。

(*):木曜時代劇「風の果て」ホームページ
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モーツァルト「ピアノ協奏曲第24番」を聴く

2007年11月07日 06時59分46秒 | -協奏曲
携帯CDプレイヤーというのは便利なものです。まず、前もって録音しておくという必要がありません。手近なCDをぽんと入れて、小さなショルダー・バッグに放りこみ、首掛け式のイヤホンで聴きます。デジタルカメラも一緒に入れてちょうどよい大きさのショルダー・バッグは、ずっと昔から使っているもので、たしか千葉そごうで購入した婦人用のもの。1970年代末に、長~いマフラーと一緒に流行したもので、当時のお気に入りでした。肩掛けのひもが切れそうになっても糸で補強して(!)まだ使っております。

さて、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番ハ短調、K.491を聴いています。

第1楽章、アレグロ。緊張感のある風変わりな音での開始。第1主題はオーケストラが提示して、ピアノがなかなか入って来ません。ピアノが第2主題を奏すると、今度はピアノが一躍主役になります。中間部でもピアノが活躍して盛り上がります。美しく緊張感のあるカデンツァは、エドウィン・フィッシャーによるものだそうです。
第2楽章、ラルゲット。一転してのどかな旋律をピアノが奏でると、オーケストラがこれを反復します。ファゴットやオーボエなど木管がピアノと対話するところなど、シンプルな旋律ながらニュアンスがあり、なんとも見事です!
第3楽章、アレグレット。ハ短調。オーケストラが主題を提示し、ピアノが登場。たんにコロコロところがる自然な音階ではなくて、全曲に通じる不思議な和音が分解されたような、半音階的な表現なのでしょうか。変奏の場面でも、木管とピアノの対話の場面がたいへん多く、音色の対比も考えられているのかな、と思います。何度聴いても飽きない、見事な音楽です!

編成は、Fl(2),Ob(2),Cl(2),Fg(2),Hrn(2),Tp(2),Timp,弦5部、となっており、充実した協奏曲にふさわしい、ほぼフル編成です。

ピアノはアンネローゼ・シュミット、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。ピアノの音は力強く美しく、オーケストラの音も自然で明瞭。東独ドレスデンのルカ教会で、1971年に録音されています。当時のことですから、もちろんまだアナログ録音ですが、ルカ教会での収録は、自然な響きが好ましく感じられます。本全集の製品番号はDENONのCOCQ-84097~105で、ほとんど50ページ近い、充実した解説書が添付されております。LP発売にあわせ、海老沢敏氏が1974年から79年にかけて書かれたようで、CD化にあわせて1991年に一度補筆され、2006年に再補筆されておりますので、信頼度はさらに高まっているものと思われます。こういう全集の場合、日本語の解説パンフレットの充実は、たいへんありがたいものです。

■アンネローゼ・シュミット盤
I=13'18" II=7'05" III=10'17" total=30'40"
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野菜畑の出来具合は

2007年11月06日 06時42分04秒 | 週末農業・定年農業
老母が丹精した野菜畑の出来具合は、今のところ良好のようです。青菜、白菜、キャベツ、大根、カブなど、いずれも元気良く成長しております。

漬物用に青菜を収穫しました。ずらりと並んだ青菜を干して、丸ごと漬け込んで青菜漬とするほか、刻んで大根などの野菜と混ぜて漬ける「近江漬け」などにも用います。こちらはもう食べておりますが、新米のごはんとともに、たいへん美味です。



こちらはカブです。千枚漬けのように漬けるほか、ニンジンなどとともに細切りにして、うす塩味でサラダにして食べます。



いやあ、しかし田舎だなぁ。見渡す限り畑、視界に都会の姿は全くない。



これだけで生計を立てるのはしんどい話ですが、生活の不安がなくてやってみると、畑も面白いものです。田舎に住む幸せを感じます。ウォークマンなどは、こういうところでこそ役立ちます。晴耕雨読・年中音楽、退職後の楽しみの一つです。
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ドヴォルザークの『弦楽セレナード』を聴く

