ピアノは歌う♪ ~調律師が見た音楽の世界~

合唱歌手としても活動をするピアノ調律師が語るピアノと音楽の話

11.古いヤマハピアノ

2008-10-05 00:12:40 | ピアノの話
もう40数年もたったヤマハピアノU3Eです。
持ち主は元学校の音楽の先生。
今は、僕と同じ三重バッハ合唱団でいっしょにバッハを歌っています。

国産でもちょっと古いピアノ、とりわけ、ヤマハであればこのEシリーズなんかは僕はかなりお気に入りのピアノになります。
なんか、音に味が出てきてるような気がするんですよね。
このU3Eもそうです。
今のヤマハピアノのような、明るい、割と派手目な音色とはちがい、ちょっとおとなしめのそれでいて音に何か味がある、昔の古い音、みたいな雰囲気と言えばそうですけど、それを、全体の音色をうまくバランスよくまとめてやると、かなり魅力的な楽器になります。

この日は調律が終わってから、いろんな話をしました。
家族の話や、それこそ人生の生き方の話、そして、そのあと、去年は僕がこのピアノで何か1曲弾かせていただきました。
今年は、僕がちょっと部屋を離れてもどってきたら、ご覧のようにピアノにはちゃんと楽譜が準備されていました。
今年は僕が聴かせていただくみたいです。

弾いていただいたのはバッハの平均律クラヴィア曲集1番Cdurです。
自分で調律して言うのもちょっとなんですが、もうその音色が心の奥までしみ込んでくるのです。
それになんと言ってもバッハです。
そして言うまでもありませんが、それらをコントロールする弾き手の音楽性があってこそですが。
さっきまで話してたいろんなことと、このバッハの曲が重なって、涙があふれてきました。
油断すると本格的に泣いてしまいそうな、それほど、曲が、音が、僕の心に染みわたってきたのです。

バッハとピアノの音になぐさめられました。
同時に、いい音に調律できたことの秘かな喜びも感じられました。

僕はいつも皆さんに言いたいことがあります。
家にある古いピアノは大事にしましょう。
それには、その音には、その家のいろんな思い出が音とリンクして詰まってるんですよね。
まるで、ポッキーのチョコにくっついてるピーナツのかけらのように・・・(笑)
だからそのピアノはかけがえのないピアノなんです。

家に音の出る道具があるっていうのはいいもんですね。
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