色覚障害のメカニズム

色覚障害者の色の世界を探る:LCD表色による実験的投稿(OCNブログに初投稿'05.08.30 最終'16.04.08)

0. 色覚5原色から色覚障害者の色の世界を見る

2012年11月18日 | インポート

予備的投稿を・・・  (2012.11.18)

 4.や1.などの付記で考察したようにヒトの色覚を、光の刺激からみた3原色(青、緑、赤)ではなく、脳の中の色覚としての5原色(白、青、黄、緑、赤)で表現する手法を検討している。こうした扱いによって、ヒトの色覚に現れる青色と黄色および緑色と赤色が対立色(反対色)を形成する特性や各原色による混色の有無を数理的な画像処理から解析できると考えている。さらに、標準的色覚の人が色覚障害のある人の色の世界を理解することは、もちろん、逆に、色覚障害のある人が標準的色覚の人の色の世界を推測し、理解することへの可能性もある。 LCD等のディスプレイは、あくまでヒトの色覚の擬似的表現方法であって、3原色(5原色)特性や画質等に限界や問題点もあるが検討を試みている。 また、混色による色の見え方等は、今後の課題と言える。

1. 標準的色覚の人が見る単色光スペクトルを色覚5原色で表示した場合

          Spctrm_01_2 

 色覚障害(3型は除く)の有無に関わらず、白色をはじめ5原色の存在や対立色、混色の関係を色覚的に読みとれる。1型や2型の色覚障害の人には緑色や赤色の原色を黄緑色や橙色などの黄色系に見ているが、それらの原色の存在を視認することができる。

 ( 参考  上記5原色を2型2色覚の人が見た場合のシミュレーション 2012.12.20 )

        5m_121220_01

 ( 参考  同じく上記5原色を3型2色覚の人が見た場合のシミュレーション 2012.12.24 )

        5s_121224_02

2. 1型2色覚(L欠失型 第1色盲)の場合

       Spctrm_01_l

  緑と赤色の感度が無くなり、白色と対立色の青色、黄色との混色になり、白色点(中性点)の存在を示している。

3. 2型2色覚(M欠失型 第2色盲)の場合

           Spctrm_01_m    

   2.と同様に、緑と赤色の感度が無くなり、白色と対立色の青色、黄色との混色になり、白色点(中性点)の存在を示している。

4. 2型3色覚(M偏位型 (偏位率 0.75) 第2色弱)の場合

           Spctrm_01_m_075

 標準型に比して、緑色および赤色の感度が明らかに低下していることが認めらる。

注1) 1型2色覚、同3色覚(第1色盲、色弱)では、長波長域の赤色の感度が元来低いので、 これに対応した補正も場合によっては必要と考える。

注2) これらの解析にではガンマ値を 2.2 としている。また、画像処理の一部がJPEG形式の ため、色の境界付近などに多分のノイズが見られる。 

付.1 任意画像の5原色 計算例

  Photo

左上の原画での二人の上衣の色 (投稿者の色覚<第2色覚異常中等度>では緑色あるいは赤色が含まれているか否か判別不能) が、5原色に分解することによって、混色の割合は特定できないけれども、右が青色と緑色の混色系、左が黄色と赤色の混色系と推定できる。

 ちなみに、投稿者に同等とみられる2型3色覚(M偏位型(偏位率 0.75))での5原色は、

    M_075_121120_01_3 

 標準型に比して、緑色および赤色の感度が明らかに低下していることが認めらる。

 参考までに示す下記のような3原色での表現では、色覚上の色相判定がむずかしい。

  121118_02

 新鮮な野菜の画像を 2型2色覚(M欠失型 第2色盲)のシミュレーションと比較すれば、

M_121126_01_2 

付.2 「光の3原色」の見え方を5原色で表示

  M075_121117_02_2

 注1)上図の中で、原色が重り合う部分(対立色を除く4つの組合せ)は混色の色覚となる。

 注2) 色覚のホワイトバランス、イエローバランス等の神経生理学的なメカニズムについては不詳につき、別途な課題とする。

 参考までに、「光の3原色」の見え方を3原色で表示

   121117_02_3

付.3 「色3角形」を 5原色で表示

             121121_02_2 

 

付.4 某サイトの石原式色覚検査票のコピーを 5原色で表示

    ( LCD表色に変換されるなど、本来の品質は保障されていないからあくまでも参考例)

2_121123_01_3

 上左端の原画には、投稿者の色覚(第2色覚異常中等度)では判然としない一連の数字が5原色画像の中に巧みに配色されていることを投稿者の色覚でも視認できる。(原画の見え方の色覚シミュレーションは、2.の付記を参照のこと。)

 

 この色覚5原色で画像を分解表示するソフトの作成は、色覚障害シミュレーションと同様に、㈱COSMO BRAIN による。 M.T ならびに S.O 両氏に謝意を表する。

 

付.5 色覚5原色の演算過程を再掲する。 (2013.02.05)

5_130205_02_01_2

5_130205_02_02_2

  付.6 刺激としての3原色表示と色覚としての5原色表示を対比 (13.10.30)

 特異な白色、黄色を組成して対立色的な特性を持つ色覚5原色は、対立色を前提にしたいわゆる段階説に止まることなく、実色覚に対応するひとつの色覚モデルとして色覚(障害を含む)を理解するうえでも有意性が高いと考える。

   13102701
   131027_01

  131027_01_2

      

 付.7  錐体の進化系統と5原色の構成を対比 (16.04.08)

 特異な黄色、白色については、4. 付末尾で「色覚応答の原型 あるいは 分化の痕跡 として残されているように見える」と記したが、下図のように錐体と色覚とを対比してもその関係は明らかではない。ヒトの色覚には、錐体と直結する過程と複合あるいは分化する過程が混在しているためと思われる。    

 上図のうち、錐体の進化系統は、宮田隆(1998)等を参考にした。 


1. 色覚障害者に 単色光スペクトルはどう見える?

2010年01月23日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 

「標準的(正常)な色覚の人」が「色覚障害者の色覚を疑似体験する」

ことはできるのか? そして、その目的とは?

 標準的(多数派、正常?)な色覚の人達が、色覚障害者が見ている色を疑似体験して理解できれば、誤解や偏見による不当な差別や制限などの人権的な障害や 人為的につくられる色表示の情報に見られる識別障害を 解消あるいは軽減できると考えられる。

 しかしながら、こうした試みには、正しい情報が正しく理解されないと、色覚障害者を含めて新たな誤解や偏見などを生み出す危険性があることに注意する必要がある。ここでは、ヒトの色覚特性を LCD(液晶ディスプレイ)で表現することの問題点についても考察を試みる。

 下図は、標準的な色覚の人が見ている単色光スペクトルの色( この例は、sRGB値に換算したLCD表色)を 3種の強度な色覚障害者が見るであろう色に変換したものである。

 061015_02_2

 この図は、あくまでも標準的(正常)な色覚の人が色覚障害者の色覚を疑似体験して理解するために作成したもので、色覚障害のある人が他のタイプの色覚障害を疑似体験しようとしても適当でない場合がある。( 6.を参照のこと。)

 また、LCD表色の3原色では、ヒトの色覚3原色を精確に表示できない制約された近似的な表色となるので、実際の色覚と合致しない場合もあるから注意が必要である。(7.を参照のこと)

 例えば、L欠失型(第1色盲)の色覚の人が上図の標準型とL欠失型のスペクトルを比べた場合に、色相はほぼ同じでも長波長域での感度低下が同じに見えないから、このシミュレーションには疑問があると誤解するようなことが起こる。

 ちなみに、投稿者の色覚( 第2色覚異常中等度)では、上図の標準型とM欠失型(第2色盲)とのスペクトルがほとんど同じに見えて色相の相違を識別することが難しい。

 逆に、「色覚障害のある人」が「標準的(正常)な色覚を疑似体験することは、軽度な場合を除いて、色相的には極めて難しい。

 また、自然界の多彩で微妙な色の変化を観察したり表現する場合などで、色覚障害がある人には特定の色を識別できなくて非常に困惑させられることがある。しかし、こうした場面を拒絶するのではなく、できれば標準的な色覚の人達からの適切な助言や説明などの支援を得て、色を識別できない精神的な不安や苦痛が緩和されることが望まれる。

 このような色覚に関連する様々な障害や問題を理解して、その対応を考えていくうえで、色覚シミュレーションは有効な手段と思われるから、正しく確立されていくことが求められる。

 色覚の数理的な展開は下記の文献に準拠している。

色覚障害のメカニズム 研究ノート No1~9;色覚障害の問題を考える会(出雲)2003  (下記のコメントを参照のこと)       

 ここで、標準型(正常)とは、CIE1931RGB等色標準観測者の色覚に対応している。

 L、M、S欠失型とは、3種ある錐体細胞L,M,Sのうち1つが欠如した2色型の色覚(第1,2,3色盲)に対応している。 3色型色覚障害(第1,2色弱)はL、M偏位型に分類する。

( 2007年、患者団体?からの長年の要望で 色覚異常の分類に関する医学用語が やっと改訂され、差別や誤解を招く用語をできるだけ排除して人権的な配慮がなされたと言う。

 新しい用語で、投稿者の色覚 第2色弱 は 2型3色覚 となるらしい。(程度判定は不明)

 本ブログでは、色覚障害の要因が各種錐体の有無や特性にあるとして色の世界を探っているので、医学用語に拘らず直接的な用語や表現を多用している。 08.05.06 )

