先日の地元紙で目にした仙台文学館の「藤沢周平展」を見に行きました。山形県は晴天でしたが奥羽山脈に入るとやや肌寒い曇天で、だいぶ紅葉が始まっており、今月下旬には見頃かな、という感じです。県庁・市役所前を過ぎ22号線に入ると、北仙台駅前を通過し左折北上します。台原森林公園のあたりを右手に見る頃、「仙台文学館」の標識が見えました。車の切れ間を右折し、無事到着。このあたりは土地勘があるので、なんとか大丈夫です。
入口を入ると、特別展「藤沢周平の世界展」平成18年9月16日(土)~11月5日(日)の大きなディスプレイが目につきます。入場料を払い、階段を登って展示室に入ると、そこは本当に藤沢周平ワールドでした!
いくつか気づいた点をメモして来ました。
(1)日本加工食品新聞の記者時代に愛用したカメラは、キャノンのキャノデート。35ミリフィルムに日付を設定し写し込まれるしくみ。おそらく撮影日時に関するデータを大切にしたのだろう。
(2)小説を書く筆記具はもっぱらパーカーの万年筆を用い、インクは同社のQuinkのブルーブラックを用いている。
(3)山形新聞に連載されていた『蝉しぐれ』は225回続き、最終回はふくが助左衛門と対面し、ただ一度抱かれて去る場面で終わっている。「文四郎さんの御子が私の子で私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」の場面や、「階下に降りると駕籠が待っていた。」以下、「あの人の白い胸など~」等の記述は、単行本になる際に加筆されたものだ。
(4)『オール読物』誌の平成4年10月号で、好きなもの嫌いなものを聞かれ、いくつか興味深い答えがある。音楽ではイギリスのシンガーソングライターのクリス・レアをあげ、ナナ・ムスクーリにも一時凝ったという。嫌いなものとして、なんと合唱コンクールの合唱曲をあげており、湯田川中学校の教師時代に、合唱コンクールの指導で往生した経験があるのかもしれない。また、好きな言葉として「村」、嫌いな言葉として「生きざま」をあげている。
(5)晩年には、娘さんの音楽の好みがだいぶ影響しているようで、スティーヴィー・ワンダーの「心の愛」がたいへんお気に入りだったとか。葬儀の際も、このCDをお棺に入れたとのこと。
(6)ミステリー好きというのは承知していたが、1冊だけ新潮文庫の佐野洋『死者の電話』に巻末解説を書いているというのは知らなかった。また、高村薫さんが『マークスの山』で受賞候補となったとき、これを強く推したという。
お昼には、文学館内のレストラン「杜の小径」で、海坂藩の食卓を再現した御膳(1000円)を食べて来ました。庄内米のごはんとむきソバの汁物、棒タラと大根の煮物、小松菜と食用菊のおひたし、イカとわかめの酢みそあえ、小ナスの漬物と茗荷の酢漬けです。棒タラは短時間に軟らかくなるよう砂糖を使って煮込んだためか、やや甘過ぎましたが、他はやや上品な田舎料理の味でした。
常設展の方では、藤野先生が書き込みをした魯迅の仙台医専時代のノートや漱石の原資料などがデジタル化されており、コンピュータで見ることができるようになっていました。これはぜひ別の機会にじっくり見たいものだと思います。
入口を入ると、特別展「藤沢周平の世界展」平成18年9月16日(土)~11月5日(日)の大きなディスプレイが目につきます。入場料を払い、階段を登って展示室に入ると、そこは本当に藤沢周平ワールドでした!
いくつか気づいた点をメモして来ました。
(1)日本加工食品新聞の記者時代に愛用したカメラは、キャノンのキャノデート。35ミリフィルムに日付を設定し写し込まれるしくみ。おそらく撮影日時に関するデータを大切にしたのだろう。
(2)小説を書く筆記具はもっぱらパーカーの万年筆を用い、インクは同社のQuinkのブルーブラックを用いている。
(3)山形新聞に連載されていた『蝉しぐれ』は225回続き、最終回はふくが助左衛門と対面し、ただ一度抱かれて去る場面で終わっている。「文四郎さんの御子が私の子で私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」の場面や、「階下に降りると駕籠が待っていた。」以下、「あの人の白い胸など~」等の記述は、単行本になる際に加筆されたものだ。
(4)『オール読物』誌の平成4年10月号で、好きなもの嫌いなものを聞かれ、いくつか興味深い答えがある。音楽ではイギリスのシンガーソングライターのクリス・レアをあげ、ナナ・ムスクーリにも一時凝ったという。嫌いなものとして、なんと合唱コンクールの合唱曲をあげており、湯田川中学校の教師時代に、合唱コンクールの指導で往生した経験があるのかもしれない。また、好きな言葉として「村」、嫌いな言葉として「生きざま」をあげている。
(5)晩年には、娘さんの音楽の好みがだいぶ影響しているようで、スティーヴィー・ワンダーの「心の愛」がたいへんお気に入りだったとか。葬儀の際も、このCDをお棺に入れたとのこと。
(6)ミステリー好きというのは承知していたが、1冊だけ新潮文庫の佐野洋『死者の電話』に巻末解説を書いているというのは知らなかった。また、高村薫さんが『マークスの山』で受賞候補となったとき、これを強く推したという。
お昼には、文学館内のレストラン「杜の小径」で、海坂藩の食卓を再現した御膳(1000円)を食べて来ました。庄内米のごはんとむきソバの汁物、棒タラと大根の煮物、小松菜と食用菊のおひたし、イカとわかめの酢みそあえ、小ナスの漬物と茗荷の酢漬けです。棒タラは短時間に軟らかくなるよう砂糖を使って煮込んだためか、やや甘過ぎましたが、他はやや上品な田舎料理の味でした。
常設展の方では、藤野先生が書き込みをした魯迅の仙台医専時代のノートや漱石の原資料などがデジタル化されており、コンピュータで見ることができるようになっていました。これはぜひ別の機会にじっくり見たいものだと思います。
こっちでは無いんだろうなぁ。しくしく。
でも、narkejpさんの感想で貴重なお話を伺えて嬉しいです。大変興味深く拝読させて頂きました。
そのままお昼ご飯の話も興味津々で読んでしまい、現在、まるで池波正太郎の本を読んだような心持ちでおります。庄内米のごはんはきっと美味しいに違いない。と思う食欲の秋です。(…)
藤沢周平だけでなく、クラシックに関してもとてもよく色々なことを知ってらして尊敬してしまいます。クラシックはモーツアルトぐらいしか聴かない私ですが、ブラームス聴いてみたくなりました。
おほめに預り光栄ですが、音楽に関してはまったく素人で、ただ昔から好きで聞いているだけであります(^_^;)>poripori
仙台は若々しく活発ないい街ですね。また訪ねたいと思います。