なんでやねん?ドラキュラ!

猫魂外伝は猫魂(名も無き猫の物語)のエピソード0になります。ぶぶぶ。
自分の中では絶賛連載中♪(* ̄∇ ̄*)でへへ!!

其ノ弐

2017年01月05日 | 猫魂外伝 舞闘戦記編


晴明がレンと呼ぶようになってから半月が経ったが...レンの方からは此と言った返答は無い。
ただ..晴明が修業の時は必ず縁の下辺りから様子を伺う様な気配が感じ取られる。

晴明「レンよ...こちらが気になるのなら..そん所に隠れていないで上がってこい。」
レン「...........。」
晴明「可笑しな奴だ! はははっ。」 神通力も使える様なのだが?
ある晩..村人が晴明の元へ頼み事を持ってきた。屋敷の中で村人と晴明があれやこれやと話し合っている。 
村人「もーう我慢出来ない...いくら晴明様の頼みでも..我々にも生活が命が掛かってるんだ!! 晴明様が退治してくれないなら..オラ達でやるだ! 昨日..皆で決めたんだ..これ以上..畑を荒らされたら俺達も生きちゃいけねぇ!!」
晴明「二日後の満月まで待ってはくれぬか! 大人しくさせる術が完成するのだ。あやつも命懸け..お前達もただでは済まないぞ!! それでも良いのか!!」
村人「晴明様..本当に後二日辛抱すれば良いのですね!!」
晴明「あーそうだ..私に任せろ!!」
村人達は少し硬い表情だったが...晴明に任せる事にして帰って行った。 

そんな出来事があった次の晩の事である。 晴明は朝から姿を見せないレンに一抹の不安を抱いていた。 まさか..その嫌な予感が的中する事になるとは......。
レンが大きなイノシシをくわえて来た..自分の体の四倍は有ろうかという大物だ!!
それは晴明が村人達から大きな猪に畑を荒らされて困っている...何とかならないかと頼まれていた奴だ。晴明は猪が畑を荒らさず..どうにか森の奥で生きられるよう考えていたのだが.....。
軒下で村人と晴明の会話を聞いていたのか....レンが血まみれになって仕留めてきたのだ。
晴明「レンそれは私に対して..日頃のお礼のつもりで仕留めてきたのか?  そんな傷だらけで血塗れになって...。取り敢えずは有難うと言っておこう! ただ..私は焼き魚で充分だ。その猪は畑を荒らされた村人達の所へ持って行ってやれ! 喜ぶ事だろう。お前も村人達と命の重みを噛みしめながら食べると良い....。生きる為に食べるのだから...食べられる事に感謝して。」
晴明はレンの事が心配になった。良からぬ方向へ進みはしないかと...命と言うものを軽んじはしないかと.....。レン自身は気付いてはいないがレンの体の奥底に凄まじい力が隠れている事を...。
晴明「あの猪にも守るべき物が在ったかもしれぬ。生きるとは..残酷で儚い物だな....。」

次の朝の事だった...縁の下からレンが神通力を通して晴明に語りかけてきた。
突然の事に驚いた晴明だったが冷静を保ち..レンの言葉に耳を傾けた。
レン「晴明様..勝手な事をして御許し下さい。二度と勝手な真似は致しません...ですから後少しだけ晴明様の側に居させて下さい。」
レンは晴明と暮らしてきたこれ迄の事を思い出していた。得体も知れぬ自分の事を暖かく優しい眼差しで見守ってきてくれた。毎日毎日欠かさず...何も言わず...焼き魚を置いておいてくれた。
レンは知っている...釣りをして一匹しか捕れなかったのに其の魚を自分の為に差し出してくれた事。術を使えば魚なんて何匹も捕れるのに....。
レンは自分の中で晴明が..自分を生み出しでくれた物と似た存在だと...。 そんな想いが重なった。 
晴明「レン...上に上がって..私と一緒に焼き魚を食べないか! 実は今日..これ迄に釣ってきた魚の中で一番大きな奴が釣れたのだ。 大きすぎて一人じゃ食べきれないからな! はっはは。」 
晴明の前には1メートルは在ろうかと言う大きな岩魚が横たわっている。 こいつを釣り上げるのに三年かかったなどと..訳の解らぬ事を言ってるかと思へば...何処から調達したのか? 巨大な七輪が裏庭に置かれた..。 全身..真っ黒になって備長炭を七輪の中へ...上には巨大魚!!笑
ぼわっと火を着ける。大きな火柱が立ち昇る。
晴明「そろそろ..良いな♪」 晴明は大きなウチワで焼き魚の煙を縁の下へと送り込んだ!!!
レン「ごほ..げほ..くるじぃーいい!!」 レンは堪らず外へと飛び出した。
晴明「おぉーお!!レンょ♪遂に焼き魚の香ばしい匂に誘われて出て来たな。」
レン「ごほ..ぶほっ...晴明様..うげげ...煙が...煙が...。」
これを機に晴明とレンは屋敷の中で食事をとる様になった。
晴明にとってもレンと共に食事をとる事は...これ迄に無い嬉しい事だった。ずーっと一人だけの暮らし...心の片隅の中に密かに望んでいた想い。今..その想いが目の前にある♪ まるで弟子か弟でも出来たかの様な至福の時。 一年が過ぎ..二年が経ち...平穏な日々が逸までも逸までも....。
  
