ピアノは歌う♪ ~調律師が見た音楽の世界~

合唱歌手としても活動をするピアノ調律師が語るピアノと音楽の話

34.スクェアピアノによるコンサート

2013-06-08 03:03:10 | ピアノの話
一昨日6日は愛知県立芸大の芸術資料館で、北住淳先生によるスクェアピアノのコンサートでした。

僕は朝から調律で、半音とさらに70セントほどもピッチの下がったそのピアノをなんとか半音下がりまで引き上げなければいけません。
何しろ160年ほども前のピアノなので、慎重にしないと何が起こるかわかりません。
普通ですと、70セントくらいなら軽く1回で上げますが、今回は2回に分けて上げるべく取りかかりました。
結局は4回調律をしてやっと何とか持っていくことができました。さらに最後に全体を拾ってやっと落ち着きました。
音程もちょうど半音下、なんとなくピチッと落ち着いた感じです。
あと音色のバラツキなども、できるだけピアノにストレスをかけず取れる範囲で取りました。

そうやって迎えたコンサートですが、まずお客さん、と言っても芸大生の方がほとんどだと思いますが、それでも予想以上?の百人くらいは軽く入っていたと思います。
ちょうど所蔵品展示中のコンサートのため、ほかの楽器や美術品が並ぶ中、皆さん思い思いの場所を陣取り、北住先生とスクェアピアノの醸し出す19世紀の音の世界に、文字通り酔いしれました。
現代のアタック音のある、まあそれはそれで明快な音なんですが、それとは違うきらびやかな、ある意味非常にモダンさを感じさせる、美しい木と、ちょっとハイカラな金属音の混じった明るい音です。それが会場の高い天井の空間を満たしました。
プログラムはバッハ、モーツァルトからサティまで、いろんな時代の音楽を味わえて、それも非常に面白かったです。
スクェアピアノで純粋に音楽を楽しませてもらいました。
心に残るコンサートでした。

最近よく思うこと、それはピアノ音楽はあの88鍵の細長い鍵盤の上にあるのではなく、その鍵盤の奥にあるのだということ。
ピアノのそのボディから聴こえてくるピアノの響きに、もっともっと耳を傾けなければ、ということを思います。
まあ、ちょっとした差なんですが…。

写真はリハーサル風景と本番、そして僕もピアノと記念撮影です(^_^)。

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4 コメント

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お元気ですか (りす)
2014-03-01 18:24:55
初めてコメントします。しばらく更新がありませんが、いつも楽しみに拝読していました。お元気であれば良いのですが。。
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Re:お元気ですか (naopia)
2014-03-03 01:33:52
りすさん
はじめまして。
コメントほんとうにありがとうございます!
はい、おかげさまで、というか(^_^;)、元気にやっております。
僕の書く記事が見知らぬ人の心に届いてるのだということを、りすさんのコメントで教えてもらいました。
せっかくいい場所を与えてもらってるのだから書かなくちゃ、ですね。
がんばります(^_^)。

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カンカンっ (りす)
2014-03-03 21:22:38
お元気で良かったです!笑( ´ ▽ ` )ノ
わたしこそ、せっかく拝読しながら無言スルーですみませんでした。素人なので、とんちんかん?な事を言いそうで(^_^;)

我が家にもグランドピアノがありますが
高音がとくにカンっカンンっっ と
...ピアノってこういうものなの..?と
ずーっと何かが気になっています。
うまく言えないんですけどU+2198U+FE0E

これからも楽しみにしてます!
返信する
Re:カンカンっ (naopia)
2014-03-07 22:24:26
りすさん
グランドピアノ持ってらっしゃるんですか!
りすさんの「カンっカンンっっ」という表現は素晴らしいです(笑)。
エラそうな言い方で申し訳ありませんが、耳がいいんだなぁ、って思いました。
昭和50年代くらいのヤマハのGPにそんな音のがあるように思います。
もちろんピアノはいろいろですので一概に言えませんけど。
またぜひいろいろコメントをおよこしください。
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