 白色度は、(R,G,B)値の相加平均値で、グレイスケール値 ( 色立方体上の白色成分( 任意の座標から白色軸へ垂線を下ろした点 ))に相当する。長波長域では、いわゆる比視感度曲線とよく似た特徴を示しているが、短波長域ではB(青色)成分の影響が顕著となっている。(明度や比視感度の再評価が必要と思われる。) 

 なお、LCDで見る場合、色調は画質、輝度調整や視野角などの影響を受けやすいので、微妙な色の変化はsRGB値で確認するなどの対応が必要と考える。

                                        ( 文責 奈良井 修二 ) 

 

 付.1 「色覚障害者の色の世界を探る」試みの手法 (09.09.01)

 090603

 付図1

 1090829

 付図2

 22090905

 

 付.2 L、M錐体の応答偏位と混同色軌跡 (2色覚と3色覚の関係)  

 (LCD表色による1,2型3色覚の色覚偏位を色票で表現した場合 11.02.15 ~03.08)

 L、M錐体応答スペクトルの偏位による色3角形上での色座標の偏位(混同色軌跡に相当する)と色票の見え方を対比した試算例。

        450545610_110308_02

 下図の上枠は、上図の点C4を通る L,M錐体偏位型の混同色軌跡に対応した色票を配列したものである。また、下枠は、上枠をM錐体欠失型(2型2色覚;第2色盲)の色覚で見た場合を本稿シミュレーションで変換したものである。

   C4_110309_02

 投稿者の色覚(第2色弱中等度?)には、上枠の緑色系と赤色系を含むはずの色票群が下枠の黄色系のみの色票群と全く同じ色の配列に見える。 なかでも、上枠下段の色票列は下枠下段のように同じ色に見えるから識別できない色(混同色)になることを示している。

 本稿の色覚モデルから半理論的に展開した近似的な計算にもかかわらず、1,2型の2色覚および3色覚のLCD表色によるシミュレーションは概ね妥当な成果に達したと考えている。なお、色覚障害上の諸問題を考えていくためにはなお一層の取組みが必要となる。

 (12.05.09 M偏位型(2型3色覚)の混同色列(投稿者の色覚では識別ができない)を5原色に分解する演算例を4.の末尾に載せている。3原色では表現できない白色や対立色的な関係にある黄色あるいは青色、緑色や赤色の混色度合を推定することができる。色覚障害のシミュレーションと組み合わせて使えば、色覚障害者自身が標準的色覚者の色の見え方を推察できると考える。)

 (12.05.24 L偏位型(1型3色覚)の混同色列と5原色分解の演算例を添付。)

 Lc120529_2

 

 


2. パステルカラーの色はどう見える?

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

       060109

 投稿者の色覚は、中学生のとき赤緑色盲と言われたこともある。図画の時間などでは色を間違えないようにと無駄な努力をしたり、色に関する会話を避けるようにしてきたのである。色とできるだけ関係のない職業を選択しようと苦心したが、結局のところ色から逃れることはできなかったと思う。とくに、人の顔色(健康状態を含めて)を読むことは不得手であった。

 天命を知るべき歳になって、未練がましく検査(遺伝子検査を除く)を受けて第2色覚異常中等度と診断された。それを告げられた時、「それってどのような色の見え方をしているのですか?」と聞いたが、何を言われたのか記憶にない。ひょっとして、「あなたが見ている色はあなたにしか判りません。」 「はあ、そうですか。」 なんて、妙に納得したのかも知れない。

 例え、「赤色と緑色の識別が難しいですよ。」と 識別できない色を並べて説明されても、基本になる標準的な色が分からないのだから、色の見え方が理解できるとは思われない。

 上図の色環は、理論的な混同色軌跡の方向を配慮して丸い色票を並べている。ここでは、L欠失型は右下がり(1と6、0と5、3と4)、M欠失型は水平(2と6、3と5)、S欠失型では垂直(1と0、2と3、6と5)の各方向が識別が困難となる。(色度図上の関係は7.を参照のこと。白色度が変化するため同色とならない色票もある。)

 投稿者には、上の原票と下段中央のM欠失型(第2色盲)の色環とが同じ色合いの配列に見える。すなわち、原票の2と6、3と5の識別が難しい(混同する)のである。(投稿者の色弱型では、微妙な違い?があるようにも感じられるが、概して同じ色合いと判断してしまう。) 下段左右のL、S欠失型(第1、3色盲)のものは、程度に差はあるが、原票とは異なった色合いの配列に見える。

 標準的な色覚の人には、全体的な印象として原票と下段右のS欠失型(第3色盲)の色合いが似ているそうである。赤あるいは緑色の印象が比較的(かなり?)強いことを投稿者には理解できない。

 そこで、逆に投稿者は、標準型の(正常な)色覚や他の色覚特性を持つ人が原票をどのような色合いに見ているのか想像したくなるのだが、適確に解説してくれそうな教材や文献などの検索に成功していない。

 実際に、色々な色覚特性を持つ人が正しく情報交換や比較検証を行わないと、色覚シミュレーションの調製や理解は進まないと思っている。

( 近年、幾つかの色覚シミュレーションが紹介され一般に流布している。投稿者が標準的な色覚の人とそれらの色の見え方を一部検討してみたが、2色型と3色型の色覚障害を曖昧にしているなど問題が見受けられる。既に こうしたシミュレーションを使った結果から色覚障害者の色の世界を 赤色が茶褐色系に緑色が暗い黄緑色系に見えるなどと3色型にして解説する健康医療情報サイトまで出現している。(医学的には L,M欠失型(第1,2色盲)は2色型とされている。) このような状況では 色覚障害に対する曖昧な知見を徒に助長させ 実態が正しく伝わらないことが危惧される。 以て 慎重な取り組みが望まれる。 09.01.29 )

 

 (10.04.26) 色覚シミュレーションの計算例 

 某サイトの石原式色覚検査票らしきもの( LCD表色されているから、本来の品質は保障されてないのであくまで参考例?)を原画にして色覚障害のシミュレーションを試みた。これも標準的な色覚の人が1、2型の2色覚(第1、2色盲)を疑似体験するためのものになる。

   Lm_100422_c_2

 

 (10.04.28 追加)

 第1、2色弱(1、2型3色覚;L、M偏位型)のシミュレーション例。 留意事項は上と同様。

 Lm_100423

  注) 色弱の色覚障害の程度判定には、別途識別閾等からの考察が必要となる。

 (12.05.29 冒頭の色票を 4.章末の手法で 5原色の混色に分解した演算例 )

 120529_2

 L偏位型(1型2、3色覚)の人には、赤色の感度が低下するから、上図の赤色を黄色に近い橙色 で代用すれば、標準型の赤色により近い感度で表示できると思われる。

 


3. 色弱という色覚で考えること

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 色覚障害者自らでなければ自らの色の見え方を探ることはできないのか?

 ある医学参考書(眼科 Mook No.16、1982)のある章の末尾には、二色型色覚異常は錐体の欠損型で説明できるとし、さらにつぎのように記している。「やや不明なのは三色型色覚異常である。・・・欠損型ではなく変形型なのである。・・・今後興味をもってこの複雑な三色型色覚異常の解明に当たる人が出てくることが望まれる。」 治療の対象にならない障害への医学の姿勢として理解できないこともない。

 この本が出てから四半世紀。「色弱(三色型色覚異常)のメカニズム」は解明されたのであろうか? 色弱や色盲の色覚特性とこれらの関連性を(数理的に)説明できないままに、色覚(障害を含む)のメカニズムが解明されていくとは思われない。

 このような疑問を色覚障害を扱っている数少ない某大学の眼科医(多分正常な色覚の人)に質したところ、「あなたがそう思われるのであれば、あなたがされたらどうですか」と他人の事のようにバッサリ。従来、こうした分野から締め出されていた色覚障害者(耳順に近い歳)には いささか不協和音に聞こえたのである。

 一般的なあるいは専門的な色覚障害の解説の中には、光の波長や表色の条件等を明示していない粗雑な単色光スペクトル図らしきものを載せて色覚や色覚障害のシミュレーションを説明するとか、色覚を理解するにはどう見ても不適切な CIExy色度図に色を変換して色覚をより煩雑で難解なものにするなど、何故か色覚研究が色彩を扱う実利的分野にミスマッチしたまま因循姑息な状況が続いている、ように見えるのは、投稿者だけの錯視であろうか。

 さらに表色(LCDを含む)に関して言えば、無色(暗黒)の中に色を表示しているのか、白地に色を貼り付けているのか理解に苦しむような図式が少なくないのである。

(色々なサイトに掲載されている単色光スペクトルらしきものや彩色されたCIExy色度図などを収集、例示していたが、表色条件等を検証できないため全てを削除。06.07.05) 

 色覚障害者の色の見え方を障害のない人は正しく理解することができるのであろうか?     

 色覚障害者が自らの色の見え方を正しく理解することは果たして可能なのであろうか? 

