電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

朝日新聞の「みる・読む・聴く」の記事について

2005年06月24日 21時44分06秒 | クラシック音楽
80年代の中ごろ、朝日新聞で「みる・読む・聴く」という記事があった。それぞれの分野の著名人が、映画や本、音楽CDなどを取り上げて紹介するもので、当時好きでよく読んでいたしスクラップもしていた。昨日の「加賀乙彦さんとマーラーの第5交響曲をきく」もその中の1回(85/07/21)であった。
他に印象に残っているものとして、「畑中良輔さんと椿姫をみる」や「吉田秀和さんと詩人の恋をきく」というのもある。椿姫の紹介は、当地では84年10月14日付けで掲載され、「愛を裂く因習的社会への抵抗」「底辺の叫び見据えたヴェルディ」などの見出しが踊っている。この記事の情報らんに、フランコ・ゼフィレッリ監督のオペラ映画「ラ・トラヴィアータ」の紹介が出ている。のちにテレサ・ストラータスとプラシド・ドミンゴらによるLDが発売されたとき、その豪華なセットにため息をつきながら見たものだった。
「詩人の恋」の記事はいつの掲載だったのだろうか。これもまた、味わい深い紹介だった。「ある時は共鳴、ある時は慰め」「名パートナーの歌とピアノ」と見出しが付けられ、「光輝く夏の朝」で歌の上に降ってくるピアノのアルペジオと、歌が終わったあとも続く後奏の音楽の素晴らしさを語っている。この記事も、フィッシャー・ディースカウとデームスの旧録音のLPを聞きながら、読んだものだ。
後日、朝日新聞のこのシリーズは単行本化され、けっこう人気があったらしい。

映画「ラ・トラヴィアータ」の冒頭の少年は、ゼフィレッリ自身の投影だろうか、一転して夜会の場面で「乾杯の歌」が始まる。わくわくするような音楽の魅力はどうだろう!
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