ピアノは歌う♪ ~調律師が見た音楽の世界~

合唱歌手としても活動をするピアノ調律師が語るピアノと音楽の話

50.ベビーグランドピアノ ニーンドルフ

2019-08-01 04:10:02 | ピアノの話
昨日は、昔ご夫婦で合唱団「うたおに」のメンバーだった、伊勢市の野中よう子さんの家に調律に行ってきました。
彼女は伊勢市二見町で”♪music room カノン”という音楽教室を主催しており、持っているピアノがもう20年近くも前に購入していただいたドイツ製ベビーグランドNiendorf(ニーンドルフ)145ch。その名の通り奥行き145cmの非常に小さな、かわいい、素敵なデザインのピアノです。
このピアノ見た目も素敵なのですが、その音がまたほんとにかわいい、落ち着いた、なんとも言えないいい音が出るのです。
弾くと、(ちょっと陳腐な言い方しかできないのですが)まるでピアノが何かを語りかけてくるような、そして自分の心の奥にまで深く入り込んでくるような…、言葉ではうまく表現できませんが、でも実際その音が、その教室の生徒さんに与える影響はたいへん大きなものがあるそうなのです。
昨日も調律にお伺いし、その時に彼女に聞いた話なのですが、2年前に中学生になったので一旦辞めた男の子が、最近、「やっぱりピアノがどうしても習いたい」と言って戻ってきたそうなんです。そしてその子、このピアノの前に座って弾き始めたら、なんと涙ぐんでいたそうなんです。
僕もその話を聞いて、思わず涙ぐんでしまいました。ちょっと恥ずかしかったですが。
でもその彼が弾いた、その時に出てきたピアノの音、その音が、彼の心の奥になにか届いて、何か感情を刺激した、だとしたら、いやきっとそうだと僕は、そしてよう子さんも思ってるのですが、だとしたらこのピアノを提供させていただいた僕もとても嬉しいし、きっと彼女もこのピアノを所有する喜びや満足感を感じてもらってるのだろうと思うのです。
一人の将来のある若い男の子の心を揺さぶるピアノの音、調律師としては手前ミソかもしれませんが、そんな音を提供できていることに非常に満足感と幸福感を感じることができた、そんな出来事でした。
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