 「解からなくなったら原点に戻れ」 これが問題解明の原則だと思うのだが・・・。

 さらには、「古きを温ねて、新しきを知る」 ことも・・・。

 先哲も曰く、

 「稽古とは、一より習い十を知り、十よりかえるもとのその一。」と。 学問もまた然りかと。

 

 以下、研究ノートに準じてその要点を補足する。(06.07.05)

 本稿での色覚(障害)に関する考察の原点は CIE1931RGB等色関数にある。 これは1920年代に J. Guild や W.D. Wright らが測定した複数の被験者の等色数値を平均化して 標準観測者の色覚特性として作成されたものである。

 下図に示す単色光スペクトルは、この等色関数をヒト本来の3原色に対応するRGB(応答)関数に正規化して LCDによる表色(sRGB値換算)を試みたものである。

  等色関数の正規化について (07.02.17)

    ①ヒトの色覚RGB軸の推定 070216_cc2  ② 正規化したRGB関数 070216_ccc

      2_22_2_2

 この表色では、色覚B(青)の最大値をsRGB値Bの最大値(255)に比例させている。 ヒトの色覚3原色とLCDなどのsRGB表色の3原色は必ずしも一致していないので擬似的な表色であることに留意が必要である。

 (参考 07.08.28 ) 心理物理学的な色覚から乖離した等色関数の例  Xyzcie19311964_070828_01

 (参考 07.10.19 / 08.02.20 添削) 等色関数の正規化 と 白色の等色特性

 08022002cc

 元のCIE1931RGB 等色関数の各R,G,Bスペクトルの積分値は等しい。これが、心理物理学的な測定による必然的な結果なのか、あるいは等エネルギー分布の光が白色の色覚を生じる特性に合わせた恣意的な設定なのか、投稿者は不勉強で分からない。

 ヒト本来の色覚系に正規化する演算は、CIE等色関数B,G,R値から負の値を消去し、ヒト本来の3原色軸を推定するもので、ベクトル的な Bn=Gn=Rnで特異な白色の等色(Gn=Rnで特異な黄色の等色)を満足させ、スカラー的に各スペクトルの積分値が等しいという白色光に対応する性質も保たれる。

 ヒト本来の3原色色覚系として数理的に確立するためには、新しい分子生物学的な知見を基に心理物理学的な等色関数などを再検討して整合性を高めていくことが必要である。

 規格化(3原色BGRの最大値を1)したスペクトル等の表現ついて ( 08.08.14 省略 ) 

 正規化された(規格化しない)色立方体での色3角形(△BGR=B+G+R=1の平面)への投影図は、対立色表示の色度図に変換(写像)できる。

     (07.01.16) 色立方体と対立色表示の色度図との関係図 ( 08.06.22 拡大 )

 080622cc

 ( 対立色表示の色度図上に色立方体全体を写像してできる正6角形を色相表現すれば、太陽光の分散と合成の関係からつくられたとされるニュートン(Newton)の色環(1703)や対立的な色の感覚に基づいてつくられたというゲーテ(Geothe)の色彩環(1793)に よく対応した色相の構図とも解釈できる。 08.06.12 )

    (08.06.23) 正6角形の色相表現の一例  080707_04

       (07.05.11) 色3角形と難解なCIExy色度図 070510

 

 ( 色3角形の応用例 )   

 偏位型(色弱)の色覚領域の変化について (研究ノートNO.9に準じて 06.11.10 ) 

 次の4.(補足)で述べるL、M偏位型(第1、2色弱)の応答スペクトルに対応する色覚領域の2次元的な変化を色3角形(対立色表示の色度図)上に示すと下図(偏位率0.75の場合)のようになる。色弱と言う色覚の数理的な展開や特性の理解が多分に平易となる。

      061109_03_02

 各偏位型での単色光スペクトルの軌跡に囲まれた色覚領域および局所的な色覚領域の変化は、色弱という色覚の色の見え方の特性(例えば、心理物理学的な知見である混同色軌跡の方向性や識別の難易度の相違など)について、各欠失型(色盲)の色の見え方との関連性を含めて十分説明できることを示唆している。

 当然、前提としている多くの仮説やこれらの計算結果に対しては、色の識別閾に留意した心理物理学的な解釈や脳内の神経生理学的なメカニズムからの検証が必要になる。

 本ブログに示すような取り組みが、1.の冒頭部分でも触れたように、新たな誤解や偏見をもたらすことのないように臆病にならざるを得ない。何故なら、色覚障害のある投稿者には、自らが調製する色覚シミュレーションなどの色票等を 自ら識別できないという 辛さや怖さと悔しさがある。

 たかが色弱、されど色弱。 ( 色盲より障害の程度が低いと軽視されるけれども・・・ )

 色弱は、色覚障害のメカニズムを解き明かす標(しるべ)の一つとなるのではなかろうか?

 投稿者は、色弱(自らの色の見え方)を正しく理解し、他者に正しく説明できるであろうか?

 


4. 第1、2色弱の人が見る色とは?

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

   050830_2

 色弱(3色型色覚異常)の人の色の見え方は、標準型(正常)から欠失型(色盲)までほぼ連続的に存在することが等色検査などで明らかにされている。また、L,M錐体の視物質の吸光スペクトルには極大波長が偏位した多様な分布型があることからも推定される。

 本稿で使用する色覚モデルは、極めて単純な仮説のもとに L,M錐体の偏位型スペクトルを推定し、色の見え方を数理的に計算している。光を受容する眼から脳の中の色覚に至る過程はミクロ的にもマクロ的にも複雑であるが、現段階では、単純化による試算や考察も必要と考える。

 投稿者が上図で混同色軌跡方向の色(2.を参照)を比較した場合、上段のL偏位型で 辛うじて違いを識別できるのが 0.00~0.50 まで、0.75 と 1.00 では識別できない。下段のM偏位型では 0.00 の違いは辛うじて識別できるが、 0.25~1.00 の違いはほとんど識別できない。このような識別の難易さの特徴から推定すると、投稿者の色覚はM欠失型に極めて近い色覚であると言える。

 投稿者の究極の目的は、 「自らの第2色覚異常中等度の色の見え方を探る」 ことにある。

 ハイテクは至難の技であるから、ロー(老)テクと自分の偏っている色覚特性を頼りにして、限界はあると思うが、いましばらく輻輳した色の世界を探ってみたいと考えている。

 色覚障害の問題に取り組んでみて、その多くの時間と労力は、標準的(正常)な色覚を模索するために費消してきたような気がする。他人を知らなければ、自分を知ることができないのであろう。仮説から検証への繰り返し、終わりのない試行錯誤が続くことになる。

 空間を飛び回っている光(電磁波)に、色は無いという。 「色即是空 空即是色」である。

 (補足)

 上図のL,M偏位型(色弱)の色覚変化は、一方の錐体応答スペクトルが標準(正常)型で、他方が下図の偏位型(標準型のL、Mスペクトルを相対的に四段階に偏位させている)として計算している。偏位率が高くなって両者のスペクトルが接近すると3色型から2色型の色覚へ変化していくことが理解できる。あるいは、逆に 2色型から3色型へ新化する過程の痕跡と言えるかも知れない。(末尾の推理を参照のこと。 07.10.09)

 さらに、両者が偏位型となる場合も想定されるから、色覚変化には上図の中間的な変化やはみ出した変化の場合もありうる。

 

      Photo  

 Nathans ら (1986) が測定した L,M 錐体視物質の吸光スペクトルの分布特性と比較したものが下図である。一方は心理物理学的な値からの推定、他方は分子生物学的に測定した値であるが、最大波長の分布には若干ずれが見られるものの、ほぼ同様な範囲にあることを示している。( Asenjo ら(1994)の測定範囲を縦軸に追加。 08.03.15 再作図 )

 080315_2_2 

 なお、CIE 等色関数を定めた標準観測者の色覚が、どのS、M、L錐体に対応するのか特定されているとは言えない。色覚研究の原点とも言えるから精査が必要と思われる。

 

 ( 参考 08.02.23 ) 本稿で計算に用いる 色覚モデル (以下、Yeモデルと呼ぶ。)

 Yeモデルについては、Smith&Pokorny(1975)の錐体分光感度関数やBoynton(1979)の色覚モデルなどと比較して妥当性を吟味している。( 研究ノートNo.3、4 参照 )

 正規化した色覚応答( B G R )と 錐体応答(S M L )との変換関係は、

   S=B M=G L=(G+R)/ 2 = Ye : 特異な黄色成分)、 (∴ R=2L-M

          錐体(分光)応答感度スペクトルとの比較   No4080306_2

  対立色の関係は  B-Ye = S-L R-G = 2(L-M)  で  B+G+R = S+2L

          Boyntonの色覚モデルとの比較        Photo_2

 また、白色(軸)は B=G=R から S=M=L、黄色(軸)は S=0 で M=L となる。

 これらの各応答スペクトルの関係から、錐体欠失型の混同色軌跡、中性(白色)点などの心理物理学的な色覚特性とよく整合する仮説や結果が得られる。また、多様な錐体偏位型色覚への展開と探索が可能となる。

 ( 補足 10.05.20 )

 各錐体の分光感度については、Wald(1964)が選択的順応下での応答スペクトルとして測定していたと考えられる。さらに、Smith&Pokorny (1975) や Stockman ら(1993)による提案もあるが、これらは間接的な測定や解析であって、3原色説や対立色説による色覚の数理的な表現や計算に直に使えるものではない。R色覚がL錐体単独の応答を示すものではないとすれば、上記モデルのような単純に実体的な関係から推定することも合理的な手段と考える。(ただし、これらから導かれる結果が妥当なものであることが前提ではあるが。)

 また、Wald(1966)は2色型色覚(色盲)の測定で、欠失した錐体の代わりに他の錐体、第1色盲ではLの代わりにM、第2色盲ではMの代わりにL、第3色盲ではSの代わりにM、に相当する応答スペクトルを測定したと報告している。(論文では、LをR、MをG、SをBと当時の分類の仕方で表現。) これらの結果と色覚の心理物理学的な特性を勘案すれば、3色型色覚と2色型色覚とは同じ色覚のメカニズムで機能していると推察できる。

 すなわち、標準的な色覚を[S,M,L]型とすれば、L欠失型色覚は[S,M,M]型、M欠失型色覚は[S,L,L]型、S欠失型色覚は[M,M,L]型と言える。上記の色覚モデルに対応する各錐体応答を代入すれば色覚応答が計算できる。L,M偏位型についても同様の取り扱いとなる。

