電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ショパン「12の練習曲集」Op.10を聞く

2006年08月24日 21時53分04秒 | -独奏曲
私がショパンを取り上げるのは、たぶん初めてではないでしょうか。マウリツィオ・ポリーニが演奏したこのCD、実は先ごろ同じものをもう1枚入手しまして、1枚を車の中に常備しております。で、カーステレオで通勤の音楽として楽しんでいる次第。

第3番「別れの曲」、第5番「黒鍵」、第12番「革命」などの愛称のついた曲はもちろんすてきですが、実は愛称のない曲の中にお気に入りの音楽が少なくないのです。
たとえば第6番、この深く沈潜するようなゆっくりした音楽が、仕事帰りの車中では実にぴったりしますし、第4番や第9番の音楽の中に、美しさの陰にあるショパンの激しさ、荒々しさを感じます。
それに、第2番や第8番、第10番といった、右手が忙しく駆け回る見事な技巧を見せながら、左手が変則的なリズムを保つなど、思わず(スゥイング・ガールズ風に)「どごが練習曲だなや!」といいたくなるような面白さがあります。

ハ長調、イ短調、変ホ長調、嬰ハ短調、と続く12曲の配列は、何に基づいているのでしょう。どうもむら気で配列したような不自然さは感じず、むしろ一貫したものを感じます。このあたりはすでに専門家の領域でしょうが、ロマンティックな気分の陰に激しさを秘めているように、もしかしたら、曲の全体を貫く論理的なものが根底にあるのかとも思ったりします。

私もショパン死去時の年齢をはるかに超えましたので、こういう言い方を許してもらえるなら、

「ショパン君、もしかして君は、理系だね?」
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