                     おわり

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其ノ壱

2017年01月01日 | 猫魂外伝 舞闘戦記編



満天の星空が輝く満月の夜....。

竹林の奥深くにたたずむ古びた屋敷...その庭の片隅に鈴蘭の花...月灯りに照らされて首を垂れている..そんな中..一輪だけ蕾が妖しく光だした。
屋敷で眠る..主らしき青年が何かを感じたのか眼を覚ました。体を起こそうとしたが突然...金縛りになった。 ただ不思議と怖いとか恐ろしいなどの感覚は沸き上がらなかった。むしろ..温かく優しい感情が先走った。青年が眼を閉じると何かが脳裏に語りかけてきた?
?「お前は私の事を感じ取れる様だな..相当な霊能力師と見込んでお前に頼みたい事が有るのだが聞いてはくれぬか!」
青年は陰陽師を生業としている晴明と言う若者だ。
晴明は優しく温かな感覚の更に奥底に..とてつもなく大きく絶大な力を感じ取り言葉を失った。
?「恐れることはない..悪い様にはしないから安心しろ。私の方がお前に頼むのだから。
お前の屋敷の庭に..今..真っ白で小さな獣が居るはずだ。その物を少しばかりの間...見守ってやって欲しいのだ。面倒を看ろとは言わない..住まいはお前の屋敷の縁の下で結構だ。一つ..頼みを聞いてはくれまいか。」
晴明の体全身に汗が涌き出ていた..晴明は冷静さと言葉を取り戻し..引き受ける意志を伝えた。
?「もし..その物が数年後..お前や世間に害を及ぼすのなら..その時の処分はお前に任そう。
いつの日かまたこうして逢えることを楽しみにしている。」そんな言葉を残し..言葉の主は消え去った。部屋には何故か芳しい香りが漂っている?

直ぐ様..晴明は庭に駆け出した....。何処だ?
晴明が庭先の鈴蘭に目をやると..鈴蘭の蕾が眩いばかりの光の玉を産み落とした。
次第に光は何かの形に成り..白く小さな生き物がよちよちと晴明の方へと歩いてきた。
最初..晴明は白狐の化身かと思った九尾?13尾?が..良く見れば虎の様でも有り猫の様でも在った?
真っ白で小さく今にも壊れそうな体つきだったが..その内面から力強い..生きよう生きたいと言う生命が感じられた! 小さな獣は側にある..食べれそうな物は何でも食べた..草でも虫でも...。げげっ..蛾まで..口許でぱたぱたと羽ばたいている。りんふんを撒き散らしながら。汗
晴明は毎朝...軒下の獣の寝床に焼き魚を置いた...皿を取りに行くと綺麗に平らげられていた。
三日ほど経った頃..既に成人猫程の大きさになっていた。晴明も..その成長の速さに驚きを隠せなかった程だ。この先どれ程大きくなるのかと危惧していたが大型犬程の大きさで成長は止まった。その頃から夜な夜な食糧確保の為なのか何処かへ出掛けるが...それ以外は静かに屋敷の軒下で眠るように暮らしている。晴明の側に歩み寄って来る事はない....。晴明が目にする事が在るとすれば時折..蝶々と戯れて遊んでいる位だ。
晴明「変わった奴だ..何を考えているのか? この私でも読めぬ!ただ不思議とこいつとは何かの縁を感じる。遥か彼方...何処かで逢っているような? 懐かしくもあり...恐ろしくもあり.....。」
時折...晴明が呪術を修業していると気配を感じる事がある? どうやら..一緒に修業している様なのだ?  気を詮索するのもどうかと思い...静かに見守った。
思えば..獣の鳴き声を聞いた事が無い? 喋れないのか?  同じ屋根の下で暮らしていながら互いに何一つ..情も通わないと言うのも淋しものだな。 ふと..晴明の脳裏に名案が浮かんだ。
晴明「そうだ...名前を付けて呼べば...何かしらの変化が生じるかも知れない!! しかし..名前と言ってもどんな名前が良いものやら? シロ? タマ? ヒカル? 鈴蘭は..どう考えても可笑しいよな?」
数日後...獣の名前が決まった!! 「レン」 何故..その名前が出てきたのか晴明にも良く解らなかった?
練習のレン..鍛練..連帯感..連係..繋がる? 何でだろう? まっ..とにかくレンだ!笑
その日から焼き魚の皿にもレンと書き。獣を呼ぶときにもレンと呼んだ。
名も無き獣に名前が付いたのである。
             おわり

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