 

 ( 参考 07.06.22 ) M偏位型(第2色弱)が見る単色光スペクトルの計算例

      研究ノート No.10 ( 10nm単位 小数点以下3桁での計算  03.05.15 ) から。

           070621_01                           

 これも標準的色覚の人がM偏位型の色覚を擬似体験するために作成したものである。上記L,Mスペクトルの変化図のように、偏位率が高くなってM錐体のスペクトルがL錐体のそれに接近すると、R(赤色)とG(緑色)の成分が欠乏していき、B(青色)とYe(黄色)の2色型の色覚へ変化していくことが数理的にも色覚的にも理解できるはずである。

 残念ながら、M欠失型に近い投稿者の色覚では、前述の色環の例と同じように、標準型から欠失型までの色相の変化をほとんど識別できない。すなわち、赤や緑の成分を感じることなく全て最下段と同じ色相に見える。故に、投稿者の色覚だけでは自らの色覚特性、言い換えれば、標準的な色覚の人が見ている色の世界を理解することは至難の業(技)と言える。

 ( 図工や美術の授業で、色の使い方がおかしい、間違っていると言われても、練習や訓練で色の見分けができるようになるわけではない。また、偏った色の見え方や使い方を個性と言うような曖昧な取り扱いで問題が解決するものでもない。とくに、色覚障害者の存在とその色の見え方を理解しないで、標準的な色覚を基準に 色の見え方や印象を押し付けたり、色の使い方に優劣を付けて評価するようなことは隠された差別やいじめにつながると言える。

 

 

 ( 余録 07.06.23) 偏位型(色弱)色覚で 識別できない色を識別する?ための試み

           ー 削除 ー

 しかし、なお最終的には、標準的な色覚の人の識別・判定に依存せざるを得ない。

 最近、買い物や展示会等で色(名)の判定に自信がない時は、積極的に担当の方に尋ねることにしている。間違いを恐れて消極的存在でいるよりも、色覚障害者が具体的に困惑する場合があると他者に理解してもらうことも必要と感じている。

 またごく最近、消化器や泌尿器系の手術入院を繰り返した時に、医師から便や尿に含まれる出血の有無を視認するように求められたが、色の識別が困難な事情を話して看護婦に確認を依頼したことがある。 申し出をしなければ、自分自身の病状の悪化を見過ごすことになりかねないので避けて通れない体験であった。

 自らの色覚特性に適合した個人的な色の識別手段を工夫することは大事である。さらには、色々な分野で色の識別を支援してもらえる社会的な仕組みが不可欠であると言える。

 

 (今後の課題として)

 識別閾を利用した L、M 錐体偏位率 推定の試み (研究ノートNo14 引用 06.11.26 )

      141_040206_2_2

       060122

 注) 画質、色表の大きさ、LCDの表色特性などによって識別閾に差異が生じる。

 

  LCD表色による歪みを修正した色表の試み (06.11.26) ( 修正の方法は7.の末尾 )

        240_125_0607073ccc

 ( 本ブログへの投稿は、画像を JPEG で圧縮するので、画質の低下が避けられない。原図は、BMP(24bt) の 約920KBの大きさ。)

 投稿者が原図上で識別可能なのは、上段(L偏) 1.0~0.3、下段 (M偏)1.0~0.7 となる。したがって、投稿者の色覚は、M偏位型で偏位率 0.85程度に相当すると判定される。 

 LCDでsRGB値表色を利用したこの方式では、識別閾の精度も低く、偏位率 0.5以下の判定が不能という限界がある。偏位率の小さな色覚の判定には、さらに細分化が可能な精度の高い光学的装置が必要と考える。 

 この試みの目的は、色覚障害者が自らの色の見え方を正しく理解することにあって、ひいては不合理な差別や制限の緩和や廃止、さらには色覚バリアフリーなどへの取り組みに資することにある。 

 

 

 ( 3原色説から色覚の新化(進化)を推理 07.10.09 / 08.02.19 一部添削 )

 本文中の2色型、3色型の用語は一般的な3原色説に基づく使い方で、下記のような実際的な色相の分類の仕方とは合致しない。 また、色覚応答が錐体応答に直接的に対応しない場合もある。(L錐体とR色覚の例) 錐体欠失型(色盲)の色覚特性の場合には、下図のような2錘体型の色覚で表現されるとは限らない。(S欠失型の例) なお、杆体の存在や影響は考慮していない。

 2錐体型から3錐体型への新化とは?( 3原色説から逆算して新化の履歴を探る )

 単色光に対応する色覚応答スペクトルを下図のように想定する。( 各スペクトルの分布や位置は任意に設定。スペクトルの重なり合う領域では、複数の色覚(錐体)が刺激されることによる混色の機能が生じるものとする。 )

 08021900112

 上図に対応する色覚を、ヒトの3原色立方体で消去法的に表現すれば下図のようになる。

 080626_01

 2錐体型から3錐体型への色覚の新化において、B、Ye の2色で、さらに B、G、R の3色でも等色可能で しかも単独の原色らしく作用する特異な白色軸W’と 単色光でも存在し、さらに G、R の2色でも等色可能で しかも単独の原色らしく作用する特異な黄色軸Ye とは 色覚応答の原型 あるいは 分化の痕跡 として残されているように見える。これらの考察が上述のYeモデル(色覚モデル)を見立てるひとつの道程となっている。

( この特異な白色と黄色軸の存在が対立色説を理解する前提となる。 08.05.31 )

 さて、4つの錐体を持つという動物の色覚とはどのように考えればよいのであろうか?

 ( 0.付.7 に、ヒトの錐体進化系統と色覚5原色の構成を対比させている。夜行性哺乳類の時代に一部の色覚を喪失し、最近また獲得した言われる色覚の変遷をどのように考えればよいのであろうか?  16.04.08 ) 

 

 3原色説における混色について ( 10.09.01 ) 

       --- 特異な白色および黄色成分を含む5原色としての特性 ---

 10090101cc

 (2011.12.22) 単色光スペクトルと5原色による色相と混色

 上記の色立方体における5原色の色相と混色の考え方で、CIE1931等色関数(標準観測者)から求めた単色光スペクトルの色相を分析すると下図のようになる。

    111222_2 

  図中 490nm 付近での青/緑色は、青色と緑色が、また、440nm 付近の紫色は青色と赤色が重なり合りあって混色の状態であることを示している。

  (参考) 3原色から5原色応答を求める手順 ( 12.11.28 訂正 )

    ① yo= Min ( G ,R ) 

    ②  wo= Min ( B .yo) → 白色     または、 wo = Min ( B ,G ,R )

    ③ yo'= yo-wo   → 黄色        または、 yo' = Min ( G-wo ,R-wo )

                                または、 B - yo の負値

    ④ B' = B -wo  → 青色            または、 B - yo の正値

    ⑤ G' = G - ( yo + wo)  → 緑色      または、 R - G の負値

     ⑥ R' = R - ( yo + wo)  → 赤色      または、 R - G の正値 

    ここで、③と④ならびに⑤と⑥とは、上図から明らかなように対立色(反対色)の関係になる。

また、上図中の 5原色の割合を百分比率(%) で示すと下図のようになる。

    11122362

 このような関係は、白色成分や彩度あるいは非線型的な課題などに不明瞭な部分もあるが、白色及び黄色が介在することによる青色と黄色及び赤色と緑色との対立色的な応答特性あるいはカラーネーミング(スケーリング)などの分析に見られる特徴をよく表していると言える。(ここでは、対立色的な(数理的な)関係で黄色成分として扱う Ye=(G+R)/2 と 黄色(色覚原色)の条件と考えている G=R の等価的関係との相違に留意する必要がある。 )

 2型2色覚(M欠失型)の場合には、次図のようになる。

 111223_2

 ちなみに3型2色覚(S欠失型)の場合は、下図のようになる。

    S120301_4 

 1.または9.の単色光スペクトルの表色例などと対比すれば意味合いがよく分かる。また、白色点(中性点)の存在も理解しやすい。

 なお、1、2型の3色覚、2色覚の場合は下図のようになる。LまたはM 錐体の分光感度が他方の分光感度に接近すれば相対的に緑色と赤色の感度が減少することを示している。

    120210_2

 また、上図から対立色応答の変化を抜き出せば下図のようになる。(2012.02.24)

    120224

 L.M.Hurvich ら(1981,日本語訳 2002)による異常三色型の相対的視覚応答についての考察に対応するものと考えられる。

 3錐体の応答から対立色的な脳の中の色覚応答へと結びつける試みは、広内ら(1997)による表色系作成のための数理モデルにも見られるが、色覚障害のメカニズムを考えて行くうえからも欠かせない作業となる。

 (2012.05.14) M偏位型(2型3色覚)混同色色票と5原色による混色 

 応用例として1.の末尾に記したM偏位型の混同色列(投稿者の色覚では識別ができない)を5原色で分解すると下図の左側の上段のようになる。下段の3原色では表現できない白色や対立色的な関係にある青色や黄色あるいは緑色や赤色の混色度合を推定することができる。 一般的な画像に5原色分解を適用すれば、また、色覚障害のシミュレーションと組み合わせて使えば、色覚障害者自身が標準的色覚者の色の見え方を推察することができる一つの方法と考える。

Mc4120529_2

  (12.05.24 1.の末尾に、L偏位型の混同色の演算例を追加。) 

 

 


