電網郊外散歩道

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フルネ「オネゲル作品集」を聞く

2006年04月22日 09時53分38秒 | -オーケストラ
ひさびさに陽光ふりそそぐ休日の朝、早起きしてコーヒーをいれ、音量ひかえめに音楽CDを聞きました。ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団による「オネゲル作品集」(DENON COCO-70425)です。
私はオネゲルの深刻な交響曲第3番を好んで聞いており、以前記事にした(*)こともあります。
(*):オネゲルの交響曲第3番「典礼風」を聞く
少し前に、Schweitzer_Musikさんが、オネゲルの作品を楽譜つきで詳細に解説(*2)されておられて、興味深く読みました。
(*2):「鎌倉スイス日記」
素人音楽愛好家にすぎない私には、管弦楽法の分析などは「ネコに小判、豚に真珠」の類でしょうが、好きな音楽CDをあらためて取り出して、別の角度から聞くきっかけになるという点で、たいへんありがたいものです。

「ラグビー」「パシフィック231」などの管弦楽の見事さは上記の記事のとおりですが、とくに今回は「コンチェルト・ダ・カメラ」という室内協奏曲がたいへん気に入りました。解説によれば、この音楽、もともとは1948年にバークシャー音楽祭で初演された「フルート、イングリッシュ・ホルンとピアノのための室内ソナタ」が原曲とのこと。これが評判が良いので、作曲者は同年秋に室内協奏曲に書き直したのだそうです。

第1楽章、アレグレット・アマービレ。アマービレという指示はどんな意味なのでしょう。20世紀の音楽らしい、独特の響きを持つ弦楽合奏に始まり、イングリッシュ・ホルンとフルートが軽やかな音楽を奏します。なるほど、室内協奏曲です。しかも、ヴァイオリンとヴィオラならぬ、フルートとイングリッシュ・ホルンのための二重協奏曲。この二つの木管楽器の音色の取り合わせが絶妙です。
第2楽章、アンダンテ。低音弦が重苦しく始まり、フルートとイングリッシュ・ホルンが半音階的な透明なメロディをゆったりと奏します。一種、不思議な音の世界です。
第3楽章、ロンド、ヴィヴァーチェ。一転して、やや速めの活発なロンド。ヴィヴァーチェという指示はあるものの、それほど晴れやかで開放的な気分ではありません。「パシフィック231」等だけを聞けばマッチョ指向(?)の作曲家と思いがちですが、室内楽に近い、なんとも知的な終わりかたです。

それにしても、オネゲルといいプーランクといい、木管楽器の使いかたが実に上手だと感じます。フランス語の発音が、木管楽器みたいなものかもしれません。
1993年、オランダのヒルヴェルスムのミュージック・センターでの明晰で暖かみのあるデジタル録音。ジャン・フルネ指揮の「ラグビー」「パシフィック231」「夏の牧歌」「交響曲第3番 典礼風」などを収録したこのCDは、1枚全部、演奏録音ともにすばらしい内容だと感じます。
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6 コメント

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私もオネゲルを (よし)
2006-04-22 17:15:57
こんんちは

私もSchweitzer_Musik先生の講義を興味深く読んでいます。楽譜は分からなくても作曲家の意図とその効果を説明されますと漫然と聴いるのが申し訳なく思います。カラヤンの2,3番はあるのですが若いときにチェコ・フィルのLPで感銘を受けた5番「3つのレ」が聴きたくて今CDを注文しています。今度はデユトアですが。
クリュイタンス (みー太)
2006-04-22 20:42:51
narkejp様 こんばんは

ご無沙汰しております。私も先月末にこの曲を、クリュイタンス氏の演奏で挑戦してみました。でも私には難しくて、なかなか直ぐには楽しめる曲ではありませんでした。

 こうしてnarkejp様がこの曲を取上げて頂いて、再び挑戦しようと意欲が沸いて来ました。
TB、ありがとうございました! (Schweizer_Musik)
2006-04-22 20:52:44
私のようなマイナーな記事にコメントを下さり、ありがとうございました。コンチェルト・ダ・カメラは良い曲ですよね。

オネゲルは「夏の牧歌」という美しい曲があり、個人的には最も好きな曲です。コンチェルト・ダ・カメラはその次くらいかな。交響曲などはあまりに凄すぎて、親しく「好き」なんて中々言えそうにありません。第五番は、やはり傑作中の傑作でしょうね。
よし さん、 (narkejp)
2006-04-23 09:38:26
コメントをありがとうございます。オネゲルの曲の記事に、複数のコメントをいただくとは思いもよりませんでした。

交響曲第5番「三つのレ」、デュトワの演奏ですね。私はLPで聞いておりますが、まだ若いデュトワの颯爽とした姿が、ジャケット写真に大きく掲載されており、「うわ~、若い!」と思わず声を上げたくなります(^_^)/

みー太さん、 (narkejp)
2006-04-23 09:45:18
コメントをありがとうございます。

20世紀半ばの音楽というと、第二次世界大戦の影響もあり、深刻なものが多いですが、こういう佳品もあるということを、フルネさんが紹介してくれているのかな、と思います。

有名曲ばかりを何度も再録音するのとは違い、演奏家の方々も、経済的にペイするのかという企業的な観点と折り合いをつけながら、曲目を選定しているのかな、と思ったりします。

Schweitzer Musik さん、 (narkejp)
2006-04-23 09:52:26
コメント、トラックバックをありがとうございます。「夏の牧歌」も同CDに収録されており、あらためて聞いております。こんな風に色々なきっかけで音楽を聞きなおし、楽しむことができるという意味で、ブログやWEBなど現代の情報技術の恩恵を感じます。昔は、レコード雑誌がその役割を果たしていたのですけれど、今はすっかり主役の座を降りてしまいましたね。

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