電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『蛍火ノ宿~居眠り磐音江戸双紙(16)』を読む

2009年02月16日 06時34分33秒 | -佐伯泰英
前巻では、磐音の父・坂崎正睦とおこんの父金兵衛との間で、正式に婚約が認められ、二人の仲は大きく前進しました。当然、作者は悲劇のヒロイン小林奈緒こと白鶴太夫を登場させるのでは?と予測しましたが、さてどうか。佐伯泰英著「居眠り磐音江戸双紙」シリーズ第16巻、『蛍火ノ宿』です。

第1章、「おいてけ堀勝負」。亡きお艶の三回忌を前に、後添いに入るお佐紀を出迎えた磐音とおこんですが、磐音はお佐紀の姉、失踪したお香奈の安否を確かめることに。乱暴マッチョ男と柔弱優男の対決を磐音が助太刀してようやく解決しますが、肝心の三回忌に欠席しちゃって。
第2章、「白鶴の身請け」。出ました!やっぱり白鶴太夫の登場です。予想がずばり当たり、ちょいと自慢の鼻高々。でもこの章では、白鶴太夫の身請け話があり、本人も乗り気なのですが、邪魔が入りそうだという情報が届いただけで、主たる話題は今津屋吉右衛門とお佐紀の婚礼の仲人を誰に頼むか、という話。なるほど、の人選でした。
第3章、「禿殺し」。それにしても白鶴太夫の周囲はトラブル続きです。これほどトラブルの多い女性も珍しい。よほど人徳がないのか、周囲の男どもを魅入らせる魔性の持ち主なのか、などと茶化したくなるほどですが、でも落籍話のお相手が出羽山形の最上紅花商人とあっては、少々応援もしたくなります。フレー、フレー、前田屋~! 今津屋吉右衛門の仲人は無事決まり、あとは祝儀を待つばかり。
第4章、「4人の容疑者」。白鶴太夫付きの禿と若い衆が殺され、嫌がらせの域をこえて、これは立派な(?)犯罪です。推理小説仕立てですが、犯人のこの動機は、いささか弱いのでは、とも思えます。嫌がらせくらいはやりかねないが、殺人まで行くものだろうか?ともあれ、最後は磐音から前田屋へと白鶴太夫は旅立ちます。
でもねぇ、北極のブリザードの中に暮らすわけではなし、出羽山形も良いところですよ。食べ物も酒もうまいしどこにでも温泉があるし。住んでいる私が保証します(^o^)/

これで、後顧の憂いはなくなりました。あとは今津屋の祝言と、磐音・おこんの祝言か。いやいや、そんなに簡単には作者が許さないでしょう。次巻に期待。


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