5. 色覚シミュレーションの比較

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 いくつかの既成のシミュレーションがあるが、最近知人がスグレものとして紹介してくれた「Color Doctor」(富士通が無料で提供している色覚シミュレーション用のツール)との比較を試みて、問題点を探ってみる。このツールを選んだことには特別な意図はない。

1 単色光スペクトルの見え方を比較

      050831

(「Color Doctor」 は、H.Brettel,F.Vienot & J.D.Mollon ら(1997)の手法に準拠。)

 これらの精度あるいは適否の判定は、対応する欠失型(色盲)の色覚障害者に委ねるしかないとも思われるが、シミュレーションを表示するLCD表色の3原色が近似的なものであるがために難しさがある。( 6.の末尾 および 7.を参照のこと。)

 例えば、この比較を投稿者の色覚(第2色覚異常中等度)で観察すれば、

 ・ S欠失型(第3色盲)の色相、波長域は両者ともほぼ同じ結果に見える

 「Color Doctor」に関して言えば、

 ・  L,M欠失型(第1,2色盲)の可視域と色相には大差がないように見える。

 ( 追記 07.10.17 標準的な色覚の人から色相についてつぎのような指摘を得ている。 M欠失型ではかなりの赤みを帯びた2色型?であり、L欠失型も若干同じ傾向にある、と。 投稿者は赤みを余り感じない2色型に近いから、このシミュレーションには疑問符が付く。)

 ・ 前者では 450nm付近、後者では 550nm付近の明度(白色度)が標準型より高く、両者とも短波長側の可視域が標準型より広がっているように見える

 ・  L欠失型(第1色盲)で、比視感度曲線が示すところの長波長域での感度低下が見られない (長波長域でのLCD表色は近似的で、実際の色覚とは合致しない問題がある)

 ・  L,M,S欠失型(色盲)に特有な中性点(白色点)の存在や現れる波長に少し不明瞭なところがある ( 白色点は、各々 495、500、570nm付近にあるとされている)

            ( 08.12.17 追補 )   白色点の推定  060905081217

 

など、なお検討の余地があると思われる。 

 (補足)

 下図は、色覚障害者の比視感度曲線として引用されていたもの。(但し、最大値が1に換算されたもので対比できない。 貼り付けてある色帯スペクトルとの関係は不明。)

           00_2

 さらに付け加えるとすれば、変換のために要する計算時間の問題がある。

 「Color Doctor」では、「グレースケール」は瞬時、「第一、二、三色覚」では3秒余(投稿者のパソコンによる)を要している。Yeモデルによるシミュレーションでは、後者の各種色覚についても「グレースケール」と同程度あるいはそれ以下の計算量で足りる。色覚変換の結果には指摘のような差異が見受けられるが、それらの適否の判断を保留するとしても、瞬時の変換ができる理由はYeモデルの(実体に即した?)単純さにあると言える。

 

 (10.03.21) 他のシミュレーション結果との比較 (例 1)

 100306

 上段は、某サイトで見かけた計算例。下段は、後述 9.によるシミュレーションの結果。

 さらに、上段の各色覚の結果を原画にして本稿試作のシミュレーションを各々の色覚に対応させて重ねて演算すると下記のようになる。

 3_100306

 すなわち、上段の1型、2型2色覚(欠失型;色盲系)に見られるような 緑色が赤色を帯びる3色型色覚への変換 (この場合、強度の色覚障害者には原画と混同する範囲にある?)ではなく、従来から言われているように黄色と青色からなる2色型色覚 (3型では赤色と青緑色の2色) になお収斂していくものと考える。

 ちなみに、1型、2型の3色型色覚(偏位型;色弱系)の見え方を本稿試作のシミュレーションで演算すると下記のようになる。

 100319

 とすれば、上の計算例で見られる緑色が赤色を帯びてくるような2色型色覚(実際は3色型?)への変換とはどのような色覚のメカニズムを想定すればよいのであろうか?

 

 (10.04.03) 他のシミュレーション結果との比較 (例 2)

 色票を使った色覚シミュレーション( 2006.08.11 出典不詳 )との比較。

 1003270403_3

 1、2型の結果が、ほぼ黄色と青色の2色型色覚になるとされた例である。 手法は異なると思われるが、本稿シミュレーションの結果はこれと概ね一致する。( 念のため、3型も合わせて例示。)

 ( しかし何故か、このサイトでのシミュレーションが2色型色覚から上の(例 1)のような3色型色覚のシミュレーションへ変化していたことに違和感を覚えた記憶がある。)

 

2 パステルカラーの見え方を比較

 「Color Doctor」 との比較

050831_2 

 この色環は、理論的な混同色軌跡方向に配慮して並べている。即ち、L欠失型は右下がり、M欠失型は水平、S欠失型では垂直の各方向が対応している。(2.を参照のこと。一部、白色度が変化するため同色とならない。)

 ・ 4.で指摘した項目の反映と思われるが、投稿者の色覚から見れば、「Color Doctor」による変換は混同色の関係が必ずしも明瞭でない

 ・ また、3色型色覚障害(色弱)系の混同色軌跡の特性などを2色型色覚障害との関連を含めて理論的に解析して行くような展開が期待できない

 精度の高い色覚モデルや色覚障害のシミュレーションを追究していくためには、心理物理学的にこれまで蓄積されてきた基本的な特性(混同色軌跡波長識別閾飽和度識別閾など)を十分検証したうえで進めるべきだと考えている。(研究ノート NO.7 および NO.8 を参照のこと) 色覚バリアフリー対策のために一般写真(画像)などの変換シミュレーションを導入する際にも、十分慎重な検証、評価のもとに行うべきではないかと感じている。

 (参考)

  波長識別(弁別)閾の変化について ( 研究ノートNO.7 に準じて 06.10.12)

 Wright,W.D.(1943) や MacAdam,D.L. (1942) らが CIExy色度図上に示した色度識別閾の分布によると、大きさに偏りや異方性がみられるものの色度図上の間隔(色度差)が識別の難易さと密接な関係にあることを示している。すなわち、波長の軌跡が色度図上で収束すれば識別が難しくなって波長識別閾は反比例的に増大すると考えられる。

 (参考 07.08.27) 色度図 と MacAdam の楕円 の 分布例   

                        Macadam070814_02       Macadam070814_04

( UCS ( Uniform Color Space )色度図のひとつとして提案された上図右の1976 CIE U'V'色度図は、対立色表示の色度図(色3角形)によく相似した関係にあるように見える。)

 下図は、Yeモデルで求めた標準型と各欠失型の単色光スペクトルについて、対立色表示の色度図上の軌跡(7.を参照のこと)から波長間隔( 5nm毎)の逆数を便宜的に計算したものである。( 06.11.08 差替え) 

       061108_11

  対立色表示の色度図上の単色光スペクトルの軌跡図(欠失型) → 070131_1

 欠失型(色盲)の波長識別閾の心理物理学的な測定結果は、L、M欠失型については Pitt,H.G.(1935) らが、S欠失型は Wright,W.D.(1953) らが報告している。上図と比較すると、縦軸の物理的尺度は異なるが、標準型と各欠失型の大局的な変化、すなわち、各曲線の形状や極小、極大の変化点などの様相が極めて類似していることが分かる。間接的ながら、色覚障害(色盲)者の波長識別閾の特徴や変化によく対応していると言える。

 偏位型(色弱)の波長識別閾の変化についても、同様な考え方から下図のような計算結果を得ている。(凡例の数値は偏位率を示す。 3.を参照のこと。)

       061012_03

  対立色表示の色度図上の単色光スペクトルの軌跡図(偏位型)→  061021_4

 Nelson,J.H. (1938) や Wright,W.D ら (1940) が報告している3色性色覚障害(色弱)者の多様な波長識別閾曲線の特徴や変化によく対応していると言える。

 心理物理学的な測定結果などについては、下記の文献等を参照のこと。

  ・日本視覚学会編、視覚情報処理ハンドブック、朝倉書店 (2000) ほか 

  (参照  07.08.18 ) 3色性色覚障害(色弱)者の波長識別閾曲線の事例

                   070817_012

 心理物理学的な測定結果と対立色表示の色度図との相対的な関係にはバラつきや不整合な部分も見られるが、色度図上の色識別閾の非等方的分布を考慮すれば、偏位型(色弱)の色覚特性を数理的に解析し考察できる可能性は十分あると考える。(このためには、さらに錐体視物質の遺伝子タイプや光学的特性を踏まえた心理学的な色覚特性の精度高い測定等が必要となる。)

 

  飽和度識別(弁別)閾の変化について ( 研究ノートNO.8に準じて 06.11.08)

 飽和度識別閾は、白色と各波長の色相との識別閾と見なされるから、色相と彩度の大きさ(白色点=中性点(原点)からの方向と距離)に密接な相関がある。対立色表示の色度図上で,原点と各欠失型の波長スペクトルの軌跡とを結ぶ長さを計算すると下図のようになる。

       061108_11_2

 心理物理学的な飽和度識別閾の測定結果(前述の参考文献等を参照のこと)が示す特徴や変化によく対応していると言える。なお、L、M偏位型(第1,2色弱)は、標準型から欠失型へ移行する計算結果となる。 

 ( 追加 07.08.18 )

 ここで取り上げた2つの心理物理学的な特性から推論すると、網膜上の錐体の欠失や多様性にもかかわらず、脳内の色識別のメカニズムは色立方体あるいは対立色表示の色度図で示されるようなヒト固有の3原色的なものとして機能しているように考えられる。 (個人差や後天的な学習等による変化があるとしても基本的には大きな影響を与えていないように見える。) このことは、研究ノートで提案しているYeモデルの仮説を少なからず支持していると思われる。

 


6. パステルカラーの色はどう見える?(その2)

