電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

涼しい風が入ってくる~ポール・パレーのドビュッシーを聞く

2005年08月17日 20時49分08秒 | -オーケストラ
東北地方は、お盆を過ぎると朝晩はだいぶしのぎやすくなる。夜も七時を過ぎると、窓から涼しい風が入ってくる。北側の窓を開けると、エアコンも不要だ。

先日購入した、Philipsスーパーベスト100シリーズの中から、ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団の演奏で、ドビュッシーの管弦楽曲(UUCP-7077)を聞く。
「牧神の午後への前奏曲」と「海」が1955年12月、「夜想曲」と「イベリア」が1961年3月、デトロイトでの録音。演奏は生気があり、明快なものだ。響きのバランスが整えられており、音色が美しい。
こういう演奏に接する機会がなかった理由はただ一つ、廉価盤に入っていなかったからだろう。いくら世評が高くても、実際に接する機会がなければ知ることはできないわけで、本シリーズのような廉価盤によって初めて意義を知る人は少なくないと思う。

Googleで「マーキュリー 録音 ロバート・ファイン」で検索してみると、興味深い検索結果が得られる。オーケストラの録音の際には、各セクションごとに多数のマイクを立て、ミキシングしてマスターテープを作る、という手法が一般的だった時代に、オーケストラの正面に三本のマイクをつるし、最強奏にあわせて録音レベルを決め、あとは演奏者にまかせる、という思想は画期的だ。
もちろん、思想を裏付ける機材に制約があったり、磁気テープの経年変化は厳然としてあり、現代の録音と同一視はできないと思うが、各楽器の音を直接録音するのではなく、ホールに響いたオーケストラの音を録音する、という思想を実現しようとした代表的な実践だと言える。
コメント (8)