電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『雪華ノ里~居眠り磐音江戸双紙(4)』を読む

2008年10月22日 07時02分20秒 | -佐伯泰英
双葉文庫で、佐伯泰英作の居眠り磐音シリーズ第4巻、『雪華ノ里』を読みました。豊前関前藩を震撼させた騒動を鎮め、坂崎磐音は、身売りした許嫁の奈緒を追って旅に出ます。長崎丸山遊廓を目指す道中、蘭方医の中川惇庵を襲撃者から救いますが、一足違いで丸山遊廓に奈緒はいませんでした。後に残されたのは、幼き日の思い出を描いた絵扇のみ。親しくなった遊女から扇をもらって、次は長門の赤間関へ。
そこでも大立ち回りがありますが、要するに再び一足違いでした。残されたのは奈緒が描いた白扇のみ。これで二本目ですね。

続いて京都では、身請けの資金の140両を東源之丞にまかせて賭け闘鶏ですってしまい、肝心の奈緒さんはまたもや一足違いで加賀金沢に転売されたといいます。残されたのは、やっぱり絵姿が描かれた舞扇です。ワンパターン、これで三本目。「土地転がし」ならぬ「奈緒転がし」は、はや値千両だそうで。このあたりでもう「あほらし」。まさか、全巻この調子じゃなかろうなと、一瞬悪い予感がします。
続いて磐音さんは加賀金沢へ。ここでもいろいろありますが、会うことができたのは要するに同姓同名の那尾さんでした。京の島原を出るまでは一緒だったという那尾さん、四本目の舞扇を磐音に差し出します。剣の達人の坂崎磐音さん、すでに扇のコレクターです。

結局、江戸に戻ってきてしまいます。奈緒さんの行き着いた先も、結局は吉原で、転売を重ねすでに千両を越えるお値段です。全巻これ一足違いの「奈緒転がし」と扇収集のストーリー。いやはや、あきれて笑ってしまいました。
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