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

  上記 2.のパステルカラーのシミュレーション結果を、3タイプの強度の色覚障害者がどのような色に見ているかを例示してみた。これも、あくまで標準的(正常)な色覚の人が色覚障害者の色覚を疑似体験するために作成したものである。

      050905_2

 以下も、投稿者の色覚から観察したものである。

 ・ L欠失型(第1色盲)とM欠失型(第2色盲)では、左二つのシミュレーションは原票と同じで変化しないが、右側のS欠失型(第3色盲)のシミュレーションが、前者は白黒色調、後者はより淡彩の青黄色調に変化する。

 ・ S欠失型(第3色盲)では、左二つのシミュレーションがいくらか明度が違う白黒色調に変化するが、自身のシミュレーションは原票と同じで変化しない

 実は、これらのことが検証されれば、2色型色覚障害、ひいては3色型色覚障害の基本的な仮説がほぼ妥当と考えられるのである。

 (参考 1) 

 色覚シミュレーションに関する数理的考察 ( 研究ノートNO.13 引用  06.10.12 )

 色覚モデルや色覚シミュレーションの妥当性や信頼性をどのようにして検証すればよいのか、合理的な考察が必要とされる。

 下の図版は、2色型の色覚障害(色盲)者が色覚シミュレーションの結果を判定することの適否について数理的な考察を試みたものである。(一部に十分とは言えない表現があるが、ママとする。)

      13_061012_02

 (参考 2) 09.10.08 

  (参考 1)の関係を、9.の色覚シミュレーション( LCD表色)を使って試算した例

        M偏位型(2型3色覚、2色覚 または 第2色弱、色盲)の場合

    M_091008cc

 上図も、標準的(正常)な色覚の人が色覚障害者の色覚を疑似体験するために作成している。2色型色覚障害の人には、原画が最下段のように全て同じ色票に見えることになる。

 3色型色覚障害の人には単純ではなく、これらの図式から直ちに自らの色の見え方を特定することはできない。(4.の偏位率推定の項を参照。) ここでは、 標準的な色覚の人と一緒に観察して、赤色や緑色を感じる範囲をお互いに指摘し、対比することで、お互いの色の見え方や識別の難易さを推測し合えば、色覚障害の程度を理解する目安に使える。

        L偏位型(1型3色覚、2色覚 または 第1色弱、色盲)の場合

    L_091011

( 本ブログの画像は、JPEGで圧縮されるので画質の低下が避けられない。使用する機器のLCDによっても差異があるので、観察、対比等は同じLCD画面上で行うことが望ましい。 )

 


7. ヒトの色覚は3原色?対立色? (色3角形の謎)

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 1801年に T.Young が提案し、後に H.Helmholtz が発展させた3原色説 と1872年に E.Hering が提唱した対立色説は、1925年 E.Shredinger により 相互に一次変換できることが数学的には証明されている。 また、20世紀後半になると、眼の網膜上の神経生理学的な研究から前者を後者へ変換する過程があると考えられ、段階説を唱える研究者もいる。

 両説とも初期の段階に比して大いに進展し熟度も高まっているにも係わらず、3世紀にも渡って曖昧な関係のままに置かれていることの方が奇怪にも思える。

 色覚障害がこのような色覚のメカニズムとは無関係ではないであろう。 しかし、脳の中の情報処理過程は、巨視的にも微視的にも、なお大部分は暗闇の中にある。

080609_2

 上図は、3原色の色立方体と対立色との数理的な関係から、対立色表示の色度図上に色3角形(B+G+R=1)を表示したものである。(3.を参照のこと。) 図中の白丸は単色光スペクトルの軌跡( CIE1931RGB 等色標準観測者によるRGB値を正規化したもの )を例示している。 また、この正規化に対応して RGB値を sRGB値に置き換えて カラー表示を試みている。これは、両者がB=G=R=1で白色点を定義する相似性からの便宜的な応用である。

 この B+G+R(白色度)を指標(変数)とする対立色表示の色度図上では、色覚障害の特徴である混同色軌跡や波長識別閾などの検証にも簡単に利用できる。また、この色度図は、同様な一次変換である CIE1931xy 色度図や他の変換系のものと比較しても、色覚を数理的に論じる場合において単純で扱いやすく、原理的にも直感的にも理解しやすい。

 色3角形上の色相と彩度の関係は下図のようになる。色調のもう一つの要素である明度は白色度(=B+G+R)で表現することになる。 ( 研究ノート No.3 から  08.12.12 )

 No3081212

 3原色説と対立色説の数理的な関係をひとつの色度図上に表現できると言うことは、元来両説の色覚特性を合わせ持つ 脳内のアルゴリズムを解読していくうえでの原理的な関係を示すものと考えられる。就中、特異な白色点(軸)W’と黄色軸Ye の存在が対立色説を理解する前提となる。( 3.末尾の「色覚の進化」についての推理を参照のこと。)  

 3種の錐体を網膜に持ち 色覚(脳)を有する動物が、このような代数幾何学的な過程を どのように学習して、さらに遺伝子情報に組み込んできたのか興味深いものがある。対立色で表示される色3角形が成立していく過程は神秘的でもある。

 ヒトの色覚については、3原色説対立色説 が長い間 議論されてきたところであるが、段階説で解決されたとは考えられない。 対立色表示の 色3角形 の関係から、ヒトの色覚のメカニズムには 両者が原理的な関係で組み込まれている と推論するとしても、3次元的な色覚を2次元的表示に変換する過程で現れる 対立色表示の色3角形は謎 に見える。

 人間がヒトの脳を理解し、超えることができるのはまだ遥かに遠い先のようである。

 

(対立色表示の色度図とLCD等による3原色表色)  

 既に述べたように、LCD などでカラー表示する場合には、いずれの場合も色覚3原色である純粋なR,G,B 色を精確に表示することができないから、制約された近似的なカラー表示になることは避けられない。  

 Lcd_01

 例えば、下の参考に例示したような分光スペクトルを持つLCDでは、上図左の色度図の点線で囲まれた領域(推定)での表色に限定される。このLCDの表色領域内だけのシミュレーションに限定すれば、対応する可視波長域は狭くなり、L欠失型の長波長域の感度低下全域を表現できないなど現実の色覚全般をシミュレーションするには不十分である。この領域外の色を含めた波長域でヒトの色覚特性を擬似的に表現しようとすれば、右図のような sRGB値による表色が有効であると考えられるが、ヒトの色覚とは合致しないことが起こる。

 デジタルカメラ等で撮影した画像の色調を sRGB 値に置換えてLCD や CRT などで再現させる場合には、各機器の受光特性表色特性(ガンマー値特性等を含む)などの影響を受けることになる。したがって、ヒトの色覚特性をシミュレーションする場合には、このような影響を配慮して適用条件や変換条件等を明示した最適なものを作り上げていくことが望まれる。

 LCD表色によって色覚特性を表現するには配慮しなければならない問題が多いが、安直な技法として極めて有用であると言える。補正等は今後の課題として、直感的な理解を助けるためにカラー表示の色度図を用いて以下補足する。

 (補足 1) LCD表色による検討を本章後半にて展開中であるが、参考までに留め置く。 

 2.で示したパステルカラーの色環と各欠失型の混同色軌跡とその方向をこの色度図上に表すとすれば下図のような関係になる。色の偏位は、白色度(=R+G+B)が常に一定であるとは限らない。

 Photo_3

              混同色軌跡線群の代数幾何学的な解析 ( 研究ノートNo.5 からの抜粋 )

 1100523 Photo

 ただし、本章末尾で解析しているように、表色に用いるRGB 3原色の特性によって混同色軌跡線群の様相はいくらか異なったものとなる。

 

 (補足 2)

 4.で示した L、M 偏位型のスペクトル分布から計算した単色光スペクトルの軌跡を この色度図上に描いたのが下図である。L、Mのスペクトル分布が接近すると、軌跡はB-Ye軸上に収斂して2色型の色覚になることが理解できる。(第1,4象限での色覚領域の変化(偏位)については、3.の末尾を参照のこと。)

 原点(白色点)と交差するスペクトル波長は、L欠失型で約495nm、M欠失型で約500nmとなって、心理物理学的に中性点と呼ばれる事象とよく一致している。 また、右眼が正常で左眼が第2色盲という被験者の両眼比較の研究(G.H Grahumら 1958)による波長(色相)の相関関係にもよく対応している。 さらに、パネルD-15テスト色覚判定の原理(混同色の圧縮される方向性)とも十分整合していると言える。

 Ss 

 (補足 07.08.15 )CIExy色度図に描かれた混同色軌跡の例 (以前収集したものから)

 070815_02 070816_02 

 (参考) LCD3原色について

 下図は、LCD3原色の分光スペクトルの測定例である。

  0808_001

      ・出典;野本知理 「スペクトル色々」( http://T.NOMOTO.org/spectra/

 LCD3原色の色覚上のスペクトルは、上記スペクトル分布と色覚3原色R、G、Bの感度応答スペクトル分布を波長毎に乗じて積分した値で求まる。LCD表色による色覚近似の程度を評価する(前図の黒い点線の領域を推定する)ことも今後の課題であろう。

 ( LCD3原色を色覚3原色の応答感度スペクトルに換算する計算例 10.12.25)

 上図の測定例では縦軸(強度)の心理物理学的尺度は不詳であるが、5nm単位相当で強度を推定したものが下の上段の図となる。これに中段の応答感度スペクトルを波長毎に乗じて、色覚上の応答感度スペクトルに換算してみたものが下段3つの図である。

