電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」を聴く

2014年07月05日 06時02分25秒 | -独奏曲
昨年の今頃、山響モーツァルト定期で購入したCDで、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」を聴いています。演奏は、松田理奈さん。作品27の6曲から、第2番イ短調を取り上げます。ちょうど、演奏会当日のアンコールで披露したのが、この曲の第1楽章でした。

あれ、どこかで聴いたことがあるなあと思いましたが、それもそのはず、J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番」の第1曲(前奏曲)の旋律が使われ、それが見事に尖鋭なイザイの音楽になっています。添付のリーフレットによれば、曲はジャック・ティボーに献呈され、それぞれの楽章には次のような表題が付けられているそうです。

第1楽章:「幻影または執念」、前奏曲。ポコ・ヴィヴァーチェ。
第2楽章:「憂鬱」、ポコ・レント。
第3楽章:「亡霊たちの踊り」、サラバンド、レント。
第4楽章:「復讐の女神たち」、アレグロ・フリオーソ。

次の第2楽章からは、ベルリオーズやサン=サーンスが用いた「怒りの日」の旋律が登場、ゆっくりとした緩徐楽章です。そして、舞曲ふうと言うにはずいぶん風変わりですが、リズムはたしかに舞曲風ではあります。エネルギーは次第に蓄積され、フィナーレは尖ったイザイの音楽が変奏されていきます。

松田理奈さんの演奏は、内向的な集中力だけではない、外に向かうエネルギーや、客観的な形をきちんと整える理性的な面も、兼ね備えていると感じます。
2010年にフィリア・ホールで収録されたデジタル録音で、たいへん明瞭に美しく、ヴァイオリンの音色を聞くことができます。型番はビクターのVICC-60758です。

(*1):山響モーツァルト定期第19回でヴァイオリン協奏曲第1番と交響曲第23・28番等を聴く~「電網郊外散歩道」2013年6月

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