電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェンの「ピアノソナタ第13番」を聴く

2010年01月14日 06時22分45秒 | -独奏曲
以前、記事にするのが難しい曲として、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番、いわゆる「月光」ソナタの名前を挙げたことがありました。お気に入りの曲ではあるのですが、通り一遍の内容になりそうで、手つかず(*)になっておりました。先日、ふと気づいてしまいました。ゲルバーの演奏したこの CD は、いわゆる「月光・悲愴・熱情」という組み合わせではなくて、第13番Op.27-1、第14番「月光」Op.27-2、第15番「田園」Op.28 という構成になっています。ふーむ。ゲルバーのことですから、単純に番号順どおりにしたのではないでしょう。だいいち、録音も番号順ではありませんでした。これも、なんらかの意図があってのことだろう。そんなわけで、正月早々、この三曲を聴き始めました。まず、第13番から。

Op.27-1 と Op.27-2「月光」は二曲セットになっていて、どちらも「幻想曲風ソナタ」という副題がついているのだそうです。19世紀の幕開けの年、1801年に作曲された、ベートーヴェン30歳のときの作品で、この第13番は、ジュリエッタ・グイッチャルディに捧げられているとか。

第1楽章、アンダンテ~アレグロ、変ホ長調、2/2拍子。ピアノ初学者の練習曲みたいなシンプルでゆっくりした始まり。曲想は急にアレグロに変わりますが、再びはじめのテンポに戻ります。ppの指定のある、夢見るような音楽。曲はフェルマータで若干の間をおいただけで、アタッカで次の楽章へ。
第2楽章、アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ。ハ短調、3/4拍子。どこか不安で憂わしげな楽章なのかなと思いますが、曲調はゆったりした情感豊かなものに変わります。ここが第3楽章の始まり、アダージョ・コン・エスプレッシオーネ、変イ長調、3/4拍子。ここは、短いですが、なんとも魅力的な音楽です。
そしてアタッカで第4楽章へ。アレグロ・ヴィヴァーチェ、変ホ長調、2/4拍子。いかにも若いベートーヴェンらしい、軽やかさと輝かしい力強さを併せ持ったような音楽です。そして、中間部で再び第3楽章のアダージョの主題が回想されますが、これが実に印象的。最後はプレストで、飛び跳ねるようにsfしながら、ffでコーダを閉じます。

明確な、かっちりとしたソナタ形式に則った曲ではありませんで、副題のとおり幻想曲ふうな音楽です。
ピアノ演奏は、ブルーノ・レオナルド・ゲルバー。1987年10月に、パリのノートル・ダム・デュ・リパン教会でデジタル録音された、DENON 33CO-2539 という正規盤です。添付のリーフレットの楽曲解説は濱田滋郎氏。そういえばこれは、ゲルバーのベートーヴェン「ピアノ・ソナタ全集」第2弾として発表されたものでした。

(*):いつ記事にできるかなぁ~「電網郊外散歩道」より
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