![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/dd/79e0588c27360e91ee7133824e6eb528.jpg)
ちょっと前の話になりますが・・・。
合唱団「うたおに」出演のコンサートでご一緒させていただいた、ピアニストの井谷佳代さん(そのコンサートではオルガンを演奏されました)が所有している、フォルテピアノを見せていただく機会がありました。
フォルテピアノとは、現代のピアノの前身で、おおよそピアノが発明された1700年頃から鉄のフレームが使われだす前の1800年代くらいまでのものを総じてそう呼びます。
井谷さん所有のフォルテピアノは、1800年製作のAnton Walter社製63鍵のものを楽器修復家のRobert Brown氏により2002年頃複製されたレプリカです。
写真をごらんになっていただくとわかると思いますが、木目のやわらかな落ち着いた雰囲気のすてきなピアノです。
僕がおじゃましたのは東京の仙川にある井谷さんのレッスン室で、部屋の小窓からは、ちょうど通りの街路樹の緑が目にはいる、とても落ち着いた雰囲気のレッスン室でした。
僕自身はピアノの腕はほとんど聴かせられるものじゃないので、やはりここは井谷さんに無理を言って弾いていただきました。
曲は僕のリクエストでベートーヴェンの悲壮ソナタ。
井谷さんは、「え~、最近弾いてないから・・・」と言いながらも、第1楽章を弾き始めました。
そして出てきた最初の和音の迫力!
次に続くpianoの落ち着いた響き・・・
そしてまるではじかれた花火のようなスケールのきらめき。
力強く弾かれる和音は、たとえて言うならまるで10人のこびとが一斉に太鼓を叩いたような、そんな圧倒的な迫力。
現代のピアノの音に慣れた耳には、このフォルテピアノはボリュームも音の伸びも比ぶべきものもないのですが、その木の響きからくる音の説得力には圧倒的な迫力があります。
ふと横に、音楽の才能あふれたまだ若い青年のベートーヴェン君がたたずんで、「どう?今度創った僕の新しいソナタは?」とにこにこほほえんでいるような、そんな感じがしたのです。
僕は「めっちゃカッコいいやん!すごいわぁ!」ときっと彼に答えてしまいそうな、そんな演奏、いや曲でした。
「途中までしか弾けないと思う・・・」とか言いながら弾き始めた井谷さんでしたが、1楽章最後までいってしまい、そのあと井谷さんも、聴かせていただいてる僕も「もう弾くしかないよね。」という目と目で暗黙の了解。2楽章、そして3楽章まで弾ききってしまいました。
演奏が終わってしばらく二人とも放心状態のような無言の時間がすぎました。
ベートーヴェンが乗り移ったようなそのときの井谷さんの演奏は、僕の中で間違いなく、人生で忘れられない貴重な音楽体験になりました。
それともう一つ思ったこと。
それは、僕は正直今までレプリカに対して、本物じゃない、みたいな気持ちがぬぐえませんでした。
でも、このときの演奏を聴いて思ったことは、実はまさにこれこそが当時の音を再現した本物の音なんですよね。
彼がこの曲を書いたのは27,8歳。
ちょうどこのフォルテピアノの原型ができた頃とほぼ時代も同じわけです。
彼もWalter製のピアノを使っていたとも聞いてます。
だとしたら、まさにその当時出来たての新しいピアノを使い、そのピアノに合わせたような、熱情的な曲を書いたのだとしたら、まさに僕はほぼ「完璧」な状態で、当時の悲壮ソナタを聴くことができたわけです。
僕の周りにももしかしたらいそうな、そんな身近な、才能あふれた青年ベートーヴェン君。
そんな彼に出会うことが出来た自分。
なんという幸福なんでしょうね。
合唱団「うたおに」出演のコンサートでご一緒させていただいた、ピアニストの井谷佳代さん(そのコンサートではオルガンを演奏されました)が所有している、フォルテピアノを見せていただく機会がありました。
フォルテピアノとは、現代のピアノの前身で、おおよそピアノが発明された1700年頃から鉄のフレームが使われだす前の1800年代くらいまでのものを総じてそう呼びます。
井谷さん所有のフォルテピアノは、1800年製作のAnton Walter社製63鍵のものを楽器修復家のRobert Brown氏により2002年頃複製されたレプリカです。
写真をごらんになっていただくとわかると思いますが、木目のやわらかな落ち着いた雰囲気のすてきなピアノです。
僕がおじゃましたのは東京の仙川にある井谷さんのレッスン室で、部屋の小窓からは、ちょうど通りの街路樹の緑が目にはいる、とても落ち着いた雰囲気のレッスン室でした。
僕自身はピアノの腕はほとんど聴かせられるものじゃないので、やはりここは井谷さんに無理を言って弾いていただきました。
曲は僕のリクエストでベートーヴェンの悲壮ソナタ。
井谷さんは、「え~、最近弾いてないから・・・」と言いながらも、第1楽章を弾き始めました。
そして出てきた最初の和音の迫力!
次に続くpianoの落ち着いた響き・・・
そしてまるではじかれた花火のようなスケールのきらめき。
力強く弾かれる和音は、たとえて言うならまるで10人のこびとが一斉に太鼓を叩いたような、そんな圧倒的な迫力。
現代のピアノの音に慣れた耳には、このフォルテピアノはボリュームも音の伸びも比ぶべきものもないのですが、その木の響きからくる音の説得力には圧倒的な迫力があります。
ふと横に、音楽の才能あふれたまだ若い青年のベートーヴェン君がたたずんで、「どう?今度創った僕の新しいソナタは?」とにこにこほほえんでいるような、そんな感じがしたのです。
僕は「めっちゃカッコいいやん!すごいわぁ!」ときっと彼に答えてしまいそうな、そんな演奏、いや曲でした。
「途中までしか弾けないと思う・・・」とか言いながら弾き始めた井谷さんでしたが、1楽章最後までいってしまい、そのあと井谷さんも、聴かせていただいてる僕も「もう弾くしかないよね。」という目と目で暗黙の了解。2楽章、そして3楽章まで弾ききってしまいました。
演奏が終わってしばらく二人とも放心状態のような無言の時間がすぎました。
ベートーヴェンが乗り移ったようなそのときの井谷さんの演奏は、僕の中で間違いなく、人生で忘れられない貴重な音楽体験になりました。
それともう一つ思ったこと。
それは、僕は正直今までレプリカに対して、本物じゃない、みたいな気持ちがぬぐえませんでした。
でも、このときの演奏を聴いて思ったことは、実はまさにこれこそが当時の音を再現した本物の音なんですよね。
彼がこの曲を書いたのは27,8歳。
ちょうどこのフォルテピアノの原型ができた頃とほぼ時代も同じわけです。
彼もWalter製のピアノを使っていたとも聞いてます。
だとしたら、まさにその当時出来たての新しいピアノを使い、そのピアノに合わせたような、熱情的な曲を書いたのだとしたら、まさに僕はほぼ「完璧」な状態で、当時の悲壮ソナタを聴くことができたわけです。
僕の周りにももしかしたらいそうな、そんな身近な、才能あふれた青年ベートーヴェン君。
そんな彼に出会うことが出来た自分。
なんという幸福なんでしょうね。