電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」を聞く

2006年06月21日 21時13分36秒 | -室内楽
以前、大好きなフランクのヴァイオリン・ソナタを、ピエール・フルニエがチェロ用に編曲して演奏したCDを取り上げた(*)ことがあります。ところが、肝心のフランクのヴァイオリン・ソナタを取り上げていなかったことに気がつきました。で、おそまきながら本家本元の出番です。
私が好んで聞いているのは、ジャン=ジャック・カントロフ(Vn)、ジャック・ルヴィエ(Pf)の演奏。1982年8月、オランダのハーレム、コンセルトヘボウでの録音とクレジットされていますが、デンオンのデジタル録音です。

第1楽章、アレグレット・ベン・モデラート、イ長調。ピアノのささやくような序奏に始まり、優しい憧れに満ちた主題が提示されます。ヴァイオリンとピアノの、とくにピアノの表情が豊かです。
第2楽章、アレグロ、ニ短調。速く激しい感情。ピアノが駆け回ります。ヴァイオリンの中低音部の音色と対比させながら、高音部の音色を効果的に生かしています。ゆっくりした中間部を経て再び速く激しくなっていきます。
第3楽章、レチタティーヴォ~ファンタジア・ベン・モデラート。ピアノが低音で呼ぶとヴァイオリンが低音で答えるが、ピアノが高音で呼びかけてもヴァイオリンは低音で答えるという具合に、きまぐれに幻想的に展開します。
第4楽章、アレグレット・ポコ・モッソ、イ長調。再び第1楽章の主題が出てきたかと思うと次々に先行する楽章の主題が再現され、優しいヴァイオリンの音色が響き、最後は華麗なコーダで締めくくられます。

このCD、とにかくヴァイオリンの音色が素敵です。そしてルヴィエのピアノが陰影を添えます。絶妙のコンビだと思います。クレスト1000シリーズの一つ、長く愛聴したい録音です。

■ジャン=ジャック・カントロフ(Vn)、ジャック・ルヴィエ(Pf)、DENON COCO-70457
I=5'44" II=7'49" III=7'02" IV=5'53" total=26'28"

(*):フランクのチェロソナタを聞く
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