2007年11月05日 06時41分36秒 | -オーケストラ
昨日の日曜日、おだやかなお天気で、地域では文化祭が行われました。公民館には多勢の人々が集まっており、絵画や書、手芸作品、遺跡出土物の解説など、多彩な展示を見てきました。妻は婦人会の役割でだんご販売を担当するとのこと、売り上げに協力して、げっぷが出るほどたくさん買い過ぎてしまいました(^o^;)>poripori

公民館の行き帰り、散歩がてら聴いた今日の音楽、ドヴォルザークの弦楽セレナードは、当ブログの最初期に、プラハ室内管弦楽団の演奏を、通勤の音楽として取り上げたことがあります。その後、クーベリック指揮のイギリス室内管弦楽団の演奏なども入手し、好んで聴いてきました。

第1楽章、モデラート。静かにそっと忍び入るような始まり。ふっくらとやわらかで優しい音楽です。
第2楽章、Tempo di Valse. ワルツのテンポで、と訳すのでしょうか。クーベリック盤では Menuetto. Allegro con moto - Trio と表記されています。どうも、使用する楽譜の版が違うようです。どこかスラブ舞曲ふうの、懐かしさを感じさせるような旋律が反復され、思わず引き込まれます。
第3楽章、スケルツォ、ヴィヴァーチェ。テンポの速い生き生きとした主題が輪唱風に追いかけます。後半は雰囲気が変わり、おだやかで親密。でも弦楽の響きは一貫してふっくらとやわらかです。
第4楽章、ラルゲット。深く優しく包み込むような夜想曲ふうの音楽です。BGMとして深夜放送あたりに使ったら、番組の好感度がアップするかもしれません。それとも、どこかでもう使われているのかな?
第5楽章、フィナーレ、アレグロ・ヴィヴァーチェ。活気ある音楽。第1楽章の主題が繰り返され、コーダに入って盛り上がって終わります。

本作品は、ドヴォルザークが交響曲第5番を完成した時期でもある1875年に、ごくわずかな期間で作曲されたとのこと。少し前に結婚したばかりでもあり、ブラームスと知り合い、オーストリア政府からそれまでの年収のニ倍もの奨学金が受けられたことなど、幸せが反映したような静かで平和な音楽です。この音楽を聴く方も、なんだか幸せな気分になります。

指揮者を置かないプラハ室内管弦楽団の演奏(DENON COCO-70717)は、1993年6月にプラハのルドルフィヌムでデジタル録音されています。弦楽の響きがたいへん美しい録音です。クーベリック盤(Gramophon POCG-9693)は、1969年5月にロンドンで録音されたもので、もちろんアナログ録音です。最新録音の鮮明さはありませんが、全体にやや速目のテンポで演奏される音楽に不満はありません。

■プラハ室内管弦楽団
I=4'13" II=6'30" III=5'46" IV=5'51" V=6'02" total=28'22"
■クーベリック指揮イギリス室内管弦楽団
I=4'28" II=6'17" III=5'21" IV=5'03" V=5'49" total=26'58"

写真は、散歩コースに近い農業用水の水路です。きれいな水が流れ、晴天時にはたいへん気持ちがいいです。
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吉村昭『間宮林蔵』を読む

2007年11月04日 07時17分45秒 | -吉村昭
野暮用で出かけた東京往復の車中、講談社文庫で吉村昭著『間宮林蔵』を読みました。間宮林蔵というと、樺太と大陸との間に間宮海峡を発見した、江戸時代の北方探険家というほかに、幕府の隠密としてシーボルト事件では悪役となっていることくらいしか知りませんでした。でも、吉村昭氏が取り上げているのだから、きっと面白いだろうと信じて読み始め、その期待は今回も裏切られませんでした!

