奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

夕方の佐保川散策

2021-06-13 11:36:40 | 奈良散策
奈良散策 第118弾


6月8日は朝と夕方の2度散歩に出かけました。夕方、撮った写真がまだ残っていたので、出しておきます。この日はこの間に見たイタチを探しに行ったのですが、イタチの代わりに奈良に来て初めて見たチョウが3種、花が1種と結構収穫がありました。



初めに見たのはこのクモ。コガネグモの幼体かなと思ったのですが、よくは分かりません。



それからこのバッタ。産卵管が急激に曲がっています。こんなところから、「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を探してツユムシ科らしいことが分かりました。後は頭部と胸部の形からツユムシの幼虫かなと思っています。







これは昨日ブログに出したセイバンモロコシだと思われる植物です。この時はまだよく分かっていなかったので、花の部分を拡大して撮りました。雌蕊と雄蕊が両方とも写っています。





それからツバメシジミです。ヤマトシジミは数多く見かけたのですが、ツバメシジミを見ないのでどうしてなのかなと思っていたら、佐保川の土手にはちょこちょこいました。





それから、ヒメアカタテハ。これも見ていなかったチョウです。



それにキタテハ



ツバメシジミをもう一度。





それからモンキチョウ。チョウは、昼間は飛び回っているのですが、夕方は意外に止まっていることが多いので、撮影はしやすいです。





この植物は初めて見ました。何となく、ゴマノハグサ科っぽい感じがしたので、「日本帰化植物写真図鑑」を見てみると、それらしい植物が見つかりました。セイヨウヒキヨモギ Parentucellia viscosaです。ただし、APGII分類体系を基にした大場秀章著、「植物分類表」(アボック社、2011)を見ると、Parentucelliaはハマウツボ科に移されていました。さらに、Catalogue of Lifeを見ると、ParentucelliaはBellardiaのシノニムとされているので、今ではBellardia viscosaが認められた学名なのかもしれません。

ハマウツボ科というと寄生植物ではと思って、ネットを見ると半寄生と書いているサイトがありました。この間、見つけたニセウツボみたいに褐色の体をしていると葉緑体を持たないので、完全な寄生になるのですが、この植物の場合、緑色なので葉緑体を持ち、半寄生ということになるのでしょう。いったい何に寄生しているのかと気になったので、少し文献を調べてみました。

K. Suetsugu et al., "Host selectivity, haustorial anatomy and impact of the invasive parasite Parentucellia viscosa on floodplain vegetative communities in Japan" Botanical J. 170, 69 (2012).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

そして、この論文を見つけました。この論文では木津川と安威川で見つけたセイヨウヒキヨモギを根っこごと採取して、その寄生先を調べるという調査を行っていました。セイヨウヒキヨモギの根は15cmほど広がるのですが、その範囲に根を伸ばしている植物をすべて採集してきて、セイヨウヒキヨモギの根から出ているhaustorium(吸収管)が他の植物の根に付着している数を数え、さらに、その範囲にあるbiomass(生物量)で補正することで寄主となる植物を定量的に推定するという方法です。これまで、セイヨウヒキヨモギはイネ科、マメ科に寄生するとされていましたが、そのほかにもキク科、オオバコ科、ナデシコ科、タデ科など広い範囲で根に吸収管がついていることが分かりました。ただし、吸収管がついていても中心部分まで達していないものもあるのでなかなか複雑です。いずれにしても、吸収管がつくことで、寄主の成長は抑えられるので、在来種を含めた既存種の植生に大きな影響を与えていることは確かだそうです。



最後はヒカゲチョウでした。このチョウも奈良に来て初めて見ました。これで奈良で見たチョウは全部で26種になりました。


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