新潮文庫の「カラー版作曲家の生涯」シリーズから、田辺秀樹著『モーツァルト』を読んだ。父親であるレオポルト・モーツァルトは、ザルツブルグ大学で哲学と法律を学ぶ学生であったのに、次第に学業から遠ざかり、好きな音楽の道に進むようになる。これは、ローベルト・シューマンも同じだ。父レオポルトは、その意味ではかなりの知識人だったことになる。ようやく安定を得た生活は、宮廷音楽家の道だった。そして、独自のヴァイオリン教程を完成、娘ナンネルや息子ヴォルフガングに音楽を仕込む。自分の歩んだ宮廷音楽家の道を望む父と、そこから離れようとする息子。いつの時代にもある光景だ。
この後の経過は周知のとおり。しかし、随所に挿入された美しいカラー写真と、年譜や年代順の作品一覧はたいへん役に立つ。小ト短調シンフォニーが17歳で書かれたことや、五曲のヴァイオリン協奏曲が19歳の年にまとまって書かれたことなど、眺めているだけでも興味深いものだ。
今年はモーツァルト生誕250年ということで、モーツァルトにかかわる事柄を1度本書で確認することが増えることだろう。
この後の経過は周知のとおり。しかし、随所に挿入された美しいカラー写真と、年譜や年代順の作品一覧はたいへん役に立つ。小ト短調シンフォニーが17歳で書かれたことや、五曲のヴァイオリン協奏曲が19歳の年にまとまって書かれたことなど、眺めているだけでも興味深いものだ。
今年はモーツァルト生誕250年ということで、モーツァルトにかかわる事柄を1度本書で確認することが増えることだろう。