 101223_03_3

    101229_02

 LCD3原色の色覚応答スペクトルが下段の図のような場合、各原色の強度分布の重心に相当する波長は、B:455nm、G:545nm、R:610nm となる。 なお、これらの縦軸は不詳であるから計算例として適当とは言えないし、幅広いスペクトル分布を持ち他の原色応答にも影響を与えるようなLCD3原色の色覚特性についての扱いは今後の課題と言える。

 このように課題の多い計算例ではあるが、計算値から表色領域を色3角形(B+G+R=1の平面)上に示せば下図のようになる。

               Lcd101228_01_2

( 以下では、 LCD3原色を近似的に単色光と見なし各波長を450nm、545nm、615nm として解析を試みている。) 

 ( LCD表色による色覚偏位の計算について 08.08.27) 

 0808271223

 色票の偏位 計算例  ( 08.09.02 )

  下の色票の変化は、上記の条件での  L、M欠失型を計算したものであるが、この色票を表示するLCD機器の特性( 3原色、ガンマー値など )が一致しているとは限らない。

 色票の上段は、LCD表色による RGB 色立方体の上面(青色成分=240/255)、下段は底面(青色成分=0/255)に相当する。 

           080903_022cc

 投稿者の色覚(第2色覚異常中等度=M偏位型=M欠失型に近い色覚)から見れば、標準型とM欠失型の色票はほぼ同じ色相の分布に見える。すなわち、標準型から赤色や緑色の成分がほぼ抜けた黄色と青色の色相に偏位していると言える。 L欠失型も色相的にはほぼ同じであるが、標準型やM欠失型に比べて上段の右上に青色、左下に白色が際立つ領域が、下段の右上に明度の低い領域があることなどが特徴的と言える。(本ブログの画像では圧縮等によるノイズの影響から表色の対比が難しいところも見られる。) 

 なお、この計算例では、光の波長範囲は概ね 450nm から 615nm となるから、自然の色(可視光線の領域)に対応する色覚の変化を全て表現できることにはならない。

       LCDによる表色範囲の例示  080907_01_3 080927_02_2

 

 ( LCD表色による色3角形と混同色軌跡の計算例 08.12.21 )

 08122402

 ヒトの正規化した色覚で推定した混同色軌跡を同様にLCD表色による色3角形上に換算すると上図のようになる。 ( この手法は、4.の偏位率の推定で部分的に応用している。)

 ( 各種表色系での混同色軌跡の計算例 08.12.29  )

      From_cie081229_02cc

 先の計算例ではB軸(原点)の補正を今後の課題としていたが、この問題の影響が少ないCIE等色関数を利用して、Yeモデルで計算した混同色軌跡線をCIE表色系やLCD表色系に換算したものが上図である。 先の計算例とは微妙に異なるがほぼ似た結果になる。

( CIExy色度図上の混同色軌跡について  09.01.08 )    

 同様に、Yeモデルで計算した混同色軌跡を色3角形(対立色表示の色度図)に示したのが 下の図(1)である。 これをCIExy色度図上に換算したのが 図(2),(3)である。 3原色(対立色)説を直接的に表現する色3角形に比して、CIExy色度図は座標系が極めて歪んだ関係にあるので評価が難しいが、図(2),(3)の結果は 心理物理学的に判定した混同色群をCIExy色度図上に並べると直線状を呈することやこれらの直線群には収束点があるという指摘によく対応していると言える。 しかしながら、各色覚型の波長(色)識別閾は顕著に増大するから、目視等による混同色軌跡等の特定は容易ではないと思われる。 

 図 (1) 色3角形上の混同色軌跡  090108_02_2

  図 (2) CIExy色度図上への換算  Cie_090108_01

  図 (3) CIExy色度図上の軌跡群(M偏位型)   Ciem090115_01   

注) 各種表色系での計算上の混同色軌跡群には収束点があるように見えるものもあるが、 偏に、色覚モデルを心理物理学的に検証する際の数学上の問題と言える。

 「色を混同する」とは 標準的な色覚の人が色覚障害者の色識別能力を評する言葉である。色覚障害者には色の識別ができないのであって 色を混同したという認識はない。投稿者のような色覚障害者が使うのは適切とは言えない。混同色軌跡とは、3色型の色覚領域が2色型へ圧縮される過程を示すものと考えられるから、先ず、2色型の色覚領域が課題となる。

 LCD表色系の3原色は単色光ではなくて幅広のスペクトルを持っているから、上記のような計算は近似的なものとならざるを得ないが、このような手法が十分な検証のもとで確立されていけば、汎用のLCD画面上でも各種色覚障害のある人が見ていると思われる画像に精度を高めて変換し、標準的な色覚の人がそれらを疑似体験することが可能と考える。

 

 「 帆掛け舟 八十路の海に 色褪せて 」 ( Luv, Lab などで化粧直して素顔の色を隠す )

 「 XYZ(関数) 色の三角関係を解き倦ね 」( 男女の三角関係にも似て不良設定問題に )

   


8. 学校保健統計調査の語ること

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 投稿者にとっても怨嗟の的であった学校での色神(色覚)検査が、今後に大きな課題を残したままで2003年度から廃止になった。が、「廃止は(色)メガネの掛け間違いではないのか?」としか言いようのない投稿者の疑問符は払拭されそうもない。色覚障害は人類が存続する限り終わりのない宿命的な課題なのである。

 色覚障害がX染色体(劣性)遺伝の発現であることはよく知られている。そこで、過去継続的に実施されてきた学校保健統計調査からその発現率を統計的に見ることにする。色覚(異常)障害者の検出には石原式検査表が統一的に用いられてきたことは統計調査上は大きな利点ではあるが、これは一つの目安(線引き)であって、その性能や検査の実態には多くの問題点が指摘されていることにも留意して考察を行う必要がある。(ここでは、発現率の替わりに、この検査法による検出率と呼ぶ。)

 下図は、色覚(異常)障害者の検出率(全国平均値;男女別)の推移を示している。(移動平均値は3ヵ年の算術平均)

hatugen11 

 当初の目的は、色覚障害者たちが結婚、出産などで悩む(投稿者はその一人であった)とすればそのような人為的淘汰の有無や経年変化を漠然と見てみたいと思ったのである。ところが、結果は想定外の様相を示している。誤診率や統計的有意性を考慮したとしても、大きな変動と小さな変動が重なり合った複雑な変化である。これらの原因が自然的なものか社会的なものか追跡調査ができないかと考えるのだが、全国統一検査が廃止になってはなす術も見えてこない。当時の検査には個々の怨念がたくさん詰まってはいるが、集団としての調査結果は(遺伝学上)貴重な遺産であると思う。今後に生かされる機会はないのであろうか。

 近年の色覚障害者の出現率は、漸増の傾向にあるように見られる。超長期的にみた後世代においてどのような状況に変化すると予測すればよいのであろうか。不可解ではあるが無視できない問題であるように思われる。

 下段の女子の図で右下の太い点線は、女性の保因者比率は不定であるが単純な計算からの推定値である。色覚障害の発現と遺伝の関係には単純な教科書通りの説明では説明しきれないような複雑な仕組みがあるように推察される。(下記の推計法を参照のこと)

 下図は、島根県(男子)の出生年別の加齢による検出率の推移と1973年度の年齢別全国平均値を示したものである。

hatugen22

 少年期の色覚障害者の比率が男女共に加齢によって増加する傾向にあることは、前図の9歳児と中学生の数値の推移からも明らかである。抑制されていた遺伝子が発育の段階で発現するかのようにもみえるが実態は不明である。このような傾向は、子供たちの色覚診断に当たってはその時期等について適切な配慮が必要であることを示唆していると思われる。

 学校での色覚検査も、とおり一遍の通達で廃止になった。色覚障害が身近な問題であり、その対策が日常的に必要であることを認めていながら、障害に対する問題認識を持続的に学ぶ機会を失ったように思われる。障害者の側から常に声を上げていないとその存在が風化していくおそれがある。

 (引用した文献)

 学校保健統計調査にみる色覚障害者の動態的推移について:色覚障害の問題を考える会  (出雲):2002.7.5

( 検出率の小さな変動と太陽の黒点活動との相関について考察を試みている。)

 

 (参考)

 障害者、保因者の割合を推定する計算表について ( 06.11.27 )

     061127

 色覚障害の多様さや検出の方法などからみて、(昔の?)モノの本で見かけたようなこうした包括的な計算が可能かどうか疑問に思われるところもある。古典的な手法として理解しておけば十分と思われる。

 


9. 色覚障害シミュレーションの試作 (2色覚(色盲)及び1、2型3色覚(色弱)の例)

2008年12月04日 | インポート

     2011.03.11 を忘れるな!

