電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

木曜時代劇「風の果て」第4回を観る

2007年11月09日 06時26分07秒 | -藤沢周平
先週は残念ながら前半を見逃してしまった木曜時代劇「風の果て」ですが、昨日は万難を排して夜7時前に帰宅、DVDに録画をしながら観ました。
今回のあらすじを、番組ホームページでは、

妻の満江(石田えり)が出産間近の夜、桑山隼太(佐藤浩市)は杉山忠兵衛(仲村トオル)から殿の用人牧原(黒沼弘巳)の護衛を頼まれる。国境まで牧原を送る。牧原は父孫助(蟹江敬三)を高く評価して『隼太に優秀な測量家を派遣する、太蔵が原を開墾せよ』と言う。と、小黒勝三郎(三上市朗)と刺客に囲まれる。守りきれるか! と突然、市之丞(遠藤憲一)が現れ、刺客三人を斬って勝三郎らを蹴散らして消える。長男が産まれる…。

と紹介しております。

この脚本では、野瀬市之丞がかなり丁寧に描かれているように感じます。原作でも、市之丞と隼太とは、一方の転落と他方の出世として対照的に描かれていますが、その対比が鮮明なだけに、不遇な野瀬市之丞の切ない心情に同情する人も多いことでしょう。

それにしても、類という女性は、理解の外です。仮にもしばらく一緒に暮らした一蔵の最後について問い質すために、市之丞のもとを訪れ、そこで同棲してしまう。これはもう、宇宙人としか言いようがない。魔女に魅入られたような一之丞は、全くお気の毒です。そのすさんだ生活の中で、隼太の病死した長男にお悔やみを言う気づかいを見せるのですが、このあたりは原作には全くない、今回のテレビドラマ化に際して脚本家が創作した功績の一つでしょう。

もう一つ、はじめて登場した政商羽太屋万年が、今後どんなふうに描かれるのかも楽しみです。今の御時世を思えば、悪役に描かれるのでしょうし、太蔵が原を開墾するために政商と組む隼太の描き方も興味深いものがあります。

原作にある妻満江さんの超わがままぶりがドラマではすっかり影を潜め、夫の出世など願わず家庭の平和を願っている女性、と毒気を抜かれておりますが、これは原作を知る者に取っては笑止なほどです。やはり、原作を知らずにテレビではじめて接するお茶の間の御婦人方のパワーを恐れた結果なのでしょう。

余談ですが、妻の出産の時には、私は二度とも遠く離れたところにおり、立ち会うことはかないませんでした。末の子の時だけ、私が病院まで連れて行きました。妻が満江さんなら、私などとっくに離縁されてますね(^o^)>poripori

写真は、散歩道に流れる農業用水です。水があれば田畑は潤いますが、残念ながら今は働く若い人がいません。

■『風の果て』関連記事リンク
(*1):藤沢周平『風の果て』上巻を読む
(*2):藤沢周平『風の果て』下巻を読む
(*3):「ながい坂」と「風の果て」
(*4):NHK木曜時代劇「風の果て」公式WEBサイト
(*5):木曜時代劇「風の果て」第1回を観る
(*6):木曜時代劇「風の果て」第2回を観る
(*7):先週の木曜時代劇「風の果て」第3回
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