電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第64回定期演奏会でシューベルト、ハイドン、メンデルスゾーンを聴く

2017年07月16日 21時22分04秒 | -室内楽
蒸し暑い夏の土曜日は、出勤して仕事をこなした後で、老母が退院して自宅で一服しているのを確認し、とんぼ返りして夕方からは文翔館議場ホールに出かけ、山形弦楽四重奏団の第64回定期演奏会を聴きました。

プレコンサートは、山形大学の2年生、松井陽菜代(Vn)、平山燎(Vla)の二人によるハイドンの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第3番」でした。出演する若い学生さんも、卒業などで少しずつ交代しているようですが、演奏のほうは着実に進歩しているようで、こういう定期的な演奏機会があるのは良いことなのかもしれません。

開演前のプレコンサートトークは、1st-Vnの中島光之さん。相変わらず流暢かつ明快な解説です。古典派とロマン派について軽く触れた後で、本日の曲目を紹介します。

  1. シューベルト 弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68
  2. ハイドン 弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2
  3. メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3

シューベルト家の合奏でヴァイオリンを二人の兄、チェロを父、ヴィオラをシューベルトが担当し、10代のシューベルトが作曲した曲を演奏していたのだそうな。ハイドンは功成り名遂げた後の作品で、音楽を分かち合う喜び、幸福感が感じられるとのこと。メンデルスゾーンも、29歳、指揮するライプツィヒのオーケストラも立派なもので、充実の時期です。そうか、今回のテーマは「音楽を共有する喜び」でしょうか。

1曲め:シューベルト「弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68」。第1楽章:アレグロ・マエストーゾ、第2楽章:アレグロ、という二楽章の曲です。16歳のシューベルトが家族のために作った曲だそうですが、けっこう力の入った音楽です。

第2曲め:ハイドンの「弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2」、「雲が行くまで待とう」という別名のある曲だそうですが、良い曲だ〜! 第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:メヌエット、プレスト、第3楽章:アンダンテ、第4楽章:フィナーレ、ヴィヴァーチェ・アッサイ。たしかに、演奏の喜びを感じます。



15分の休憩の後は、メンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3」。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。手持ちのCDで通勤の音楽として聴いていたときは、なんだかくぐもった響きの地味な曲だな〜と思っていたのでしたが、実際に演奏を聴いてみたら全然ちがいました。第2楽章:はやいスケルツォ、ピツィカートで終わります。第3楽章:アダージョ・ノン・トロッポ。優しい緩徐楽章には、憂愁の表情も加わります。第4楽章:モルト・アレグロ・コン・フォーコ。思わず身を乗り出して聴いてしまうような音楽、演奏でした。

聴衆の拍手に応えて、アンコールはシャンソンの名曲を武満徹の編曲で、と紹介されました。何の曲だろうと興味津々で聴いてみたら、途中から「枯葉」のメロディが出てきて、ああ、なるほど〜。現代の響きを含みながらも濃厚なロマンティシズムをたたえた名編曲、演奏でした。忙しい一日のおわりに、退院したばかりの老母を置いて一人だけ出てきたのでしたが、無理に出向いた価値のある演奏会でした。


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4 コメント

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ありがとうございました (中爺)
2017-07-17 17:29:36
 お忙しい中、今回も来場ありがとうございました。

 なかなか演奏がハードな曲ばかりでしたが、終演後に「本当に幸せな気持ちになる曲ばかりでした」と言って下さった方がいて、嬉しく思いました。アンコール曲も気に入って下さったようで、私たちも武満徹に顔向けができるというものです。

 まだ次回も良い演奏会になるように頑張ります。是非楽しみにしていただきたいと思います。
メンデルスゾーン 二伸 (ジェイン)
2017-07-17 19:16:51

二女の入学式の時は一楽章だけでしたので、この度全楽章お聴きでき、とてもハッピーでした。生の音楽会は至福の時、ほんとやめられません。

ところで、↑お写真に主人の後ろ姿が、、
私は映っていません。
中爺 さん、 (narkejp)
2017-07-17 20:06:39
コメントありがとうございます。少々無理をおして出かけた価値のある演奏会でした。実は、今回も関西から遠征しておいでの方がいまして、「山形の皆さんが羨ましいですね〜」との感想をいただきましたので、「ほんと、幸せです」と返したところでした。64回という蓄積は、数字以上の意味がありますね〜。
ジェイン さん、 (narkejp)
2017-07-17 20:12:06
コメントありがとうございます。おや、ご主人が写っておいででしたか。もしかして、年代的に横縞のシャツを着ている方かな、それとも……などと想像しております(^o^)/
メンデルスゾーンの5番、私には久々に「CDの印象が実演でひっくり返された」良い演奏会でした。

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