ピアノは歌う♪ ~調律師が見た音楽の世界~

合唱歌手としても活動をするピアノ調律師が語るピアノと音楽の話

8.クロイツェルピアノ

2008-09-19 21:30:44 | ピアノの話
先日、クロイツェルピアノKE-703というアップライトピアノの調律に行ってきました。
16年ほど前にご購入頂いた、木目の落ち着いた雰囲気のピアノです。

クロイツェルピアノは浜松市に現在もある日本のピアノメーカーで、いわゆる手作り感覚のアップライトピアノを約50年にわたり製造している会社です。
非常に丁寧なピアノ作りをしており、僕も20年ほども前からお付きあいさせてもらってます。

ピアノの特徴は、雑音のあまり混ざらない、落ち着いた木の響きがよく出る、いい音色のピアノです。
鍵盤のタッチも悪くなく、このピアノの音にマッチしてると思います。
当時、僕はこのクロイツェルピアノに惚れ込み、何台かお客さまにお勧めしました。
そのうちの最上級クラスに位置するのが、このKE-703です。

マイスターシリーズとして、高さ120cmのKE600シリーズというのもあるのですが、このKE-703は高さ130cmで、600シリーズよりもよりふくよかな音が出ます。
とくに中音の響きは特筆もので、甘いやわらかい音はヨーロッパの老舗メーカーのピアノを彷彿とさえさせます。この持ち主のお客さまも特に気に入ってる部分でもあります。

オリジナルサイトからずっと言ってきたことですが、ピアノはやはり欧米のものが良いと僕は思い続けてきておりました。しかしこのクロイツェルピアノは、日本製のピアノの中でも、欧米のピアノに対抗できる数少ないピアノのうちの一つに掲げられると思います。

なぜ、そんなにいい音が出るのか?
それは、やはり使用されている材質が原因として大きいのではないかと思います。
響板、ハンマー、弦、その他パネルなど。
だいたいにおいて、物はどんなものでも、叩けば、その物がどんな材質で、どんな状態であるのかを叩いた音で表してくれます。
試しに、あなたが今見ているそのパソコンが置かれている、その机の表面を手のひらでちょっと叩いてみてください。
どうですか?その机が、どんな材質が組み合わされてできていて、しかも、もっと注意深く音を聴いてみると、その上にどんな物が乗っているとか、引き出しにどんな物が入っているとか、音に微妙に表れてないですか?
ましてや、楽器においてをや、です。

楽器を作るときの材料はとても大切です。
もちろんその作り方、組み立て方もとても大事なんですけど、やはり根本的には、楽器の基本は材質だと思います。

ピアノを選ぶときの一つの判断材料としてみてください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 7.モノオペラ「人の声」 | トップ | 9.「雪は踊っていた」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ピアノの話」カテゴリの最新記事