ピアノは歌う♪ ~調律師が見た音楽の世界~

合唱歌手としても活動をするピアノ調律師が語るピアノと音楽の話

29.古典調律

2012-02-20 00:06:46 | ピアノの話
伊勢市にお住まいの廣めぐみさんは声楽専門でオペラなどにもよくご出演されている、すばらしい歌唱力をお持ちの声楽の先生。その廣さんから先日ピアノの調律のご依頼を頂いて、お伺いしてきました。
ピアノはヤマハG3Eなのですが、現在そのピアノにされている調律はなんと古典調律のヴェルクマイスター3!
聞けば、彼女が数年前に古楽の先生に紹介してもらった本「ゼロビートの再発見」&「同 技巧編」(平島達司著)を読み、以来その本に書いてあったヴェルクマイスター3に調律変えをしたそうなんです。

あたかもちょうどその頃、ピアノ調律師協会の三重支部で「古典調律によるピアノコンサート」というのを企画をして、(言い出しっぺは僕)三重県文化会館第1リハーサル室で北住淳先生のピアノによりコンサートを開催した頃だったのです。
廣さんもやはりそのコンサートを聴きに来られていて、今日も、「あれはとってもおもしろいコンサートだった」と言っていただき、北住先生の繊細で大胆な素晴らしい演奏とも相まって、僕たちも苦労?してコンサートをした甲斐があったとあらためて思ったのでした。
当時、「古典調律なんて、普通の(平均律の)調律と聴きくらべないとわからないんじゃないか?」とかいろんな人にずいぶん言われたのですが、あえて比べる対象(の楽器)を置いたりもせず、古典調律をされたピアノ一台のみでコンサートをしたのですが、コンサート直後から「おもしろかった。」と多くの人から言っていただき、6年ほど経った今でも今日のように話題に出していただけたことが、本当にうれしかったです。

自分でいいと信じたものは、多少の反対があってもやってみるもんですね!
きっと聴いてくれている人がいるんですね(^ ^)。
コンサートをした甲斐がありました。
そして、もし廣さんの、ピアノの響きに対する美意識に、少しでも、自分たちが企画したあのコンサートが役に立っていたのなら、そしてまた、今日自分がしてきた古典調律がこれからも廣さんの音楽に少しでも役に立っていくのなら、こんなにうれしいことはないです。
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