なんでやねん?ドラキュラ!

猫魂外伝は猫魂(名も無き猫の物語)のエピソード0になります。ぶぶぶ。
自分の中では絶賛連載中♪(* ̄∇ ̄*)でへへ!!

其ノ捌

2017年04月01日 | 猫魂外伝 舞闘戦記編



一同が唖然としている中...熊鉄が静かに毛皮の着ぐるみの経緯を語り出した.......。
熊鉄「これが本当の俺の姿だ!!! くれぐれもこの事は...此処にいる者のだけの秘密にしてくれ。
妹の鈴も初めて見るのだから。笑
あれは戦乱で両親も戦火で失い...取り残された幼い妹と俺が途方にさ迷いながら飲まず食わずでようやく誰もいない山へ逃げ延びた日の事だった。 露草の雫で喉を潤し...泣きじゃくる鈴を宥め..何か食べる物がないか探そうと妹に動かないように言い聞かせ..俺は山の中を駆け回った。
そんな折..村と言うか集落なのか判らないが...数件の小屋が並んでいた。此処なら何か食べる物が有るかも知れないと探したが...何もなかった...それどころか人の気配も...。何処かへ逃げたのか?
そんな時..一番大きな小屋で俺は立派な猪の毛皮が掛けられているのを見つけたんだ。
何て大きな猪だ...怪物だな!!
ふと...俺は思ったんだ...俺には守らなくてはならない可愛い妹がいる。でも..今の俺は..小さな体で力もない...この先..どうして生きていけば良いのだろうかって。 俺もこの猪の様に大きな体だったら..どんな災難も蹴散らせるのに....。 んん?  この毛皮をまとえば...俺も少しは大きく力強く見えるかな!! 幸い..誰もいない様だから...この毛皮...暫くお借りするか!! 拝借する訳じゃない...俺が毛皮をまとわなくても大きく力強くなったら...絶対に返しにくるから。
俺は毛皮を持って..妹の元へと戻った。その夜は何も食料は見つから無かったけど...暗くて寒い山の中..俺達兄妹を毛皮は暖かく優しく包み込んでくれた。 俺はあの日の夜の事を今でも忘れない!
次の朝..近くに渓流があったので四苦八苦しながら何とか岩魚を捕まえて..二人で食べた。
そんな日がどれだけ続いただろう...。 渓流には時折...大きな熊も表れた。うげげ...デカっ!! あんな腕で殴られたら人堪りもないな! 恐っ!! んんんっ? あの大きな毛皮をあの熊の様な形に出来ないかな!! その日から...兄ーさんは夜なべして。着ぐるーみ編んだだよー♪ ぼそ。
そして改良の改良の末に完成したのが...その着ぐるみだ♪
あれ以来..俺は風呂に入るとき以外は着ぐるみを脱いでないから...鈴も知らないだろう!!」 

鈴「お兄ちゃん...私..知ってたよ。大きな毛皮を羽織って...ズルズル歩いていれば判らない筈無いじゃない。でも..一生懸命に頑張ってる姿を見てたら言える筈無いじゃない。いつもいつも傍で私を守ってくれて...苦しい時も泣き顔一つも見せないで...私の前ではいつも笑顔で....。ほんと...お兄ちゃんにはどれだけ感謝しているか!! お兄ちゃん...いつも誰も入らないように鍵を掛けて御風呂に入るじゃない。私..もしかして着ぐるみの事を誰にも知られたく無いのかなって思って。
だから...お兄ちゃんが御風呂に入っている時にそーっと忍び込んで...着ぐるみの綻んだ処を直してたのよ♪ 私がお兄ちゃんに出来る事はそんな事ぐらいしかないから.....。」ぐすっ。

熊鉄「えええええーっ!! 全然...気付かなかった!! 汗。 鈴..俺の方こそ...お前に感謝しているんだ!!
お前がいたから今日まで俺は生きてこれた...どんなに疲れた時も苦しい時も...お前の屈託の無い笑顔で俺は....明日も頑張っていくかって思えたんだ! もし..俺一人だったら...やけっぱちになって無理をして...多分...今日まで生きていなかっただろうな.....。有り難う...鈴♪ 傍にいてくれて。」

レン「熊鉄の親方...盛り上がっている所...悪いが...少し良いか! その毛皮..怪物の様な猪とか言ったな。 ちょっと臭いを嗅がせてくれ。」レンはそう言うと熊鉄が脱いだ毛皮の臭いを嗅ぎだした。
熊鉄「何なんだ..レンの旦那?」
レン「やはり...そうか...あの時の猪だ! 不思議な物だな..これも何かの縁なのか...。回り回ってこんなところで再会するとは...。 熊鉄に出会った時..何となく懐かしい感覚に襲われたんだが...。
俺はお前に導かれて此処に来たのかも知れないな! もしかしたらお前にも..熊鉄兄弟の様な大切な守りたい物があったのかも知れないな..その事を死して尚..俺に報せようと。 晴明様が言ってた様に...命とは決して一人だけの物じゃない..己の知らない処で繋がっているのだと。
大猪...有り難う..心の中にお前の想いを留めておくよ..忘れぬ様に。」

熊鉄「旦那..何なんですか? さっきから毛皮の臭いを嗅いで変な顔をして? 怪しい旦那に戻ってる!」
鈴「やだ..変態?」
レン「はははっ....。 実は..その大猪..俺の昔の知り合いなんだ。」汗
熊鉄「旦那...冗談はよして下さいよ..この毛皮の主の事を調べた事が有るんだけど...アッシの聞いた話じゃ...50年以上前に仕留められた物だと聞いてますぜ!! だとしたら..旦那は一体..何歳なんでさ!!」
レン「年齢か? 数えた事が無いから忘れたな?」
熊鉄「まぁーあ..年齢は良いけど...アッシの可愛い妹にちょっかい出さないで下さいね!!」キッパリ
レン「はははっ...出さない出さない。」大汗
熊鉄「頼みますよ旦那! それ以外の事なら何でもアッシに言って下さい!」笑
レン「そうだ..親方...多分...街では熊鉄の親方は死んだ事になっていると思うんだが。ちょっとばかり...様子を見に行きたいんだが...街までの地図を書いてくれないか。親方も状況が判るまで暫く静かに身を潜めていた方が良さそうだしな。」

鈴「お兄ちゃん...何やってんの!! 無理に着たら..破けるって..着ても着なくても変わらない体形になってるじゃない!! 怒 本当に世話がかかるお兄ちゃんね!!」
熊鉄「さっき..感謝してもしきれないと...言ってたよな...。」
鈴「感謝しているわよ..この着ぐるみの毛皮の様に...弾き切れそうな位にね!!超怒」
レン「姉弟喧嘩は犬も食わないと言うが....猫だからな? さっ..俺は温泉にでも浸かりに行くか!」逃

次の朝...熊鉄か街までの地図を渡されたレンは...暫しの間..山を下り...様子を見に街へと旅立った。

                おわり

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