電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」を聴く

2013年09月22日 06時02分16秒 | -協奏曲
ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」と一緒に組み合わせて通勤用に作成したCD-Rで、サンソン・フランソワのピアノ、アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団による演奏を聴いています。著作隣接権の保護期間が満了し、パブリック・ドメインとなった1959年のステレオ録音(*)ですが、これがなんとも素晴らしい。

若い頃には、もっぱらフトコロ具合が理由で、廉価盤を中心に楽しんでいたため、こういう当時のレギュラー盤に親しむことは難しく、この年齢になってはじめて、その真価を知るなどという経験をしております。そんな経験は残念なことでも何でもなく、人生にはむしろよくあることなのでしょう。公共の財産になるということは、一般の音楽愛好家が、それまで出会うことのなかった名演奏・名録音と出会う機会となるということを意味するのかもしれません。

第1楽章:アレグラメンテ。
第2楽章:アダージョ・アッサイ。
第3楽章:プレスト。

朝は、ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」を聴きながら渋滞前の通勤路を疾走し、帰路は夕暮れの速さを感じながら、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」を聴きながら、やや渋滞ぎみの道路をのんびりと走るとき、この曲の、少しばかり憂鬱さを感じる第二楽章にひどく共感したりします。「のだめカンタービレ」の映画で、ライバルの女性ピアニストが千秋センパイとこのコンチェルトを共演し、のだめチャンがあせる場面がありましたが、曲はこのラヴェルの協奏曲でした。あの演奏は、実際は誰が弾いていたのでしょう?

手元には、他にアルゲリッチ(Pf)とアバド指揮ベルリンフィルハーモニーによるLPとCD(DG:UCCG-5116)があります。LPのほうは、プロコフィエフのピアノ協奏曲が目当てで購入したものですが、CDのほうはラヴェルの作品ばかり集めたものでした。アルゲリッチは、全体に落ち着いたテンポで、第二楽章も静かに優しく優雅に演奏しています。このあたり、サンソン・フサンソワ盤では第二楽章の旋律を実にくっきりと浮かび上がらせ、一種の孤独感を際立たせます。クリュイタンスの指揮も、ところどころで木管を浮かび上がらせ、実に印象的です。

参考までに、演奏データを示します。ただし、サンソン・フランソワ盤のほうは、PCの再生ソフトのタイム表示をもとに、演奏時間を計りました。
■サンソン・フランソワ(Pf)、クリィタンス盤
I=7'38" II=8'34" III=3'49" total=20'01"
■アルゲリッチ(Pf)、アバド盤
I=8'10" II=9'03" III=3'52" total=21'05"

(*):YouTube に、この演奏がありました。




さて、本日は村山市の東沢バラ公園にて、山形弦楽四重奏団の演奏会の予定。毎年のことながら、これが楽しみです。


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2 コメント

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フランソワのラヴェル (望 岳人)
2013-09-23 14:54:05
フランソワのラヴェルということで調べたところ2004年の記事で触れているものがありましたので、そちらからトラックバックさせてもらいました。私にとっては初めてネットで購入した記念すべきボックスセットでありました(^_^;)「のだめ」の原作でも印象的な使われ方をしましたね。こちらの記事に刺激されて、久しぶりに聴いております。アルゲリッチ盤には縁がなく(プロコフィエフ3番の方はオムニバス盤で入手したのですが)、他にはティボーデというピアニストのものを聴いております。
望 岳人 さん、 (narkejp)
2013-09-23 19:22:02
コメント、トラックバックをありがとうございます。サンソン・フランソワというピアニストは、これまであまりご縁がなく、今回のラヴェルではじめて真価を知りました。素晴らしい演奏ですね。何を今頃と言われそうですが、それもパブリック・ドメインの恩恵の一つです。
アルゲリッチのLPは、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番がお目当てで入手したもので、こちらはずいぶんイキのいい演奏でした。もっとも、アルゲリッチ自身がまだ若かったし、アバドも若いです(^o^)/

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