電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ディケンズ『デイヴィッド・コパーフィールド』(2)を読む

2006年03月15日 21時43分35秒 | -外国文学
公私ともに多忙な中ではあるが、寝る前に少しずつ読み進めてきたディケンズの『デイヴィッド・コパーフィールド』の第二巻、いよいよ不遇な少年時代を過ぎて、主要な登場人物が勢ぞろいする。

最悪の選択だった母の再婚相手、マードストン姉弟のところから家出して、ベッツィ・トロットウッド伯母さんの家まで歩いたデイヴィッドは、ミスター・ディックの賢明な助言もあり、伯母さんの家で暮らすことになる。ミスター・ディックは、時おりチャールズ一世の亡霊の妄想が起こるほかは、実に紳士であり、デイヴィッドの強力な味方だった。マードストン姉弟と伯母さんが対決し、伯母さんの養子になり、不幸な幼年時代の環境から逃れて自由の身になったあと、ウィックフィールド氏の家をたずねる。そこで、寄宿舎から学校に行くかわりに、ウィックフィールド氏の家に下宿することになり、妻を亡くした氏の愛娘アグニスを知る。ドクター・ストロングの学校で学びながら、聡明なアグニスと仲良く語り合うことはデイヴィッドにとっては喜びであり、忠実を装う雇人ユーライア・ヒープ親子にとっては、実は憎悪の種であった。
ドクター・ストロングの学校は、以前の学校とはまったく正反対であり、デイヴィッドの学習はようやく成果をあげはじめる。年の離れたストロング校長の妻アニーにはやり手の母親がついており、アニーと従兄弟のジョン・モールドンとの関係は怪しげだ。偶然にミコーバー夫妻と出会い、ユーライア・ヒープに紹介したのは失敗だったようだ。ユーライア・ヒープ親子は、デイヴィッドの過去を全部知ってしまう。恋愛ごっこも卒業し、アグニスの素晴らしさも十分にわかってくるころ、アグニスの父ウィックフィールド氏の性格が変わってきたのに気づく。どうも、仕事がうまくいっていないようだ。

ある日、ペゴティのもとをたずねようと旅行に出かけたところ、途中の宿屋でスティアフォースに出会う。そして、裕福だがどこか退廃の影がさすスティアフォースの家に招かれ、そこでしばらく滞在し、スティアフォースをともなってペゴティの待つヤーマスに向かう。到着した日が、偶然にも一途なハムの求婚をエミリーが受け入れた日であり、デイヴィッドも幸福な時間を過ごす。デイヴィッドとスティアフォースは一緒に旅立つが、マーサがエミリーに何を話したのか、そしてスティアフォースの忠実なしもべであるリティマーがなぜ残ったのかに、もっと注意を払うべきだったろう。
とにかくデイヴィッドは、トロットウッド伯母さんの助力により、スペンロウ・アンド・ジョウキンズ法律事務所で年季契約で働くようになる。始めての一人暮しに失敗をしながら。

ディックといいミス・モウチャーといい、ディケンズの物語には奇矯な人物がしばしば登場する。彼らは、後で重要な役割を演じることになる。無駄な登場人物はほとんどいないのだ。物語の大きな流れの中で、自然に登場し、意外な展開の中で予想以上の活躍をする。これは実に見事である。第三巻以降の物語の展開を楽しみにしよう。
コメント