物語は、文化四年、エトロフ島でロシア軍艦の襲撃に遭遇するところから始まります。激しい砲撃の中、戦闘らしい戦闘もせずに、恐怖にかられて退却する武士たちの弱腰を批判する間宮林蔵は、百姓の子ながら測量助手を経て下級武士となっていました。林蔵は、責任を問う幕府の取り調べに対しても、撤退に反対したことを主張し、責任を問われることなく、かろうじてお構いなしとされました。この一件は、後々まで彼の自己防衛的な姿勢のもとになったようです。

さて、北方の防衛には地図が必要となることから、林蔵は北方探検の必要性を訴え、認められます。アイヌの生活を研究し、彼らの言葉を知り、厳しい冬を乗り切る食生活にも慣れて、樺太北部の調査に向かい、成功するまでが第一部です。これは、ただ単に樺太北部を踏査しただけではなく、海峡を越えてギリヤーク人や山丹人の住む東韃靼に渡り、清朝に貢納する状況も詳細に報告しています。

その後、伊能忠敬に師事して北海道の地図を完成し、伊能の日本地図とあわせて日本全図を完成します。北方の専門家として重用されるようになったことに加えて、幕府の隠密として働くようになります。シーボルト事件は、一面識もないシーボルトからの贈り物を上司に報告したことが発端となり、幕府がひそかに内偵を進めていたところへ、折からの台風で座礁した外国船内から、国禁の物品や日本地図等が発見されたことから、大きな事件へと発展したものでした。このあたりは、間宮林蔵側からの見方を知ることができます。

はじめは外国船打ち払いを主張する強硬派だった間宮林蔵も、経験と認識を深めるにつれて柔軟になり、江川太郎左衛門や渡辺華山らと交わり、開明的な理解を示すようになります。蛮社の獄を推進した鳥居耀蔵の走狗のような理解は、どうも誤りのようです。

伊能忠敬にしろ間宮林蔵にしろ、家庭的に恵まれない晩年を送ります。長い年月をかけて歩いて地図を作るという仕事の性格上、家庭的な役割を期待することはできません。地域に定着し、ローカルな域内で暮らす私には考えられないような生活。本書により、間宮林蔵のイメージがだいぶ変わりました。
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飯森範親+山響のブルックナー4番のCDが出るらしい

2007年11月03日 06時38分29秒 | クラシック音楽
山形交響楽団音楽監督の飯森範親さんは、世界各地で活躍中ですが、ご自身のWEBサイト(*1)にリンクしたブログで、日々の出来事を綴っています。携帯電話による投稿も多いようで、ブログの機能を生かした解決法かもしれません。

その中で、朗報が一つ。
飯森範親指揮山形交響楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲第4番のCDが出る(*2)そうです。現在編集作業中とのこと。発売日が決まれば、また報告があることでしょう。既発売のシューマンやハイドン、R.シュトラウスとビゼーのCDも良かったので、こちらも楽しみです。

また、飯森さんは11月16日(金)の夜、NHK芸術劇場に出演予定(*3)とか。花の金曜日、予定は不明ですが、なんとか録画で乗り切りましょう。

(*1):イイモリノリチカドットコム~指揮者 飯森範親 オフィシャルページ
(*2):山形交響楽団によるブルックナー交響曲第4番『ロマンティック』!~シェフ範親の窓
(*3):11月16日、NHK芸術劇場出演決定!~シェフ範親の窓
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通勤の音楽と近況

2007年11月02日 06時35分47秒 | Weblog
東京からようやく戻り、公私ともになにかとばたばたしております。電車の中では、講談社文庫で吉村昭『間宮林蔵』を読みました。老父は定例の検査入院のはずが、ちょいと長引きそう。息子も具合が悪いということでしたが、こちらはずぼらな生活の立て直しが必要(^o^)/

昨日の木曜時代劇、藤沢周平原作の『風の果て』は、とうとう観られませんでした。最後のほうだけ録画できましたが、予定外に帰宅が遅れ、残念無念。

最近の通勤の音楽は、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、シューマンの交響曲第3番「ライン」を聴いております。SONYの正規盤。いつものことながら、前向きで見事な演奏に感銘を受けております。携帯CDプレイヤーには、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番と第25番のCDが入っておりまして、こちらも外出時に時々聴いております。

写真は、山形市の文翔館前の噴水です。三つの岩は県のシンボルマークをデザインしたもののようで、ほぼ昨年同時期の撮影です。
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