電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

五十嵐佳子『つや姫』を読む

2012年03月22日 06時04分20秒 | -ノンフィクション
少し前に、新聞の読書らんで、五十嵐佳子著『つや姫』という本の紹介を読み、興味を持っておりました。「10万分の1の米」という副題を持つ、角川フォレスタ刊の単行本です。帯には、こんな言葉が踊っています:

10万分の1粒が生んだ、コシヒカリを超える米!
山形県庁・JA・生産者が一丸となった、新ブランド米誕生までの軌跡ー!!
老舗料亭「菊乃井」、人気イタリアン「アル・ケッチャーノ」ほか、プロが認める〈白さ・つや・甘み〉!

我が家でも、少しばかり田んぼがありますが、勤め人では稲作まで兼業はできず、委託してお米を作ってもらっています。「はえぬき」も美味しいお米ですが、「つや姫」を食べると本当に美味しい!初めて食べた時のことを記事(*1)にしています。

本書は、NHK-TVの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の作者で山形県出身の五十嵐佳子さんによる、「つや姫」誕生レポートです。たいへん読みやすく、熱気が伝わってくるようです。本書の構成は次のとおり:

はじめに
第1章 米どころ山形の悲願
第2章 米つくりの相場
第3章 「日本一のブランド米」を目指して
第4章 「つや姫」を育んだ手
第5章 「売れるものを作る」農業の時代
おわりに

理系人間としては、やはり新品種が作られるまでの、開発の現場が興味深いところです。「つや姫」の生みの親と言うべき設計スタッフの中心メンバー・結城和博さんは、水稲の品種開発のために、内陸の山形市から日本海側の旧藤島町(現鶴岡市)の県水田農業試験場に、一家そろって移り住み、育て上げたのだそうです。現代の技術でも10年の歳月をかけて生み出された新品種の誕生に関わった結城さんの言葉:

先輩から教えられた言葉が私の座右の銘です。「品種育成は、駅伝で言う"たすき渡し"。長く時間がかかるものだから、人から人へつないでいくことが最も大切だ」と。私たちがやっていることは、阿部亀治や阿部次郎兵衛、森屋正助といった先人から連綿と連なっています。より美味しく、より栽培しやすく、冷害や暑さにも強い米を目指して、長い長い時間をかけ、多くの人が尽力した結果、誕生したのが「つや姫」と言えます。(p.22)

これは深い言葉です。明治の阿部亀治翁が見付け、選抜した「亀ノ尾」から、ずっとずっと連なる遺伝子のプールの中から、多くの人々が見つけ出し、加えてきた様々な品種のリストの中に、さらに優秀な「つや姫」が加わったことになります。吉村美栄子知事がモデルになっている「つや姫」のポスターがほしいと言ったら、妻におこられるでしょうか(^o^)/

(*1):「つや姫」は美味しい!~「電網郊外散歩道」2010年10月


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