電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第258回定期演奏会でモーツァルト、ベートーヴェンを聴く

2017年02月06日 06時03分11秒 | -オーケストラ
先週の雪もだいぶ融けて郊外の道路も走りやすくなった日曜の午後、山形テルサホールにて山響こと山形交響楽団(*)の第258回定期演奏会を聴きました。

会場に到着すると、まさにロビーコンサートが始まろうとする頃で、溝邉奈菜(Vn)、田中知子(Vla)、渡邊研多郎(Vc)の3人によるベートーヴェン:「弦楽三重奏のためのセレナード ニ長調Op.8より」4曲です。演奏の様子は人の頭越しでほとんど見えませんが、音はしっかり聞こえますので、程よくロマンティックな気分になりながら、おそらく若い頃のベートーヴェンの作品を楽しみました。

さて、今回は「湧き上がる喜びの歌〜ウィーンの楽興の時を届けるライナー・ホーネック」と題して、ウィーン・フィルのコンサートマスター、ライナー・ホーネックさんのヴァイオリンと指揮で、モーツァルトとベートーヴェンのプログラムです。

  1. W.A.モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲K.527
  2. W.A.モーツァルト セレナード第6番ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」K.239
  3. W.A.モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」K.219
  4. L.V.ベートーヴェン 交響曲第8番ヘ長調Op.93
      指揮・ヴァイオリン:ライナー・ホーネック
      演奏:山形交響楽団、コンサートマスター:犬伏亜里

恒例のプレ・コンサート・トークは、山響のヤンネ舘野さんの通訳を介して、西濱事務局長がホーネックさんに質問をします。ホーネックさんは、歌うこと、サウンドとアーティキュレーションを大切にしているそうで、今回のベートーヴェンの8番の魅力については、優しくあたたかい、フレンドリーな曲だが、演奏するのは(とくに弦楽器奏者にとってフィナーレは)かなり大変なのだそうです。山響の印象は、美しい音で野心(ambition)を感じるオーケストラだとのこと。ふーむ、Boys be ambitious! といいますからね、山響など地方オーケストラはそうでなくっちゃ!
その証拠に、文化庁の補助金だけでなく、今回は山形食品やシュープラザさんの協力を得て、小学生30名を招待しているとのこと。それは実に素晴らしいことだと思います。未来を作ろうとする野心は、称賛と応援に値すると思います。

さて、最初の曲は「ドン・ジョヴァンニ」序曲。ステージ上の配置は、弦楽が左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、ヴィオラ(5)、チェロ(5)、その右奥にコントラバス(3)という形で、正面奥にフルートとオーボエが各(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)の木管楽器、最奥部にホルン(2)、トランペット(2)の金管楽器が位置し、その右側にバロック・ティンパニが並びます。いわゆる二管編成の通常配置です。
演奏開始:モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲の劇的な始まりにぐいっと引きこまれ、途中の軽やかなところでは内側から湧き上がる音楽を感じます。

次の「セレナータ・ノットルノ」は、指揮台を取り払い、弦楽セクションの間にホーネックさんとヤンネ舘野さんがVn、その右に柳沢さん(Cb)、たぶん客演の方(Vla)の4人が立奏で、久良木夏海さんと小川さんがVcパートの先頭に並んで座ります。聴いているほうも演奏しているほうも楽しそうなセレナードです(^o^)/

ソロはホーネックさんだけが残り、後の人たちは本来のパートに戻って、管楽器としてオーボエとナチュラルホルン(各2)が座り、モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第5番」です。独奏ヴァイオリンの優しく美しい音に魅了され、山響の音にもあらためて聴き惚れました。

休憩の後は、ベートーヴェンの交響曲第8番。ずっと前に(*2)、

従来は、文筆家が好んだためでしょうか、暗く悲劇的な音楽が人気が高い傾向があったように思いますが、近年は「のだめカンタービレ」の影響でしょうか、こうした活力に富む晴朗な音楽も好まれるようになっているように思います。

と書いたことがありますが、個人的にもこういう晴朗な音楽が好ましいと感じるようになっています。ホーネックさんの指揮ぶりは、流麗と言うよりは誠実なタイプと見ましたが、内側から湧き出てくるような音楽です。3楽章の、VcとCbをバックにHrnとClがやりとりする室内楽みたいなところに、えらく心惹かれましたし、第4楽章フィナーレの明快さにも共感。いや~、いい音楽を聴いたな~!というのが感想です。



と思ったら、アンコールにベートーヴェンの「ロマンス第2番」を。なんと!まるまる1曲分トクした感じです(^o^)/ 山響とライナー・ホーネックさんの共演でベートーヴェンの「ロマンス」を聴けるなんて、思ってもみませんでした。予想以上に大勢のお客さんも、きっと満足していただけたのではないでしょうか。もちろん、私も大満足でした!




(*):山形交響楽団公式WEBサイト
(*2):ベートーヴェン「交響曲第8番」を聴く~「電網郊外散歩道」2008年1月


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