電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヤンソンスとコンセルトヘボウ管でフランクの交響曲を聴く

2008年12月30日 09時11分30秒 | -オーケストラ
最新の演奏、録音をまるごとダウンロードできると、あちこちの音楽ブログで話題になっていた、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のサイト「Radio4-120yearsRCO」(*)。当方もだいぶ前にメールアドレス等を登録しており、いくつかの音楽をダウンロードして、パソコンで再生して聴いております。本日は、セザール・フランクの交響曲ニ短調、指揮はマリス・ヤンソンスです。

第1楽章、レント~アレグロ・マ・ノン・トロッポ。ニ短調の陰気で重苦しい音楽という印象が強かったのに、これはまた、この演奏ではだいぶ様相が違います。この音楽の暗い情念の反面にある、繊細な美しさが感じられて、印象激変。
第2楽章、アレグレット。緩徐楽章とスケルツォを兼ねたような楽章ですが、ゆったりとしたテンポで、しっとりやわらかく、実に美しい音楽になっています。弦の響きが、クラリネットやホルン、あるいはフルートの一節が、ホールの中でなんとも優美に、魅力的に響きます。
第3楽章、アレグロ・ノン・トロッポ。やや速めのテンポですが、充実した美しい演奏。弦によるニ音の刻みもそれほどきつくはありません。優美で繊細な表現から、先の2つの楽章の主題が再現され、最後はティンパニの迫力の連打とともに、パイプオルガンが鳴り響くように壮大に結ばれます。

フランクの交響曲は、シャルル・ミュンシュ指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の演奏するLPで、長いこと聴いておりました。コンサートホール・ソサエティという通販のレーベルです。当時の、あまり芳しくない音質にもかかわらず、熱気ある演奏を好んで聴いておりました。ただし近年は、ほとんど手に取る機会もまれになり、いささか縁遠い音楽になってしまっていた、というのが正直なところです。

ところが、マリス・ヤンソンスの指揮するこの音楽が、繊細かつ深い響き、集中力に富んだ堂々たる展開、そして終楽章では、オルガンの透明な響きを模したように圧倒的な盛り上がりを示します。ミュンシュとはだいぶ異なる音楽のとらえ方も興味深く、楽章間の聴衆の盛大な咳払いなどもご愛嬌で、ライブらしい、ホールの響きを感じ取れる録音になっています。不可逆圧縮されたMP3ファイルについて、録音や音質を云々するのもおかしな話ですが、思わずコメントしたくなるほどいい音が流れてきます。よく見ると、ファイルサイズが 94.2MB、ビットレートがなんと 320kbps です。思わずびっくり。弦のしっとりとした響きや、オーボエ、クラリネットの音など、PCオーディオの音が、いずれも素晴らしい音に聞こえます。hp の安価なデスクトップ型パソコン、s3140jp/C から、ラインケーブルでプリメインアンプに接続し、バスレフ式の自作箱に入れた Fostex の FE103 を鳴らしているだけなのですが、これは携帯型 MP3 プレイヤーや USB オーディオ出力を真剣に検討する価値がありそうです。CD に焼くための、ジャケット用 PDF ファイルまで用意されていて、それだけの価値のある名演奏、録音だと感じます。メールアドレス等の登録が終了しているかどうかは不明ですが、12月29日の午後の時点で、まだダウンロードできました。

参考までに、演奏データを示します。
ヤンソンスのものは、Real Player で再生し、各楽章の時間表示から引き算して求めたもので、ほぼ実時間に近いものです。
■マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
I=17'51" II=10'53" III=10'51" total=38'59"
■シャルル・ミュンシュ指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
I=16'01" II=8'33" III=11'27" total=36'01"

(*):Radio 4 - 120 years RCO

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4 コメント

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Unknown (よんちゃん)
2008-12-30 15:34:25
こんにちは。

Radio4でロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の交響曲10曲シリーズをすべて聞きました。もう大満足でした。
フランクの交響曲を聞くのは約20年ぶりです。いい曲ですね。深い響きが印象的でした。
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よんちゃん さん、 (narkejp)
2008-12-30 19:51:31
コメントありがとうございます。ロイヤル・コンセルトヘボウ管の10曲、まだ全部は聴いておりませんが、ヤンソンス、ジュリーニ、コンドラシン、チョン・ミョンフン等の顔ぶれも、なかなか魅力的なものばかりですね。しばらく聴いていなかったフランクの交響曲を聴いて、その魅力を再発見したところです。
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フランクの「交響曲」は (eyes_1975)
2008-12-30 21:31:27
トラックバックは昔の記事ですが、フランクの「交響曲」は3楽章制ながらサウンドが繊細で美しいです。
ヤンソンスは未聴ですが、ミュンシュのはボストン響(BMG)のを持ってます。まだ、彼には別メーカーにも存在しているようです。ミュンシュはパリ管の初代音楽監督に就任した直後に亡くなり、カラヤンが音楽顧問で代役として指揮した1969年に取り上げてました。ベルリン・フィルで再録はしていない。また、パリ管はバレンボイムが取り上げてます。ベルリン・フィルによるのはジュリーニが取り上げてますね。他に手持ちからはデュトワ、バーンスタイン、アシュケナージ。やはり、取り上げる演奏家が多いようです。
今年も残すところ、あと僅かとなりました。そして、色々お世話になりました。どうか、良いお年をお迎え下さいね。
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eyes_1975 さん、 (narkejp)
2008-12-31 07:28:19
コメント、トラックバックをありがとうございます。ミュンシュの急死でカラヤンがパリ管も兼務し、フランクの交響曲を録音した頃は、記憶に鮮明です。雑誌等でもずいぶん取り上げていました。当時は、オーディオ・ブームの最盛期でした。
この暗~い曲を美しく聴かせるヤンソンスの指揮ぶりは、たいへん見事です。「思ったとおりに響いたよ」という作曲者の言葉が、妙に実感を持ちます(^o^)/
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