 7.での考察や解析を基に、汎用のパソコンでも利用できる LCD画面上での 色覚障害シミュレーション演算のプログラム化 を試みている。 その結果の一部を投稿する。

 この試みは、あくまでも 標準的な色覚の人が色覚障害者の色の世界を疑似体験して理解を深める ことに限られる。 また、デジカメ等で撮影する画像は、撮像素子からパソコンのLCD表示までに幾つかの色変換 過程を経ているから肉眼で実物を見た場合の色に 一致するとは限らない。 LCD画面上の原画がシミュレーションの対象となる。

 このシミュレーションでは、2色覚型色覚障害3色覚型色覚障害の特性を明らかにすることを目的にしているが、計算に用いた色覚モデル(Yeモデル)や標準的な色覚とするCIE1931 RGB等色関数をはじめとして、LCD表色の3原色スペクトル特性やガンマ値特性など精度的に検討が不十分な問題点が少なくない。 今後の検証や修正に待つところも多い

 以下、試作した色覚障害シミュレーションによる演算結果を例示する。

 下に附した( )書きのコメントは、投稿者の色覚(2型3色覚; 第2色弱中等度; M偏位型(M欠失型に近い?色覚))と sRGB値の読み取りから見た評価あるいは感想である。

 (1)LCD表色したCIE等色関数(標準観測者;正規化したもの)を変換した計算例

 Nm090423c_2

 ( 投稿者の色覚には、原画と L欠失型(1型2色覚)及びM欠失型(2型2色覚)はほぼ同じ青色と黄色の2色の変化に見え、原画に含まれる赤や緑の色に気付かない。このことから、L欠失型やM欠失型の人が上段の原画を下段の各変換画像のように見ていると言える。)

 (なお詳細に見れば、2色型には心理物理学的に指摘されている白色点(中性点)の存在やL欠失型の長波長域(標準型では赤色領域)の感度が低下するという特徴を読み取ることができる。1.及び5.を参照のこと。)

 (1.の単色光スペクトルの例と違って、S欠失型(3型2色覚)の左端側に赤色成分が認められるのは、原画に採用した標準型の等色関数に原因があるからで、この色覚障害シミュレーションの問題ではない。1.の単色光スペクトルは、L、M、S錐体欠失型各々の等色関数を別途推定したものをLCD表色で擬している。)

 

 (2)LCD表色した色3角形をシミュレーションした例

      090409cc_2

 (投稿者には、左上の原画の色分布がM欠失型に変換した左下の画像と同じに見えることから、M欠失型の色覚では、左上の原画を左下の画像のように見ていると言える。 また、L欠失型の色覚では微妙に違う右上の画像のように見ていると。 以下同様。)

 (各変換後の画像では、同じ色相の色の配列が 7.で述べた理論上の混同色軌跡の方向に一致することになる。 この図は、本稿での色覚モデルを誤解させるおそれがある

 

 (3) 7.では手計算によった色票変換をシミュレーションプログラムで再計算した例

 080903_0221

 (投稿者には、原画の色合いがM欠失型のそれにほぼ一致している。7.を参照のこと)

 

 (4)LCD3原色を偏位型(3色覚 色弱系)にシミュレーションした例 ( 09.04.29 修正)

  (4-1)L偏位型(1型3色覚 第1色弱系)の偏位率による変化と識別の難易

 L_3090429c_2

 (下段の二等分分割視野で、投稿者に識別できるのは上の緑色系で左6つ、下の赤色系で左9つ程度である。識別の判定基準が色相、彩度あるいは明度の差によるものかは不明瞭である。また、見る人の色覚特性や使用しているLCDなどでも識別できる範囲は異なる。)

  (4-2)M偏位型(2型3色覚 第2色弱系)の偏位率による変化と識別の難易

 M_3_090429ccc

 (投稿者に識別できるのは上の緑色系で左2つ、下の赤色系で左6つ程度である。標準的色覚の人はさらに大きな偏位率のものまで識別できるようである。偏位率の評価の仕方や検証等は今後の課題である。4.を参照のこと。)

 

 (5)M偏位型(2型3色型 第2色弱 投稿者の色覚特性)のシミュレーションの例

 090108_031ccc

 ( 投稿者の色覚では、偏位率により赤色の度合いが変化している様相に気付くこともなく、5枚とも右端の画像と同じ色合いに見ている。 )

 偏位率の変化で色合いが変化する様相や識別の程度は、色相、彩度、明度などによって差異があると言える。このことは、3色型や2色型色覚の波長識別(弁別)閾や飽和度識別(弁別)閾が一様でないことや、パステルカラーの識別が困難になる傾向からも推察できる。

 

 投稿者の究極の目的は、 「自らの第2色覚異常中等度の色の見え方を探る」 ことにある。    偏位率を推定することで目的は達成されるのであろうか?

 本ブログに示すような取り組みが、1.の冒頭部分でも触れたように、新たな誤解や偏見をもたらすことのないように臆病にならざるを得ない。何故なら、色覚障害のある投稿者には、自らが調製する色覚シミュレーションなどの色票等を 自ら識別できないという 辛さや怖さと悔しさがある。

 検証や評価に仕方なく付き合わされている標準的色覚の協力者も、時として極度に臆病な表現をとることに愛想を尽かしている様子すら感じる。でも、止むを得ない。

 

 (6)自然の花を見る

  (6-1) 藪椿の花を探す

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 (M欠失型に近い?投稿者は、原画を右端の画像のように見ているから、原画の中に藪椿の花を見付けることが容易ではない。)

  (6-2)鮮やかな赤色の椿

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 (M欠失型に近い?投稿者には、原画と右端の画像がほぼ同じ色合いに見える。L欠失型の人には、赤色に相当する色の感度(明るさ)がかなり低下していると見て取れる。) 

  (6-3)桜の花

 12_2

 (桜の花がピンク色をしているらしいと分かったのは何歳の春?)

  (6-4)冬牡丹

 080216_010

 (投稿者には、左の赤紫の花が右の花の色に近いと感じる。中央の花は青色に?)

   (6-4-1)上の原画をL偏位型(1型3色覚 第1色弱系)で計算した場合

 L10

  (偏位率の程度によって赤色あるいは青色の見え方が変化するのが分かる。)

   (6-4-2)上の画像群を一括してL欠失型(1型2色覚 第1色盲)で再計算した場合

 L11_090424

  (L欠失型の人には(6-4-1)の5枚が同じように見えて識別できないことを示している。)

 

 正確さに問題がある色覚シュミレーションには、2色覚型への変換ができなくて、不可解な3色覚型へ変換するものや緑色を赤色系の色に変換するようなものまでも見受けられる。  こうした問題のある色覚シュミレーションモドキが罷り通る理由の一つは、2色覚型の人には(6-4-1、2)の事例のように変換した画像の差異を識別できないことがあるからとも言える。

 これらモドキも、本来は 色覚障害を正しく理解するために 考えられてきたはずであるが、 科学的立場から逸脱した濫用で無用な誤解や混乱を生じていることは由々しき問題である。

 色覚バリアフリーのガイドラインに使われていたシミュレーションとの比較 (09.05.13)

 0903090620

 (念のため、シミュレーションの合致程度を判定する仕様について追記。 09.06.20 )

 

 (7)絵画を題材にしたシミュレーションの例示

 <魚>

 12_2

 <果物>

 12_3

 <花>

 12_3

 <人物画>

 0906112

 (投稿者には、原画がM欠失型の画像とほとんど同じ色合いに見える。 L欠失型のように赤色の箇所が暗く見えることはない。 画家達の赤色や緑色の巧妙で微妙な色使いを直に感ずることもなく、残念ながら美術的鑑賞から疎外された存在になる。)

 上と同じ原画を L、M偏位型( 1、2型3色覚;第1、2色弱 )で計算した色の見え方 

 090611_5

 (偏位率が大きくなると、赤みを帯びた顔色の変化に鈍感になる ? )

 

 従前の色覚シミュレーションは色変換を計算する方程式の係数を実験式的な混同色軌跡から求める手法で正確さなどに問題が見られる。今回試作したシミュレーションは、S、M、L錐体の特性を解析した色覚モデルから理論的に求めたものである。2色型や3色型の試算結果は、従来からの心理物理学的な知見とも整合して概ね妥当なもののように見える。

 今後、M欠失型(2型2色覚)、L欠失型(1型2色覚)および標準型(正常色覚)等の様々な人達から評価を得て、検証や修正をしていくことが当面の課題である。

 S欠失型(3型2色覚)や下記の白内障型の検証等は、ほとんど白紙状態にある。

 

 (参考 白色度表示と白内障型の計算例) 

 (8)白色度に換算して白(黒)色表示

 090404_2

 (9) 白内障型の試算例 

 090404

 (白内障型は、S錐体 50%、M錐体 80% に感度が低下した場合の計算例。)

 

 色覚障害者にとって障害とは何なのか。 仮想の色空間から現実的な議論が始まる。

 パソコンの色編集用のパレットを例にした想定問答

 090505

 Q:何か問題がありますか?

  A:似たような色が並んでいて、色を識別できない。色の違いが分からない。 

    色を混同する。色の名前を間違える。使った色が分からなくなる。・ ・ ・ ・

 Q:下記の参考資料などによって、問題処理や解決ができるのではありませんか?

   ( 参考資料:色覚に関する指導の資料、文部科学省、平成15年5月 ) 

  A: ???

 

 (迷彩点描) 某公共的機関が発表する気になる記事の例 ・・・? '14.01.07

 1. 気温分布

   140106_01

  (凡例と分布の色の対照に見辛さがある。)

  (1,2型色覚障害者には、氷点下ー10度付近の紫色と10度付近の薄青色の識別が難しい。)

 

 2. 震度速報

   131203_02

  (震度3,4レベルの丸の色と中抜き数字の色を識別することは、1,2型色覚障害者をはじめ、何故か標準的色覚者にも難しいらしい。)

 3. PM2.5分布予測   (2014.06.05 追加)

   Pm25m14060101

  (2型2色覚障害者には、ユニーク黄色のレベルより高濃度のオレンジ色とより低濃度の黄緑色との識別が難しい。)

 

 (付記)

 色覚障害シミュレーションのプログラム作成は、㈱COSMO BRAIN による。 ちなみに、投稿者のPCで演算した場合、1枚の画像(サイズ 800×600 ドット 程度)を変換するのに要する時間は0.8秒弱である。 また、CIE1931 RGB等色関数による単色光スペクトル及び対立色表示の色3角形を擬似的にLCD表色する電算処理化も併せて試みている。